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【Voltairの始まり】メインネットでのSPO投票実験とSIPOの考え:ニュース動向 & ステーキング状況 in エポック412

【Voltairの始まり】メインネットでのSPO投票実験とSIPOの考え

カルダノのオンチェーンガバナンスの仕組みづくりVoltairが始まっています

カルダノは2023年に入り本格的なヴォルテール(ガバナンス)時代に突入しています。CIP-1694によるオンチェーン・ガバナンスの仕組みづくりのための議論が世界中で執り行われています。

そんな中カルダノ財団は、現状のステーキング・パラメーターとネットワークの最適化について、ステークデリゲーターとステークプールオペレーター(SPO)の両方に対する投票実験を開始しました。

すでにテスト環境では投票メカニズムをテストした初の実験は終了しており、今回はメインネットでの初の実験が執り行われることなりました。メインネット版では投票内容も具体的になり、SPOの考えと立場が公に表明されることになりました。

また今回のメインネットでの初めての試みとなるオンチェーンの投票は、カルダノコミュニティ全体を対象にしています。カルダノ財団は、これによりさまざまな関係者の広範な関与によって重要な結論が導かれ、新しい議論、貢献、および協力が生まれることを期待しています。

この投票実験は、カタリストに続くVoltaire(ヴォルテール)時代の社会実験であり、SPOと委任者がブロック生成によるネットワーク管理以外に新しくプロトコルに貢献しうることが追加される大変意義深いものです。また委任者がプールの考えを聞きそれに委任という形で投票に参加することで、カルダノ・ネットワークの安定に貢献することが可能になります。

SPOのオンチェーン投票は、エポック412の開始日である2023年5月15日(日本時間は5月16日 午前6時44分頃)で質問が公開された後開始されました。この投票は次のエポック413が終わり6月5日 午前6時43分頃まで行われます。

その後、ステークデリゲーター(委任者)が投票のダッシュボードを参照し、SPOが投票した方法を見て、結果を調べ、委任を他のSPOに再委任するかどうかを決定する時間が与えられます。期間はエポック414開始時の5月26日 午前6時44分頃(日本時間)から、エポック415終了時の6月5日 午前6時43分頃までとなります。

その後、Cardano財団は、エポック416開始6月5日 午前6時44分頃に結果をスナップショットし、レポートを作成すると言う流れです。

なお、SPOの投票は現在進行中で下記のサイトで投票の状況がリアルタイムで確認できます。

スケジュールや投票内容の詳細は下記の記事をご覧ください。

今回のメインネット投票実験の質問内容

今回のSPO投票実験の内容は、カルダノ財団の発表記事『Entering Voltaire: poll experiment live on mainnet』によれば将来のガバナンスシステムで何が起こるかを予測するための議論を促進するメカニズムのテストだということです。

今回の投票内容は次のようなものです。

今回の質問には、6つのオプションを持つ簡単な多肢選択問題が採用されました。そのうち4つは2つの異なる要因に対応しています。

Q3 2023以降にどのようなセットアップを導入することを希望しますか?

  • kを500に保ち、minPoolCostを340 adaに保つ。
  • kを500に保ち、minPoolCostを170 adaに半減する。
  • kを1000に増やし、minPoolCostを340 adaに保つ。
  • kを1000に増やし、minPoolCostを170 adaに半減する。
  • 棄権を希望します。
  • 上記のいずれでもない。

今回の投票の意義はカルダノ財団によると、あくまでもkとminPoolCostパラメータに焦点を当てることで、ネットワークの分散化に直接影響する基本的な問題についてエコシステムの立場をよりよく理解するためのものだと言うことです。

kパラメータとminPoolCostについては、下記の記事を是非ご覧ください。

SIPOの投票内容とその理由

さてSIPOは今回の投票において下記のように考え投票を行いました。

まず第一に考えたことは、カルダノ全体の持続可能な成長を維持し拡大することを目標にしたことです。そのために多くの人のステーキングへの参加意欲を掻き立て、それと同時に維持し成長できるパラメーターセットの設定が重要だと考えました。このパラメータは、競争力を高め、市場を活性化させ、エコシステムとコミュニティの繁栄を支えるためのものでなくてはならないと考えました。そのステーキングの役割を中核的に担っているのがSPOです。SPOはステーキングの管理の促進を、カルダノADAのステークホルダーを代表してその役割を担っています。

