エチオピアから学んだ教訓とHyperledger Identusの進化
IOGはブログ記事「Delivering change in Ethiopia: lessons and reflections 」を公開し、エチオピアでのプロジェクトの経験が、Hyperledger Identusという新しい分散型アイデンティティ（SSI）プラットフォームの誕生と発展にどのように貢献したかについて解説しています。
エチオピアでは、教育省プロジェクトを通じて、自己主権型アイデンティティ（SSI）を活用し、学生や市民が自身のアイデンティティを管理できるシステムを構築することを目指していました。しかし、残念ながら、計画していた全国規模の展開は実現しませんでした。それでも、この取り組みがIdentus開発の基盤となり、Hyperledger Foundationを通じてグローバルに共有されるオープンソースプロジェクトとして新たな展開を迎えました。
Hyperledger Identusとは
Hyperledger Identusは、IOのAtalaチームによって開発されたプラットフォームであり、以下の特徴を持ちます：
- 自己主権型アイデンティティ（SSI）： ユーザーが自身のデジタルアイデンティティを作成し、個人的に管理できる安全かつ分散型のシステム。
- 企業向けソリューション： あらゆる規模の企業が迅速に分散型アイデンティティアプリケーションを構築・展開できる柔軟性を提供。
- 教育分野への適応： エチオピアでのプロジェクトが証明したように、SSIは教育分野において非常に有効なツールであることが実証されています。
Hyperledger Foundationの支援のもと、Identusはオープンソースプロジェクトとしてグローバルに展開され、誰もが利用できる形で寄付されました。この取り組みにより、エチオピアでの経験から得た成果が世界中のコミュニティに直接貢献しています。
エチオピアで得た教訓
エチオピアでのプロジェクトは、成功と課題の両方をもたらしました。計画通りにはいかない中でも、SSIの有効性を証明し、技術を教育分野に適応させるユースケースを確立しました。この経験により、IOは技術をさらに進化させ、Hyperledger Foundationと連携してIdentusを構築することができました。
エチオピアでの努力は、単なる失敗ではなく、新しい章の始まりでした。これにより、IOはオープンソース技術を通じて世界中に革新をもたらし、何百万人もの人々がデジタルアイデンティティを管理し利用できる未来を築く一歩を踏み出しました。
この記事は、エチオピアでの取り組みがいかにしてHyperledger Identusの進化に貢献したかを詳しく述べると同時に、SSIの可能性とその社会的影響についても深く掘り下げています。特に、オープンソース技術の力を活用して、包括的で公平なデジタルアイデンティティソリューションを提供するというIOの使命を強調しています。
以下はIOGブログ「Delivering change in Ethiopia: lessons and reflections 」を翻訳したものです。
エチオピアで変革をもたらす：教訓と振り返り
2024年11月28日 記事提供者：スタッフライター（読了時間17分）
Input Output（IO）は、すべての人々にとって、世界中のシステムを変革する触媒となり、倫理的に構築された製品を推進するという約束のもと設立されました。2017年の創業当初から、この原則は一貫して守られてきました。厳しい教訓や試練、成功、そしてその間にあるすべてを通じて、私たちは「人々がすべての中心にいる」という指針を受け入れてきました。古いシステムに責任を持たせ、それを改善する方法を提供しながら、革新者たちと協力して人々を結びつける解決策を作り出すことを目指しています。それは決して容易な道ではありませんでしたが、振り返ってみると、私たちが達成してきたことに謙虚な気持ちになります。
この使命の種が蒔かれたのは、2013年にバミューダで行われたTEDトークでした。そこでIOの創業者兼CEOであるチャールズ・ホスキンソンは、世界中の30億人に必要不可欠な個人文書への安全なアクセスを提供するためにブロックチェーンを活用するという大胆なビジョンを描きました。彼はブロックチェーンが、資金を民主化するだけでなく、アイデンティティ、所有権、そして機会をグローバル規模で保護する可能性を持っていると見ていました。彼はこう述べています。「私は、このブロックチェーン技術、みんなが話題にしているビットコインには、何か解決策が内包されていると信じています。」
