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暗号時代の夜明け:米国のルール再編、カルダノの南進、ビットコインの跳躍と分散型未来の胎動:ニュース動向 & ステーキング状況 in エポック559

暗号時代の夜明け:米国のルール再編、カルダノの南進、ビットコインの跳躍と分散型未来の胎動

はじめに:通貨と国家の関係が再構築される時代

2025年、世界は大きな転換点に差し掛かっています。

米国議会では、暗号資産業界の未来を左右する二つの重要法案──「GENIUS法案:ステーブルコイン規制法案」と「FIT21:市場構造法案」が本格審議に入り、いよいよ制度設計の核心が問われようとしています。これは単なる法整備ではなく、ドル覇権体制を維持・変容させながら、ブロックチェーンと金融が融合する“新しい経済秩序”への足がかりとも言える動きです。

こうした地殻変動の中、カルダノは南米アルゼンチンに新拠点を構え、規制に縛られない地域での採用促進に舵を切りました。一方で、ビットコインは新たなETF資金流入と法定通貨準備としての採用拡大を背景に、史上最高値圏を再び射程に捉えています。特にテキサス州では、「ビットコイン準備法案」が知事承認を待つ段階にあり、州政府レベルでの採用が現実味を帯びてきました。

本特集では、米国の暗号資産規制の動向を軸に、カルダノの地政戦略、ビットコインの市場動向、そしてその先にある「分散型経済」の可能性を総合的に展望します。これは、通貨と国家の関係が再構築される時代の、序章にすぎません。


第1章:米国暗号資産規制の新展開

GENIUS法案(ステーブルコイン規制法案)とFIT21市場構造法案)の進展状況

2025年春、米国議会では2つの重要な暗号資産関連法案が本格的な審議段階に入り、制度的な枠組みの再設計が始まっています。一つはGENIUS法案(Guiding and Establishing National Innovation for U.S. Stablecoins Act)、もう一つは市場構造法案(Financial Innovation and Technology for the 21st Century Act, 通称FIT21)です。

GENIUS法案は、法定通貨に裏付けられたステーブルコインの発行と運用に関する連邦規制の確立を目的としています。これまで州単位でバラバラだった認可制度を統一し、連邦準備制度の監督下で1:1の準備資産義務、監査制度、AML/KYCの遵守を義務付ける内容です。2025年5月19日時点で、同法案は上院本会議で66対32で可決され、最終審議を控える段階に到達しました。

一方、市場構造法案(FIT21)は、暗号資産の証券・商品(コモディティ)としての区分を明確化し、SECとCFTCの監督範囲を整理する包括的な枠組みです。また、デジタル資産の発行者・取引所・ブローカーに対しても、ライセンス制度の導入や透明性の高い開示義務を求めています。こちらは2025年5月5日より下院での審議が開始され、今後は上院との調整を経て法案成立を目指す流れです。

上院での議論と制度設計の重み

上院におけるGENIUS法案の可決は、暗号資産が“イノベーション”の象徴から、“制度的金融インフラ”として扱われる転換点を意味します。共和党保守派は、ドル覇権維持のために民間ステーブルコインを国家戦略として活用すべきとの立場を取り、民主党の一部は金融安定性と消費者保護の強化を軸に議論を進めています。

象徴的な動きとして、ブラックロックやJPモルガンなどがステーブルコイン発行の構想を公表しており、ルール整備が完了すれば、伝統金融機関によるステーブルコイン発行が現実のものになる可能性も高まっています。

暗号資産市場に与えるインパクト

GENIUS法案およびFIT21法案の成立は、暗号資産を取り巻くエコシステムを大きく変える契機になります。

まず、ステーブルコインが制度的に明確化されることで、米ドル建てのデジタルマネーが世界中の金融取引に浸透する可能性が広がります。これは、ドル覇権のデジタル延命装置としての機能を果たすと同時に、分散型金融(DeFi)やクロスボーダー決済のインフラとして大きな役割を担うでしょう。

また、FIT21により、グレーゾーンにあった暗号プロジェクトが合法的な立ち位置を得ることになれば、米国市場への機関投資家の本格参入も加速します。これにより、暗号資産市場全体の信頼性と透明性が大幅に向上し、「投機的資産」から「制度的資産」への進化が促進されることになるでしょう。

