『進化するカルダノ・ベーシック』[#14]カルダノのスケーラビリティ戦略[その4]次世代プロトコルOuroboros LeiosとスケーラビリティのためのオンチェーンソリューションInput Endorsers
『進化するカルダノ・ベーシック』の最新号では、[#14]カルダノのスケーラビリティ戦略について特集しています。[その1]ではBASHO v2.0におけるカルダノのスケーラビリティ戦略、[その2]ではカルダノのスケーラビリティ戦略を理解する上での基礎知識として、EUTXOのトランザクション処理方法について、[その3]ではカルダノにおける最適化とスケーラビリティのためのオンチェーン・ソリューションについてご紹介しました。
今回は、カルダノ次世代プロトコルであるOuroboros Leios（ウロボロス・レイオス）のインプットエンドーサー（Input Endorsers）についてご紹介します。
はじめに
急速に進化するブロックチェーン技術の世界で、カルダノはますます重要なプレイヤーとして浮上しています。それはスケーラビリティ、相互運用性、持続可能性の課題に取り組む、第三世代のブロックチェーンとしてその完成度とこれまでの実績によりそれが証明されているからです。
カルダノのネットワークは類例のない稼働時間を達成し、2017年の設立以来、約6年に相当する2190日以上連続稼働していることで、著しいレジリエンスと信頼性を実証しています。レジリエンス（Resilience）とは、システムや組織、個人が障害や困難、ストレスなどの不意な状況や変化に対して効果的に対応し、回復する能力を指します。
カルダノの堅牢な稼働時間とレジリエンスは、ユーザーベースとエンゲージメントの成長にも寄与しており、ブロックチェーンの機能に対する確固たる関心を反映して、ネットワークは72,000を超える日々のトランザクションを処理しています。さらに、カルダノは継続的なアップグレードを通じてネットワーク通信を強化し、持続的なレジリエンスを保ち、その分散化の性質を改善しています。これらの進歩は、ネットワークがセキュリティや分散化を損なうことなく、運用を持続し、効果的にスケールアップする能力を示しています。
参考記事： Cardano (ADA) Network Achieves Zero Downtime Milestone Amidst High User Engagement
これまでも述べてきた通り、Input Output Hong Kong（IOHK：現在IOG）によって開発されたカルダノは、科学的な哲学と研究を最優先にするアプローチが特徴です。このプラットフォームは厳格なピアレビューを受け、その開発は文学の人物にちなんだ独自のフェーズに分かれており、ネットワークに新機能と改善を導入しています。基盤を築くBYRON（バイロン：基礎）時代から分散化を実現するSHELLEY（シェリー：分散化）時代、そしてスマートコントラクトを導入するGOGUEN（ゴーグエン）時代まで、カルダノは成長する分散型アプリケーションのエコシステムをサポートするためにインフラを継続的に洗練しています。
そしてBASHO（芭蕉：スケーラビリティ）は、ブロックチェーンにとって常に重要な懸念事項であり、ネットワークが多数のトランザクションを迅速かつ効率的に処理できる能力を指します。課題は、ブロックチェーンの分散化とセキュリティを損なうことなく、高いスループットを実現することです。これは非常に難しいバランスです。スケーラビリティは、トランザクションの速度、コスト、ネットワークの混雑度に影響し、ユーザーエクスペリエンスとネットワークの普及力に直接的な影響を与えます。より多くのユーザーがネットワークに参加し、それ上でさらに多くのアプリケーションが構築されるにつれて、増大する需要に対応できるように、基盤となるプロトコルは十分に堅牢である必要があります。
そこでカルダノのオンチェーン（レイヤー１）ソリューションで最も画期的で有望とされるOuroboros Leiosという次世代プロトコルが登場します。これは、スケーラビリティ、セキュリティ、分散化を同時に実現するためのカルダノの最も強力で暗号業界を新たなステージに誘う取り組みです。Ouroborosは、最初のピアレビューに合格した検証可能なセキュアなブロックチェーンプロトコルであり、Leiosは次世代バージョンであり、ネットワークのスケーラビリティを向上させるために特別に研究・開発されています。Ouroboros Leiosは、BASHO2.0におけるスケーリングフェーズにおけるカルダノのロードマップの一環であり、スマートコントラクトやサイドチェーンなどの既存の機能や将来の機能との調和的な動作を目指しています。