この考えは、私たちがブロックチェーンの可能性についての考え方を根本的に変える旅へと導きました。もしお金を守り民主化できるなら、なぜ同じことがアイデンティティや所有権、目標の達成でもできないのか？ さらに良いのは、世界で最も過小評価されているコミュニティのいくつかに対して、私たちはこれを実現できるのではないか？という問いでした。
アフリカへのブロックチェーン導入：なぜエチオピアを選んだのか
アフリカへのブロックチェーン導入：なぜエチオピアを選んだのか
アフリカは、このビジョンを実現するための強力な機会と重要な使命の両方を提供しました。10億人以上の人口を抱え、世界でも最も若い年齢層を持つ大陸として、その膨大な可能性と技術的包摂の緊急性が、ブロックチェーンを活用して意義深くアクセス可能な変化を推進するという私たちの目標と完全に一致していました。この世代を受け入れることで、分散化のビジョンを進め、個人が伝統的な制度的障壁なしに金融システム、アイデンティティ解決策、教育資源へのアクセスを得ることを可能にし、彼らがグローバルな革新と進歩を先導する力を持つことができました。
最初から、アフリカでの初期の取り組みが金銭的利益を目的とするものではないと結論付けました。この機会を前に、私たちの焦点は影響力にありました。私たちの目的は、ブロックチェーンが生活を実際に変えられる環境で、その約束を実現することでした。私たちは、市民がブロックチェーン上で検証可能で改ざん不可能な資格情報を享受することで、仕事、必要なサービス、新たな機会への扉を開くことを想像しました。これにより、公平で包括的なシステムが明らかになるのです。これらの初期段階の取り組みを通じて、私たちは個人を支援するだけでなく、この技術で本当に何が可能かを示すことを目指しました。
この旅を始める前に、私たちは小規模なステップからスタートしました。ギリシャとバルバドスでIT学生向けのトレーニングプログラムを試験的に実施し、教育を通じてブロックチェーン技術を共有できることを示しました。その後、私たちは次の段階に進む準備が整いました。
アフリカのさまざまな地域を調査した結果、私たちはエチオピアがこの新しい技術を育み、構築するのに最適な場所であると判断しました。政府全体の代表者たちは、変革的なシステムの初期の支持者であり、同国のデジタル未来を加速させる計画を公然と表明していました。実際、新たに選出された首相はすでに「デジタルエチオピア2025：Digital Ethiopia 2025」という155ページに及ぶ報告書の仕上げに取り組んでいました。この報告書は2020年6月にエチオピア閣僚会議で承認され、その序文で首相は、同国のデジタルインフラを変革するために「緊急で大胆かつ協調的な行動」が必要だと述べています。さらに、エチオピアが「デジタル分野での潜在能力をまだ十分に活用しておらず、技術を活用してより豊かな社会を築く必要がある」と指摘しました。
彼は、パートナーを歓迎する明白な招待とも受け取れる形でこう締めくくりました。「この戦略は第一歩であり、本質的には行動への呼びかけです。エチオピアの繁栄する未来に尽力するすべての人々に対し、一緒に行動し、できる限りの貢献をするよう招待します。」
この報告書で名前を挙げられたチャールズ・ホスキンソンは、首相が自分と同じ夢を共有しており、ブロックチェーン技術の可能性を活用したいという共通の願望を持っているとこれまで以上に確信しました。チャールズはそれを「哲学的な一致、技術的な一致、その時代の雰囲気が電子ガバナンスを推進していた」と表現しました。彼らは野心的な目標を達成するのを助ける革新者を探しており、幸運にも私たちは扉が開かれた状態で押し進めていきました。大臣たちは私たちと会うことに積極的だったのです。
選挙後1か月以内に、チャールズは現地に足を運び、現地のブロックチェーン開発者を訓練し、カルダノを活用して農産物のトレーサビリティを向上させ、農業部門の効率を改善する計画を発表しました。
初期の焦点はコーヒーにありました。この輸出は政府収入の約10％を占めています。エチオピアではコーヒーの木が至る所に生えており、巨大な貿易機会を生み出しています。しかし、同国の400万人の小規模農家の多くは土地登記記録や銀行口座を持っておらず、自分たちの製品を「農場からカップまで」追跡し、その価値を最大化するための技術もありませんでした。