🗂 米国暗号資産規制の新展開タイムライン

📊 主な法案の概要

1. GENIUS法案(Guiding and Establishing National Innovation for U.S. Stablecoins Act)

  • 目的:ステーブルコインの発行と運用に関する包括的な連邦規制枠組みの確立
  • 主な内容
    • 1:1の準備資産保有義務
    • 定期的な監査と情報開示の義務
    • マネーロンダリング対策(AML)および顧客確認(KYC)の遵守
    • 外国発行体および大手テック企業によるステーブルコイン発行の制限
  • 進捗状況:2025年5月19日、上院で66対32の票差で可決され、最終審議へ進行中 

2. 市場構造法案(Financial Innovation and Technology for the 21st Century Act, FIT21)

  • 目的:デジタル資産市場における証券と商品(コモディティ)の明確な区分と規制の整備
  • 主な内容
    • SECとCFTCの管轄範囲の明確化
    • デジタル資産の発行者に対する開示義務の強化
    • 取引所やブローカーに対するライセンス制度の導入
    • 分散型プロジェクトに対する「技術中立性」の確保
  • 進捗状況:2025年5月5日、下院での審議が開始され、上院との協議が予定されている 

📅 法案進展のタイムライン(2025年)

  • 3月6日:トランプ大統領、戦略的ビットコイン準備金の設立を発表
  • 4月2日:下院金融サービス委員会、STABLE法案を32対17で可決し、下院本会議へ送付
  • 5月5日:下院、FIT21法案の審議を開始
  • 5月19日:上院、GENIUS法案を66対32で可決し、最終審議へ進行
  • 5月22日:ビットコイン価格、規制進展を受けて過去最高値の約112,000ドルに到達 

🔗 関連資料とリンク


第2章:カルダノと米国政治の交差点

チャールズ・ホスキンソン氏の「ダイエットコーク会談」

2025年春、カルダノ創設者チャールズ・ホスキンソン氏は、自身が予定していたトランプ政権中枢との非公式対話──通称「ダイエットコーク会談」──が突如中止となったことを明らかにしました。この対話は、暗号資産政策とブロックチェーン技術の国家戦略化に関して意見交換を行う場となるはずでしたが、政治的圧力によって直前で中止されたとされています。

この件を通じてホスキンソン氏は、「カルダノは政権や行政の裏側で便宜を図るようなことはせず、常に法案プロセスへの公開的な関与を通じて制度に向き合ってきた」と明言しました。行政の裁量や政治的便宜主義とは一線を画し、あくまで制度的正統性を持ったアプローチに基づいて行動していることが強調されました。

参考記事;



法案を通じた秩序への接続──米国規制とカルダノの戦略

現在、米国では「GENIUS法案(ステーブルコイン規制)」と「FIT21法案(市場構造法案)」、そして州レベルでは「ビットコイン準備法案」のような制度整備が進行しています。これらはいずれも、暗号資産を法の枠組みの中に統合し、将来的な金融インフラの一部とすることを目的とした動きです。

特に注目すべきは、これらの法案が単に金融の安定化や監督強化を目的としたものではなく、民間発行のステーブルコインやビットコインなど、中央銀行を介さないデジタルマネーの活用を前提とした制度設計に踏み出している点です。

この動きは、アルゼンチンの現政権──ミレイ政権が掲げる「中央銀行廃止」「暗号資産による自由市場主義の推進」路線と思想的には極めて近い方向性を持っていると見ることができます。すなわち、米国とアルゼンチンはアプローチの違いはあれど、両者とも暗号資産を経済の中核インフラとして据えるという点で一致しているのです。



二正面戦略──カルダノの米・アルゼンチン連携モデル

カルダノはこうした状況を深く洞察し、米国における制度整備の進展を鋭く注視しながらも、アルゼンチンのように制度的自由度の高い国家での展開を優先的に進めようとしています。これは単なる「逃避的展開」ではなく、むしろ複数の政治体制・制度設計の中で“分散型ガバナンス”の柔軟性と持続可能性を証明する試みです。

アルゼンチンでは、IOGが拠点を設立し、地方政府や教育機関との協力を通じて、分散型ID、投票、トークン経済圏のインフラ構築を進めています。これは米国でのProject Catalystや憲法委員会、DRep制度といった制度対応型ガバナンス実装と平行しながら、自由経済圏における「分散型公共財モデル」の実証を進めていることを意味します。

このように、カルダノは制度順応性と制度外展開の両輪によって、新しい経済的パラダイムの現場実装を試みているのです。



分散型の未来は「調和と共創」から生まれる

規制と対立するのではなく、規制と調和しながら自律性を保つこと。そして、国家の支配を拒否するのではなく、国家と共に新しい公共性を模索すること──カルダノの姿勢は、単なる技術の提供ではなく、“新しい社会システムの共創”そのものであると言えます。

