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チャールズ・ホスキンソン氏動画「量子コンピュータ、Midnight、そしてDARPAのQBI計画」解説・全翻訳:量子時代に備えるカルダノの戦略

量子コンピュータ、Midnight、そしてDARPAのQBI──量子時代に備えるカルダノの戦略

はじめに

2025年11月8日、チャールズ・ホスキンソン氏が「Quantum Computers, Midnight, and DARPA’s QBI」というタイトルの動画を公開した。

この動画では、量子コンピューティングをめぐる誇大な期待と懐疑論の狭間で、米国防高等研究計画局(DARPA)が進める量子ベンチマーキング・イニシアチブ(QBI)を中心に、「量子の真実」を探る国家プロジェクトが紹介されている。

さらに、量子技術が暗号資産・ブロックチェーンにもたらす影響、そしてMidnightが採用する量子耐性暗号(Post-Quantum Cryptography)戦略についても詳しく語られた。


量子コンピュータの「真実」を検証する国家プロジェクト

量子コンピューティングをめぐっては、両極端な主張が存在する。

「人類を滅ぼす技術になる」という悲観論から、「ユートピアを生む万能技術だ」という楽観論まで、意見は真っ二つに割れてきた。

そこでDARPAは、こうした議論に科学的な終止符を打つための国家プログラム「QBI(Quantum Benchmarking Initiative)」を立ち上げた。

このプロジェクトの目的は、「量子コンピュータは本当に実用規模で機能するのか」を10年以内に明確にすることにある。

2025年11月の時点で、11社の企業がステージAを突破し、より厳格なステージB(1年間)に進んでいる。

最終段階であるステージCでは、政府が実機の動作を直接確認し、2033年までに「実用的な量子コンピュータ」が存在するかどうかが確定する見込みである。


QBIに選ばれた11社と多様なアプローチ

量子コンピューティングには、いまだ単一の「正解」と呼べる技術は存在しない。

DARPAのQBIには、異なる物理原理を採用する複数の企業が選定されている。

  • Atom Computing(中性原子アプローチ)
  • IBM(超伝導方式)
  • IonQ(イオントラップ方式)
  • Quantinuum
  • Xanadu(光量子方式)
  • Quantum Motion
  • Photonic
  • Silicon Quantum Computing
  • Nord Quantique ほか

