カルダノのバレンタインアップグレードにより、ECDSAおよびSchnorr署名をサポートする新しい組み込み関数が追加され、Cardanoにネイティブになりました。このFAQには、DApp開発者向けの利点、ハードフォークの必要性、およびPlutusスクリプト用のSECP256k1曲線のSchnorrおよびECDSA署名の組み込み関数の追加の利点などのトピックが含まれています。
以下はIOGブログに掲載された記事「Valentine upgrade FAQ」を翻訳したものです。
Valentineアップグレードに関するFAQ
先般のValentineアップグレードに関するよくある質問をまとめました
2023年 2月 27日 Fernando Sanchez 4 分で読めます
Q – Valentine開発期内ハードフォークでは何が達成されますか。
A – 効率的なクロスチェーンアプリケーションの構築を可能にするため、Cardanoのネイティブ署名とともにECDSAおよびSchnorr署名をサポートする新しい組み込み関数が追加されました。実装されると、これらの機能はCardanoネイティブになります。さらに、専門家によるセキュリティ監査により、可能な限り最高レベルのセキュリティが保証されるという利点もあります。
Q – 開発期内ハードフォークとは何ですか。
A – 台帳に対する小さく焦点を絞ったセマンティクスの変更で、ハードフォークを必要としますが、台帳の開発期は変わりません(Babbageなど)。
Q – DApp開発者は、Cardano上でネイティブECDSAおよびSchnorr署名を実装することで、どのようなメリットを得ることができますか。
A – これらの署名は他のチェーンで一般的に使用されており、よく理解されています。つまり、DApp開発者は、マルチシグまたは閾値署名設計の幅広い選択肢を享受できることから、Cardanoのユーザビリティが向上します。
Q – PlutusスクリプトのSECP256k1曲線を使用して、新しくSchnorrおよびECDSA署名用の組み込み関数を追加するためにハードフォークが必要なのはなぜですか。
A – Plutusインタプリターに必要な変更を施すため、本更新にはハードフォークが必要です。これは開発期内ハードフォークであるため、台帳の開発期は変更されません。つまり、これはBabbage期(VASIL機能)へのアップグレードであることを意味します。
Q – 暗号プリミティブとは何ですか。
A – DApp開発者がトランザクションやデータの保護、カスタム暗号化および復号化アルゴリズムの開発、デジタル署名によるメッセージの検証などに使用する、基盤となるビルディングブロックです。
Q – ここ数年、楕円曲線暗号(ECC)がここまで普及しているのはなぜですか。
A – この技術は現在、暗号プロトコルと安全なアプリケーションを開発するための主流となっています。ECCは、より小さな鍵と署名を使用して同じレベルのセキュリティを実現するほか、鍵の生成と合意が非常に高速、署名も高速です。
Q – イーサリアムとビットコインのチェーンは、どの暗号アルゴリズムと楕円曲線を使用しますか。
A – 両チェーンとも、ECDSAアルゴリズムとSECP256k1楕円曲線を使用します。
Q – Cardanoは署名アルゴリズムでどの楕円曲線を使用しますか。
A – Cardanoは、楕円曲線Curve25519を基本曲線とするエドワーズ曲線デジタル署名アルゴリズム(EdDSA)を使用します。したがって、これはEd25519と呼ばれます。
Q – PlutusスクリプトのSECP256k1曲線にSchnorrおよびECDSA署名の組み込み関数を追加する利点は何ですか。
A – CardanoはEdDSAを使用しているため(イーサリアムやビットコインとは異なり)、DApp開発者はPlutusのSECP楕円曲線上にSchnorrとECDSA署名を実装するために時間とリソースを費やす必要があります。PlutusスクリプトのSECP256k1曲線にSchnorrとECDSA署名をサポートする組み込み関数を追加することで、この負担を排除し、これらの曲線がCardanoネイティブではないことに由来する潜在的なセキュリティリスクも排除します。
Q – 実装後、Plutusは何を改善できますか。
A – Plutusは、ECDSAおよびSchnorr標準を使用して、他のブロックチェーンからのトランザクションを簡単に検証できます。例えば、Plutusは、EVMサイドチェーンで生成された署名をネイティブに検証できるため、プロセスのシンプルさ、コスト、高度なセキュリティといった点で開発者のエクスペリエンスが向上します。