初期段階：新世代のブロックチェーン開発者の育成
初期段階：新世代のブロックチェーン開発者の育成
まず、私たちは政府に対し、新卒者にHaskellを教えることに重点を置くよう提案しました。これにより、カルダノブロックチェーン上で、農産物や生産者の台帳を開発できる可能性が生まれると考えたのです。
当時を振り返ると、チャールズはチーム全体、エチオピア政府、そして学生たちの間で感じられた楽観的な気持ちを次のように語っています。「西側諸国に受け入れられた若く希望に満ちたリーダーがいました」と彼は回想します。「彼は暗号理論の訓練を受けた唯一の世界的リーダーで、私たちはこう考えました。『私たちが暗号通貨をやっていて、国家元首が私たちの論文を読めるなんて、これは大きな一歩になる』と。」
「それが私たちに大きな希望を与えてくれました。彼には正しい考え方、若さ、カリスマ性があり、明らかに自分の政府を掌握していました。」
こうして、初期のトレーニングコースが始まりました。最初の研修生グループは全員女性で構成されており、技術をすべての人々に利用可能にするという進歩的な取り組みを反映していました。IOの教育プログラムの開発と拡大により、私たちは新たな課題に取り組むことができ、将来これらのコースをどのように実施するかについて新しいモデルを導入しました。エチオピアでは、一部の学生がプログラムに参加するために仕事を辞めざるを得なかったことを考慮し、一部の学生には週ごとの生活費を補助する奨励金制度を提供しました。多くの学生が毎日最大4時間のバス通学をしており、中には3か月間家を離れ、幼い子供を親戚に預けている人もいました。しかし、学生と教育者たちの情熱と意欲は非常に高く、それが周囲にも良い影響を与えました。STEM分野（科学、技術、工学、数学）でのキャリアを目指す女性向けの特別なコースは、将来的な経済的機会と地域全体の成長の触媒になると考えられており、私たちはその一翼を担うことができたことを誇りに思っています。
Haskellトレーニングプログラムは、アフリカでの私たちの取り組みを本格化させる出発点となり、エチオピアの人々が自分たちの未来の所有権を取り戻し、グローバル経済で競争できるようにすることへのコミットメントを示しました。そのため、政府がAtala PRISM（現在はHyperledger Identus projectに移行）を基盤とした「学生向けシステム」の導入に同意したことは驚くべきことではありませんでした。このようなシステムの必要性を私たちは理解していました。発展途上国では、重要な個人情報を記録し管理するための基盤的なリソースが不足していることが多いのです。このシステムは最終的に私たちの指針、いわば「北極星」でした。数年前バミューダでチャールズが語っていたことが現実になりつつあったのです。
チャールズは次のように述べています。「私たちのビジョンは教育から始め、最終的には経済全体に広げることでした。」
「これは自己主権型アイデンティティシステムを持つ最初の国家になるはずでした。つまり、エチオピアのすべての市民が自分自身のアイデンティティを所有することを意味していました。」
「そのアイデンティティをポータブルな資格情報として活用し、最終的にはパスポートや銀行システムにまで統合されていく予定でした。それが私たちのビジョンで、『これに支払いシステムを追加すれば、全員が自分自身の銀行となり、エチオピアは世界で最も劣悪な金融システムから最も先進的な銀行システムを持つ国になる』と考えました。」
「国の70％が30歳以下なので、教育システムから始めれば、5年以内に国の大部分をカバーできるだろうと考えていました。それが私たちの考えでした。」
課題への対処：不確実性と紛争への適応
2021年4月までに、パイロットプロジェクトを開始する契約が締結されました。私たちは、2ダース以上の学校で1万人の学生を対象とした段階的なアプローチでこの旅を開始する準備が整っていました。このプロジェクトには、次の段階として、全国規模のプログラムに拡大し、約3,700校で500万人の学生と75万人の教師を対象とする可能性も含まれていました。