中でも、中性原子方式(原子を光ピンセットで並べる技術)や、光量子方式(フォトン干渉を利用した演算)など、

量子物理の最先端を競うアプローチが同時進行で検証されている。

DARPAは「量子コンピューティングの虚構と実態を科学的に分離する」ことを最終目標に掲げている。

このプロセスは世界で最も厳格な技術検証として位置づけられており、今後2年間でその真価が明らかになる。


量子時代がもたらす暗号資産への衝撃

ホスキンソン氏は、もし2030年代に量子コンピュータが実用化すれば、古典暗号の多くは破られる可能性が高いと指摘する。

ShorやGroverといった量子アルゴリズムが稼働すれば、現在のブロックチェーンの暗号署名方式(RSA、ECDSAなど)は脆弱となる。

その結果、ビットコインやイーサリアムなどの主流暗号資産が量子攻撃のリスクにさらされる可能性がある。

また、過去に暗号化されたメールや通信データが将来的に解読される懸念も残る。

こうした脅威に対応するため、NIST(米国立標準技術研究所)はすでにFIPS 203〜206としてポスト量子暗号の標準化を進めており、

格子暗号(Lattice-based)やハッシュベース暗号などの新方式が正式に採用されている。


Midnightの量子耐性構想「Nightstream」

ホスキンソン氏は、IOGが開発するプライバシーチェーンMidnightにおいて、

格子暗号をベースにした新アーキテクチャ「Nightstream」を開発中であることを明らかにした。

Nightstreamは、従来のPlon + Halo2構成を将来的に置き換えるドロップイン(drop-in)設計を採用しており、

Midnightのゼロ知識証明(ZKP)や暗号署名の根幹をポスト量子対応にアップグレードできる。

この変更によって、Midnightは2033年よりもはるか前に量子攻撃への完全耐性を備え、

「量子以降(Post-Quantum)時代の最初のブロックチェーン」となる見込みである。


格子暗号とAIの融合:量子耐性+高速化

格子暗号のもう一つの強みは、AIのテンソル演算と親和性が高いことだ。

これにより、暗号証明の生成や検証をGPUで大幅に高速化できる。

つまり、特別な専用チップを作らずとも、スマートフォンやノートPC、AIサーバーのGPUを使って

スケーラブルな暗号計算を実現できるという。

これは、AIとブロックチェーンが融合していく次世代アーキテクチャの核心でもある。


Midnightが描く量子安全な未来

Midnightは、単なるプライバシーチェーンではなく、

「フォールディング(folding)エンジン」として、他チェーンの状態を折りたたみ、

軽量なステート証明(state proof)を生成できる。

これにより、Cardano・Bitcoin・Ethereumなどの主要チェーンの「真の状態」を、

量子攻撃でも改ざんできない形で署名・記録することが可能になる。

つまりMidnightは、ブロックチェーンの“歴史の真実”を守る量子防壁として機能する。


量子時代への備えとDARPAの挑戦

DARPAのQBIが進める検証は、

量子コンピュータが「神話」ではなく「現実」かどうかを確かめる史上初の科学的国家実験である。

ホスキンソン氏はこう述べる。

「私は、その答えが“YES”になると信じている。

そしてその時期は2030年代になるだろう。

もし間違っていても構わない。なぜなら、

その過程で私たちは“量子耐性技術”という確かな成果を手にするからだ。」

Midnightの開発チームは、Linux Foundationと連携しながらNightstreamプロジェクトを加速させている。

この取り組みは、量子攻撃への防御だけでなく、

AI・ゼロ知識・完全準同型暗号を統合する「次世代の暗号インフラ」を目指している。


まとめ

DARPAが実施するQBIのステージBは現在進行中であり、

2027年末までには「実用的な量子コンピュータ」の有無が公式に判明する見込みである。

もし量子コンピュータが実際に実用段階に到達すれば、

MidnightとCardanoはすでにその時代への防御を完了しているだろう。

ホスキンソン氏は最後にこう締めくくった。

「これからの2年は、かつてないほど刺激的な時代になる。

量子の真実が明らかになり、私たちはその未来を迎える準備ができている。」


参考リンク

以下はチャールズ・ホスキンソン氏動画「Quantum Computers. Midnight, and DARPA’s QBI」を翻訳したものです。

チャールズ・ホスキンソン氏動画「量子コンピュータ、Midnight、そしてDARPAのQBI計画」全翻訳

「いつも荒削りで、いつもワイオミングらしい」

ここはクリニックの上のほう、今日は土曜日で、とても穏やかな日である。

2025年11月8日。今日は多くの人が話題にしているあるテーマについて話したい。なぜなら――ついに、ようやく、「客観的な真実の基準」が現れたからだ。

今、インターネット上やメディア、そして市場のあちこちで量子コンピュータの話題が飛び交っている。

ある人はこう言う――

「量子コンピュータが登場したら、人類を滅ぼすだろう」

「いや、量子コンピュータこそがユートピアを生み出すんだ」

「世界を変える驚異の技術だ」

「いや、まったくの詐欺で、存在すらしない」

意見は真っ二つだ。

そこで、我らが友人であるDARPA(アメリカ国防高等研究計画局)が、ついにこの疑問に決着をつけることを決めた。

それがDARPA QBI(Quantum Benchmarking Initiative/量子ベンチマーキング・イニシアチブ)というプログラムである。

ブロックチェーン分野でもこうした取り組みをしてほしいと、私は長年あらゆるルートを通じて働きかけてきたが、今回のQBIは本当に特別なプロジェクトだ。

これは「客観的現実をつくり出す」ための仕組みでもある。

2025年11月6日現在、DARPAは11社の企業を選定し、QBI計画の第2段階(ステージB)に進めることを発表した。

この計画の目的は、「量子コンピューティングのいかなる手法でも、本当に“実用規模(utility scale)”の動作が可能かどうか」を厳密に検証・検証することにある。

「実用規模」とは、計算性能がコストを上回ることを意味する。

そしてDARPAの目標は、2033年までにその実現可能性を明確に判断することである。

(今からおよそ8年後の話だ。)