Ouroboros Leiosの導入は、カルダノの旅路において重要なマイルストーンとなります。これは、次世代のブロックチェーンのスケーリングに対する洗練されたアプローチであり、新たな基準をブロックチェーンネットワークに設定する可能性があります。この背景を踏まえて、今回の特集記事では、Ouroboros Leiosの複雑な仕組みと、スケーリングを実現する中核技術であるInput Endorsersの重要な役割について探究していきます。
関連記事：
Ouroboros Leios：ウロボロス・レイオス – 次世代プロトコル
カルダノがスケーラブルで堅牢なブロックチェーンへと進化する旅は、進化するコンセンサスメカニズム、Ouroboros（ウロボロス）によってもたらされていることは先ほどご紹介しました。この進化の道のりは、科学的な厳密さへのコミットメントと、セキュリティと分散化への重点を反映しています。Ouroborosの各イテレーション（一連の結果を生成するためのプロセスの繰り返しであり反復）は前進であり、ネットワークの能力において顕著なアップグレードを表しています。
Ouroborosの進化
最初のイテレーションであるOuroboros Classic（クラシック）は、その基礎を築きました。これは世界で初めて証明可能に安全なプルーフ・オブ・ステーク（PoS）プロトコルであり、どのようにしてステークホルダーをランダムかつ公正に選出して次のブロックを生成するかという重要な問題を解決しました。エポックとスロットの概念を導入し、エポックは時間の枠組みを表し、スロットはそれにおいてブロックが作成される固定期間を指します。
次に登場したのが「Ouroboros BFT」です。Ouroboros BFT（Byzantine Fault Tolerance）は、古いカルダノのコードベースを新しいコードベースに移行するByron rebootの際にカルダノが使用したシンプルなプロトコルです。Ouroboros BFTは、SHELLEYフェーズのリリースとそれに伴う分散化のために、カルダノのネットワークを準備するのに役立ちました。
これに基づき、Ouroboros Praos（プラオス）はセキュリティモデルを強化し、参加者間で同期された時計が必要ないランダム関数と、前方安全な鍵を導入しました。これにより、プロトコルは現実世界のアプリケーションにとってより実用的になり、検証者を標的にする可能性のある適応型の敵に対して堅牢になりました。
Ouroborosの未来とそのバージョン
Ouroboros Genesisは、現在のOuroboros Praosプロトコルをアップデートするもので、カルダノのコンセンサスプロトコルに待望のアップグレードをもたらし、このアップデートはコストレス・シミュレーション（Nothing-at-stake 問題）とブートストラップ問題の解決と、分散化されたオープンな環境でのロングレンジ攻撃の脅威を軽減することを目的としています。
Ouroboros Leiosは、おそらくカルダノ最大のスケーリングソリューションとなるでしょう。Ouroboros Leiosはスループットの増加のほかに、サービス優先度に基づくグレード付きのトランザクション手数料の可能性も提供します。
この新しいOuroboros Leiosの設計は、小さな拡張ではなく、Ouroboros PraosとGenesisの設計の大規模な拡大であり、実用的な実装に対する大きな変化を示唆しています。
Ouroborosについては下記の記事をご覧下さい。
次世代プロトコルOuroboros Leios：高スループットと低レイテンシー
現在Ouroboros LeiosはこれまでのOuroboros系譜における次世代プロトコルとしての地位を確立しようとして開発が進められています。Ouroboros Leiosは、レイヤー1の10年以上にわたる長期的なスケーリング（超高速化）を実現する技術であり、今後登場するレイヤー1アップグレードの中でも特に有望視されています。特に、Ouroboros Leiosの中核技術であるInput Endorsersは、5年にわたる並列アーキテクチャ研究の成果を反映しており、トランザクションの処理能力とスピードを高めることで、コスト削減と分散化の拡大を実現すると考えられています。
さらに、Input Endorsersは、高速なブロック生成を支援するために並列処理を活用します。これにより、トランザクションの処理能力を向上させつつ、セキュリティを維持することが可能です。加えて、計算機およびネットワークリソースの並列利用の増加により、より多くのトランザクションを処理できるようになります。
2023年から2024年には関連する論文が発表され、Ouroboros Leiosの設計と仕様に関する詳細が公開されることが期待されています。
参考記事
これまでの歴代Ouroborosの強みを基盤に、Leiosは野心的な目標を持って設計されており、Leiosの目的は、カルダノネットワークが大規模なグローバル決済ネットワークに匹敵するトランザクション量を処理しつつ、トランザクションの検証を迅速かつ効率的に保つことを可能にすることです。これは、Input Endorsersという新しいネットワーク参加者カテゴリの導入など、いくつかのイノベーションを通じて達成されます。
