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Midnightの現在地と「次の驚き」まで:Vitalikの「計算の自己主権」と、Cardano×Midnightが先に用意していた時間軸:ニュース動向 & ステーキング状況 in エポック608

Midnightの現在地と「次の驚き」までVitalikの「計算の自己主権」と、Cardano×Midnightが先に用意していた時間軸

0. イントロ|なぜ今、Midnightなのか

今回の「エポックな日々608」は、2025年末から2026年初頭にかけての動きを一気に俯瞰しながら、Midnightの“現在地”を整理する特集回です。

ここ数か月、Midnightを取り巻く環境は静かに、しかし確実に変わってきました。

取引所やカストディ、データアグリゲーターといった“入口となるインフラ”が先に整い、ロードマップ上でも次のフェーズへの移行が明確になりつつあります。一見すると個別ニュースの積み重ねに見えるかもしれませんが、並べてみると、そこにははっきりとした「時間軸」が浮かび上がってきます。

そして私事になりますが、SIPOはこのたび、Midnight Ambassadorとして選出されました。

これからは、外から眺めるだけではなく、日本から、より現場に近い視点でMidnightの動きを追っていきます。

今回の特集は、その最初の区切りとして、「今、何が起きていて、どこに向かおうとしているのか」を整理する位置づけでもあります。

結論を先に少しだけ言っておくと、2026年は「プライバシーが後付けではなく、前提になる年」になりそうです。

隠すためのプライバシーではなく、選択的に開示でき、検証可能で、規制とも共存できるプライバシー。その前提条件が、ようやく技術と社会の両側で噛み合い始めました。

本特集では、Vitalikが提示した「計算の自己主権」という問題提起を一つの軸にしながら、なぜCardano×Midnightが、このタイミングで追い風にあるのか、そして「次の驚き」がなぜ現実味を帯びてきているのかを、落ち着いて見ていきたいと思います。

まずは、年末から現在までの動きを整理するところから始めましょう。


1. 年末から現在までの動き──Midnightに何が起きていたのか

2025年の年末から現在にかけてのMidnightを振り返ると、まず気づくのは、派手な発表よりも「足場固め」が淡々と進んでいたという点です。

表面的には断片的なニュースに見えても、流れとして見ると、かなり意図的で一貫した動きだったことが分かります。

象徴的なのが、取引所・カストディ・データアグリゲーターといった“入口となるインフラ”が、先に揃ったことです。

主要なグローバル取引所、機関向けカストディ、価格情報を提供するデータアグリゲーターが、年末時点で一通り出そろいました。

これは単なる露出増ではなく、「使われる前提」「触れられる前提」を先に用意した、という意味を持ちます。

ブロックチェーンの世界では、本来であれば

「プロダクト → ユーザー → 流動性 → インフラ」

という順番になりがちです。

しかしMidnightは、その逆を選びました。

まず流動性と保管、価格発見のレイヤーを整え、いつユースケースが立ち上がっても耐えられる状態を作る。

この設計思想は、後から効いてくるタイプの判断です。

同時期に公開されたネットワーク状況の整理やロードマップからも、2025年が「準備の年」であったことは明確でした。

テストネットの安定化、トークノミクスの整備、配布設計の整理といった、地味ですが不可欠な作業が一通り終わり、2026年からはフェーズが変わるというメッセージが、繰り返し示されています。