米国とアルゼンチンという政治文化も経済制度も違う二国で、それぞれに適合しながらも普遍的な価値を提供しようとするカルダノの試みは、分散型時代における公共インフラのモデルケースとして注目に値します。


第3章:ビットコインの跳躍──金融安全保障としての国家戦略へ

価格高騰とETF資金の流入が示す「制度化」の帰結

2025年5月現在、ビットコインは再び史上最高値となる112,000ドル台を突破し、市場全体が明確な強気相場へと転じています。この高騰の主因とされているのが、現物型ビットコインETFの資金流入です。

ブラックロック、フィデリティ、ヴァンエックといった機関投資家が運営するETFへの流入額は、1日あたり数千億円規模に達する日もあり、ETFによる“制度経由の購入圧”が、ボラティリティを保ちつつも価格を底上げする構造が出来上がりつつあります。

これにより、ビットコインはかつての“投機的資産”から、制度が受け入れる投資対象──ひいては戦略的資産クラスへと格上げされつつあるのです。

「ビットコイン準備法案」が象徴する新しい国家戦略

そうした動きを象徴するのが、米テキサス州を中心に提出されている「ビットコイン準備法案(Strategic Bitcoin Reserve Act)」です。この法案は、州の一部準備資産をビットコインで保有することを認めるもので、中央銀行を介さずに分散型資産で財政安全保障を担保する構造を視野に入れています。

この動きは、連邦レベルではまだ限定的ですが、州が“ビットコインによる地政学的ヘッジ”を試み始めたという点で注目に値します。トランプ政権もこれに呼応する形で、ビットコインを含む暗号資産政策を積極的に支持し、「アメリカがこの領域で覇権を握ることが不可欠だ」と発言しています。

この背景には、FRBの金利政策、ドルの国際的信認の揺らぎ、地政学的リスクの増大といった、既存通貨体制への構造的懸念があります。そこで、物理的に国境を持たず、発行上限を備え、ネットワークとして独立したビットコインが、安全資産としての新たな機能を獲得しつつあるのです。

国家戦略としてのビットコイン──「ゴールド2.0」から「ソブリン・レイヤー」へ

ビットコインはこれまで「ゴールド2.0」として語られてきました。しかし現在、より深いレベルでの認識が進みつつあります。すなわち、ビットコインはもはや金と同様の“価値の保存手段”という次元にとどまらず、国家レベルでの通貨主権・エネルギー主権・インターネット主権を再構成する基盤(=ソブリン・レイヤー)として注目され始めているのです。

ビットコインマイニングの地政学的分布、エネルギー戦略との統合(特に火力・水力の活用)、L2を通じたスマートコントラクトの統合などを通じて、ビットコインは単なる資産から“戦略的通信ネットワーク+金融インフラ”へと進化しています。

カルダノと交差するビットコイン国家戦略の影

ビットコインの制度化は、カルダノにとっても間接的ながら重大な意味を持ちます。なぜなら、ビットコインが制度に組み込まれれば組み込まれるほど、他の分散型プロジェクト──特にガバナンス層を備えたプロジェクトにも制度接続への道が開かれるからです。

カルダノは、「金融」だけでなく「投票」「ID」「公共財」まで含んだ統合的な分散型社会基盤(DSI)を目指しており、ビットコインが「分散型価値の制度化」の先鋒として機能することで、カルダノの位置づけもまた補完的に強化されることになるでしょう。


第4章:カルダノの南米戦略──自由市場における分散型社会基盤の構築

IOGアルゼンチン拠点の設立とその戦略的意味

2025年、カルダノの創設者チャールズ・ホスキンソン氏が率いるInput Output Global(IOG)は、ブエノスアイレスにカルダノ史上最大規模の拠点を設立しました。場所は、かつてGoogleが使用していた高品質オフィスを改装したもので、最大100名規模の常駐体制を敷くと同時に、毎月ミートアップやハッカソンが開催されるオープンな開発者拠点として機能しています。

この展開は単なる南米市場進出ではありません。ホスキンソン氏は「アルゼンチンこそが、中央銀行に頼らずに“民間主導の金融インフラ”を構築できる世界初の国家になり得る」と明言しています。