そのために今回のパラメーターの変更は、プロトコルの維持と繁栄のためにも次の三つのポイントを押さえておく必要があると考えました。(どれか一つに特化するのではなくバランスが必要だと思います。)

【分散性】参加者を増やし新規参入を増やし、多様性を育む:SPOの役割や個性は幅広い方がよく、新しい変化にも対応できることが大事です。
【持続可能性】ステーキングとプールを維持し、ネットワークを堅牢に維持する:SPOはステークホルダーをサポートし、コミュニケーションを促進します。より多くのステークホルダーの参加を促進します。
【公平性】市場による競争原理の導入、イノベーションを取り込む、科学およびゲーム理論による分析:公平な競争は、市場の変化に対応が可能です。公平な競争原理は新しいSPOのチャレンジ精神も育むことにもなり、参加しそこに止まろうする意欲を醸成します。

そこで上記の三つの観点に加え、変数として現在の世界情勢と今後の予測を交えて、kパラメータとminPoolCostのセットアップがどのようにあるべきかを考えてみました。

結論は『kを500に保ち、minPoolCostを340 adaに保つ。』でした。

その理由は、k=1000への移行は、現在のADAの価格の推移や世界情勢の不安定さを考えると、委任を増やそうとする意欲の減退による持続可能性の低下という意味で、タイミングとしてまだ早いと考えました。

そしてSPOの新規参入プールへの委任の流動性、競争原理を活性化させるという意味では『minPoolCostを170 adaに半減する』ほうがいいと考えましたが、下記のような世界情勢など暗号を取り巻く環境を考えると『minPoolCostを340 adaに保つ』方を選んでいます。

世界情勢と今後の予測については、規制の影響、銀行破綻やインフレ問題などの世界の金融経済の悪化、戦争状態による地政学的な懸念、暗号市場の乱高下、エネルギー問題などの悪化による様々な要因が浮上してきています。これらの影響によるサーバーやネットワークの停止やコスト上昇の問題など、不安要素が大きいとも考えました。地域によっては規制の影響によりステーキングが禁止される可能性もあります。

実際にサーバー運営にはいくつかの影響が出てきています。サービス規定変更によってこれまで使えたものが使えなくなったり、性能や機能の面の低下、エネルギーの高騰によるコストの上昇などさまざまな要因で、サービスの選択肢が若干少なくなってきています。この傾向は経済の悪化やエネルギー問題、インフレなどにより悪化する可能性もあります。またチェーンデータを保存する容量やメモリ、CPUなどの必要要件も、2年ほどの経過でも大きくなってきています。

当初の「minPoolCostを340 adaに保つ」は、特に新規参入者にとってそうした時の助けになる可能性があり、当初minPoolCostを340 adaにするとした理由の一つに、それがあったと記憶しています。

カルダノでのプールを持つことのハードルは高くありません。また、誰もが自由にプール運営に参加できるカルダノのオープンな仕組みがあります。これはカルダノが最も優れた最高峰のプルーフ・オブ・ステークにしている最大の理由の一つです。

さらに、世界中に多くのサポートコミュニティに加え、日本には大変素晴らしいサポートコミュニティ(CARDANO SPO JAPAN GUILD)が存在します。科学的な検証とゲーム理論のもと、誰もがプールを自由に開設でき、アイディア次第で堅実なプールから、個性豊かなプール、エコシステムを盛り上げるサービスや活動をベースとしたプールなど、シングルからマルチプールまで様々なプールが、市場原理のもと管理運営されることが期待されます。そしてそこには委任者の自由意思による選択があることで、多様なステーキング・エコシステムが作られると考えます。