Ouroboros Leiosは、トランザクション数が増加してもパフォーマンスを維持するように、様々なネットワーク条件に適応可能を目指しています。その設計は、カルダノが単なる価値の単純な転送のためのプラットフォームではなく、重要なトランザクション容量を要求する複雑な分散型アプリケーションやサービスの基盤となる未来に向けられています。
Input Endorsersはトランザクションを承認することで、ブロック生成プロセスを最適化するのを助け、ネットワークのスループットを増加させるための並列処理を生み出します。したがって、Input Endorsersは、ネットワークの効率と容量を強化する重要な構成要素となる技術です。
Ouroboros Leiosの慎重な開発は、ブロックチェーンが達成できることの限界を押し広げるカルダノのコミットメントを示しています。高スループットと低レイテンシーを核として、Leiosはカルダノエコシステムとそのユーザーに新しい可能性を解き放つことになるでしょう。
Ouroboros Leiosは、UTXOsでしか実現できないトランザクション速度の10倍の改善をもたらす
Web3プロダクトリーダーである暗号アドバイザーのVanessa Harris（ヴァネッサ・ハリス）氏は、このアップグレードが以前はアイドル状態だったノードのリソースを利用してブロック間計算を行うことで、トランザクション速度を10倍に向上させる可能性があると説明しています。
さらにHarris氏は、このInput Endorsersをディズニーランドのアトラクションのオペレーターがゲストを乗り物に乗せることに例え、同様の効率がトランザクション処理で達成できると示唆しています。次のブロックに含めるために事前にトランザクションとスクリプトを選択するプロセスの重要な部分として、Input Endorsersが言及されています。
ディズニーランドの運営者が皆を準備して、あなたの順番が来たらすぐに乗れるようにするのに似ています。もちろん、もう少し数学的な要素が必要です。この改善により、カルダノはディズニーが大勢の人々を処理できるように、大量のトランザクションを処理できるようになります。
より技術的には、次のブロックに含めるために、ブロック間でInput Endorsersが選択され、トランザクションとスクリプトを前処理します。そして、これらの入力はブロックプロデューサーによって次のブロックに含められます。これは、アイドルタイムを利用するものです。
参考記事：
Aggelos Kiayias氏が公開したOuroboros LeiosとInput Endorsersがカルダノをスケールする方法
Input Output Globalの教授兼チーフサイエンティストであるAggelos Kiayias氏は、BlockchainのOuroborosプロトコルのスケーリングに関する進歩についての説明動画「Advances in Ouroboros: Scaling for Future Growth」を公開し、Ouroboros LeiosとInput Endorsersについて説明しています。
Kiayias氏は、Ouroborosは、エネルギーコストの高さを伴わずにビットコイン（Bitcoin）と同様の分散化を提供する、プルーフ・オブ・ステーク（Proof-of-Stake）の最長チェーン（longest chain）プロトコルであると説明しています。動画の主な焦点は、セキュリティと分散化を維持しながら、処理されるトランザクションの量であるスループットの向上です。
Kiayias氏は、最長チェーンプロトコルの制限について説明しました。最近の研究から導かれた形式によってこれらのプロトコルのセキュリティに必要な条件を決定します。この形式には、ネットワークの遅延、攻撃的および正直な参加者の相対的なパワー、およびブロック生成率に影響を与える他の要因が組み込まれています。
教授は、トランザクションの過負荷をバックプレッシャーを介して管理する革新的なインフラストラクチャを提案しています。続けて「Input Endorsers：インプットエンドーサー」という概念を紹介し、mempoolデータ（mempoolについては前回の特集記事を参照して下さい。）の一部をメインチェーンブロックになる前にネットワークにリリースすることを可能にすると説明しています。このプロセスは、スプレッドスペクトル通信に触発されたコーディング技術とMithril証明書によって支援され、トランザクションがメインチェーンブロックの検証パスの外部で事前に検証されることで、スループットが増加します。