QBIは今後も継続し、DARPAは今後さらに多くのチームがステージA・B・Cに進むことを予想している。

企業ごとに異なるタイムラインで評価プロセスに入るため、進行は段階的になるとのことだ。

まず「6か月間のステージA」では、次のようなプロセスが行われる。

ステージAでは、「近い将来に実現可能な“実用規模”量子コンピュータのコンセプト」を提示する。

つまり、量子コンピュータ開発企業がDARPAに対して6か月間みっちりと質問攻めに遭い、あらゆる技術的・理論的疑問を突きつけられる。

その激しい審査を経て、DARPAが「この技術には一定の価値がある」と認めた場合、次のステージBに進むことができる。

ステージBは1年間の研究開発段階であり、ここでは以下が求められる。

  • 実用規模の量子コンピュータを実現できる明確なR&D計画
  • その計画に伴うリスクと、それをどう軽減するかの対策
  • リスクを解消するためのプロトタイプ構築計画

ここから本格的な「中身の検証」が始まる。

つまり、開発者が“着物を開いて”設計の全貌を見せ、DARPAが「本当に動くのか」を見極める段階である。

そしてステージCでは、政府が直接関与し、

「実用規模の量子コンピュータを設計通りに構築し、意図した通りに動作させることができるか」

実地で検証する。

実際に動作を観察し、客観的な課題を使って性能を確認する――まさに最終試験だ。

「私が知る限り、世界で最も優れた物理学者10人のうち、半分はこう信じている。

“量子コンピューティングこそ、スライスパン以来の最高の発明であり、21世紀を代表する技術になるだろう”と。

だが残りの半分はこう主張する。

“仮に量子コンピュータを作ることができたとしても(そもそも無理だが)、それはラップトップよりも役に立つことは決してない”と。」

この二つの見解の間には、巨大な隔たりがある。

「史上最も有用な技術」と「まったく役に立たないもの」という両極端の狭間だ。

ここ数年、我々が進めてきた研究の多くは――もしかしたら本当に、“近い将来に実際に役立つ量子コンピュータを作れる道筋があるのではないか”――と私に思わせるものだった。

それが真実かどうかを確かめるために、DARPAは次の2つの根本的な問いに答えようとしている。

第一の問い:

「もし本当に強力な量子コンピュータを持っていたら、何ができるのか?

そして、それはどれほど変革的な影響を社会にもたらすのか?」

第二の問い:

「商業企業や学術機関など、いずれかの組織が、そうした量子コンピュータを今後10年以内に本当に構築できる現実的な道筋を持っているか?」

この二つの問いの答えがどちらも「はい」であれば――

それは、我々の技術進化の理解を根底から覆す地殻変動(アースクエイク)に等しい。

もし「本当に構築できて、しかもそれが社会を変えるほど有用である」ならば、それは政策面でも極めて深い意味を持つ。

逆に、「現実的には不可能で、役に立つものではない」と判明する場合も、それはそれで重要である。

なぜなら、それによって基礎研究の資金配分をより良く計画できるからだ。

この目的のためにDARPAは「Quantum Benchmarking Initiative(量子ベンチマーキング・イニシアチブ)」という新しい国家プロジェクトを立ち上げた。

これはDARPAが主導する主要な政府プログラムであり、まさにこの疑問に答えるために設計されたものである。

トップクラスの量子コンピューティング企業を評価するのは非常に難しい。

彼らのアプローチが本当に理論的・技術的に筋が通っているのか、そして“産業レベルで実用に耐えるマシン”を本当に作れるのかを見極めるには、最高水準の専門チームが必要だ。

DARPAは、世界最高レベルの検証・評価チームを構築し、あらゆる企業を招待している。

アメリカ国内企業だけでなく、国外企業も対象だ。

「もしあなたが私たちの“異常なほど厳格な検証チーム”を突破できる自信があるなら、ぜひ参加してほしい。」

このプロジェクトが目指すのは次の問いへの明確な答えである。

「量子コンピューティングの“ハイプ(誇大宣伝)”は本物なのか?」

「量子コンピュータは本当に全てを変えるのか?」

「それとも、これはまだ基礎科学の領域に過ぎず、実現は2050年や2060年の話なのか?」

これはアメリカが答えるべき極めて重要な問いである。

そしてDARPAは――いや、私たちは必ずこの問いに答えられると信じている

つまり、DARPAのプログラム・マネージャーであるジョーが語っていたのは、

アメリカ政府がDARPAに対して正式に「量子コンピュータの虚実を見極めよ」と命じたということだ。

つまりこうだ。

「量子コンピュータは本当に存在するのか?」

「本当に動作するのか?」

「実際に何ができて、何ができないのか?」

――これらを明確にすることが彼らの任務である。

これまでこの分野はマーケティング的な言葉ばかりが先行していた。

だがDARPAは、政府史上最も厳密な検証プログラムを設計し、事実と虚構を切り分けようとしている。

現在、この過酷なプロセスを通過してステージAを生き残った11社が存在する。

彼らは6か月にわたる極めて厳格な評価を受け、それを乗り越えた。

これから彼らは1年間のステージBに入る。

このステージBの結果次第で、「彼らの技術が実際に現実的なものであるかどうか」が判断される。

そして最終ステージCでは、「宣言した課題を本当に解決できるか」という最終検証が行われる。

以下が、その11社のリストである。

(中には私の地元にある企業もあれば、世界中から集まった企業もある。)