さらに、デリバティブ市場での動きも見逃せません。

NIGHTを対象とした無期限先物が立ち上がったことで、価格形成や流動性は「期待」ではなく「市場の評価」に委ねられる段階に入りました。

これは上昇や下落を保証するものではありませんが、少なくともMidnightが“観測対象”として本格的に扱われ始めたことを意味します。

これらを並べてみると、2025年末から現在までの動きは、

「盛り上げるためのニュース」ではなく、

2026年以降に“何かが起きてもおかしくない状態”を作るための準備だったと言えそうです。


2. 2026年=プライバシー元年と呼ばれる理由

ここ最近、「2026年はプライバシー元年になる」という言葉を、あちこちで見かけるようになりました。

これは単なるキャッチコピーではなく、技術・規制・社会要請が同時に交差し始めた結果として出てきた表現だと感じています。

これまでの暗号資産業界におけるプライバシーは、どちらかというと

「隠すか、隠さないか」

「匿名か、非匿名か」

という二択で語られがちでした。

しかしその整理の仕方自体が、すでに現実とズレ始めています。

理由の一つは、規制環境が明確になってきたことです。

各国でKYC/AMLやトラベルルールが前提となり、「完全に見えない仕組み」は社会実装の段階で行き詰まることが分かってきました。一方で、すべてを常時公開するモデルも、企業利用や個人のデータ保護という観点では限界があります。

もう一つは、AIとデータ利用の急拡大です。

AI時代において価値を持つのは「データそのもの」ではなく、「どの条件で、誰が、どこまで使えるのか」という制御の部分です。

つまり、これから求められるのは

完全な秘匿ではなく、選択的な開示と検証可能性

という考え方になります。

この文脈で浮かび上がってきたのが、

「プライバシーは後から足す機能ではなく、最初から設計に組み込む前提条件である」

という認識です。

2026年が“プライバシー元年”と呼ばれる背景には、この設計思想の転換があります。

Midnightが位置づけられているのも、まさにこのポイントです。

Midnightは「何でも隠すチェーン」ではありません。

必要な情報だけを、必要な相手に、必要な形で証明する。

そして、その処理が正しく行われたこと自体は、第三者が検証できる。

この“合理的なプライバシー”の設計は、規制と対立するものではなく、むしろ共存を前提としています。

重要なのは、この考え方が2026年になって急に生まれたものではないという点です。

CardanoとMidnightは、数年前から研究レイヤーでこの方向性を積み重ねてきました。

ただ、それが「社会的に意味を持つ条件」が、ようやく揃ってきた。

そのタイミングが、2026年だった、という見方のほうが自然でしょう。

こちらの記事もご覧ください。


3. Vitalikが投げかけた「計算の自己主権」という問題

2026年という年を考えるうえで、避けて通れないのが、Vitalik Buterin氏が提示した「計算の自己主権(Sovereignty of Computation)」という問題提起です。

これは、イーサリアムの将来像を語る文脈で出てきた言葉ではありますが、実際には、ブロックチェーン全体、さらにはインターネットそのものに向けられた問いだと受け取れます。

Vitalik氏が指摘しているのは、非常にシンプルな違和感です。

私たちは今、「分散型」と呼ばれる技術を使いながら、実際の計算や意思決定の多くを、再び中央集権的な場所に預け始めているのではないか、という点です。

たとえば、

  • フロントエンドは特定のクラウドに依存している
  • 計算はオフチェーンでブラックボックス化している
  • ユーザーは結果を受け取るだけで、過程を検証できない

