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DRep報酬設計の議論──ガバナンス設計をどう育てるか:ニュース動向 & ステーキング状況 in エポック613


DRep報酬設計の議論──ガバナンス設計をどう育てるか


本記事は、エポックな日々613での議論を整理したものです。ここで示す設計やパラメーターは完成形ではなく、今後の議論とデータ蓄積によって調整されていく前提のものです。制度は固定されるものではなく、成熟していくものだと考えています。ぜひ引き続き、この対話に加わり、ともにより良い設計を探っていければ嬉しく思います。

第1章|なぜこの議論が生まれたのか

まず最初に、今回の議論の出発点を整理しておきたいと思います。

現在、Cardanoのオンチェーン・ガバナンスでは、

・DRepへの投票力集中

・憲法委員会(CC)の最小人数(5か7か)

・分散の健全性

といったテーマが重なり合い、活発な議論が続いています。

この状況をどう見るべきでしょうか。

私はまず、これを「問題」ではなく「機能している証拠」だと捉えています。

1. 投票力集中という現象

DRep制度が始まり、実際の委任が動き始めると、当然ながら集中は発生します。

これは異常ではありません。

人は、

・情報が多いところに集まり

・安心できるブランドを選び

・変更の手間を避け

・実績のある存在に委任する

という自然な行動を取ります。

その結果、上位DRepに投票力が集まる。

これは市場原理の中では合理的な現象です。

しかし同時に、

「このままで良いのか?」

という問いも生まれます。

それもまた健全です。

2. 議論が混線した局面

ここで難しくなるのは、

構造問題

制度設計

個人への評価

影響力への不安

これらが混ざりやすいという点です。

私が発信した立場表明でも、その点を整理しました。

🔗DRep SIPO 立場表明— 憲法のシンプルさ、自由な参加、そして成長するガバナンスへ —

この中で強調したのは、

「委任は自由意志であり、尊重されるべきである」

という原則です。

集中が起きたからといって、直ちに“支配”や“独占”と断定することは、委任者の選択を軽視する可能性があります。

一方で、

構造的な脆弱性が生まれていないか?

という問いも無視してはいけません。

重要なのは、

個人批判ではなく、制度設計として議論することです。

3. きっかけとなった報酬設計の問い

議論が次の段階へ進んだのは、

「報酬設計は分散に影響を与えるのではないか?」

という問いが出たことでした。

YUTA氏が提示した Target-Centered DRep Reward Model は、その転換点の一つです。

🔗Target-Centered DRep Reward Model

この提案は、SPOの飽和モデルのように、

「ある理想的な規模」を設計し、

報酬を通じて分布を誘導するという考え方です。

ここで議論は、

「分散すべきか?」

から

「どう設計するか?」

へと進みました。

この転換は非常に重要でした。

4. SIPOの出発点

SIPOは、その流れを受けて次の提案を公開しました。

🔗“Stop the Risk, Not the Distribution”

ここで提示したのは、

分布を作らない。

成功を再設計しない。

ただし、危険が重なったときだけブレーキをかける。

という思想です。

つまり、問いはこう変わりました。

分散を設計するのか?

それとも、危険だけ止めるのか?