しかし、その後、進捗は停滞しました。10月末までには、予定した期限に間に合わせるための課題が見えていましたが、それでも私たちはプロジェクトへのコミットメントを維持しました。エチオピアの人々は内戦を経験しており、政府が変わり、最終的に誰が権力を握るのか不確実な状況にありました。それにもかかわらず、私たちは前進を続けました。政府機関と協力するという私たちのコミットメントには疑いの余地がありませんでした。結局のところ、私たちはこれを、次世代のリーダーとなる学生たちにインスピレーションを与え、力を貸すために行っていたのです。
プロジェクトが進行する中で、Atala PRISMチームは適応を余儀なくされました。私たちの管理外でスコープに大きな変更が生じた結果、アプリベースのシステムから、モバイルフォンを介してアクセス可能なウェブベースのバージョンに計画を転換せざるを得なくなりました。しかし、それは問題ではありませんでした。私たちは研究開発企業であり、課題を受け入れ、クライアントのニーズに合わせてシステムをストレステストすることに慣れています。また、政府が変わる際には、新しい指導者や内部の分派が、デジタルアイデンティティソリューションの構築方法について独自のアイデアを持つことをすぐに認識しました。このような不確実性は、学生や教師が使用し、信頼できるソリューションを提供するという私たちの使命を変えるものではありませんでした。だからこそ、私たちは作業を続けたのです。
道を貫く：エビデンスベースの研究とレジリエンス
IOでは、私たちは体系的な研究の実践に誇りを持ち、それをすべての活動に適用しています。この「研究第一」の原則は、安全性、透明性、セキュリティ、説明責任を最前線に置いたシステムを設計することで、ユーザーに自信をもたらします。データ漏洩、不信、不確実性が蔓延する世界では、「速く構築し壊す」というメンタリティを採用する余裕は常にあるわけではありません。そのため、エチオピアでのプロジェクトが遅延したものの、最終的に私たちは成果を出しました。
チャールズはその課題についてこう語っています。「遅れを生じさせているのは私たちではありません…デジタル経済へ移行しつつある管轄区域で、大規模な政府プログラムを実施する場合、忍耐が必要です。」
私たちは忍耐強く取り組みました。地域内の政府の変化や不確実性を乗り越え、最も得意とすることを行いました。それは、エビデンスベースの研究に根ざした製品やソリューションを構築し、スケーラブルで継続的に採用されるものであり、古いデジタルインフラの要求にも応えることです。そして何よりも、公的または私的なシステムの中で最も重要な利害関係者であるユーザーのニーズを満たすことを目指しました。このユーザーこそが、日々システムを利用し、幸せで健康的で充実した生活を送ることを目指しているのです。
この時点で、私たちは立ち去り、課題が収益を上回ると判断することもできました。しかし、それでも私たちはあきらめませんでした。IOは、システムに透明性と説明責任をもたらし、ユーザーが個人データをいつ、どのように、誰と共有するかを決定できる力を取り戻すという約束のもとに成り立っています。
私たちの本来の姿勢である通り、私たちは複雑さや課題にもかかわらずプロジェクトを続行し、最終的には約束を果たしました。目標としていたリリース日から1年遅れて利用可能となりましたが、このパイロットプロジェクトはオンチェーンクレデンシャルモデルが機能することを証明しました。2023年6月までに、38,000人の生徒がユーザーとして登録され、当初予想していた10,000人を大きく上回りました。
このプロジェクトは、金銭的報酬を受けることなく実施されました。実際、このプロジェクトはIOの企業財務から全額資金提供され、カルダノの主要開発予算からは一切資金を引き出しませんでした。また、このプロジェクトを成功させるために、私たちの最高の人材を投入しました。困難にもかかわらず、チャールズは次のように述べています。「内戦が勃発したときに立ち去るのは非常に簡単でした。しかし、私たちはそれでもなお3年間努力し続けました。」
さらに彼はこう付け加えました。「ついには『アディスアベバだけでも無料で実施し、その後現地のパートナーを見つけてこの契約を譲渡しよう』と考えるようになりました。」
なぜ私たちはこれほどの犠牲を払ったのでしょうか？ それは、私たちが学生たちとその未来を大切に思っていたからです。公平な競争の場を提供し、人々が自分の人生でより大きな役割を果たし、自分たちのコミュニティやエチオピア全体のために多くのことを成し遂げるためのツールを手に入れることを願っていたからです。
チャールズは次のように述べています。「私たちにとって、これはお金の問題ではありませんでした。それは哲学と使命の問題だったのです。」