こうした構造が当たり前になってしまうと、ブロックチェーンは「決済レイヤー」や「記録装置」としては機能しても、計算そのものの主権は取り戻せません。

Vitalikが言う「計算の自己主権」とは、

誰が、どこで、どの条件で計算を行い、その結果をどこまで検証できるのか

を、ユーザーやプロトコル側が主体的にコントロールできる状態を指しています。

ここで重要なのは、彼が「すべてをオンチェーンでやれ」と言っているわけではない、という点です。

むしろ現実的で、

  • オフチェーン計算は使う
  • ただし、その計算が正しく行われたことは証明できる
  • 必要以上のデータは公開しない

という、かなり実装寄りの思想になっています。

この問題提起が、2026年に入って急に重みを増した理由は明確です。

AIの普及によって、計算は価値そのものになりつつあります。

誰がモデルを動かし、どのデータを使い、どんな判断を下したのか。

そこがブラックボックスのままでは、信頼も、責任も、説明可能性も成立しません。

つまり、

「計算を誰が支配しているのか」

という問いが、抽象論ではなく、社会実装の現場で突きつけられ始めたのです。

この視点から見ると、「計算の自己主権」は思想やスローガンではなく、

次のインターネットが成立するための設計条件だと言えます。

次の章では、このVitalik氏の問題提起を受けて、

なぜCardano×Midnightが、この議論において特異な立ち位置にあるのか

そして「研究→実装→社会実装」という時間軸が、どのようにつながっているのかを整理していきます。


4. Cardano×Midnightが担う役割──「研究→実装→社会実装」の時間軸

Vitalik氏が提示した「計算の自己主権」という問題提起を受け止めたとき、自然と浮かび上がってくるのが、Cardanoと Midnightの関係性です。

なぜなら、このテーマに対して、Cardanoはかなり早い段階から“思想ではなく設計”で向き合ってきたからです。

Cardanoの特徴は、「まず研究があり、次に実装があり、最後に社会実装が来る」という時間軸を、意図的に崩さずに進めてきた点にあります。

これはスピード感という意味では不利に見えることもありましたが、複雑な要件を前提にするテーマほど、この順番が後から効いてくるという側面があります。

プライバシーや計算の主権は、その典型です。

後付けで機能を足すことはできますが、

  • 検証可能性
  • 規制との整合性
  • 企業や公共領域での利用

といった条件を同時に満たそうとすると、最初の設計思想が問われます。

Midnightは、まさにその「研究の蓄積が、ようやく実装として前に出てきた場所」だと言えます。

ゼロ知識証明や選択的開示といった要素は、長年Cardanoの研究レイヤーで扱われてきましたが、それらを単体機能ではなく、“使われる前提のネットワーク”としてまとめ直したのがMidnightです。

ここで重要なのは、MidnightがCardanoの代替でも、上位互換でもないという点です。

役割は明確に分かれています。

  • Cardano: 公開性・堅牢性・ガバナンスを軸にした基幹レイヤー
  • Midnight: プライバシーを前提にした計算と意思決定のレイヤー

この分業によって、「すべてを一つのチェーンで解決する」という無理な設計を避けながら、計算の自己主権という重たいテーマに、現実的な形で踏み込めるようになっています。

さらに重要なのは、この構造がCardanoの外側とも接続できる点です。

Midnightは、Cardano専用の閉じた存在ではなく、他チェーンや既存システムとも連携する前提で設計されています。

だからこそ、「EthereumやBitcoin、あるいは企業システムをどう巻き込むか」という問いが、空論ではなく具体的な設計課題として扱われています。

ここまでの流れを見ると、

  • Vitalikが問題として提示した「計算の自己主権」
  • 社会が求め始めた「合理的なプライバシー」
  • Cardanoが積み重ねてきた研究時間

これらが、Midnightという一点で交差し始めていることが分かります。


5. Midnight最新動向|“準備完了”から“実装が動き出す”段階へ

ここまで整理してきた時間軸に、直近の動きを重ねると、Midnightはいま明確に

「語られる存在」から「使われ始める存在」へと段階を進めています。

市場インフラは、すでに“本番前提”で揃った

2025年末時点で、Midnightを取り巻く市場インフラはほぼ出そろいました。

主要取引所に加え、Fireblocks や BitGo といった機関向けカストディ、CoinGecko / CoinMarketCap による価格発見レイヤーが初期段階から組み込まれています。

