『進化するカルダノ・ベーシック』[#17]（その２）世界最大級の分散型イノベーションファンド「Project Catalyst」とは？
SIPOはブログ（https://sipo.tokyo/?cat=137）で『進化するカルダノ・ベーシック』をシリーズ連載しています。
カルダノについて初心者や、既に知っているが日々進化し続けるカルダノの現在進行形について知りたい方向けに、様々な視点と角度から、カルダノの基礎知識とその未来について、最新アップデート情報を交えてお伝えする企画です。
今回は「VOLTAIRE：ガバナンス」について、数回に分けて特集をしており、前回はその1回目として『進化するカルダノ・ベーシック』[#17]（その１）分散型ガバナンスシステムと完全分散化への道」を特集しました。
今回はその２回目として世界最大級の分散型イノベーションファンドである「Project Catalyst」について深掘りして行きます。
- カルダノの「VOLTAIRE：ガバナンス」とは？
- Project Catalyst
- CIP-1694
- Intersect
- SanchoNet
- EDI
それでは始めましょう。
はじめに：Project Catalystとは何か？
Project Catalystは、世界最大級の分散型イノベーションファンド
Project Catalystは、カルダノ（Cardano）ブロックチェーンエコシステム内で展開されている、世界最大級の分散型ガバナンスプロジェクトです。Project Catalystは、カルダノブロックチェーンの核心を成す、画期的な取り組みで、世界最大級の分散型イノベーションファンドの一つとして設計・展開されており、カルダノコミュニティ主導で進められるエコシステム開発の中心となっています。
この取り組みの目的は、カルダノブロックチェーンが自立し、成長し続けるエコシステムを構築することにあります。その核となるのは分散型ガバナンスの概念で、カルダノコミュニティが提案するアイデアや優先順位に基づいて資金を配分し、持続可能な成長のサイクルを形成します。
Project Catalystが「世界最大級の分散型イノベーションファンド」と呼ばれる理由は、そのスケールと参加者の数、そして運用されている資金の規模にあります。また、このプロジェクトは、暗号業界においてユニークな位置を占めており、その特徴は以下の通りです。
参加者の数と多様性
- グローバルな参加: Project Catalystは、世界中の170カ国さまざまな国や地域から多数の参加者を集めています。これには、開発者、投資家、エンドユーザー、ブロックチェーンの愛好家など、幅広いバックグラウンドを持つ人々が含まれます。
- 広範なコミュニティエンゲージメント: このプロジェクトは、オンラインプラットフォームを通じて世界中のコミュニティメンバーが簡単に参加できるように設計されており、ブロックチェーンテクノロジーに関心を持つあらゆる人々に開かれています。
資金の規模
- 大規模な資金提供: Project Catalystは、数百万ドル規模の資金をプロジェクトに提供しています。これは、ブロックチェーン業界における分散型ガバナンスプロジェクトとしては、非常に大きな規模です。
- 多様なプロジェクトの支援: この資金は、技術開発、コミュニティビルディング、教育プロジェクトなど、多様なカテゴリーにわたるプロジェクトに配分されます。これにより、カルダノエコシステム全体の成長と多様化が促進されます。
意思決定の透明性と分散化
- コミュニティ主導の決定: Project Catalystでは、コミュニティメンバーがプロジェクトの提案と資金配分に直接参加し、投票を通じて決定を下します。このプロセスは、他の多くのブロックチェーンプロジェクトにおける中央集権的な意思決定に対して、顕著な対照を成しており、高度な分散化を体現してます。
- 民主的なガバナンスモデル: Project Catalystのガバナンスモデルは、カルダノコミュニティ全体の意見を反映することを目指しており、この分散型アプローチはブロックチェーン業界においても特に注目されています。
イノベーションへの影響
- 技術革新の促進: Project Catalystを通じて、カルダノは継続的に革新的なアイデアとソリューションを開発し、ブロックチェーン技術の限界を拡張しています。
- エコシステムの多様化: さまざまなバックグラウンドを持つ参加者からの幅広いアイデアと提案により、カルダノエコシステムは多様化し、より多くのユーザーに対応できるようになっています。
Project Catalystは、その規模、参加者の多様性、資金の規模、そして分散型の意思決定プロセスにより、世界最大級の分散型イノベーションファンドとして位置づけられています。Project Catalystは、コミュニティが中心となってブロックチェーンの未来を形作るための重要なプラットフォームです。
重要性：イノベーションとコミュニティ参加の促進