彼が語るビジョンは明確です。

「これは政府主導の“暗号通貨支持”ではなく、国民が自ら選び、信じ、使っている“本物の金融自由”なのです」。

アルゼンチンは過去数十年にわたり、度重なる通貨危機と制度不信に晒されてきました。現在では、GDPのうち推定1,000億ドルが暗号資産に移行していると言われており、この現実が「レガシー制度からの離脱」への集団的意思表示となっています。

南米最大のWeb3都市構想とカルダノのユースケース

IOGが目指すのは、単なる技術展開ではありません。ブエノスアイレスを南米最大のWeb3ハブとする構想は、カルダノを中心としながらも、EthereumやSolana、Bitcoin、BNBなど他チェーンも歓迎する“完全な開放性”に基づいています。

  • ハッカソン主催者への支援(会場・資金)
  • クロスチェーン連携
  • 社会的インパクトに即したプロジェクト支援

これにより、カルダノは「鎖国的ブロックチェーン」ではなく、「共通のOSを提供する開放的な公共財」としての立ち位置を強化しています。

現地では以下のようなプロジェクトが検討・進行中です。

  • 地方自治体の行政手続きにおける分散型IDの導入
  • ハイパーインフレーション下における地域トークンの設計支援
  • 市民参加型の予算分配・投票システムの試験実装
  • 地元農業サプライチェーンのNFT・スマート契約によるトレーサビリティ強化
中央銀行の終焉と民間通貨の夜明け

ホスキンソン氏は、ブエノスアイレスでのスピーチにおいてこう語りました。

「私は自由のある国に行く。5年以内に民間通貨の時代が来る。しかし、それは中央銀行がなくなった後の話だ」。

この発言は、暗号資産による金融主権の回復と政治的自由の融合という、深い思想的ビジョンを表しています。アルゼンチンのように制度が不安定な国では、信頼の基盤が国家ではなく、「コード」「合意」「公開プロトコル」へとシフトしているのです。

こうした文脈でカルダノが果たす役割は、もはや通貨を作ることではありません。新たな公共性の構築──“信頼なき環境でも成立する社会”の構築なのです。

カルダノ × アルゼンチン:文明の再構築へ

SIPOの表現を借りれば、「これは未来ではない。カルダノに迫る“超最強の先約”である」。アルゼンチンは、制度崩壊と社会的希望の空白が交差する「新しい社会契約のキャンバス」であり、カルダノはそこに現実的かつ実装可能な分散型経済モデルを描こうとしています。

国家ではなくコード
命令ではなく合意
中央ではなく分散

── その先にあるのは、「個人が選び取る社会基盤」の誕生です。


第5章:IOGとアルゼンチン企業FORCEとのBitcoin DeFiの展開

パートナーシップの背景と目的

2025年4月、IOG(Input Output Global)はアルゼンチンの企業FairgateおよびRootstockLabsと共同で「BitVMX FORCE」というアライアンスを設立しました。この取り組みは、Bitcoin上での計算能力を拡張し、DeFi(分散型金融)機能を強化することを目的としています。

BitVMXは、Bitcoinのセキュリティと分散性を維持しながら、複雑な計算処理を可能にするフレームワークです。RISC-Vアーキテクチャとの互換性を持ち、開発者が標準的なツールチェーンを使用してBitcoinネイティブのアプリケーションを構築できるように設計されています 。

カルダノとの統合と技術的展望

IOGは、BitVMXを活用してBitcoinとカルダノの間の橋渡しを行い、Bitcoin資産をカルダノのスマートコントラクト環境で活用することを目指しています。この統合により、Bitcoinの流動性をDeFiエコシステムに取り込み、新たな金融サービスの提供が可能となります 。

また、IOGは2025年5月に開催される「Bitcoin 2025」カンファレンスで、Bitcoin DeFiの新機能に関するプレゼンテーションを予定しています。このセッションでは、Bitcoinとカルダノをシームレスに統合する信頼最小化プロトコルの概要が紹介される予定です 。

今後の展望とコミュニティへの影響

BitVMX FORCEは、開発者、研究者、業界リーダーを巻き込みながら、Bitcoinの計算能力とDeFi機能の拡張を推進していく予定です。ワークショップやハッカソンを通じて、BitVMXの採用と標準化を進め、Bitcoinエコシステムの次世代の計算能力を形作っていくことが期待されています 。

このパートナーシップと技術的進展により、Bitcoinとカルダノの相互運用性が向上し、より多様な分散型金融サービスの提供が可能となるでしょう。特に、アルゼンチンのような経済的課題を抱える地域において、新たな金融インフラとしての役割が期待されています

