Project CatalystのF13ラウンドへの参加に関するフォローアップと財団に寄せられた質問に対する回答を発表
カルダノ財団は、Project CatalystのF13ラウンドへの参加に関するフォローアップを発表しました。この参加はコミュニティ内で大きな議論を引き起こし、財団はすべてのフィードバックを真摯に受け止めている事を報告。Project Catalystは、Cardanoのガバナンスの実験場として、ステークベースのリソース配分に関するコミュニティの関与を促進し、4年間で2億7,000万ADA以上をプロジェクトに割り当ててきました。財団は2021年からF4、F7、F8、F9、F12などのラウンドに積極的に参加しています。
カルダノ財団ブログ:Cardano Foundation & Project Catalyst F13: Follow Up
https://cardanofoundation.org/blog/project-catalyst-f13-follow-up
またカルダノ財団は、2024年12月17日、Project Catalystへの参加に関する議論を受け、財団に寄せられたさまざまな質問に対する回答を公開しました。
Cardano Foundation FAQ:https://forum.cardano.org/t/cardano-foundation-faq/14088
カルダノ財団とProject Catalyst F13:フォローアップ
まずブログ「Cardano Foundation & Project Catalyst F13: Follow Up」では、財団は低い参加率、提案提出時のUI/UXの非効率性、影響力のある提案に対するフォローアップと責任の欠如など、いくつかの課題を指摘しています。特に、新規参入者の高品質な提案が支援を受けられない状況や、現在の投票実装におけるガバナンス上のリスク、大規模なDeFiプロトコルの関与に対するメカニズムの欠如について懸念を表明しています。
F12およびF13では、財団はバルセロナでのF12の立ち上げ時に、Project Catalystへの影響力と参加を強化する意向を表明しました。2024年12月9日、財団は1億8,000万ADAの投票ステークを用いて、F13の提案に投票しました。この投票では、Cardanoの長期的な持続可能性、分散化、ガバナンスに焦点を当てたプロジェクトを支援しました。当初、より早い発表を検討していましたが、アルゼンチンでの憲法制定会議の重要性を考慮し、発表を遅らせました。
財団の決定的な関与が議論を呼ぶことは理解しているとし、この結果は、Plominハードフォークが迫る中、特に財務に関する新たな規模でCardanoのガバナンスが試されることから、より多くの参加の必要性を強調しています。Project Catalystでは、流通している350億ADAのうち、投票登録されたのは48億ADAであり、財団のステークは登録されたステークの約3.75%、総流通量の0.5%に相当します。しかし、登録されたすべてのステークが投票に参加するわけではなく、参加したステークの中でも、提案の数が非常に多く、十分な精査が行われていないため、すべての提案に投票が行われるわけではありません。
今後、財団はProject Catalystでの投票に関する透明性と予測可能性を向上させ、投票に使用するADAの量や基準を明確にすることを約束しています。また、他の大口ステークホルダーにも同様の行動を促しています。さらに、コミュニティのツールを使用した投票の技術的な詳細を公開する予定です。コミュニティ資金提供メカニズムの改善に関する議論は、Intersectを通じて行われることを期待しており、Cardano財団は新たな共同ガバナンスの未来に向けて、強力なコミュニティプロジェクトを推進し、積極的なガバナンス参加者としての役割を果たし続けると述べています。
詳細については、Cardano財団の公式ブログをご参照ください。
カルダノ財団 FAQの概要
カルダノ財団は、Project Catalyst参加に伴い、財団に関する様々な質問が再浮上したことを受け、頻出する質問に回答しました。以下は主な内容です。詳細は「Cardano Foundation FAQ」をご覧ください。
カルダノ財団の設立目的と使命
カルダノ財団は2016年に設立され、スイスを拠点とする非営利団体として、Cardanoを公共のデジタルインフラとして幅広い業界に普及させることを目的としています。その使命は次の通りです。
• 新技術と応用の推進:特にオープンで分散化されたソフトウェアアーキテクチャを重視。
• Cardanoプロトコルの発展:プロトコルとその関連技術、ならびにその技術を利用したアプリケーションの促進とサポート。
財団は、この使命を果たすため、世界25カ国以上で100人以上のスタッフが活動し、企業や規制当局、政策立案者と協力して、Cardanoエコシステムの経済的自立を支援しています。
コミュニティとの関わり
カルダノ財団は、以下のような方法でコミュニティに貢献しています。
1. 中央集権型取引所(CEX)との関係強化
Cardanoの統合最適化、技術サポートの提供、オンチェーンイベントの情報提供。
2. 主要ツールの開発と維持
Cardano Wallet、Ogmios、Kupo、Token Metadata Registryなどの開発と保守。
3. 詐欺対策と商標保護
200以上の詐欺YouTubeチャンネルの停止、30以上の商標登録に対する異議申し立てなどを実施。
4. Cardanoアンバサダープログラムの運営
2018年設立。教育、分散化の促進、採用の推進を目的としたプログラム。