Project Catalystはカルダノのエコシステムにおけるイノベーションの推進力です。おおよそ3ヶ月ごとに、技術、ビジネス、クリエイティブ、コミュニティ関連のプロジェクトに焦点を当てた新たなプロジェクトのパイプラインを生成します。2020年9月より開始され、現時点で10のFundが提供されてきました。現時点ではFund11が進行中です。これにより、カルダノに関連する様々な課題に対する明確な解決策が提案され、コミュニティの投票によって資金提供されるプロジェクトが選ばれます。
カタリストは、素晴らしいアイデアを実現し、実行するためのプラットフォームを提供しますが、資金提供だけが成功への道ではありません。プロジェクトを育成し、ビジネスプランを確立するための教育、指導、コラボレーション、製品ロードマップ開発などが必要です。
分散型民主主義の実現
Project Catalystは、意思決定の民主化を目指しています。カルダノコミュニティは、ブロックチェーンの開発とエコシステムの成長の将来の方向性を共同で決定することができます。ガバナンスは、ブロックチェーンに限らず、世界的に重要な課題であり、分散型の意思決定プロセスは、従来の中央集権的な政府システムの落とし穴を回避する素晴らしい機会を提供します。
参加とコラボレーション
Project Catalystは、コミュニティメンバーがアイデア、スキル、知識を共有し、Cardanoエコシステムを変革する可能性のある革新的な提案を作成するための協力的な方法を提供しています。これにより、エコシステム開発により包括的で参加型なアプローチが可能になります。
Project Catalystは、カルダノエコシステム内でのコミュニティ主導のイノベーションを促進するための重要なプラットフォームです。これは、分散型ガバナンスとコミュニティ参加を促進することにより、カルダノの成長と革新を支援する役割を果たします。Project Catalystは、カルダノコミュニティが共に協力し、カルダノエコシステムの未来を形成するための重要なツールとなっています。
Project Catalystの歴史的進化と成長
Project Catalystはカルダノの持続可能性を維持し発展させるための重要な機関の一つ
現時点でのProject Catalystは、Intersect、コミュニティギルド、およびアソシエーションなどの他の機関と共に作業するVOLTAIRE時代におけるカルダノの重要な機関の一つに位置するとても重要な役割を担うまでに成長しています。
発展するProject Catalyst
こうしたVoltaire時代におけるProject Catalystも回を重ねる毎に発展を遂げており、小規模な分散型資金調達実験から、Cardanoエコシステム内の革新とコミュニティ参加の重要なドライバーに成長し、Cardanoのミッションであるすべての人々のために世界をより良くすることに焦点を当てたコミュニティを構築するのに役立っています。
現在では、170を超える国と地域から多くの人々が参加するまでになっており、これまでのProject Catalystのプロジェクト進捗と成果は以下のとおりとなっています。これは2023年12月14日更新のFund9までのデータです。（2024年1月14日調べ）
総資金要求額：$53,762,004
・分配済み：$35,973,453
・残額：$17,788,551
投じられた総票数：2.15M
チャレンジカテゴリ数：119
提案されたアイデア：6,200
提案が承認された提案数：1,347
完了した提案：679
初期段階：草の根イノベーションの開始
Project Catalystは、カルダノのエコシステム内で草の根レベルのイノベーションを促進するための実験として始まりました。2020年9月に、Project Catalystは、オープンかつ民主的な文化を育成する社会実験として公開されました。このプロジェクトは、分散型イノベーションの管理とガバナンスを目的とし、カルダノのトレジャリーを活用して、コミュニティ主導のプロジェクトに資金を提供していました。
成長のフェーズ：分散型イノベーションの拡大
Project Catalystは、その存在初期から急速に成長し、カルダノエコシステムにおける革新とコミュニティ参加の主要な推進力となりました。特に、プロジェクト・カタリストのFund10（第10基金）では、40万人以上のADA愛好家が積極的に参加しました。この節目は、プロジェクト・カタリスト投票の9回の前回のラウンドの基盤を構築し、合計参加者数を200万人以上に増やしました。
コミュニティの累積的な貢献に関しては、Project Catalystの公式ウェブサイトによると（2024年1月14日調べ）、これまでに4,772件以上の提案があり、合計で1,764,255票が投じられています。これは、ネットワークの開発におけるコミュニティの強い関与を強調しています。さらに、利用可能な資金の総額は6,650万ドルに達し、1,466件以上の提案が承認され、6万人以上のメンバーがコミュニティに参加しています。