ネットワーク上を浮遊するインプットブロックと、これらのインプットブロックのための別個のメンプールの導入により、トランザクション処理の重労働なしでメインチェーンブロック（現在はランキングブロックと呼ばれる）がインプットブロックを整理することが可能になります。拡張UTXOモデルにより、スクリプトの実行はメインの検証パスの外部で行われるため、二重支払いの解決は軽量なプロセスとなります。その結果、最長チェーンメカニズムとトランザクションの処理が分離され、Ouroborosブロックチェーンのスループットがネットワークの物理的な制限に向けて向上します。
Kiayias氏は、これらのイノベーションを組み込んだプロトコルの新バージョンであるOuroboros Leiosにより、スループットのパフォーマンスを分散型で最適化することを目指しています。また、追加のランキングブロックチェーンの統合により、決済時間を短縮し、高スループットと迅速な決済を同時に実現することができると説明しています。
カルダノのスケーラビリティを飛躍的に高めるInput Endorsersとは
ここからはKiayias氏の動画でも出てきたOuroboros Leiosの中核技術の一つであるInput Endorsersについて深く掘り下げて行きましょう。Input Endorsersはカルダノのブロックチェーン構造そのものを根本から改革するもので、スループットとスピードを格段に高める効果が期待できます。
現在のカルダノでは処理能力に限界があり、Input Endorsersを導入することでこの時間制限がなくなり、リアルタイムでの連続的なトランザクション処理が可能になります。これによってスループットは最大10倍に、処理スピードも大幅に向上すると予測されています。
Input Endorsersはブロックの連鎖という従来の構造から、データを並列で非同期に処理する構造に移行します。カルダノが過去5年間に渡って並列処理に関する研究を重ねてきた成果がInput Endorsersに集約されることになります。
分散性を保ちつつスケーラビリティを高めるInput Endorsersは、カルダノが長年追求してきた理想を実現する可能性を秘めています。2023年中にインプットエンドーサーのCIPが作成され、コミュニティでの議論が本格的に始まる見込みです（あくまでも予定）。カルダノが抱える課題を克服し、採用を加速させるためにもInput Endorsersの実装は大きな鍵となるでしょう。
Input Endorsersの現時点でのキーポイントはおおよそ下記になります。
- Input Endorsersはブロックチェーンの構造を完全に作り直すもの。ブロックの連鎖から並列処理へ
- 現在の設計ではブロック時間制限があるが、Input Endorsersでは連続的リアルタイム計算が可能に
- Input Endorsersではスループットとスピードが格段に向上し、コストも大幅に削減
- Input Endorsersはカルダノの分散性を保ったままスケーラビリティを高める
- Input Endorsersでの並列処理はカルダノの5年に及ぶ研究の集大成
- Input Endorsersの設計にはコミュニティの合意が必要で、Voltaireのガバナンスが鍵
- 2023年はInput EndorsersのCIPを作成し、コミュニティで議論を始める予定
Duncan Coutts氏が解説するInput Endorsersの役割
IO Globalのカルダノの主任技術アーキテクトであるDuncan Coutts氏が、Input Endorsersの役割について解説しています。Coutts氏は、Input Endorsersはトランザクションを事前に構築されたブロックに分離することでブロック伝播時間を改善するための機能であると述べています。
これにより、ブロック伝播時間が一貫して改善され、トランザクションレートが高くなります。また、Input Endorsersは、カルダノのOuroboros、プルーフ・オブ・ステーク（Proof of Stake)合意プロトコルへの強化の一部で、これはブロックチェーンの直線的な性質により以前は利用されていなかったカルダノのサーバーの全容量を利用する事で継続的に改善されて行きます。
Coutts氏は、Input Endorsersを使って、Ouroboros Leiosはシングルボディブロック（シリアルブロックとも表現される：後ほど後述）から複数のボディを持つブロックに変更することで、より小さなブロックボディとより速いブロック伝播を可能にするものであると説明しています。複数のボディを持つブロックとはブロック生成を並列に処理するという意味になります。
参考記事：
カルダノのDuncan Coutts氏インタビュー：”私たちは多くのビッグインパクトを準備中です”
Input Endorsersのメカニズムを探る
Input Endorsersによる処理の並列化