5. さらに浮かび上がった問い

議論を続ける中で、もう一つの問題が明確になりました。

それは、

「制度を変える前に、私たちは十分に観測できているのか?」

という問いです。

集中の加速

参加率の低下

拒否権リスク

構造的脆弱性

これらをどう定義し、どう測るのか。

この問いが、後に

CGOV Monitoring Layer v2.0

Cognitive Governance

へとつながっていきます。

第1章のまとめ

この議論は、

誰かが悪い

集中が悪い

分散が正義

という単純な話ではありません。

それは、

自由な市場原理と

制度の安定性と

長期的な信頼

のバランスをどう取るかという、成熟の問題です。

私はこのプロセスを、対立ではなく「進化」と捉えています。

次章では、まずYUTAモデルの本質を丁寧に整理していきます。

そこにある設計思想を、できるだけフェアに見ていきましょう。


第2章|YUTA氏モデルの本質 ―「ターゲット中心型」という発想

第1章では、DRep報酬設計の議論がどのような背景から生まれたのかを整理しました。

ここからは、議論を一段深めたきっかけの一つである

YUTA氏の Target-Centered DRep Reward Model について、私なりの理解を共有してみたいと思います。

🔗 Target-Centered DRep Reward Model

なお、ここで書く内容は、YUTA氏の意図を断定するものではなく、あくまで「私にはこう見えている」という整理です。

1. 「ターゲットを置く」という設計思想

私の理解では、このモデルの核心は、

「ある程度の理想的な代表規模を設定し、それを超えた部分を報酬設計で調整する」

という発想にあるように感じています。

これは、SPOにおける飽和点(kパラメータ)と似た構造を持っています。

SPOでは、

・一定規模を超えると報酬効率が下がる

・結果として自然に分散が促進される

という仕組みがあります。

YUTA氏のモデルも、「分散を促すための設計的な目標点」を明示するという意味で、非常に分かりやすい構造だと私は受け止めています。

2. 私が感じたこのモデルの魅力

この提案を見たとき、私がまず感じたのは、

✔ とてもシンプルであること

✔ パラメータが少ないこと

✔ 意図が明確であること

でした。

「分散をどう扱うか」という曖昧な議論を、

具体的な設計の話へ引き上げた点は、非常に建設的だったと思っています。

議論が、

「集中は良いか悪いか」

ではなく、

「どう設計すれば良いか」

へと移ったのは、大きな前進だったと感じています。

3. ただし、私が少し立ち止まった点

一方で、私自身は少し立ち止まりました。

SPOとDRepは、似ている部分もありますが、本質的には役割が異なります。

SPOはブロック生成という物理的役割を担っています。

そこには明確なセキュリティ目標があります。

一方、DRepは「判断主体」です。

・投票理由

・価値観

・説明責任

・ビジョン

といった定性的な要素も大きく関わります。

この違いをどう扱うべきか、私はまだ慎重に考える必要があると感じました。

4. 議論の中で浮かび上がった問い

YUTA氏とのやり取りの中で、私が特に考えさせられたのは、

「どの水準からを危険と見るのか」

という問いでした。

例えば、

・20%で早期介入する設計

・45%や50%まで市場を尊重する設計

この違いは、単なる数値差ではなく、

設計哲学の違いを反映しているように私には見えます。

早めに分散を誘導するのか。

危険が顕在化するまでは比例を維持するのか。

どちらにも合理性はあると私は感じています。

5. 私が慎重に考えた副作用

私が個人的に気になったのは、制度が常時介入型になることの影響でした。

・パラメータ調整が政治的争点にならないか

・分割戦略のようなゲーム化が進まないか

・外発的報酬が内発的動機を弱めないか

これらは批判というより、「制度設計として考えておきたい問い」だと感じています。

一方で、これらの懸念があるからといって、ターゲット型設計を否定するものでもありません。

むしろ、こうした問いを生んだこと自体が、議論の成熟を示しているように思います。

6. 私の現在の整理

YUTA氏のモデルは、

分散を明確に設計目標に据え、

報酬でその方向へ誘導するという、

とても分かりやすいアプローチです。

その明確さは、議論を前に進めました。

その上で私は、

「分散を作る」のか

「危険だけ止める」のか

という別の設計軸もあり得るのではないか、と考えるようになりました。

この問いが、次章で紹介する

“Stop the Risk, Not the Distribution”

という発想につながっていきます。

ここから先は、対立ではなく、

設計思想の分岐として整理していきたいと思います。


第3章|Stop the Risk, Not the Distribution ― 危険限定型という発想

第2章では、YUTA氏のターゲット中心型モデルを、私なりの理解として整理しました。

ここからは、私が提示した

🔗 “Stop the Risk, Not the Distribution”

という提案の背景と思想について、あらためて説明したいと思います。

なお、これも「正解の提示」ではなく、あくまで私が現時点で合理的だと考えている設計の一案です。

🔗DRep Reward Design Proposal
https://calm-abacus-135.notion.site/DRep-Reward-Design-Proposal-30af07528dc280a28296c7e3acbd2a3d