興味深いのは、量子コンピューティングには「唯一の正解となるアプローチ」が存在しないという点だ。

DARPAの発表によると、すでに5つの主要アプローチがあり、各手法の中にもサブアプローチが存在する。

主な企業と技術アプローチは以下の通り:

  • Atom Computing(アトム・コンピューティング) – コロラド州ボルダー
  • IBM
  • IonQ(アイオンキュー)
  • Nord Quantique
  • Photonic
  • Quantinuum
  • Quantum Motion
  • Q.A. Computing
  • Silicon Quantum Computing
  • Xanadu

私はDARPAに「初学者にもわかる量子計算アプローチの解説をくれないか」と頼んだ。

すると、彼らは実際にそれぞれの方式の概要を示してくれた。

① 中性原子(Neutral Atom Approach)

たとえばAtom Computingの手法では、「光ピンセット(optical tweezers)」と呼ばれる高精度レーザーを使って、

個々の原子を“つかみ”、超高真空チャンバー内で1次元・2次元・さらには3次元の精密配列を構築する。

極めて繊細で、まるで原子をビーズのように並べるイメージだ。

② シリコンベース(Silicon-based Approach)

通常の半導体チップと同様の製造プロセスを使うが、量子情報処理に特化した特殊な性質をもたせている。

いわば「量子対応版のCPU」である。

③ 超伝導方式(Superconducting Approach)

IBMやGoogle、Rigetti、Nord Quantiqueなどが採用。

超伝導回路を用いて量子ビットを制御する方式で、現時点では最も実用的な形態に近い。

④ イオントラップ方式(Trapped Ion Approach)

個々の電荷を持つ原子(イオン)を電磁場で真空中に“浮かせ”、それを量子ビットとして利用する。

IonQやQuantinuumがこの方式を採用している。

⑤ 光量子方式(Photonic Approach)