5. オープンなプラットフォームの提供
cardano.orgやdevelopers.cardano.orgなど、誰でも利用可能なリソースを提供。
透明性と説明責任への取り組み
カルダノ財団は、透明性と説明責任を重視しており、以下のような取り組みを進めています。
• 活動報告と財務報告の公開:財団の活動内容や財務状況を開示。
• SPO委任の透明性:ステークプールへの委任方法と基準を公開。
• オープンソース化:ほぼすべてのコードをオープンソースで開発。
助成金提供の代替としての取り組み
財団は、従来の助成金提供に代わり、以下の方法でCardanoエコシステムの発展に貢献しています。
• Project Catalystへの参加:資金提供の透明性と効率性を高めるための活動。
• Intersectとの連携:コミュニティ参加型の資金提供メカニズムを強化。
また、既存のプロダクトを持ち、オンチェーンでの影響が測定可能な個人やチームとの連携を進めています。
憲法提案とガバナンスに関する独自アプローチ
カルダノ財団は、ガバナンスに関する議論の中で、独自の憲法提案を公表しました。この提案は以下の言語で公開されています。
• 日本語
• スペイン語
• ポルトガル語
• ヒンディー語
憲法提案の遅延については、CIP1694の実装や法的調査が時間を要したためと説明しています。
IOGやIntersectとの関係
財団は、Cardanoの開発を主導してきたIOG(Input Output Global)やIntersectと建設的な関係を維持しています。時に意見の相違が生じるものの、エコシステム全体の成功を目指し、協力を継続しています。また、Intersectには2024年に正式参加し、ガバナンスの調整役としての役割を支持しています。
FAQの主なポイント
1. Cardanoコミュニティが理事を選べない理由:スイスの財団法では、コミュニティによる理事選挙は想定されていません。
2. 財団がADAを使って投票する理由:「1ラブレース、1票」のガバナンスモデルに基づき、責任ある参加が求められるため。
3. Intersect憲法案への投票:財団はコミュニティの決定を尊重し、Intersect憲法に賛成票を投じます。
4. PRAGMAとIntersectの違い:PRAGMAはオープンソースソフトウェア開発に特化し、Intersectはエコシステム全体の調整役を担います。
このように、カルダノ財団はエコシステムの成長、透明性の向上、そしてガバナンスの強化に向けて活動していることを強調しました。
カルダノコミュニティ主導のガバナンスの構築
SIPOが一つ気になった点は、カルダノコミュニティが理事を選べない理由について説明しているところです。”スイスの財団法では、コミュニティによる理事選挙は想定されていません。”と答えている点について意見を述べさせていただきます。
カルダノ財団が「スイスの財団法ではコミュニティによる理事選挙は想定されていない」と述べた点については、カルダノコミュニティ主導のガバナンスを実現する上で大きな課題です。しかし、対応策や提案は以下のように考えられるかもしれません。
1. 財団のガバナンス構造の再設計
• 法的枠組みの調整:
スイスの財団法の制約がある場合でも、理事会の一部をコミュニティ推薦枠として設け、正式な選挙ではなく推薦や合意形成を通じて選出する方法が考えられます。
• 具体例:コミュニティからの提案を受け、独立した選考委員会が候補者を審査し、理事会に推薦する形態。
• ガバナンス支援組織の設立:
スイス財団の規制に縛られない補助的な組織(例:Intersectや新ガバナンス機関)を立ち上げ、その組織がガバナンスに関与する方法もあります。
• この組織は、CIP(カルダノ改善提案)やProject Catalystに関与することで、事実上のガバナンス強化が期待されます。
2. コミュニティ投票による「助言委員会」の設置
• コミュニティによる直接投票で選出された代表者が「助言委員会」として財団理事会に対し意見を述べ、ガバナンスや意思決定に影響を与える仕組みです。
• 財団理事会の最終決定権は法的に保持されつつも、コミュニティの意見が反映される透明性の高いプロセスを構築します。
3. 財団法の変更を模索する長期的戦略
• スイス財団法そのものの改正は難しいものの、スイス国内や他の管轄区域での先進的なガバナンス事例を取り入れ、分散型ガバナンスを法的に反映するモデルを提案することも視野に入れます。
• 事例:他のブロックチェーン関連財団やDAO(分散型自律組織)の法的設計を参考にし、Cardano財団に適用できるモデルを模索します。
4. Intersectを活用したガバナンスの分担
• Intersectのようなコミュニティ主導のガバナンス機関を拡充し、実質的なガバナンス機能をIntersectへ移行させる提案も現実的です。
• 財団の役割をエコシステム支援と管理に限定し、ガバナンスの実権をIntersectやコミュニティが握る形を目指します。
5. コミュニティ資金を活用した透明性の強化
• 財団の役割を補完する形で、Project CatalystやIntersectを通じたガバナンス関連プロジェクトへの資金提供を行い、透明性を高める仕組みを構築します。
スイス財団法の制約がある中でも、補助的なコミュニティ主導のガバナンス組織や「助言委員会」の設置、Intersectの活用により、民主的な意見反映と透明性の確保は十分可能です。短期的にはコミュニティ推薦枠や助言委員会の導入、長期的には財団のガバナンス構造の再設計や法的な対応を進めることで、真の分散型ガバナンスに近づけると考えます。
コミュニティの皆さんは以下がお考えでしょうか?