1. 出発点は「分布」ではなかった

私が最初に考えたのは、

「理想的な分布は何か?」

という問いではありませんでした。

むしろ、

「どの状態になったら、制度として危険なのか?」

という問いでした。

分散は重要です。

しかし分散そのものを目標化すると、常に“理想値”との比較が始まります。

・もっと均すべきか

・もっと小さくすべきか

・もっと早く介入すべきか

そうした議論は、常時パラメータ論争を生みやすい構造になります。

そこで私は、少し視点をずらしました。

分布を作るのではなく、

制度の脆弱性だけを止める という考え方はどうだろうか、と。

2. 平常時は完全比例

このモデルの基本原則は、とてもシンプルです。

✔ 平常時は完全比例

✔ 市場の選択を尊重する

✔ 成功を再設計しない

つまり、

委任が集中しても、それが安定しており、参加率が健全であれば、介入しない。

集中=悪ではない、という前提に立っています。

これは、私が立場表明で書いた

🔗 DRep SIPO 立場表明

にある「自由な参加と選択の尊重」という思想と整合しています。

3. では、いつ介入するのか

ここがこのモデルの核心です。

介入は常時ではありません。

次のような条件が重なったときのみ、発動します。

・Top10Shareが高水準に達している

・かつ、集中が加速している

・あるいは参加率が低下している

つまり、

単なる「大きさ」ではなく、

加速や参加率ショックを伴う構造的不安定性 を重視しています。

私の感覚では、

静的な集中よりも、

動的な集中の方が危険です。

そして、参加率が下がると、制度の防御力は弱まります。

この二つが重なったときだけ、

「安全弁」を作動させるという設計です。

4. Stage1 / Stage2という考え方

このモデルには、段階的な構造があります。

Stage 1

→ 軽度のリスク圧縮(ソフトブレーキ)

Stage 2

→ 条件が継続した場合の強めの圧縮(安全弁)

重要なのは、

・一気に強くしないこと

・恒常的に固定しないこと

・段階的で可逆的であること

です。

私は、制度は「急進的」よりも「進化的」であるべきだと考えています。

5. 私が重視しているのは「政治的耐久性」

このモデルの裏にあるのは、

制度の政治的耐久性です。

常時介入型の設計は、

・常に誰かの利害に影響し

・常にパラメータ調整の議論を生み

・制度を政治化しやすい

という側面を持つと私は感じています。

一方で、危険限定型は、

✔ 平常時は完全比例

✔ 有事のみ介入

✔ 介入は最小限

という構造です。

これは、「民意への介入」と受け取られにくい設計だと私は考えています。

6. 分散を作るのではなく、脆弱性を止める

ここで改めて整理します。

このモデルは、

分散を作るモデルではありません。

理想分布を設計しません。

小規模DRepを人工的に優遇しません。

やっているのはただ一つです。

制度が脆弱化する方向に動いたときだけ、速度を落とす。

これは、再分配ではなく、

罰でもなく、

リスク管理 だと私は位置づけています。

7. それでも、これで十分なのか?

ここで自然に出てくる問いがあります。

危険限定型だけで、本当に十分なのか?

集中は悪意でなくても進みます。

人はデフォルトに流れます。

認知負荷を避けます。

つまり、制度をいじらなくても、

構造的な集中は進む可能性があります。

ここで、次の問いが生まれました。

制度で止める前に、

認知を整えることはできないか?

この問いが、次章の

CGOV Monitoring Layer v2.0

Hard + Soft 二層構造

へとつながっていきます。

ここから議論は、「報酬設計」から「可視化設計」へと進化します。

それが私にとって、今回の議論の最大の前進でした。


第4章|CGOV Monitoring Layer v2.0 ― 二層構造という進化

第3章では、「Stop the Risk, Not the Distribution」という危険限定型モデルを整理しました。

しかし、議論を続ける中で、私はもう一つの問いにたどり着きました。

制度を動かす前に、私たちは十分に“見えている”のか?

集中の加速。

参加率の低下。

拒否権リスク。

これらは、感覚で語るべきものではありません。

観測できて初めて、議論できます。

ここで接点となったのが、

CGOV Monitoring Layer v2.0

(Hard + Soft 二層構造)

という発想でした。

🔗CGOV Monitoring Layer v2.0:
https://calm-abacus-135.notion.site/CGOV-Monitoring-Layer-v2-0-30bf07528dc2802d9f66f0b140e168b4

