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IOGブログ:Ouroboros Peras:Cardanoの取引確定を加速するプロトコル

🚀Cardanoがさらに進化へ:「Ouroboros Peras」が実現する高速トランザクション確定とは?

待ち時間を最小限に、ロールバックの不安も解消——新時代のCardano取引体験へ

2025年4月、IOGのエンジニア Emmanuel Ameh 氏が、Cardanoの新たなコンセンサス機構「Ouroboros Peras(ペラス)」に関する注目の開発レポートを発表しました。この記事では、Perasがもたらす革新性と、Cardanoブロックチェーンにもたらされるメリットを分かりやすく解説しています。


✅ Perasとは何か?:Praosの進化系

Ouroboros Perasは、現在Cardanoで使われている「Ouroboros Praos」をベースに開発中の新しい合意プロトコルです。最大の特徴は、トランザクションの確定(settlement)を高速化しつつ、セキュリティと分散性を犠牲にしないという点。

新たな投票メカニズムを導入し、一定条件を満たしたブロックが「認証済みブロック(certified block)」として高速で確定される仕組みを持ちます。


⚡ なぜ高速確定が重要なのか?

ブロックチェーンでは、ある取引が「確定された」と見なされるまでに複数のブロック生成を待つ必要があります。これが遅延の原因になり、日常的なDAppやブリッジ処理、CEXへの反映が遅くなるケースも。

Perasはこの課題に対し、以下の点で解決を目指します:

  • 🔹 ユーザー体験の向上:待ち時間の短縮でDApp利用がより快適に
  • 🔹 ロールバックリスクの軽減:確定の速さが、ブロックの無効化リスクを抑制
  • 🔹 相互運用性の強化:他チェーンやブリッジとの連携において即時性を提供
  • 🔹 取引所への即時反映:中央集権型取引所(CEX)での資産利用までの時間が短縮

🧠 Perasの仕組みを簡単に解説
  1. 投票委員会:SPOの中からランダムに選ばれたグループがブロックに投票
  2. ステーク重み付き投票:各SPOのステーク量によって投票の重みが変わる
  3. 認証ブロックの選出:一定票を得たブロックが「認証済み」となり、追加の「重み」を得る
  4. チェーン選択に影響:最も「重い」チェーンが優先され、確定スピードが上がる

将来的にはBFTスタイルの「事前投票ステップ」も加えられる可能性があり、ネットワークの安定性をさらに向上させる設計が検討されています。


🌐 誰にとってどんなメリットがあるのか?
▶ 一般ユーザー
  • ✅ 取引の即時性が向上し、DAppや決済用途でもスムーズな体験が可能に
  • ✅ リオーグ(チェーン再編成)による取引の無効化リスクが減少
  • ✅ スマートコントラクトでの時間依存型ロジックに新しいユースケースを提供
▶ SPO(ステークプールオペレーター)
  • ✅ ネットワークへの貢献機会が増加し、報酬分配の精度も向上
  • ✅ わずかな帯域幅コストで参加可能な低負荷設計
  • ✅ 障害復旧に強いネットワーク構造が実現される

🔗 最新情報とリソース

Perasは現在も開発中であり、以下のリソースから最新の動向を追うことができます:

[Ouroboros Peras – 高速確定に関するCIP(Cardano Improvement Proposal)]:Ouroboros Peras – faster settlement CIP

[形式仕様(Formal Specification)]:Formal specification

[Peras研究開発公式ウェブサイト]:Peras research and development website

[インタラクティブシミュレーター]:Interactive simulator

[確率計算ツール]:Probability calculator

[GitHubリポジトリ]:GitHub repository

[Ouroboros Peras:Cardanoプロトコル進化の次なる一歩(解説動画)]::Ouroboros Peras: the next step in the journey of Cardano’s protocol video.


🔮 まとめ:Cardanoの「本物の即時性」時代へ

Perasの登場は、単なる技術的改良にとどまらず、DApp開発者、エンタープライズ、一般ユーザーすべてに恩恵をもたらす「即時性の解放」を意味します。

Cardanoが次なる金融・社会インフラになるための重要なステップが、今まさに動き出しています。


以下はIOG記事「Ouroboros Peras: accelerating transaction settlement on Cardano」を翻訳したものです。

Ouroboros Peras:Cardanoの取引確定を加速するプロトコル:全翻訳

Ouroboros Peras: accelerating transaction settlement on Cardano

Cardanoの取引確定を加速するOuroboros Perasとは?

待機時間の短縮、ロールバックリスクの最小化、相互運用性の強化へ

2025年4月11日 | Emmanuel Ameh | 読了時間:約4分

Ouroboros Peras:Cardanoの取引確定を加速するプロトコル

現在開発中のOuroboros Peras(以下「Peras」)は、CardanoブロックチェーンにおけるOuroboros Praosコンセンサスプロトコルの高度なアップグレードであり、セキュリティとレジリエンスを維持しながら取引確定を高速化することを目的としています。

Perasでは新たな投票メカニズムが導入され、トランザクションの確定が大幅に早くなり、ユーザーの待機時間を短縮し、ロールバックのリスクも低減します。

なぜ高速な確定が必要なのか?