最後に、今回の投票は財団のブログ「Entering Voltaire: poll experiment live on mainnet」にあるように『これは可能性を評価するための初期段階に過ぎない』と述べているように、今後の議論がより成熟し投票などのデータの蓄積による分析により、タイミングが熟した段階での変更が可能と考えます。

参考:k=1,000に移行した場合とminPoolCost変更した場合のIOGの分析

ちなみにIOGの分析では、k=1,000に移行した場合、プライベートプールは既存の持分をより小さなプールに分割すると予想され、約150のステイク・プールが生まれると推測しています。そして大規模なプライベートプールで発生する正味のADA報酬はより高いので、その委任がパブリックプールに移動することはないと考えています。さらに、IOGの計算では、k=1,000への移行によって影響を受けるパブリックプールは約100あり、再委任が必要となるのは約20億ADAに相当します。これによってネットワークの多様性が多少増すかもしれないが、その影響は前回のk=150から現在のレベルである500への変更よりもはるかに小さいと予測しています。

minPoolCost(最低手数料)は、シビルアタック(手数料ゼロのプールを大量に作ってネットワークを乗っ取る試み)に対する追加の保護レイヤーとして機能し、このminPoolCostを廃止または引き下げると、この保護層がなくなり、カルダノはある種の経済的攻撃を受けやすくなる可能性があるが、IOGのステーキング行動と再委任の分析によると、この懸念は現在、実用的というよりも理論的な問題である可能性があるとしています。Cardanoは、数年未満の期間で効果的な攻撃を実行するのに十分な委任が動き回る段階を過ぎていると分析してます。

一方、固定されたminPoolCostを設定すると、これから始める小さなプールは、一定の規模に達するまで、大規模で確立されたプールと経済的に競争することが難しくなるとIOGは分析しています。この手数料は、プールが委託者に報酬を還元し始める前に満たされる必要があり、プール側が宣伝しているより目に見えるパーセント率よりも数倍大きな実効率になることがあるというものです。

一般に、小さいプールに委任することは、委任者にとってはるかに悪い結果となり、その費用の余分な負担は、プールに最初に委任した人が支払うことになります。

またminPoolCostは、そうすることで「収入」が保証されるため、定評のあるSPOが新しいプールを立ち上げるインセンティブとして機能すると分析しています。

minPoolCostの変更は、ADA保有者にはどのような影響があるのかについて、IOGは直接的な影響を与えないと述べています。minPoolCostが引き下げられれば、プールは直ちに変更を行う必要はなく、短期的には、競争力のあるリターンを提供できるようになることで、委託者を集めたい小規模なSPOにメリットがあり、手数料をコントロールできるようになることで、小規模なプールをより長く存続させることができるようになるはずと分析してます。

詳しくは下記のIOGのブログ記事をお読みください。

AIアシスタントによる世界情勢の把握と分析の活用

先ほど述べたように、今後カルダノADAを取り巻く世界金融経済、暗号規制、戦争状態などによる急激な環境の変化により、パラメーター変更の必要性が出てくるケースも考えられます。

具体的には、AIの導入により科学的な分析による現状の把握と情報の共有がコミュニティで可能になるでしょう。近未来では、よりリアルタイムでパラメーターの調整を行うことも可能でしょう。ただし、アルゴリズムの透明性や分散型プロトコル上でのオープンなAI管理が重要になってきます。

最近のChatGPT4やStable Diffusion、BardなどAIの登場により、ますますその先にあるAGI(汎用型人工知能)の登場も間近に感じられるようになってきました。そのインパクトは思想やライフスタイル、世界そのもののあり方にも大変大きな影響を及ぼすことは間違いありません。

そうした中、チャールズ・ホスキンソン氏は、SingularityNETのCEOであるベン・ゴートゼルとの対談で、AIとカルダノのパラメーターについて次のように述べています。