さらに詳しい情報や最新の進捗については、以下の公式サイトをご覧ください。


第6章:分散型経済の未来──秩序なき時代における“設計する通貨”の試み

SIPOの視点から見る通貨の再設計

「通貨とは、誰が発行するかではなく、誰が“合意するか”の時代に入った」。

これは、カルダノSPOおよびDRepとして活動するSIPOが繰り返し提起してきた思想であり、通貨が国家主権の道具から、分散型公共インフラの一部へと再構築される流れを象徴しています。

ステーブルコインや地域通貨、ポイントトークンの普及は、この再設計の最前線です。特に、カルダノのようなUTXOベースの高セキュリティ環境においては、中央発行者なしで価値交換が成立する構造──つまり、「選ばれる通貨」の実装が現実味を帯びてきています。

SIPOはこの視点から、カルダノ財務・Hydra・Catalystを活用した地域連携モデル(例:AIRAプロジェクト)のような「通貨=コミュニティの信認エンジン」という捉え方を提示しています。これは、信用や価値を担保するために国家や銀行を必要としない、新しい時代の“自律的経済構築装置”と呼ぶべきものです。

カルダノのガバナンスモデルとその意義

カルダノの最大の特徴は、単に分散型の取引台帳を提供するのではなく、分散型の意思決定プロセスそのものを内包している点にあります。

  • ADAホルダー:あらゆるガバナンスの最終的な意思決定者であり、トレジャリー配分、憲法採択、委員会の選出に対する投票権を持ちます。
  • SPO(ステークプールオペレーター):ブロック生成者であると同時に、将来的にはネットワークパラメータ変更や緊急対応など、技術的ガバナンスに関与する重要な立場です。
  • DRep(Delegated Representative):ADAホルダーから委任を受けて提案への賛否を表明し、日常的な意思形成を担う代理人層。
  • Project Catalyst:誰もが提案者となり、投票を通じて資金が配分される世界最大のオンチェーン助成制度。
  • 憲法委員会およびGovTool:カルダノブロックチェーンの“ルール”を制定・監督する制度設計の中枢。

この一連の構造は、国家や企業ではなく「開かれたコードによる統治」を志向するものであり、「民主主義2.0」や「分散型市民国家」といった構想にもつながるものです。

カルダノのガバナンスは、単に“投票機能を付けました”というレベルではありません。予算、提案、評価、執行、報告という公共的プロセス全体をオンチェーンで成立させるという挑戦であり、これは民主制度の再構築でもあります。

分散型経済圏の構築に向けた課題と展望

とはいえ、分散型経済の未来は楽観だけでは語れません。現実には以下のような課題が立ちはだかっています。

  • 法制度との接続:分散型組織と現行法の整合性、KYC/AMLのバランス
  • ユーザビリティと教育:一般市民にとっての使いやすさと理解の壁
  • スケーラビリティとコスト:ミクロな経済圏での高速・低コストな処理要求(HydraやLeiosへの期待)

これらの課題に対して、カルダノは「技術・制度・思想の三位一体」で応答しようとしています。技術ではLeios、制度ではガバナンス3層モデル、思想では“文明の再設計”という理念がそれぞれの支柱となっています。

分散型経済とは、単に中央がないことを意味するのではありません。個々の主体が責任と選択のもとに関係を構築できる構造──それこそが未来の経済システムであり、カルダノはそのOS(オペレーティング・ソーシャルレイヤー)になろうとしています。

終りに──“文明の意志”としてのカルダノ

2025年、世界はかつてない規模で「信頼の再設計」を必要としています。国家、通貨、報道、教育──あらゆる領域で制度の形骸化が進む中、カルダノやビットコインのような分散型インフラが、静かに、そして確実に次なる社会基盤としての地歩を築き始めています

この特集で見てきたように、米国の法整備、アルゼンチンの金融実験、ビットコインの戦略化、カルダノのガバナンスは、それぞれの文脈で進んでいるようでいて、実は一つの共通した問いに向かって進んでいます

「我々は、誰によって統治されるのか?」

「そして、どのようにして合意を築いていくのか?」

カルダノという名前の由来となった16世紀の哲学者ジローラモ・カルダーノが「数学で世界を説明しようとした」ように、現代のカルダノは「コードとガバナンスで社会を設計しようとしている」。

通貨の未来とは、社会の未来であり、文明の未来でもあります。

カルダノは、その再設計に正面から挑んでいます。


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