Input Endorsersは、ブロックに含まれる前にトランザクションの入力を承認する任務を負っています。これにより、Input Endorsersはネットワーク内を流通するトランザクションのフィルターおよびファシリテーターとして機能します。Input Endorsersの承認は、トランザクションが有効であり、安全にブロックチェーンに追加することができるという信号であり、ネットワークのトランザクション処理能力への信頼を高めます。このプロセスは、最終製品が出荷される前に効率と信頼性を保証するために、製造ラインでの最終承認前の予備チェックに類似しています。
そして、この承認システムにより、カルダノはブロック生成の作業を並列化することができます。これは、従来のブロックチェーンプロトコルで見られるシリアルブロック生成プロセスからの重要な逸脱です。トランザクション検証を並列化することにより、Input Endorsersはネットワークが同時により多くのトランザクションを処理することを可能にし、結果としてスループットを大幅に増加させます。
シリアルブロック生成プロセスという言葉は、ブロックチェーンの文脈で用いられるとき、ブロックが時間の経過に伴って一連の順序で生成されることを指します。ブロックチェーン技術において、ブロックはトランザクションの記録を格納するデータの単位です。それぞれの新しいブロックは前のブロックに暗号学的にリンクされ、一つの連鎖を形成していきます。これにより、ブロックチェーンは変更が困難で、データの不変性を持つセキュアな分散型台帳として機能します。
シリアルブロック生成では、各ブロックは一つ前のブロックが生成された後にしか作成されません。これは、ネットワーク上でのトランザクションの承認と記録のプロセスにおける整合性と順序を保証します。例えば、ビットコインのブロックチェーンでは、平均して約10分ごとに新しいブロックが生成されるように設計されています。これにより、ビットコインネットワークはトランザクションを確認し、新たなブロックを追加することで、ネットワークの状態を更新しています。
Input Endorsersによるブロック生成とトランザクション検証のプロセスの革新
Input Endorsersのシステムはネットワークの機能性に新たな次元を加えており、関与するブロックの種類とトランザクションのバンドルプロセスを調査することにより、よりよく理解することができます。
Ouroboros Leiosにおけるブロックの種類
Input Endorsersは、ブロックチェーンの整合性と効率を維持するために独自の目的を持つ、3つの特定のブロックタイプと対話します：
- インプットブロック： これらは承認を待っているトランザクション入力のリストを含む提案されたブロックです。Input Endorsersはこれらの入力をレビューし、プロセスでトランザクションが前進するために不可欠な承認を提供します。
- エンドースメントブロック： Input Endorsersがトランザクション入力を検証すると、エンドースメントブロックを作成します。このブロックは、トランザクション入力が有効であり、ブロックチェーンに含まれることができるという信頼の投票です。これらのブロックは集約され、どのインプットブロックが最終化されるかを決定するために使用されます。
- ランキングブロック： これらのブロックは、ブロックチェーン内のトランザクションとブロックを順序付けする役割を果たします。それらはトランザクションの明確で一貫した履歴を維持するのを助け、ブロックチェーンの状態が正しく更新され、トランザクションの順序についての合意があることを保証します。
これらのブロック間の労働の分割は、カルダノネットワークが効果的にスケールすることを可能にするものの一部です。タスクを分類し、それらを特殊なブロックに割り当てることで、ネットワークは同時により多くのトランザクションを処理することができ、結果としてスループットが増加します。
Input Endorsersによるトランザクションのバンドル
Input Endorsersはトランザクションを承認するだけでなく、トランザクションバンドルも行います。このプロセスには、承認されてブロックチェーンに含まれる準備ができている一連のトランザクションをまとめることが含まれます。これらのバンドルを準備することで、Input Endorsersはブロックプロデューサーがブロックを最終化する際の迅速かつスムーズな追加を促進します。
トランザクションバンドルは、工場で商品を出荷用にバッチ処理することに似ています。商品を個別に移動するよりも整理されたグループで移動する方が効率的であるのと同様に、トランザクションをバンドルすることで、ネットワークは一つずつ処理するよりも迅速かつ効率的にトランザクションのバッチを処理できます。