多くのブロックチェーンシステムでは、トランザクションが「最終確定」と見なされるまでに複数のブロックの追加を待たなければならないため、確定までに時間がかかることがあります。

このような遅延は、日常的な取引や、**迅速な承認を必要とする分散型アプリケーション(DApp)**にとっては理想的とは言えません。

Perasは以下の方法でこの課題に対応します:

  • ユーザー体験の向上:確定時間が短くなることで、Cardanoは時間に敏感なDAppにとってより反応が良く、効率的になります。
  • セキュリティの強化:一度ブロックが「ブースト(認証)」されれば、そのブロックを含むチェーンがロールバックされる可能性は大幅に減少します。
  • ブリッジやパートナーチェーンの支援:高速な確定により、Cardanoのメインチェーンと他のチェーン間の転送がスムーズになり、相互運用性が向上します。
  • 取引所における確認要件の軽減:ブロックの確定が早ければ、**中央集権型取引所(CEX)**のユーザーがより早く資産を利用できるようになります。
  • 新たなユースケースの創出:迅速な確定によって、中央集権型・分散型のどちらのサービスにおいても、即時確定が求められる新たな応用分野が生まれます。
Perasの仕組みとは?

Perasでは、ステークプールオペレーター(SPO)が指定されたタイミングでブロックを認証できる新しい投票プロセスを導入します。

この**「認証されたブロック」は追加の重みを持ち、ネットワークにおいて「最も重いチェーン(heaviest chain)」として優先される可能性が高くなります。

この方法により、Cardanoのセキュリティと分散性を損なうことなく、トランザクション確定を大幅に加速**できます。

以下はその仕組みの簡略化された説明です:

  • 投票委員会:SPOの中からランダムに選ばれたグループが、スケジュールされた投票ラウンドに参加します。
  • 投票プロセス:各委員会メンバーは、チェーンの先端から一定の深さにあるブロックに対して投票を行います。この投票は、それぞれのSPOが保有するステーク量に応じて重み付けされます。
  • 認証ブロック:十分な投票数を集めたブロックは「認証済み」ブロックとして扱われます。
  • 重みの追加:認証ブロックには重みが追加され、ネットワークがどのブロックを優先するかに影響を与えます。
  • 最も重いチェーンのルール:従来の「最長チェーンルール」に代わり、Perasでは**「チェーンの重み」**に基づいて選択が行われます。認証ブロックはその選択により大きな影響を与えます。
  • 高速な確定:ブロックに追加の重みを付与することで、ネットワークはより迅速にブロックを確定し、不可逆的なトランザクションの待機時間を短縮できます。

なお、Perasの拡張版デザイン(現在検討中)では、BFT(ビザンチンフォールトトレラント)に似た事前投票(pre-vote)ステップを組み込むことも可能です。これにより、委員会は1つのブロックに収束してブーストをかけやすくなります。

ただし、認証に至らない場合は「クールダウン」が発動し、再試行までの時間が設けられます。

ブロック生成の基本プロセス(抽選方式)は、Praosと同様に維持されます。

Perasの利点

Perasは、高速な取引確定を実現しながら、Ouroboros protocolシリーズが持つセキュリティと分散性の特徴を維持することに重点を置いています。

なお、Perasは実際にはPraosの次なる進化ステップとして位置づけられており、過去のプロトコルの直接的な代替ではありません

Perasの主な用途は「高速確定」に特化しており、他のプロトコルは、プライバシーや時刻同期、スループットなど、異なる課題を解決するために設計されています。

■ 一般ユーザーにとっての利点
  • トランザクションの早期確定:Perasにより、確定時間が短縮され、DAppなどにおいてよりスムーズなユーザー体験が提供されます。
  • ロールバックリスクの軽減:確定が早くなることで、直近のブロックが再編成されて無効になるリスクが減少します。
  • ユーザー体験の改善:決済速度の向上により、日常的に使われるDAppやサービスにおけるCardanoの魅力が高まります。
  • 新しいスマートコントラクトのユースケース:Peras自体はスマートコントラクトの実行には影響しませんが、確定速度が上がることで、時間に敏感なスマートコントラクトアプリケーションの可能性が広がります。
■ ステークプールオペレーター(SPO)にとっての利点
  • ネットワークへの関与と影響力の増加:SPOは各ラウンドで投票に積極的に参加することで、ネットワークのセキュリティ強化と報酬分配の精度向上に貢献します。
  • 最小限の運用コスト:新しい投票メカニズムによって必要になるのはごくわずかな帯域幅の増加のみです。
  • ネットワークの安定性向上:Perasは自己回復的な特性を備えており、ネットワークが障害から迅速に復旧することを可能にします。

Perasは、ステークホルダーによる投票メカニズムを導入することで、Cardanoにおけるトランザクションの確定プロセスを効率化しつつ、分散性を損なわずに実現しています。

このCardanoのコンセンサス設計の進化により、ユーザーにはより速く、より安全なトランザクションが提供され、SPOはブロックチェーンのレジリエンスと完全性を支える重要な役割を担うことになります。

Perasは現在も開発中です。より詳しい情報や進捗状況については、以下のリソースをご参照ください:

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