これらの数字は、Project Catalystを通じてカルダノコミュニティの顕著な関与と成長を示しており、ブロックチェーン分野における分散型ガバナンスとイノベーションの主要なプラットフォームとしての役割を強調しています。
進化の次のステージ：Voltaire時代への移行
2022年、CardanoはVoltaireの時代に入り、自己持続型の参加型ガバナンスシステムの推進を続ける一方で、Shelley開発フェーズにおいてCardanoのガバナンスの基盤が築かれました。Project Catalystは、Shelley以来のCardanoのガバナンスの進化と、その大規模なコミュニティへの影響を探求しています。これについては詳しくは後ほど述べます。
Project Catalystの現在と未来
Project Catalystは、革新を推進するための広範で協力的なアプローチを支持しています。この草の根からの革新のコミットメントにより、コミュニティメンバーは、そうでなければ資金を受け取らない可能性がある革新的なプロジェクトを探索し、実現することができます。Project Catalystは、エコシステム内のすべての参加者の革新、実験、およびエンパワードなエンゲージメントをサポートすることで、コミュニティを支援することができます。
このようにProject Catalystの進化は、カルダノのエコシステムにおいて重要な役割を果たしてきました。初期の草の根イノベーションの段階から、今日の分散型民主主義と透明性の推進、そしてVoltaire時代への移行まで、Project Catalystはカルダノコミュニティの成長と発展に不可欠な部分となっています。これは、将来のカルダノエコシステムの発展における革新的なアイデアとコミュニティの参加を続けて促進することを示しています。
Project Catalyst: Fund1からFund10までの振り返り
Project Catalystは、カルダノエコシステムにおいてイノベーションを推進する重要な役割を果たしています。執筆時点ではFund10が終了しており、Fund11がアクティベートしています。ここでは、Fund1からFund10までの進化の道のりを振り返ります。
Fund1: 初期段階と概念の証明
- 目的: 分散型イノベーションとコミュニティ参加の初期テスト。
- 成果: 小規模な資金提供でコミュニティからの最初のフィードバックを収集。
Fund１で割り当てられた総額（2024年1月14日調べ）
総資金要求額：2,342,511ADA
分配済み：０ADA
残り：2,342,511ADA
合計チャレンジ：1
提案：56
アイデア提案：8
提案承認済み：０
Fund2: コミュニティ参加の増加
- 焦点: より広範なコミュニティ参加と多様な提案の募集。
- 成果: より多くの参加者と提案、コミュニティのエンゲージメントの増加。
Fund2で割り当てられた総額（2024年1月14日調べ）
総資金要求額：$205,570
・分配済み：$205,570
・残額：$0
チャレンジカテゴリ数：1
投じられた総票数：23,996
提案されたアイデア：78
提案が承認された：12
完了した提案：6
Fund3: イノベーションとコミュニティの成長
- 進展: より高度な提案とコミュニティの反応の分析。
- 成果: より多様で質の高い提案が集まり、参加者数の増加。
Fund3で割り当てられた総額（2024年1月14日調べ）
総資金要求額：$399,465
・分配済み：$399,465
・残額：$0
チャレンジカテゴリ数：3
投じられた総票数：120,363
提案されたアイデア：150
提案が承認された：20
完了した提案：7
Fund4: ガバナンスと透明性の強化
- 目標: ガバナンス構造の改善と透明性の高いプロセスの実装。
- 成果: 意思決定プロセスの改善と、よりクリアな投票メカニズムの導入。
Fund4で割り当てられた総額（2024年1月14日調べ）
総資金要求額：$798,827
・分配済み：$734,097
・残額：$64,730
チャレンジカテゴリ数：7
投じられた総票数：216,749
提案されたアイデア：280
提案が承認された：51
完了した提案：16
Fund5: エコシステム内の多様性の促進
- 方針: 多様な地域からの参加を促進し、様々な問題に対する解決策を提供。
- 成果: グローバルなコミュニティの参加増加とエコシステムの多様化。
Fund5で割り当てられた総額（2024年1月14日調べ）
総資金要求額：$1,689,524
・分配済み：$1,604,704
・残額：$84,820
チャレンジカテゴリ数：9
投じられた総票数：244,674
提案されたアイデア：271
提案が承認された：69
完了した提案：37
Fund6: より大規模な資金提供と協働
- 拡張: 資金提供の規模の拡大と、より広範囲のプロジェクトに対する支援。
- 成果: 大規模なプロジェクトの支援とコラボレーションの促進。
Fund6で割り当てられた総額（2024年1月14日調べ）
総資金要求額：$3,298,634
・分配済み：$3,170,178
・残額：$128,456
チャレンジカテゴリ数：19
投じられた総票数：290,734