Xanaduなどが開発中。

光(フォトン)を導波路チップ内の微細経路に通し、光の偏光や経路に量子情報を符号化する。

干渉による光のパターンを測定することで演算を行う――水面に広がる波紋が重なり合うような原理だ。

いずれの方式も、既に実験室レベルでは動作している

そして全社とも、実用化に向けたスケーリング計画を持ち、明確に「このクラスの問題を解く」と定義している。

DARPAの次の1年間(ステージB)は、この11社の技術を徹底的に検証するフェーズとなる。

もし彼らがこの段階を突破すれば、ステージC(1〜2年)に進み、「2033年までに実用的な量子コンピュータが存在するか」が明らかになる。

これは、世界で初めて政府機関が科学的背景と人材を整えて、量子技術の真偽を客観的に確かめようとしている試みである。

この分野には懐疑論も多いが、今回の責任者自身が慎重派であり、それがむしろ信頼を高めている。

「我々全員が“現実”を検証できる時が来た」というわけだ。

さて――ここからが本題だ。

量子コンピュータの実用化が、私たちの業界(暗号資産・ブロックチェーン)にとって何を意味するのか。

私はこう考えている。

2030年代には量子コンピュータは実際に存在するようになり、Grover(グローバー)やShor(ショア)のアルゴリズムを実行できるようになる

これはつまり、量子コンピュータが既存の古典的な暗号を部分的または完全に破る能力を持つようになるということだ。

これが実現すれば、多くの暗号通貨(ビットコインやイーサリアムを含む)は、

量子攻撃に対して脆弱なままになるだろう。

もしその時までに量子耐性を備えた暗号方式(ポスト量子暗号)を導入していなければ、

ネットワーク全体がリスクにさらされることになる。

さらに深刻なのは、過去に暗号化されて保存されたデータである。

たとえば暗号化されたメールやファイルを誰かが長年アーカイブしていた場合、

将来、量子コンピュータが登場すれば、それらが再暗号化されていても復号される可能性がある。

なぜなら、攻撃者はすでに古い暗号化データを手にしているからだ。

この問題に対して、アメリカ国立標準技術研究所(NIST)はすでに動いている。

FIPS 203、204、205、206というポスト量子暗号(Post-Quantum Cryptography)標準を制定し、

これらは格子(lattice)ベースハッシュベースなどの新しい暗号手法を提供している。

これにより、暗号化・署名・検証といった暗号資産分野に必要なあらゆるツールが揃い始めている。

私たちはこの流れを先取りしている。

Midnightプロジェクトでは、格子ベース暗号を全面的に採用する戦略を進めている。

今後、「Midnight Plon」と「Halo2」に代わる新しい標準――

「Nightstream」というプロジェクトを正式に立ち上げる予定だ。

Nightstreamは格子暗号を基盤に構築され、

従来の暗号技術をはるかに超える新しい特性を持つ。

これは業界の最先端を一気に飛び越える(leapfrog)試みだ。

このプロジェクトはLinux Foundationの協力のもと、複数の大手企業と共同で開発を進めており、

正式発表は来年初頭に予定されている。

2026年、Midnightネットワークが正式稼働するとき、

まずは従来のPlon + Halo2構成で起動する。

しかしすでに、Nightstreamへの“差し替え(drop-in replacement)”設計が進められている。

つまり、Midnightの暗号基盤――

ゼロ知識証明(ZKP)の生成・検証・格納の根幹部分――を、

ポスト量子暗号ベースに全面的に置き換えることができる構造になっている。

これにより、Midnightは2033年のDARPA QBIの量子検証期限よりもはるか前に

量子攻撃に対して完全に耐性を持つブロックチェーンになる見込みだ。

さらに興味深いのは、格子暗号がイーサリアムのようなハッシュベース暗号よりも強力な点である。

格子構造は、AI分野のテンソル計算(Tensor Operations)と自然に結びつけることができる。

これにより、GPUを使って暗号証明(Proof)の生成や検証を大幅に高速化できる。

つまり、イーサリアムが提案しているような専用ハードウェア(ASIC)を作る必要がない

スマートフォン・ノートPC・デスクトップ・サーバーなど、

既存のAI用GPUをそのまま活用して線形スケールで拡張できる。

これこそ、今私たちが進めている中で最もエキサイティングな研究領域の一つである。

量子コンピュータの仕組みや量子情報理論を深く理解することで、

私たちは「量子攻撃に対して本当に安全なシステム」を設計できるようになる。

そして幸いなことに――

私たちは、今後2年以内に「量子コンピュータは本物なのか?」という答えを得られるだろう。

もしそれが「本物だ」と判明すれば、

私たちはすでにその現実を見越した準備(ポスト量子暗号基盤)を整えている。

その結果、Midnightは量子耐性を備えた最初の実用的ブロックチェーンの一つとなる。

Midnightは、他のどのプライベート計算プラットフォームとも異なる構造を持つ。

それは「フォールディング・エンジン(folding engine)」であり、

再帰エンジン(recursion engine)」でもある。

将来的には、ブロックチェーンを単に“観察する”だけでなく、

折りたたむ(fold)”ことが可能になる。

これが意味するのは――

Midnightが接続するあらゆるシステム(Cardano、Bitcoin、Ethereum、Solanaなど)の状態証明(state proof)を、

極めて軽量かつ効率的に生成できるということだ。

Midnightは単に「状態を検証」するだけではない。

その検証結果(ペイロード)をポスト量子署名で署名することができる。

これにより、Midnightが観測した各ブロックチェーンの状態は――

量子コンピュータによって改ざんされることが不可能になる。

言い換えれば、Midnightはビットコインなどのチェーンに対して「量子以降のチェックポイント」を提供できるのだ。

もし量子コンピュータがネットワークの状態を改変しようとしても、

Midnightはロールバック機構(rollback mechanism)を持ち、

攻撃前の正しい状態を検証・復元できる。

つまり、「量子攻撃の前に、何が実際に起きていたか」を記録し、

歴史の真実を守ることができるのである。

これが「量子耐性」を実現するための第一歩だ。

もちろん、これで終わりではない。

真に量子耐性を持つためには、次のような領域も整備する必要がある:

  • ポスト量子VRF(Verifiable Random Function)
  • ポスト量子VDF(Verifiable Delay Function)
  • 量子耐性乱数生成(Post-Quantum RNG)
  • その他の暗号的基盤技術の更新