これは「ユーザーが増えたら後から整える」構図ではありません。

最初からグローバル流動性と機関利用を前提に設計されている点が、Midnightの特徴です。

ネットワークは「Hilo」から次の段階へ

State of the Network January 2026 では、2025年を明確に「準備の年」と総括し、

2026年から Kūkolu フェーズへ移行することが示されました。

このフェーズでは、

  • フェデレーテッド型メインネットの立ち上げ
  • 最初のプライバシー保護DAppの本番稼働

が予定されており、テスト環境から実運用へと軸足が移ります。

Googleの動き──静かだが、最も示唆的なシグナル

この流れの中で、特に注目すべきなのが Google Cloudの動きです。

Google Cloudはすでに、

Cardanoテストネット上でステークプール(SPO)を運用していることが確認されています。

これは単なるインフラ検証ではありません。

というのも、Midnightのバリデーターになるためには、Cardanoノード運用が必須条件だからです。

つまりGoogleは、

  • Cardanoノード運用
  • Midnightバリデーター要件を満たす環境
  • クラウド前提の運用設計

という一連の前提を、テストネット段階ですでに揃えに来ていることになります。

実際、ノードのメタデータやホスティング構成からも、

Midnightを前提にしたCardano SPO運用であることが読み取れます。

これはよくある「名前だけのパートナーシップ」とは性質がまったく異なります。

エンタープライズが本気で使う前に必ず行うのは、

  • 実際にノードを回す
  • 運用負荷や要件を把握する
  • プロダクション投入に耐えるかを検証する

という、極めて地味で実務的な準備です。

Googleの動きは、まさにその段階にあります。

実ユースケースも“机上”を超え始めた

実装面では、Telegram × AlphaTON による秘匿AIの統合が象徴的です。

月間10億人規模のプラットフォームで、

「便利でも、データは誰にも渡らない」

という設計が、実運用として組み込まれようとしています。

また、ShieldUSD のようなプライバシー前提ステーブルコインも、

給与支払いやB2B決済といった現実の金融業務を強く意識した動きです。

市場も「評価フェーズ」に入った

Coinbaseでの無期限先物(NIGHT-PERP)開始や、eToro対応は、

Midnightが観測対象・評価対象として扱われ始めたことを意味します。

価格そのものよりも、

「市場が継続的に扱う対象になった」

という事実のほうが重要でしょう。

いま何が起きているのか

これらをまとめると、Midnightはいま、

  • 技術は揃い
  • インフラも揃い
  • 使われる条件が社会側で整い始め
  • エンタープライズが“黙って準備を始めた”

という地点に立っています。

「次の驚き」が何であるかは、まだ確定していません。

しかし、それが出てきたときに受け止められる地面がすでにできている

そこが、これまでとは決定的に違う点だと言えそうです。


特別コラム|Midnightが示す「次のインターネットの実装条件」

規制の是非ではない。ディストピアを回避する“実装”は存在する──Midnightという選択肢

暗号資産やWeb3の議論では、どうしても

「規制は必要か、不要か」

という二項対立に話が寄りがちです。

しかし、少し視点をずらすと、本質はそこではないことが見えてきます。

本当に問われているのは、「規制がある世界で、どうすればディストピアを回避できるのか」という実装上の問題です。

現実には、

  • 国家による規制
  • 企業によるコンプライアンス
  • 社会インフラとしての責任

これらが消えることはありません。

一方で、それらを理由に、

「すべてを可視化し、すべてを管理し、すべてを追跡する」

世界へ進んでしまえば、それは自由や主体性を犠牲にしたディストピアになります。

Midnightが提示しているのは、規制を否定する思想ではありません。

そうではなく、

「規制と共存しながら、個人の主体性を守るための実装は可能か」

という、極めて実務的な問いです。

すべてを隠すのでも、すべてを晒すのでもない。

必要なことだけを証明し、不要な情報は最初から出さない。

この設計思想こそが、ディストピアを避けるための現実解として浮かび上がってきます。

価値と計算を分離するという設計──Midnightが切り開く“予測可能で私的な実行環境”