提案されたアイデア：711
提案が承認された：151
完了した提案：84
Fund7: イノベーションの加速
- 目指すところ: 新しいイノベーションへの道を拓く。
- 成果: 技術的進歩と新しいアプリケーションの開発。
Fund7で割り当てられた総額（2024年1月14日調べ）
総資金要求額：$6,399,832
・分配済み：$5,699,435
・残額：$700,397
チャレンジカテゴリ数：25
投じられた総票数：255,316
提案されたアイデア：936
提案が承認された：269
完了した提案：174
Fund8: さらなるコミュニティのエンゲージメント
- 目的: コミュニティの深いエンゲージメントと参加の促進。
- 成果: よりアクティブなコミュニティ参加と意見の多様性。
Fund8で割り当てられた総額（2024年1月14日調べ）
総資金要求額：$12,799,901
・分配済み： $11,584,115
・残額：$1,215,786
チャレンジカテゴリ数：23
投じられた総票数：235,960
提案されたアイデア：1,133
提案が承認された：367
完了した提案：226
Fund9: 持続可能な成長への道
- 方向性: 長期的な持続可能性と成長のための基盤強化。
- 成果: 持続可能なイノベーションへの投資と、エコシステムの長期的な成長。
Fund9で割り当てられた総額（2024年1月14日調べ）
総資金要求額：$12,799,696
・分配済み：$10,449,946
・残額：$2,349,750
チャレンジカテゴリ数：13
投じられた総票数：354,488
提案されたアイデア：1,174
提案が承認された：216
完了した提案：128
Fund10: カルダノの未来への投資
- 展望: カルダノエコシステムの次の段階への準備。
- 成果: より複雑なプロジェクトの支援と、エコシステム内でのより強いシナジーの創出。
Fund10で割り当てられた総額（2024年1月14日調べ）
総資金要求額：A46,577,438
・分配済み：A6,442,251
・残額：A40,135,187
チャレンジカテゴリ数：13
投じられた総票数：408,458
提案されたアイデア：1,467
提案が承認された：192
完了した提案：1
Project Catalystの各ファンドは、カルダノエコシステムの発展とイノベーションの進化の重要なステップを示しています。初期の概念証明から始まり、コミュニティの参加とイノベーションの加速、そして最終的にはエコシステム全体の持続可能な成長へと進展しています。Fund10までの旅は、カルダノが未来に向けて進化し続ける証です。
Project Catalystはカルダノエコシステム内で重要な取り組みであり、各ファンドの進捗と成果に関する更新情報は定期的に公開されています。これらの詳細には、資金提供されたプロジェクトの数、投資総額、およびこれらのプロジェクトの影響が含まれています。これらは通常、カルダノの公式チャンネル（ウェブサイト、公式フォーラム、コミュニティのアップデート）を通じて公開されています。
Fund11
- Fund11は現在進行中です。
分散型民主主義と透明性
Project Catalystにおける分散型民主主義の推進
先に述べたようにProject Catalystは、カルダノブロックチェーンの重要な部分として、分散型民主主義の実現を目指しています。この目標は、カルダノのコミュニティが直面する課題に対して、効果的で民主的なソリューションを提供することによって達成されています。
分散型民主主義の重要性
分散型民主主義は、従来の中央集権的なシステムの限界を克服することを目指します。これは、権力の集中を防ぎ、個々の参加者が意思決定プロセスに平等に参加できるようにすることで、より公平で透明なガバナンスを実現するものです。このアプローチは、ブロックチェーン技術の分散化の特性と相まって、イノベーションとコラボレーションの新しい機会を提供します。
Project Catalystのアプローチ
Project Catalystは、分散型民主主義を推進するために、以下のようなアプローチを取り入れています：
- コミュニティ主導の意思決定: プロジェクトの提案から資金配分まで、すべての過程はコミュニティによって決定されます。これにより、カルダノのエコシステム全体がプロジェクトの方向性を共同で形成できます。
- 透明なプロセス: Project Catalystでは、すべての提案、投票、および資金配分に関する情報が公開されています。これにより、参加者はプロセス全体を追跡し、関与することができます。
- オープンなコミュニケーション: 透明性をさらに促進するために、Project Catalystはコミュニティとのオープンなコミュニケーションを重視しています。定期的なミーティング、フォーラム、およびディスカッションを通じて、コミュニティメンバーは意見やフィードバックを共有し、プロジェクトに直接影響を与えることができます。
透明性の実現
Project Catalystは、以下の方法で透明性を実現しています：