私たちは多くを学びました—いくつかのミスも犯しましたが、それでもやり遂げました。成功したパイロットプロジェクトを通じて、逆境にもかかわらず、機能するスケーラブルなブロックチェーンアイデンティティシステムを実現可能であることを実証したのです。
エチオピアから学ぶ：Hyperledger Identusの進化
エチオピアから学ぶ：Hyperledger Identusの進化
エチオピアでシステムを拡大するという私たちのビジョンは、残念ながら実現しませんでしたが、これで物語が終わったわけではありません。実際、これは新たな章と新しいアプローチの始まりを示しました。それがHyperledger Identusです。このプロジェクトは、ブロックチェーンや関連技術を開発するための著名なオープンソースインキュベーターであるHyperledger Foundationの一環として誕生しました。
2024年2月、IOの設立8周年を迎えた際、数学的なテーマが避けられないものでした。IOは次のように述べています。「ピタゴラス数秘術において、8は勝利、繁栄、挑戦の克服を表します。中国やその他のアジアの伝統では、8は富や幸運の象徴とされ、繁栄と拡大のアイデアを具現化しています。」
Hyperledger Foundationは、非営利組織であるLF Decentralized Trust,の一部であり、イノベーションと協力を促進することを目的としています。この組織は、2000年に設立された Linux Foundation (LF)の旗艦プロジェクトであり、多くのコンピューティングシステムの基盤であるLinuxオペレーティングシステムを支援するために設立されました。長年にわたり、LFは「ファンデーション・オブ・ファンデーション」として進化し、Hyperledgerのようなプロジェクトを通じて分散型技術を推進しています。
Hyperledgerのプロジェクト群に最近加わったのがIdentusです。これは、IOのAtalaチームによって開発されたプラットフォームであり、企業が分散型アイデンティティソリューションを開発できるよう支援することを目的としています。Hyperledger Identusは自己主権型アイデンティティ（SSI）を活用し、安全で分散型の記録を提供します。これにより、ユーザーはデジタルアイデンティティを作成する手段だけでなく、それを個人的に管理し、制御する力を手に入れることができます。
Identusは、企業の規模を問わずサポートできるよう特別に設計されており、分散型アイデンティティアプリケーションを迅速に構築・展開するために統合できます。さらに重要なのは、このシステムが非常に柔軟性が高く、ユーザーが自身の特定のニーズに合わせて簡単にカスタマイズできることです。
エチオピア教育省プロジェクトで行われた作業は、Identusの進化において重要な要素でした。実際、Identusが発表された際、オープンソースアプローチによるブロックチェーン開発を支持するチャールズは、エチオピアでの取り組みがIdentusの開発に役立ったと認めました。彼は次のように述べています。
「私たちには世界最高水準の素晴らしいアイデンティティフレームワークがあります。これはIBMやその他の主要なフォーチュン500企業と同じオープンソース技術を使用しています。教育はSSIの優れた用途であり、エチオピア教育省プロジェクトがそれを証明しました。今では、SSIが教育分野において優れた技術であることを実証するユースケースを持っています。私たちはプラットフォームを構築し、それをHyperledgerプロジェクトに提供し、誰もが利用できるようにしました。このプロジェクトは、Hyperledgerの継続的なコミュニティプロジェクトとして寄付されました。これにより、コミュニティがエチオピアでの取り組みから直接恩恵を受けられるようになったのです。」
成果は明白でした。Hyperledger Foundationのエグゼクティブディレクターであるダニエラ・バルボサは、Identusを共有するという私たちの決定を歓迎しました。
「Input | Outputは、分散型開発の観点から、長年にわたってデジタルアイデンティティに取り組んできたグローバルコミュニティの中で、オープンに取り組むことが次のステップとして理にかなっていると理解していました。Hyperledger Identusは大きな貢献です。このプロジェクトには多くの時間、努力、リソースが投入されており、私たちはこのコミュニティをホストできることを非常に喜んでいます。」