1. 二層構造とは何か

CGOV Monitoring Layer v2.0 の設計思想は、とても明確です。

それは、

制度介入(Hard)と、認知支援(Soft)を分離する

という構造です。

私はこの整理を見たとき、とても納得感がありました。

なぜなら、それは私が考えていた

「危険限定型 + 認知設計」

という思想と、自然につながっていたからです。

2. Hard Layer ― 有事のみのブレーキ

Hard Layerは、制度的ブレーキです。

ただし、常時ではありません。

明確な条件が重なった場合のみ発動します。

・Top10Shareが高水準

・集中が加速

・参加率が低下

といった複数条件が重なったときにのみ、段階的な圧縮が入る。

これは第3章で説明した危険限定型と整合的です。

重要なのは、

「止めるための装置」であって、

「常に分布を整える装置」ではないという点です。

ブレーキは常に踏み続けるものではありません。

必要なときだけ使うものです。

3. Soft Layer ― 常時可視化という設計

私が特に重要だと感じたのは、Soft Layerです。

Soft Layerは、

制度を変えません。

報酬も変えません。

委任も強制しません。

やることは一つです。

見える化すること。

例えば、

・Top10Shareの推移

・集中の加速

・Participation Rate

・Blocking Risk Index

これらをカード形式で可視化する。

ここで私は、「これはダッシュボードだ」と感じました。

Hardがブレーキなら、

Softはメーターです。

車で例えれば、

スピードメーターがない状態で

「スピードを出しすぎるな」と言っても意味がありません。

まずは見えること。

それがSoft Layerの役割です。

4. Blocking Risk Indexという視点

特に興味深いのは、Blocking Risk Indexの考え方です。

これは単純な「集中率」ではありません。

参加率を考慮したうえで、

・実質的な可決ライン

・実質的なブロック可能水準

を表示するという発想です。

つまり、

数字を単体で見るのではなく、

制度全体の文脈で見る。

これは、単なるデータ提示ではなく、

認知設計だと私は感じました。

5. Watch / Triggerという段階設計

さらに、CGOVは二段階構造を持っています。

🟡 Watch(注意)

🔴 Trigger(発動)

ここでも重要なのは、

いきなり制度変更ではないことです。

まず注意を表示する。

構造的な偏りを知らせる。

参加率の低下を示す。

そして、それでも危険が重なったときにのみ、Hard Layerが発動する。

この順序は、とても重要です。

6. 制度設計と認知設計の分離

ここで、今回の議論の核心が見えてきます。

私たちはこれまで、

「制度でどう止めるか」

を議論してきました。

しかしCGOVの二層構造は、

「制度」と「認知」を分離しました。

制度(Hard)

認知(Soft)

まずは認知を整える。

それでも足りない場合のみ制度を動かす。

これは、順序の問題です。

HardかSoftか、ではありません。

Soft → Hard という順序設計です。

7. ここで初めて見えた接点

YUTA氏モデル

Stop the Riskモデル

CGOV二層構造

これらは対立ではなく、

分散をどう扱うかという設計思想の違いです。

そして、CGOVはその接点になり得ると私は感じました。

なぜなら、

・観測環境を整える

・危険の定義を共有する

・データを蓄積する

という基盤がなければ、どのモデルも議論できないからです。

第4章のまとめ

ここで議論は大きく進化しました。

報酬設計の話から、

認知設計の話へ。

分布をどう作るかから、

危険をどう観測するかへ。

私は、この転換こそが今回の議論の最大の前進だと感じています。

次章では、この流れを思想レベルで整理します。

それが、

Cognitive Governance + Safety Valve

という統合的な考え方です。


第5章|Cognitive Governance ― 認知から設計するという発想

第4章では、CGOV Monitoring Layer v2.0 の二層構造を整理しました。

そこから私が強く感じたのは、

制度を動かす前に、認知を整えることができるのではないか

という可能性です。

この発想をまとめたものが、

🔗 Cognitive Governance + Safety Valve

という考え方です。

1. 透明性だけでは分散は保てない

ブロックチェーンは透明です。

すべてがオンチェーンで公開されます。

しかし、透明であることと、

分散が維持されることは同義ではありません。

人は、

・デフォルトに流れ

・よく知られた名前を選び

・認知負荷を避け

・変更を後回しにする

これは悪意ではありません。

自然な行動です。

つまり、透明性があっても、

構造的な集中は自然に進み得ます。

この「自然に進む力」を、私はエントロピーと呼びました。

2. Cognitive Governanceとは何か

Cognitive Governanceとは、

透明性を「意味ある選択」に変換する設計思想です。

単にデータを出すのではなく、

・集中度を見せる

・比較しやすくする

・選択の影響を示す

・委任変更を簡単にする

こうした仕組みによって、

自然分散を促す。

ここで重要なのは、

強制ではないことです。

認知を整える。

判断を支える。

摩擦を下げる。

それがCognitive Governanceの核心です。

3. Safety Valveという考え方

ただし、私は理想主義者ではありません。

設計だけで常に十分とは限りません。

極端な集中や、組織的な掌握リスクが発生する可能性もあります。

そのときのために必要なのが、

Safety Valve(安全弁)です。

これは、

✔ 明確な発動条件

✔ 最小限の介入

✔ 可逆的であること

✔ 見直し可能であること

を備えた「最後の装置」です。

常時作動する仕組みではありません。

順序はこうです。

  1. 認知を整える(Soft)
  2. データを観測する
  3. それでも危険が重なった場合のみ介入(Hard)