- 公開された資料: 提案、資金配分、投票結果などのすべての関連資料は、コミュニティに公開されています。これにより、誰もがプロセスを理解し、参加することができます。
- コミュニティへのレポーティング: Project Catalystは、コミュニティに対して定期的にレポートを提供し、進捗状況や成果について透明性を保っています。
- 参加者の声の尊重: すべてのコミュニティメンバーは、プロジェクトに関する意見を自由に表明することができ、それらの意見は重視されます。
Project Catalystは、分散型民主主義と透明性をカルダノエコシステムにおける重要な価値として位置づけ、これらを推進するための具体的なステップを踏んでいます。コミュニティの積極的な参加とオープンなコミュニケーションを通じて、Project Catalystは、分散型の意思決定プロセスを通じて、イノベーションとコラボレーションの新しい機会を生み出しています。これにより、カルダノはより公平で透明なエコシステムとして成長し続けることができるでしょう。
Project Catalystへの参加方法
Project Catalystは、カルダノのコミュニティ主導型イノベーションを促進するプラットフォームであり、多様な参加方法が提供されています。ここでは、さまざまな役割と参加プロセスの詳細について説明します。
参加可能な主な役割
- 提案者 (Proposer):
- 提案者は、カルダノエコシステムに価値をもたらすと考えられるアイデアやプロジェクトを提出します。
- 提案は、技術的なものから、教育やコミュニティ構築に関するものまで多岐にわたります。
- 提案プロセスには、アイデアの詳細な説明、必要な資金、プロジェクトの目標と成果を記述することが含まれます。
- 投票者 (Voter):
- 投票者は、カルダノのネイティブ暗号通貨であるADAを保有している個人で、提案に対して投票します。
- 投票者は、提案されたプロジェクトがカルダノエコシステムにどのような影響を与えるかを評価し、資金配分の意思決定に参加します。
- コミュニティアドバイザー (Community Advisor):
- コミュニティアドバイザーは、提案の品質保証に参加し、提案者と投票者に有益なフィードバックを提供します。
- 彼らは提案を審査し、客観的な観点からアドバイスを行います。
現在dReps（代議士）のような役割も検討されており、近い将来は更なる民主化と分散化が進められることになるでしょう。
参加プロセスの詳細
- アカウントの作成と登録:
- Project Catalystへの参加は、CatalystコラボレーションプラットフォームであるIdeaScaleにアカウントを作成することから始まります。
- このプラットフォームを通じて、提案の投稿や投票、ディスカッションへの参加が可能になります。
- プロジェクト提案の提出:
- 提案者は、プロジェクトのアイデアを具体化し、必要な詳細情報とともにプラットフォームに提案を提出します。
- 提案は、コミュニティのメンバーからのフィードバックを受け、改善されることがあります。
- コミュニティによるレビューと投票:
- 提案は、コミュニティメンバーによってレビューされ、質の高いものが選出されます。
- ADA保有者は、提案に対して投票し、資金配分の方向を決定します。
- フィードバックと改善:
- プロジェクトは、コミュニティからのフィードバックを受け入れ、継続的に改善されます。
- これには、実装の方法、目標の達成、さらなるイノベーションへの道筋が含まれます。
Project Catalystは、カルダノコミュニティ内で活動するすべての人々に参加の機会を提供しています。このプラットフォームは、提案者、投票者、コミュニティアドバイザーといった多様な役割を通じて、イノベーションを促進し、カルダノエコシステムの成長を支援します。各参加者は、自分のアイデア、スキル、知識を共有し、カルダノの未来を形成する重要な役割を担っています。
Catalystチームによる提案者サポートの強化
現在進行中の最新のFund11では、提案者が自分の提案を適切なカテゴリに分類するのを支援するために、Catalystチームによる追加のサポートが提供されます。この変更は、提案者が正しいカテゴリに提案を提出するのを容易にし、ファンドの一貫性を高めることを目指しています。
Fund11では、カルダノのエコシステムにおけるイノベーションをさらに促進するための重要な改善が導入されています。これにより、より多様なアイデアが支援を受け、コミュニティ全体の成長に寄与することが期待されます。Fund11は、カルダノエコシステムのイノベーションと成長の新たな段階を示しており、コミュニティがどのようなアイデアを生み出すかに期待が高まっています。
Fund11は、カルダノエコシステムにおけるイノベーションの新たな段階を象徴しています。新しいカテゴリーの導入、資金提供の拡大、そして新しいルールの実施により、エコシステムはより多様で包括的なものとなり、コミュニティメンバーはさまざまな方法で参加し、貢献する機会を得ています。Fund11は、カルダノの未来を形作るための新しい道を切り開いています。