従来のブロックチェーンは、多くの場合、

「価値(資産)」と「計算(実行)」を同じ場所で扱う設計でした。

この構造はシンプルですが、問題もあります。

計算が増えれば手数料は跳ね上がり、

混雑すればコストも実行タイミングも読めなくなる。

これは投機用途なら成立しても、

業務システムや社会インフラとしては致命的です。

Midnightが選んだのは、

価値と計算を意図的に分離する設計でした。

  • Cardano側で価値の安全性・最終性を担保する
  • Midnight側で、プライバシー前提の計算と意思決定を行う

さらに、ガス代に相当する計算リソースを

「都度購入するもの」ではなく、

時間とともに生成されるDUSTとして扱う

これによって、

  • 実行コストが予測できる
  • 混雑に左右されにくい
  • 長期利用に向いた経済設計

が成立します。

重要なのは、これはUX改善ではなく、

「業務で使える実行環境」を作るための設計だという点です。

ASICか、GPUか──ZK基盤をめぐる思想の分岐点

ゼロ知識証明(ZK)の世界では、

「どれだけ速いか」

「どれだけ証明サイズが小さいか」

という競争が目立ちます。

しかし、Midnightが直面している問いは、少し違います。

それは、

「誰が、その計算を担える世界を作るのか」

という問題です。

専用ASICは高速ですが、

  • 設計・製造・運用が限られた主体に集中する
  • 参入障壁が高い
  • インフラが中央集権化しやすい

という性質を持ちます。

これに対してMidnightが選んだのは、

GPU(および汎用アクセラレータ)前提のZK設計です。

これは性能妥協ではなく、思想的な選択です。

クラウド、研究機関、企業、将来的には個人まで含めた

「参加できる余地」を最大化する設計

ZKを“技術競争の玩具”ではなく、

社会インフラとして成立させるための前提条件だと言えます。

Ethereumが“取り戻そうとしている価値”と、Cardanoが守ってきたもの

興味深いのは、こうした議論の多くが、

いま Ethereum 側からも語られ始めている点です。

Vitalik Buterin 氏が語る

「計算の自己主権」

「プライバシー・ファースト」

「オープンで検証可能な実行環境」

は、Ethereumが本来目指していた価値を取り戻そうとしている動きにも見えます。

一方で、Cardano は、

この方向性を流行になる前から、設計として守ってきたプロジェクトでした。

  • 形式手法
  • 検証可能性
  • ガバナンス
  • 分散性と長期持続性

スピードや話題性では不利でも、

「後から壊れない設計」を優先してきた時間です。

Midnightは、そのCardanoの思想が

ようやく社会的な要請と噛み合い始めた場所だと言えるでしょう。

Ethereumが再びそこへ向かおうとしている今、

Cardano×Midnightは「追いかける側」ではなく、

すでに立っている地点が評価され始めている

そんな局面に見えます。

「今月はいくつか発表が控えている」──“孤島ではない”を現実にする統合

この流れを、単なる思想の一致や評価の変化で終わらせないために、

どうしても触れておくべき発言があります。

Charles Hoskinson 氏は、直近の発言で次のように述べました。

「今月は、さらにいくつか発表が控えていて、

きっと多くの人が満足する内容になる」

「もう Cardano は“孤島”ではなくなると思う」

ここで重要なのは、

この発言が価格や期待感を煽る文脈ではなく、明確に“インテグレーション”を指している点です。

彼はこれを、

“critical integration(極めて重要な統合)”

と表現しています。

この言葉が示唆しているのは、単なる機能追加や改善ではありません。

  • 他チェーンや外部インフラとの本格的な相互運用
  • 実利用を前提とした統合
  • エコシステム外からユーザーや流動性が自然に流れ込む接続

──つまり、「外に開くための統合」です。

これまで Cardano は、

  • 形式手法
  • 検証可能性
  • 段階的で慎重な実装

を重視してきたがゆえに、

「閉じている」「動きが遅い」と誤解されることもありました。

しかし、それは**接続を拒んでいたのではなく、

“壊れない接続のための準備をしていた”**と捉えるほうが正確でしょう。

今回の「もう孤島ではない」という言葉は、

Cardanoが 研究主導フェーズから、接続と展開のフェーズへ移行しつつある

という明確な宣言にも聞こえます。

詳細はまだ明かされていません。

ただし、これまでの文脈──

Midnight、Pentad、オラクル、ブリッジ、ステーブルコイン、分析基盤──

を踏まえると、この統合が単発のニュースではなく、連続した設計の帰結であることは明らかです。

今月の公式発表は、

「Cardanoが何を守ってきたのか」ではなく、

「それを、どことどう接続し始めるのか」を示すものになるはずです。

コラム総括|思想ではなく「使える設計」が残る

この特別コラムで掘り下げてきた4つの論点に共通しているのは、

いずれも理想論やスローガンではなく、「実装の話」であるという点です。

  • 規制が存在する世界で、どうすれば自由や主体性を失わずに済むのか
  • 価値と計算を切り分け、業務や社会インフラとして耐えうる実行環境をどう作るのか
  • 誰がインフラを担える設計にすることで、中央集権化を避けられるのか
  • その時々の流行ではなく、長期的に“前提として守るべきもの”は何か