これが私の考える順序設計です。

4. Hard vs Softではない

議論の中では、しばしば

「強く止めるべきか」

「市場に任せるべきか」

という二項対立が生まれます。

しかし、私はそれを少し違う形で見ています。

HardかSoftか、ではありません。

順序です。

まず認知。

次に観測。

最後に最小限の制度介入。

この三段階構造が、制度の政治的耐久性を高めると私は考えています。

5. 分散は目的ではなく手段

ここで改めて整理したいのは、

分散は目的ではない、ということです。

分散は、

・安全性

・正当性

・参加の厚み

・回復力

を守るための手段です。

もし数値的分散が改善しても、

制度への信頼が損なわれるなら、

それは成功とは言えません。

私は、

「制度の信頼」と「市場の自由」と「防御力」の均衡

を保つ設計を目指しています。

それが、Cognitive Governanceという言葉に込めた意味です。

第5章のまとめ

ここまでで見えてきたのは、

ターゲット中心型(分布設計)

危険限定型(リスク管理)

二層構造(制度と認知の分離)

は、対立ではなく、

統治をどう成熟させるかという連続的な思考の流れだということです。

次章では、

長期戦略として見たときに、

それぞれの設計がどのような未来を描くのか。

制度安定性という観点から、整理してみたいと思います。


第6章|長期戦略としての設計比較 ― 制度はどう成熟するのか

ここまで、

・ターゲット中心型モデル

・危険限定型モデル

・CGOV二層構造

・Cognitive Governance

を順に整理してきました。

この章では、それらを「どちらが正しいか」ではなく、

長期的に見て、制度はどう成熟していくのか

という観点から考えてみたいと思います。

1. 常時介入型の未来

ターゲット中心型のように、明確な目標規模を設定し、常時報酬で調整する設計は、とても分かりやすいモデルです。

✔ 分散を直接的に促せる

✔ 方向性が明確

✔ 数値目標がある

一方で、私が長期的に少し慎重に見ているのは、次の点です。

・パラメータ調整が継続的な争点にならないか

・分割戦略などの最適化行動が制度を複雑化しないか

・「制度が分布を作る」という印象を持たれないか

これは否定ではありません。

むしろ、制度が強く機能する設計だからこそ、政治的な摩擦を生む可能性もある、という意味です。

制度は、正しくても“信頼されなければ”持続しません。

2. 危険限定型の未来

一方、危険限定型はどうでしょうか。

✔ 平常時は完全比例

✔ 有事のみ介入

✔ 介入は最小限

この構造は、制度の政治化を抑えやすい設計だと私は考えています。

しかし当然ながら、

・分散が自然に十分進む保証はない

・集中はゆっくり進む可能性がある

という側面もあります。

つまり、

急速な分布調整はしない代わりに、

制度の安定性を優先する設計です。

私はこれを「進化的設計」と呼んでいます。

3. データ蓄積という第三の軸

ここで重要になるのが、CGOVのSoft Layerです。

もし、

・Top10Share

・集中の加速

・参加率

・Blocking Risk Index

といった指標が継続的に観測されれば、

議論は感覚からデータへ移ります。

これは非常に重要です。

なぜなら、将来的にもし強い介入を検討する場合でも、

「観測データに基づく議論」ができるからです。

私はここに、第三の軸を見ています。

設計 → 観測 → 判断

という順序です。

4. 段階的戦略という考え方

私が現時点で支持している長期戦略は、次のような順序です。

  1. 危険限定型を基盤にする
  2. Soft Layer(可視化・参加率改善)を強化する
  3. データが蓄積された後、必要なら介入を強める

つまり、

最初から強く動かすのではなく、

まず制度の安定性を確保する。

これは保守的というよりも、制度の「耐久性」を重視した設計だと私は考えています。

5. 制度の正当性という視点

オンチェーン・ガバナンスは、まだ若い制度です。

これから参加者が増え、企業も入り、多様な立場が混ざっていきます。

そのとき最も重要になるのは、

制度への信頼です。

✔ 予測可能であること

✔ 恣意的に見えないこと

✔ 説明可能であること

これらが欠けると、制度は脆弱になります。

私は、短期的な最適化よりも、

長期的な制度信頼の積み上げを優先したいと考えています。

第6章のまとめ

ターゲット中心型も、危険限定型も、

どちらも分散を守ろうとする設計です。

違いは、

どの段階で介入するか

どれだけ強く設計するか

という思想の差にあると私は感じています。

そして、CGOVの二層構造は、

この二つを対立させるのではなく、

接続する可能性を持っています。

次章では、本記事の立ち位置を整理し、

SIPOとしての現在の考えと提案を、あらためてまとめます。