Voltaire時代のCatalyst
先ほど述べたようにカルダノの発展において、Voltaire時代は重要なマイルストーンです。この時代は、分散型ガバナンスとコミュニティ主導の意思決定の強化に焦点を当てており、Project Catalystがこの変化の中心に位置づけられています。
Shelley時代からVoltaire時代への移行
- Shelley時代の特徴:
- Shelley時代は、カルダノのネットワークの分散化とセキュリティの強化に重点を置いていました。
- ステーキングプールの導入により、ユーザーはADAを委任し、ネットワークのセキュリティと運用に参加できるようになりました。
- Shelleyは、カルダノがプルーフ・オブ・ステーク（PoS）ブロックチェーンへと進化する基盤を築きました。
- Voltaire時代の導入:
- Voltaire時代の導入は、カルダノのガバナンス構造とコミュニティのエンゲージメントに大きな変革をもたらしました。
- この時代は、分散型ガバナンスと持続可能なエコシステムファイナンスの導入を目指しています。
Voltaire時代の影響
- 分散型ガバナンス:
- Voltaire時代は、コミュニティがネットワークの方向性と重要な決定に直接参加できるようにすることを目指しています。
- カルダノのトレジャリーシステムにより、コミュニティは資金配分とプロジェクトの選定に直接影響を与えることができます。
- コミュニティファンドの管理:
- Voltaireでは、コミュニティファンドの管理と配分にコミュニティが関与することが重視されています。
- これにより、プロジェクトの資金提供は透明性が高く、コミュニティのニーズに合致するものとなります。
- 意思決定プロセスの進化:
- コミュニティ主導の意思決定プロセスは、カルダノエコシステム内での新しいイノベーションと提案を促進します。
- Voltaire時代における意思決定の進化は、エコシステム内でのより民主的な参加と透明性の向上を意味します。
- Project Catalystの役割:
- Project Catalystは、Voltaire時代のカルダノにおいて中心的な役割を担っています。
- このプラットフォームは、分散型ガバナンスの実現において重要なツールであり、コミュニティ主導のイノベーションを促進する場を提供します。
Voltaire時代のCatalystは、カルダノエコシステムの成熟と発展の象徴です。この時代は、コミュニティの意思決定力とエコシステムへの影響力を大きく高めることを目指しています。分散型ガバナンスの導入により、カルダノはトランスペアレントで持続可能なブロックチェーンエコシステムへと進化し、Project Catalystはその中心的な役割を担い続けています。カルダノコミュニティは、Voltaire時代において、より積極的な役割を果たし、エコシステムの未来を共に形成していくことになるでしょう。
Project Catalystの将来の展望
Project Catalystは、カルダノエコシステムのイノベーションと成長の原動力として、継続的に進化しています。Fund10では、新しい機能の導入や運用上の変更が行われ、今後の計画についても野心的なビジョンが示されています。
Fund10の新機能と運用変更
- マイルストーンベースの資金提供:
- Fund10からは、提案されたプロジェクトに対してマイルストーンベースの資金提供が導入されました。
- このアプローチでは、プロジェクトの進捗に応じて段階的に資金がリリースされ、プロジェクトの実行可能性と成果に焦点を当てます。
- Catalyst継続的テストネットの導入:
- Project Catalystは、継続的なテストネットを導入し、新しい機能やアップデートのテストを行うことで、プラットフォームの安定性とユーザーエクスペリエンスを向上させています。
- カタリストオペレータカテゴリー:
- Fund10では、カタリストオペレータカテゴリーが導入され、カルダノコミュニティがプロジェクトの運営に関する提案に投票することが可能になりました。
最新の更新：Fund11
Project CatalystのFund11は、カルダノエコシステムのイノベーションを推進するための重要なステップです。Fund10までの経験と学びを踏まえ、Fund11ではいくつかの新しい要素と改善が導入されています。
Project CatalystのFund11は、カルダノエコシステムのイノベーションを一層前進させるための新たなステージです。このファンドでは、以前のファンドと比較してさらに多くの改革が導入され、エコシステム内の多様性と創造性を促進する新しい機会が提供されました。
Fund11の詳細と予算
Fund11は、カルダノエコシステムの成長と発展を促進するための重要な取り組みです。このファンドでは、過去のファンドと比較して、より大きな予算が割り当てられ、より多様なプロジェクトが対象となっています。この拡大された予算は、イノベーションを促進し、コミュニティの成長を支援するためのものです。