これらはすべて、「正しさ」を競う議論ではありません。

現実の制約条件の中で、どう成立させるかという、極めて実務的な問いです。

Midnightが示しているのは、

「勝つかどうか」

「注目されるかどうか」

といった短期的な評価軸ではなく、

「壊れずに、現実世界で使われ続けるかどうか」

という、もっと静かで、しかし決定的な基準です。

そして今、その設計は思想の段階を越え、

実装され、接続され、外の世界と結びつこうとしています。

派手さはありません。

しかし、こうした設計だけが、

時間が経ったあとも“残る”のだと思います。

参考記事:


6. チャールズの“サイン”発言をどう読むか──なぜ今、その言葉が意味を持つのか

ここで取り上げておきたいのが、Charles Hoskinson 氏が年末から年始にかけて繰り返し言及していた、いわば“サイン的な発言”です。

それは、「これから、みんながびっくりするような、満足するような発表がある」という趣旨の言葉でした。

この手の発言は、暗号資産業界では珍しくありません。

そのため、単なる期待煽りとして受け取ってしまうこともできますし、実際、そう扱われてきた場面も多かったと思います。

ただし、今回に限っては、文脈を無視して流してしまうのは少し危険だと感じています。

なぜなら、この発言が出てきたタイミングが、これまで見てきた一連の動きときれいに重なっているからです。

まず前提として、チャールズはここ数年、

「いつ発表するか」よりも

「発表しても耐えられる状態か」

を重視する姿勢を一貫して示してきました。

研究投資、プロトコル設計、ガバナンスの整備に時間をかけ、準備が整うまで表に出さない。

このスタンスは賛否を呼びましたが、少なくとも言葉と行動が乖離していない点は評価できます。

その視点で見ると、現在のMidnight周辺の状況は、かなり特徴的です。

  • 取引所、カストディ、アグリゲーターといった市場インフラが一通り揃った
  • ネットワークはHiloフェーズを終え、次の段階に進もうとしている
  • プライバシーと規制の関係について、社会側の理解が進み始めた

つまり、「何かを出したときに、きちんと受け止められる地面」が、ようやくできてきた状態だと言えます。

ここで重要なのは、発表の中身を今から断定しないことです。

それが技術的なアップデートなのか、パートナーシップなのか、新しいユースケースなのかは、現時点では分かりません。

しかし少なくとも、これまでの積み上げを無視した“単発のサプライズ”ではないだろう、という推測は成り立ちます。

むしろ、この発言をどう受け取るかのポイントは、

「何が出るか」ではなく、

「なぜ今、この言葉が出てきたのか」

にあります。

Vitalikが「計算の自己主権」という問いを投げ、社会がプライバシーを前提条件として再定義し始め、そしてMidnightが実装フェーズに入りつつある。

この流れの中で出てきた言葉だからこそ、軽く聞き流せない重みを持っているのです。


7. Midnightの「今」と「これから」──何が変わり、何が始まろうとしているのか

ここまで見てきた流れを踏まえると、今のMidnightは、ちょうど「準備が終わり、問いが現実の設計に落ち始めた地点」に立っていると言えそうです。

まず「今」のMidnightを一言で表すなら、

“使われる前提が揃ったネットワーク”