幸いなことに、これらを支えるための暗号理論や新技術はすでに多数存在している。

最も重要なのは――

「真実」と「歴史」を量子攻撃から守ることである。

私たちはそのために、格子暗号(Lattice)に大きな賭けをしている。

このプロジェクトには、皆さんがよく知る世界的大企業も参画している。

中には、あなたのノートPCを製造している企業も含まれているかもしれない。

彼らは世界最高クラスの科学者チームを擁しており、

私たちは彼らとともに、Linux Foundationの枠組みの中で

Nightstreamプロジェクト”を推進している。

このプロジェクトは今後さらに発展し、加速していく予定だ。

量子コンピューティングの世界は、年を追うごとに劇的に進化している。

時間結晶(Time Crystals)のような新しい物質構造、

これまで存在しなかった未知の物理現象や素材が次々と発見されている。

これはまさに“脳の饗宴(all-you-can-eat brain trust)”のような世界で、

世界中の最も聡明な人々が物理学・材料科学・電気工学・数学・計算機科学の最前線で、

人類史上最も興味深い研究を展開している。

そしてついに、私たちは次の問いを現実的に問える地点に到達した:

「これは本物なのか?」

「本当に世界を変える技術なのか?」

DARPAのQBI(Quantum Benchmarking Initiative)は、

その問いに対する最初の決定的な答えを私たちに与えるだろう。

私は、その答えが「YES(本物だ)」になると信じている。

そして、その時期は2030年代になるだろう。

しかし仮に間違っていても、それで構わない。

なぜなら、私たちはその過程で膨大な知識を得るからだ。

そして、格子暗号によって――

オンチェーンとオフチェーンを統合し、完全準同型暗号(FHE)をブロックチェーンのプライバシー領域に取り込むことができるようになる。

もし量子コンピュータが実現しなくても、

AIや暗号技術との統合を通じて、私たちは依然として莫大な価値を得る。

それこそが、この研究アジェンダを追求している理由である。

私たちが未来を見据えるとき、もし量子コンピュータが本当に実現するのだとしたら――

私ははっきりと言える。

Midnightは、世界で最も包括的で一貫した量子戦略を備えたプラットフォームのひとつになる。

それはMidnight自身だけでなく、

その上で構築する開発者や、他のエコシステムと連携するプロジェクトすべてを守ることになる。

ぜひ皆さんにも、DARPA QBIの公式ページを確認してほしい。

そこではプロジェクトの目標を説明した約40分の詳細プレゼンテーションが公開されており、

さらにポッドキャスト版も配信されている。

私はここにリンクを掲載しておくので、ぜひ自分の目で確かめてほしい。

(※動画では、各社の研究責任者やDARPAの検証手順についても語られている。)

まずは、ステージAを突破した11社に心からの祝福を送りたい。

このプログラムは常軌を逸するほど厳格だ。

膨大な時間と労力を要し、政府機関とのやり取りは極めて困難だ。

私自身、IO(Input Output)として何度も政府助成金関連の審査を経験しているが、

DARPAのQBIはそれをさらに上回るレベルの厳密さを持っている。

選ばれた11社はいずれも、数十億ドル規模のチームと世界最高クラスの人材を抱えている。

私はそのうち少なくとも1社は、2030年代までに実際に稼働する量子コンピュータを完成させると確信している。

今後の流れはこうだ:

  • ステージB(2026年まで):各社の研究開発計画をDARPAが徹底的に検証。
  • ステージC(2027〜2028年ごろ):実機を用いた最終実証。

もし彼らがこの最終ステージまで生き残れば、

「2030年までに動作する量子コンピュータが存在する」と公式に確認される。

DARPAは、遅くとも2027年末までにその判断を公表する見込みである。

これからの2年間は、間違いなく激動の時代になる。

量子技術の真価が試されるだけでなく、

ブロックチェーン業界や暗号技術全体が再定義される。

私たちMidnightとCardanoコミュニティは、

その「量子時代の入口」に立ち会う立場にある。

そして私たちは、ただ傍観するのではなく、

積極的に“量子に強い未来”を設計していく側だ。

「これが現実か?」

「人類史を変えるのか?」

――その答えを、DARPA QBIが与えてくれる。

そしてもしその答えが「YES」なら、

Midnightはすでにその未来のための装備を整えている。

(締めの言葉)

「これからの2年は、とてつもなくエキサイティングな時代になるだろう。

聴いてくれてありがとう。これを皆と共有できて嬉しい。

チアーズ。」

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