Atala PRISMとの旅は完全に一周しました。パイロットプログラムとして始まったものが、オープンソースシステムへと進化し、今では世界中の何百万人もの人々が自分自身のSSIソリューションを構築するために活用できるようになったのです。
RealFi：カルダノを活用した金融包摂の推進
Atala PRISMの進化と同様に、私たちも組織として進化を遂げ、創造性、情熱、決意を直接クリエイターや消費者から引き出す力を理解しました。特に、仲介者を必要としない場合に、どれほど多くの潜在能力が未開発のままであるかを認識したのです。この洞察が、RealFi.の創造のインスピレーションとなりました。
RealFi（リアルファイナンスの略）は、金融サービスへのアクセスが不足している人々を支援するためにカルダノを活用する取り組みの最前線に立っています。
新興市場と民間信用投資家との間のギャップを埋めるRealFiは、データ駆動型ツールを提供することで、途上地域の中小企業（SME）により多くの資本を提供できるよう設計されています。これにより、貸し手が未熟な市場でリスクを評価する際の重大な障壁に対処します。
クレジットリスクに関する透明で定量化可能な洞察を提供することで、RealFiは貸し手がコミュニティ内での成長と回復力を推進するビジネスを自信を持って支援できるようにします。このようなビジネスアイデアは、私たちが誇りに思うものです。なぜなら、ブロックチェーン技術が包括的で持続可能な金融システムをどのように育むかを示す、現実の世界での強力な実例だからです。
今年初めにRealFiの立ち上げについて語ったチャールズ・ホスキンソンは、この取り組みがブロックチェーン技術を活用して最も支援を必要とする人々に変革的な価値をもたらすというカルダノの使命と一致していることを強調しました。彼は次のように述べています。
「私たちは、信頼できる金融サービスにアクセスできない30億人の人々に本当に焦点を当てたいと考えています。私たちが活動している多くの市場を見れば、アイデンティティやウォレットを通じてこれらの市場を暗号通貨空間に取り込むこと、そしてRealFiを提供することで、これらの人々が初めてグローバル市場に公平に参加できるようになることに非常に興奮しています。」
このコミットメントは、包括的な成長と金融エンパワーメントを促進するIOの継続的な推進を反映しています。私たちは、RealFiのような社会的意識を持つ分散型金融（DeFi）イニシアチブを拡大し、カルダノをツールとして活用することで、世界中の無数の人々に影響を与える経済的不公平に取り組むための支援を続けることを目指しています。
未来を見据えて：学んだ教訓とレジリエンスの重要性
私たちがエチオピアでの旅について自分たちの視点を共有することは重要だと感じました。この物語は、私たち自身だけでなく、エチオピアでの旅に投資している人々にとっても重要です。この物語を伝えることで、複雑なプロジェクトがもたらす課題についての洞察を提供し、何が起こったのかについての誤解を解消できることを願っています。
アフリカは、私たちのビジョンと野望を完全に実現するために欠かせない存在です。この大陸とその人々は、私たちにとって重要です。地域全体、そして世界中で、私たちはさらに多くのことを達成することを目指しています。より多くの経験、焦点、そして決意を持って、私たちはさらなる挑戦に向かいます。
実際、私たちはIdentusを通じて、世界南部の市民が自分自身の分散型デジタルアイデンティティを活用できるようにする新しいユースケースや地域を引き続き模索しています。
最終的には、何人の批評家を説得したかではなく、学生たちからの証言や、私たちが築いてきた関係性、そしてその一部がIOファミリーの一員となったことを見ることが重要です。そして何よりも、私たちが次の革新の波に向けて学んだ教訓が未来の取り組みに役立つことを願っています。
私たちの旅はまだ始まったばかりです。そして、私たちの使命は揺るぎません。それは、コミュニティをエンパワーメントし、技術を通じて本当の変革をもたらすことです。ジョージ・オーウェルが述べたように、「人間であることの本質は、完璧を追求しないことです」。私たちは進歩を追求し、より明るい未来に向けて努力を続けていきます。それは、世界中のすべての人々のために。