さらに、このバンドルはネットワークの遅延を減らすのに役立ちます。トランザクションは事前に検証されバンドルされているため、ブロックプロデューサーは追加の処理時間を必要とせずにすぐにそれらをブロックに組み込むことができます。この効率の向上は、ネットワークの負荷が高くトランザクション量が多い場合に特に重要です。
Input Endorsersはこれらのメカニズムを通じてブロック生成プロセスを強化し、迅速かつ信頼性の高い大量のトランザクションを処理するというカルダノの目標を支援しています。トランザクションを迅速にブロックチェーンに追加するための準備を整えることで、Input Endorsersは、ネットワークが効率的かつスケーラブルであり、ますます複雑化するデジタル経済の要求に応えることができることを保証します。インプットブロック、エンドースメントブロック、およびランキングブロックの作成における彼らの役割は、カルダノブロックチェーンの革新的な設計とブロックチェーン技術の最前線を推進するというそのコミットメントを証明しています。
Input EndorsersとSharding（イーサリアム）の比較
カルダノ全般について高品質な記事を配信しているcexplorer.ioが、カルダノのInput EndorsersとイーサリアムのSharding（シャーディング）の比較に関する興味深い記事を公開しています。
記事によれば、Input EndorsersはCardanoブロックチェーンにおける新しいスケーラビリティの改善策で、単一のグローバルステートを維持しつつトランザクションの選択とブロック生成を分離します。これにより、インプットブロック、エンドースメントブロック）、ランキングブロックという三種のブロックが頻繁に、かつ並列に生成されます。このシステムは全てのユーザー、資産、dAppsを単一の層に置き、シャーディングによる複数層の同期の必要性を排除します。
一方、Shardingはネットワークを小さなノードのグループ、つまりシャード（Shard）に分割し、それぞれが並行してトランザクションを処理します。これにより、トランザクションの検証を複数の部分的に独立したノードグループ間で分散し、各ノードのストレージ、帯域幅、計算能力の要件を減少させます。しかし、Shardingではグローバルステートの一貫性を維持することがより困難で、セキュリティの観点からも複雑さと課題をもたらします。
記事は、Input Endorsersはシンプルな同期メカニズムと一貫性を提供し、シャーディングはスケーラビリティを高める一方で、複雑な同期とセキュリティ対策が必要になると論じています。
参考記事：Comparing Input Endorsers with Sharding | Cexplorer.io
まとめ：Input Endorsersがもたらす未来
ユースケースから見たスケーラビリティの未来
Input Endorsers機能を備えたカルダノは、そのブロックチェーンが世界的な決済ネットワークに匹敵するはるかに高いトランザクション量を処理できる未来が来ることになります。このスケーラビリティは、大規模で信頼性の高いトランザクション処理が最優先される金融、ヘルスケア、教育などのさまざまなセクターでのカルダノの採用にとって重要です。
カルダノのブロックチェーン上での新しいアプリケーションの可能性は広大です。分散型金融（DeFi）プラットフォーム、複雑なスマートコントラクト、広範な分散型アプリケーション（dApps）は、大規模に効率的に運営されることができます。Input Endorsersは、リアルタイムのゲーミング体験、企業レベルのサプライチェーン管理ソリューション、リアルタイムデータ分析プラットフォームを可能にするかもしれません。
カルダノをブロックチェーンエコシステムにとどまらず金融ネットワークの先進的な競争者として位置づける
また、Input Endorsersの役割は多面的です。トランザクション処理速度を向上させるだけでなく、ネットワークの堅牢性とセキュリティにも貢献します。トランザクションを支持する能力により、Input Endorsersはゲートキーパーとして機能し、有効なトランザクションのみが処理されることを保証します。このメカニズムはボトルネックの可能性を減らし、不正行為に対するネットワークの回復力を高めます。
Input Endorsersの導入は、カルダノをブロックチェーンエコシステムの先進的な競争者として位置づけるでしょう。この革新は、他の暗号通貨だけでなく、速度や効率を犠牲にすることなくブロックチェーン技術を取り入れようとしている従来の金融ネットワークと競争する足場を築くことになるでしょう。
これらの進歩により、カルダノは持続可能であり、分散型で効率的なデジタル経済の創造をリードするブロックチェーンプラットフォームとしての地位をより高いレベルで固めます。
これからの課題と解決策