です。

年末までに進められてきたのは、派手なユースケースの公開ではありませんでした。

むしろ、

  • 流動性を受け止める市場インフラ
  • 機関・企業が前提とするカストディ
  • 観測・評価のための価格発見レイヤー

といった、社会実装に不可欠な下地です。

これらは目立ちにくい一方で、後から整えようとすると最も時間がかかる部分でもあります。

次に見えてくるのが、「これから」のMidnightです。

ロードマップ上では、ネットワークは次のフェーズへ進み、実際のアプリケーションが動き始める段階に入ろうとしています。

ここで重要なのは、単なるDeFiや匿名送金が主役になるわけではない、という点です。

Midnightが想定しているのは、

  • 条件付きの意思決定
  • 機密データを含む審査やルール判定
  • 規制や契約と結びついたロジック

といった、これまでブロックチェーンが正面から扱いにくかった領域です。

「計算はするが、中身は出さない」

「正しく処理されたことだけを証明する」

という設計が、ようやく“現実の要請”と噛み合い始めました。

この点で、Midnightは「何か新しいことを突然始める」というより、

長く準備してきた前提条件の上で、ようやく役割を果たし始める

と表現したほうが近いでしょう。

そして、Cardanoとの関係性も、これからより分かりやすくなっていきます。

公開性・堅牢性・ガバナンスを担うCardanoと、

プライバシーを前提にした計算と意思決定を担うMidnight。

この二層構造は、「すべてを一つのチェーンで解決しない」という選択の結果であり、同時に、より多くのプレイヤーを巻き込む余地を生んでいます。

今後、Midnightが本格的に使われ始めたとき、

それは「新しいチェーンが増えた」という話では終わらないはずです。

プライバシーの扱い方そのものが、実務の中で再定義されていく

その変化が、静かに、しかし確実に進もうとしています。


8. まとめ|エポックな日々608としての視座

ここまで、「年末から現在までの動き」「2026年=プライバシー元年という背景」「Vitalikの問題提起」、そしてCardano×Midnightが担おうとしている役割を順に見てきました。

改めて整理すると、今回の特集で見えてきたのは、

Midnightが“突然脚光を浴びた存在”ではないという点です。

研究の段階で積み重ねられてきた問いがあり、

それを実装に落とし込み、

さらに社会実装として成立させるためのインフラを先に整える。

この「遠回りに見える時間軸」こそが、Cardano、そしてMidnightの特徴でした。

そして2026年は、その時間軸がようやく外部環境と重なり始めた年だと言えます。

Vitalikが提示した「計算の自己主権」という問いは、

もはや思想や理想論ではありません。

AI、規制、データ利用という現実の要請の中で、

誰が計算を行い、誰がそれを検証できるのかという問題は、避けて通れない設計条件になりつつあります。

その文脈で見ると、Midnightは

「すべてを隠すためのチェーン」でも

「既存の仕組みを壊すためのチェーン」でもありません。

必要なものだけを秘匿し、必要なことだけを証明する。

その前提を、最初から組み込んだネットワークとして、

静かに、しかし確実に役割を取りに行っているように見えます。

チャールズ・ホスキンソン氏の“サイン的な発言”も、

この流れの中で捉えると、単なる期待煽りには見えません。

インフラが揃い、フェーズが切り替わり、

「出しても耐えられる状態」が整いつつある今だからこそ、

その言葉に現実味が宿ってきています。

そしてSIPO自身も、今回Midnight Ambassadorとして、

この流れを日本から、より現場に近い視点で追っていく立場になりました。

外から評価するだけでなく、

「どう使われるのか」「どこでつまずくのか」「何が次に必要になるのか」

そうした点も含めて、引き続き記録していきたいと思います。

2026年は、プライバシーが“後付けの機能”ではなく、

最初から前提として扱われる年になる。

Midnightは、その変化が最も分かりやすく現れる場所の一つになりそうです。

次に何が出てくるのか。

それを待つだけでなく、なぜ今それが出てくるのかを考えながら、

この時間軸を引き続き見ていきましょう。

— エポックな日々608


参考リンク集|エポックな日々608

■ Midnight公式・ネットワーク状況
■ Vitalik Buterin|計算の自己主権(思想的背景)
■ Charles Hoskinson|ビジョン・サイン発言・第4世代
■ 市場インフラ・採用の進展(取引所・カストディ)
■ プライバシー × 実ユースケース
■ Cardano × 計算・インフラ(補助資料)
■ SIPO(執筆者・現場視点)
補足
  • 記事内の「取引所・カストディ・データアグリゲーター一覧」は、 Midnight公式および Midnight Explorer 掲載情報(2025/12/31時点)を元に整理しています。
  • 投機的推測ではなく、すべて一次情報に遡れるリンクのみを採用しています。

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