第7章|この記事の立ち位置 ― 私がいま考えていること

ここまで、

・YUTA氏のターゲット中心型モデル

・Stop the Risk, Not the Distribution

・CGOV Monitoring Layer v2.0

・Cognitive Governance

を順に整理してきました。

最後に、この記事の立ち位置と、私(SIPO)がいま考えていることを、あらためて明確にしておきたいと思います。

1. これは「対立」ではない

まず強調したいのは、

この議論は対立ではない、ということです。

YUTA氏の提案は、議論を一段階引き上げました。

🔗 Target-Centered DRep Reward Model

「分散すべきか」ではなく、

「どう設計するか」という問いへ。

この転換がなければ、ここまで整理は進まなかったと思っています。

私の提案も、その延長線上にあります。

🔗 Stop the Risk, Not the Distribution

違いはあっても、目指している方向は同じです。

それは、

ガバナンスの健全性を守ること。

2. 私が重視している軸

現時点で、私が最も重視しているのは三つです。

① 憲法のシンプルさ

🔗 DRep SIPO 立場表明

自由な参加。

委任の尊重。

変更可能性。

制度が複雑になりすぎると、新規参加者にとって障壁になります。

分散は、参加の厚みによって支えられます。

② 政治的耐久性

制度が常時介入型になると、パラメータ論争が続く可能性があります。

私は、

・平常時は完全比例

・有事のみ限定介入

という構造の方が、長期的に安定すると感じています。

③ 認知設計の強化

🔗 Cognitive Governance + Safety Valve

制度を動かす前に、認知を整える。

・集中度の可視化

・参加率の表示

・Blocking Risk Index

こうしたSoft Layerの充実が、自然分散を支えると私は考えています。

そしてそれが、

CGOV Monitoring Layer v2.0

Hard + Soft 二層構造

と接続します。

3. 私の現在の提案

現時点での私の整理は、次のようになります。

  1. 危険限定型を基盤にする
  2. Soft Layerを強化する
  3. データを蓄積する
  4. 必要なら段階的に強める

つまり、

急進的に分布を動かすよりも、

制度の信頼を積み上げる。

これが、私の現時点での提案です。

4. この記事の目的

この記事は、

「このモデルが正しい」と主張するためのものではありません。

むしろ、

✔ 思想の違いを整理する

✔ 設計の順序を明確にする

✔ 感情を構造へ変換する

ことが目的です。

ガバナンスは、完成形ではありません。

進化のプロセスです。

5. 最後に

Cardanoのオンチェーン・ガバナンスは、まだ始まったばかりです。

議論が起きること自体が、成熟の証です。

分散は、数値だけで測れるものではありません。

それは、

透明性

参加

信頼

対話

の積み重ねで育ちます。

私は、分布を急いで作るよりも、

制度が自律的に安定する設計を選びたいと考えています。

その上で、必要なときには安全弁を持つ。

Hard where necessary.

Soft where possible.

これが、いまの私の答えです。

そしてこの議論は、ここで終わりではありません。

データが揃い、参加が広がり、制度が成熟する中で、また新しい問いが生まれるでしょう。

そのプロセスこそが、

エポックな日々だと私は思っています。

もしこの記事が気に入っていただけましたら、SIPO、SIPO2、SIPO3への委任をどうぞよろしくお願いいたします10ADA以上の少量からでもステーキングが可能です。

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SIPOのDRepとしての目標と活動方針・投票方法

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SIPOのDRepとしての目標と活動方針・投票方法:ニュース動向 & ステーキング状況 in エポック507

SIPOのDRep投票履歴:https://sipo.tokyo/?cat=307

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DRep ID:

drep1yffld2866p00cyg3ejjdewtvazgah7jjgk0s9m7m5ytmmdq33v3zh

二つのIDはダイダロス以外のウォレットではどちらも有効です。ADAホルダーがSIPOにガバナンス権を委任する際に使用できます。

引き続きどうぞよろしくお願いいたします。

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