見通しは有望ですが、Input Endorsersの実装には技術的および経済的な課題が伴います。これはこれまで以上にプロトコルに大きな変化を加えることになるからです。
技術的には、増加する活動をサポートするために堅牢なインフラが必要になります。トランザクション量の増加は、潜在的なボトルネックや脆弱性を防ぐために、ネットワークの安定性とセキュリティの継続的な改善と一致させなければなりません。
経済的な観点からは、Input Endorsersのステークベースの選択が、最も裕福なステークホルダーが不釣り合いな影響力を持つ可能性を生む中央集権化への懸念につながるかもしれません。これを緩和するために、カルダノはInput Endorsersの選択アルゴリズムが公平であり、ステークホルダーベース全体にわたって参加の平等な機会を提供することを確保しなければなりません。
別の課題は、新しいInput Endorsersのオンボーディングプロセスです。システムの複雑さは、バリデーターの参加者がカルダノのプロトコルを熟知している必要があるため、急激な学習曲線を生み出す可能性があります。教育資源とコミュニティのサポートが、Input Endorsersのプールの準備と拡大に不可欠になるでしょう。
Input Endorsersを備えたカルダノの将来のスケーラビリティは楽観的な絵を描いており、幅広いアプリケーションをサポートできる堅牢で効率的なブロックチェーンを約束しています。上記の課題はありますが、熟考された解決策とコミットメントのあるコミュニティを持っていれば、これらの障害は克服でき、カルダノが将来の主要なブロックチェーンプラットフォームとしての潜在能力を果たす道を開くことができます。それはこれまでのカルダノ・アップグレード（ハードフォーク）の経験を見れば一目瞭然です。
Ouroboros LeiosおよびInput Endorsersの参考文献
カルダノのOuroboros LeiosやInput Endorsersの役割の複雑な詳細を探求する際には、学術論文から公式文書、専門家の解説に至るまで、重要な洞察を提供するいくつかのリソースがあります。
学術論文および公式文書:
- Coutts, D., Panagiotakos, G., & Fitzi, M. (2022). “Ouroboros Leios: design goals and concepts.” IOHK Research. この論文は、堅牢なセキュリティ特性を維持しながらスループットを大幅に増加させることを目的としたOuroboros Leiosの開発動機について論じています。
- “CIP-0079: Implement Ouroboros Leios to increase Cardano throughput.” GitHub. このカルダノ改善提案（CIP）は、カルダノネットワークの長期的なスループットを向上させるためのOuroboros Leiosの実装戦略について詳述しています。
- “Ouroboros Leios: A New Era in Blockchain Performance.” AdaPulse. Ouroboros Leiosがいかにして遅延を増加させる代わりにスループットを改善し、プロトコルを最適化するための継続的な研究についての分析です。
- “How Ouroboros Leios will change the Cardano Consensus.” Cardanians.io. Ouroboros Leiosが現在のPoS合意形成メカニズムに対する大きな拡張として、スケーラビリティと分散化への影響について探求しています。
Input Endorsersに関するカルダノの公式文書:
- “Cardano Docs.” Cardano.org. カルダノエコシステムの公式文書ハブで、プラットフォームの設計、運用、機能に関する包括的な情報を提供しています。
- “Understanding Input Endorsers.” Cardano Explorer. インプットエンドーサーの機能についての詳細な説明、使用されるブロックのタイプ：インプットブロック、エンドースメントブロック、ランキングブロックを含みます。
- “Input Endorsers – Cardano Overview.” Cardano Wiki. カルダノネットワーク内のインプットエンドーサーに関する概要を議論し、彼らの機能性とスケーラビリティへの影響について説明しています。
- “Cardano Developer Portal.” Developers.cardano.org. カルダノについての概要、技術概念、およびアプリケーションやウェブサイトにカルダノを統合する方法についてのポータルを提供しています。
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カルダノにとってMidnightとは何ですか？