カテゴリーの紹介
Fund11では、以下の新しいカテゴリーが導入されました：
- Cardanoのユースケース: このカテゴリーは、Cardanoブロックチェーンを利用する革新的なアプリケーションやサービスに焦点を当てています。これには、DApps（分散型アプリケーション）、新しいプロトコル、あるいはCardanoの機能を活用するその他のプロジェクトが含まれます。
- Cardanoオープン: このカテゴリーでは、Cardanoエコシステムを拡張し、発展させるためのプロジェクトが対象です。技術的な提案だけでなく、非技術的な提案も含まれ、エコシステム全体の成長に貢献します。
- Catalystシステムの改善: このカテゴリーは、Project Catalyst自体の改善と発展に焦点を当てています。これには、運営方法の改善、参加者のエクスペリエンス向上、新しいツールやプロセスの開発などが含まれます。
新しいルール
Fund11では、以下の新しいルールが導入されました：
- 新しい投票メカニズム: 「Yes/Abstain（賛成/棄権）メカニック」という新しい投票システムが導入され、投票者は提案に対して「賛成」か「棄権」のいずれかを選ぶことができます。これにより、投票プロセスが単純化され、よりクリアな意思決定が可能になります。
- 提案の分類支援: Catalystチームは、提案者が自分の提案を適切なカテゴリに分類するのを支援します。これにより、ファンドが一貫性を持つようにし、提案が正しいカテゴリに提出されるようにします。
- 提案数の制限: 一人の提案者が提出できる提案の数に制限が設けられ、より多様なコミュニティメンバーに資金提供の機会が提供されます。
将来の計画
- 分散型ガバナンスの強化:
- Project Catalystは、カルダノエコシステムにおける分散型ガバナンスをさらに強化し、コミュニティ主導の意思決定を促進することを目指しています。
- これには、トレジャリーシステムの改善や意思決定プロセスの進化が含まれます。
- エコシステムの持続的成長:
- Project Catalystは、カルダノエコシステムの持続可能な成長を目指しており、新しいイニシアチブやプロジェクトを通じて、エコシステムを拡張し続ける計画です。
- イノベーションの促進:
- 未来のファンドでは、革新的なアイデアやプロジェクトをさらに支援し、カルダノエコシステム内での新しい技術やサービスの開発を促進することが予定されています。
- グローバルコミュニティの参加拡大:
- Project Catalystは、世界中のさまざまな背景を持つ人々の参加を奨励し、グローバルなコミュニティを構築することを目指しています。
- 教育と啓発活動の強化:
- Project Catalystは、カルダノコミュニティに対する教育と啓発活動を強化し、より多くの人々がプラットフォームに参加しやすくなるような取り組みを進めています。
Project Catalystの将来の展望は、分散型ガバナンスのさらなる強化、エコシステムの成長、イノベーションの促進に重点を置いています。Fund10での新しい機能と運用変更は、これらの目標達成に向けた重要なステップです。Project Catalystは、カルダノコミュニティのさらなる発展とエコシステムの豊かさを促進し、ブロックチェーン技術の新しい可能性を探求し続けるでしょう。
まとめ：カルダノブロックチェーンの可能性を最大限に引き出すための基盤としてのProject Catalyst
Project Catalystのカルダノエコシステムへの影響
Project Catalystは、カルダノエコシステムの成長と進化において重要な役割を果たしています。このイノベーションプラットフォームは、分散型ガバナンスとコミュニティ主導の開発を促進し、カルダノブロックチェーンの可能性を最大限に引き出すための基盤を提供しています。
- イノベーションの加速: Project Catalystは、革新的なアイデアとプロジェクトを資金提供し、カルダノエコシステム内での技術的進歩を加速しています。これにより、カルダノはブロックチェーン技術の最前線に立ち続けることができます。
- コミュニティのエンパワーメント: Project Catalystは、カルダノコミュニティメンバーに対し、エコシステムの将来を形成するための直接的な影響力を与えています。コミュニティの参加と投票により、エコシステムはより民主的で透明性のあるものとなります。
- 持続可能なエコシステムの構築: Project Catalystを通じて、カルダノエコシステムは、持続可能で自己充足可能なモデルを目指しています。これにより、カルダノは長期的な成功と革新を維持することができます。
コミュニティ参加の重要性
- 意思決定への貢献: カルダノコミュニティの各メンバーは、プロジェクトの提案や投票を通じて、エコシステムの方向性に直接影響を与えることができます。この参加は、カルダノが多様なニーズと視点を取り入れ、革新的な道を歩むために不可欠です。