「カルダノでは、システムパラメータが20以上あります。ある人々はそれらを気にかけており、例えば、Min pool fee(最小プールコスト)などがあります。現在、これらのパラメータの設定全体は、人間が実行するオフチェーンのエフィメラルプロセス(*「エフィメラルプロセス」とは、一時的なプロセスのことを指し、その結果も一時的である可能性があることを示唆しています。)に接続されています。フィードや入力を見るAGIのようなシステムを想像することができます。それらをオラクルとして扱い、理想的なプロトコルパラメータについてコンサルティングに関与します。これは単なるアルゴリズム以上のものであり、ほとんど決定論的ではなく、多くの異なるものを見て、答えを与え、それを参照点として使用することができます。おそらく、私たちがシステムを十分に信頼すれば、これを強制的な参照点にするかもしれません。そうすれば、AGIまたはAIを規制システムとして使用して、特定の目標の周りのパラメータを安定化するために使用することができます。地球規模の意味では、目標がわかりにくい場合でも、短期的には良い用例でしょう。3〜5年で十分な進歩があるでしょう。」

数年後にはブロックチェーン・プロトコルの上で分散型AGIが管理運営されることになるかもしれません。そのためにも、オンチェーン分散型ガバナンスの基盤づくりも早急に必要です。

そして何よりも、デジタル時代の人間の自由と尊厳を維持し尊重するためにも、AIの分散化は大変重要なものです。

その礎の上に、オンチェーンガバナンスにAIをアシスタントとして導入することは、大変有用かもしれません。

まとめ

今回の投票は『これは可能性を評価するための初期段階に過ぎない』という意味で保守的な投票内容であったかと思います。将来的には新しいパラメータ設定も議論の対象としても出てくるかもしれません。パラメーターにはプールの目的や個性に合わせて、一律ではなく多様性を確保できるよう自由に設定できるように幅を持たせることは大事だと思いました。また、今後サイドチェーンへの参入も視野に入ってくるため、誰もが自由に参入し競争できるハードルの低さは、他のPoSと比較してもカルダノのいい意味での特徴であるため、この特徴を失わないような方向性の維持は大事だと考えています。

最近は暗号業界では度重なるハッキングや中央集権的な不正によるカストディアルの信頼性の低下や強制的な規制の影響で、取引所に資金を置いておくことのリスクが生じており、よりセルフカストディアルな方法で自分の資産を自分のウォレットで管理する流れが出てきています。これはますますカルダノにとっては有利に働くと考えます。

こうした流れが加速することで、ますますステーキングへの意識も高まってくると考えられ、SPOの役割もさらに重要になってくるでしょう。

最近のカルダノのエコシステムの成長の勢いを考えると、参加者の意識が高まり、世界情勢も一変するなどして、近い将来現状の仕組みの変更がすぐに必要になることも考えられます。さらにオンチェーンガバナンスが本格的に機能し始めると、コミュニティに更なる参加意識の高まりが促進されるDAOの時代が本格到来する可能性が考えられます。

まだ始まったばかりのオンチェーン・ガバナンス(まだ実験段階)ですが、とてもエキサイティングな時代が到来しましたね。

みささんはいかがお考えでしょうか?

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SPOによる投票が開始

SPO投票期間は、エポック412開始時の5月16日 午前6時44分頃(日本時間)から、エポック413終了時の5月26日 午前6時43分頃までとなります。

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開発ハイライト

ネットワークプロトコルを更新、テストを改良。エクリプス回避に関する作業が進行中
TrezorとLaceの統合、デスクトップアプリのマルチ委
任フレームワークに取り組む
型なしPlutus Coreを最適化、仕様を更新

カルダノ・ネットワークの現時点での統計

開始されたプロジェクト:127
開発中のプロジェクト:1242
ネィティブトークン:8.28m
トークンポリシー:73,880
PlutusV1クリプト:5776
Plutus V2クリプト:2,501
トランザクション:66.7m

ステーキング状況 in エポック412
エポック413開始時点ステーキング動向
SIPO、SIPO2、SIPO3エポック412ステーキング報告
SIPOエポック412ステーキング報告
SIPO2エポック412ステーキング報告
SIPO3エポック412ステーキング報告
[SIPO2]は6400個目のブロック生成に成功

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