現時点で公開されているMidnightについての情報です。
カルダノにとってMidnightとは何ですか？
https://cexplorer.io/article/what-will-midnight-be-for-cardano
以下は記事の要約です。
MidnightはCardanoに関連するプロジェクトであり、PoS+PoWに基づいた独自のコンセンサスメカニズムを持つサイドチェーンを目指しています。
Zero-Knowledge暗号を使用したプライバシーに焦点を当て、Cardanoのユーザーにプライバシーを提供することを目指しています。
MidnightのCardanoに対する立場は、ある程度の相互依存関係にありつつも、協力と競争のバランスをとる複雑なものであると考えられます。
以下にその主なポイントをまとめます：
プライバシーの提供: MidnightはCardanoユーザーにプライバシーを提供し、この点でCardanoの味方となります。特定の機能や情報を非公開に保ちたいユーザーにとって、Midnightは有効な選択肢になるでしょう。
独立したユースケース: 一方で、MidnightはCardanoとは独立して機能することも可能です。100%プライバシーを必要とするビジネスや金融機関にとっては、CardanoとMidnightの間で情報が公開されるよりも、完全にプライベートな環境を提供する方が望ましい場合があります。
競合の可能性: Midnightは、特にプライバシーが重視される分野で、Cardanoと競合する可能性があります。プライバシーを重視するユーザーが多いため、Midnightが提供するDEXなどのサービスはCardanoから流動性やユーザーを引き抜く可能性があります。
#Bitcoin のトークン化と利用: #Midnight は、ライトニングネットワーク（LN）を介さずにBTCのプライバシーを保つ手段としても機能する可能性があります。BTC保有者はMidnightを介してBTCをよりプライベートに使用することができるかもしれません。
MidnightがCardanoと関連付けられている深い理由に注目
MidnightはCardanoのセキュリティフレームワークの一部を受け入れており、Midnight のネイティブ アセットは、Cardano のネイティブ アセットです。
ISOおよびリバースISOのSUNDAEトークン報酬請求期限が2023年11月30日23:59（日本時間12月1日AM8:59）まで
2021年に開催されたSundaeSwapISOおよびリバースISOのSUNDAEトークン報酬請求期限が2023年11月30日23:59（日本時間12月1日AM8:59）までとなっています。 未請求の方は確認をお願い致します。
BTBF（@btbfpark）さんより
週刊開発レポート：2023年11月11
ハイライト
Conway台帳開発、新しい機能で前進
Laceチームはマルチステーキング機能の強化に取り組む
Marlowe オープンロールコントラクトのレッスン、テストと安全チェックとともに公開
Mithri、P2P経由のネットワーク分散化を推進
150を超えるコミュニティメンバーがintersectに参加
CatalystチームはFund11用モバイルアプリとバックエンド改良の最終段階
教育チームはMarlowe教材への取り組みを継続
現時点の統計
開始されたプロジェクト：148
構築中のプロジェクト：1,302
ネィティブトークン：9m
トークンポリシー：80,854
トランザクション数：78m
Plutus v1：6,228
Plutus v2：4,430
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https://www.essentialcardano.io/development-update/weekly-development-report-as-of-2023-11-10
カルダノのブロックチェーンにおけるステークプールオペレーターの重要な役割とは？：[CARDANO SUMMIT 2023]「SPO Masterclass: Cardano Network Health Monitoring Q&A」要約
カルダノのブロックチェーンにおけるステークプールオペレーターの重要な役割
急速に進化するブロックチェーン技術の世界において、カルダノ・ネットワークはスケーラビリティ、相互運用性、持続可能性へのユニークなアプローチで注目されています。このエコシステムの中心には、ネットワークの健全性と効率を維持する上で重要な役割を果たすステークプールオペレーター（SPO）がいます。最近の「SPO Masterclass: Cardano Network Health Monitoring Q&A」セッションでは、SPOが直面する責任と課題について深い洞察を提供しました。