- 多様性と包括性の促進: Project Catalystは、世界中の様々な背景を持つ人々からの参加を奨励しています。この多様性は、カルダノエコシステムの革新と成長に新たな視点とアイデアをもたらします。
- 教育と啓発の役割: コミュニティの参加は、教育と啓発の機会も提供します。参加者は、ブロックチェーン技術やカルダノの機能について学び、他のメンバーに知識を共有することができます。
Project Catalystは、カルダノエコシステムの成長において、イノベーションの促進、コミュニティのエンパワーメント、持続可能な開発の三つの主要な柱を提供しています。コミュニティの積極的な参加と多様な視点は、カルダノが直面する課題を解決し、新しい機会を創出するために不可欠です。Project Catalystは、カルダノエコシステムが持続可能な成長を遂げ、ブロックチェーン技術の未来を形作る上で、中心的な役割を果たし続けるでしょう。
参考リンク：
カルダノのProject Catalystに関連する公式サイトのリンクは以下の通りです：
- Project Catalyst 公式サイト: projectcatalyst.io。
- Community – Project Catalyst: cardano.ideascale.com。このプラットフォームはIdeaScaleによって提供され、カルダノコミュニティが革新的なプロジェクトを提案し、資金を獲得するための場所となっています。
これらのサイトでは、Project Catalystの最新情報、参加方法、現在進行中のプロジェクト、コミュニティのディスカッションなどにアクセスできます。
Project Catalyst関連記事リンク：https://sipo.tokyo/?s=Project+Catalyst
これまでの特集は『進化するカルダノ・ベーシック』リストをご覧ください。
もしこの記事が気に入っていただけましたら、SIPO、SIPO2、SIPO3への委任をどうぞよろしくお願いいたします！10ADA以上の少量からでもステーキングが可能です。ステーキングについて知りたい方は、下記の記事をご参考ください。
ステーキング（委任）とは？
カルダノ分散型台帳システムによるステーキングの魅力とその方法：2021版
Q&A：カルダノ、ステーキングに関する基本的な説明集
ダイダロスマニュアル
ヨロイウォレット Chromeブラウザ機能拡張版マニュアル
ニュース動向 in エポック460
『進化するカルダノ・ベーシック』[#17]（その１）カルダノはEDIにおいて世界最高峰の分散型ガバナンスシステム
カルダノは2024年に入りロードマップの最後のフェーズ「VOLTAIRE：ガバナンス」に取り組んでいます。これまでProject Catalystにはじまり、CIP-1694、Intersect、SanchoNetといった流れの中で進んでおり、最終的にはカルダノネットワークが自律した完全分散化システムとなるために必要とされる最後のパーツであるオンチェーンガバナンスが組み込まれます。投票システムとトレジャリーシステムの導入により、ネットワーク参加者はステークと投票権を使って、ネットワークの将来の開発に影響を及ぼすことができるようになります。
次の10倍の成長に乗り遅れないように
アブダビファイナンスウィーク：「次の10年のデジタル資産インフラの道を拓く」
今後10年間のデジタル資産の課題と機会、チャールズ・ホスキンソン氏の洞察と2025年の予想される「ブルラン」でのカルダノの潜在的な役割に焦点を掘り下げてご紹介
今後10年間で、デジタル資産インフラは著しく進化することが予想されます。この進化には、グローバルな金融業務の負荷に対処できるようなスケーラビリティ、取引のプライバシー、コンプライアンスの向上が求められます。また、機関の関心と進歩、新しい形の資産や取引の創出、そして暗号通貨の連携と規制のバランスが重要な要素となります。
カルダノ週刊開発レポート：2024年1月13日
ハイライト
ouroboros-networkにマイナー修正をもたらすノード v.8.7.3をリリース
ステークプール報酬パフォーマンスを強化し、同期オプションを追加したLace 1.8リリース
Plutusのパフォーマンス向上と台帳ステータスインデックス作成作業が進行中
HydraにConwayサポートを実装
Voltaire 2024年目標の概要を作成
Fund11、コミュニティレビュー段階が進行中 2024年教育活動を計画中
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https://www.essentialcardano.io/development-update/weekly-development-report-as-of-2024-01-12
現時点の統計
開始されたプロジェクト：156
構築中のプロジェクト：1,318
ネィティブトークン：9.4m
トークンポリシー：90,080
トランザクション数：82.8m
Plutus v1：6,308
Plutus v2：15,118
