“Hang in there”:チャールズ・ホスキンソン氏が語る──暗号資産の原点回帰とリテール復活の必要性
2025年末、マーケット全体が急落する「真っ赤な日」に、
カルダノ創設者チャールズ・ホスキンソン氏が
「Hang in there(踏ん張れ)」 と題した動画を公開しました。
この動画は、
暗号資産市場、世界経済、AIバブル、米国政治、
そして“失われたリテール(一般ユーザー)”について、
率直かつ非常に重いメッセージが込められた内容です。
*「リテール」とは、個人投資家(個人トレーダー)機関投資家ではなく、自分のお金でBTC・ADA・ETHなどを買って使う人。
■ 市場が真っ赤な日に──「救世主は来ない」
動画冒頭、ホスキンソン氏は
スマホを開くと一面の赤いチャートが目に入る“悪夢の朝”から話を始めます。
そしてこう言い切ります。
「救世主なんて来ない。政府も企業も誰も助けてくれない。」
2021年以降、暗号資産業界はNFTバブルやミームコインに溺れ、
本来の目的を失い、リテールの信頼を完全に失ったと彼は語ります。
- バナナの絵が150万ドル
- ツイートのNFTが数十万ドル
- 実用性ゼロのミームコインが人気
- 業界全体が“お祭り騒ぎ”に偏った
- 一般ユーザーは「ふざけるな」と去っていった
そして2025年現在も、
“機関投資家が救ってくれる”という幻想が業界に残っています。
しかし、彼の答えは明確です。
「彼らは救いに来るために来ているのではない。自分たちのために数兆ドルを稼ぎに来ているだけだ。」
■ レガシー金融は崩壊しつつある──だからこそ暗号資産が必要
ホスキンソン氏は、現在の世界経済の異常さを次々と列挙します。
● 返済不可能な338兆ドルの世界債務
● 50年ローン、10%インフレ、マイナス金利
● アメリカでは、マクドナルドよりプライベートエクイティ(会社の所有権)企業の数が多い
● 住宅価格は40年で8倍、教育費は10倍、医療費はさらに高騰
● NVIDIAの時価総額は5兆ドル(カナダ+オーストラリアより大きい)
● AIとロボットで2億人が職を失う未来
現行の金融システムはもう維持不可能であり、
富裕層だけの“二層構造の経済”が進行していると指摘します。
そしてこう語ります。
「だからこそ暗号資産が必要なんだ。
経済的自律性、健全なお金、セルフカストディ。
これを提供できるのは暗号資産だけだ。」
■ 暗号資産は本来「10億人が使うべき技術」である
ホスキンソン氏は強調します。
暗号資産が本当に目指していたのは:
- 誰でも使える金融インフラ
- 銀行口座を持てない数十億人へのアクセス
- 仲介者のいない支払い・送金
- スマホで投票できる安全な民主主義の基盤
- アイデンティティの自己所有
- データの自己管理
つまり、
“実際の生活を改善する技術”だったはずだと。
しかし、2021年の熱狂で業界は方向を見失った。
「私たちは2021年に道を失った。」
■ すべてを取り戻す鍵は「リテール」しかない
彼の結論は極めてシンプルです。
「リテールが戻らない限り、暗号資産は成功しない。」
そしてこう続けます。
「明日はもっと悪くなるかもしれない。
だが原点に戻るなら、私たちは世界を変えられる。」
暗号資産に未来を取り戻すための条件として、
次の“原則”へ立ち返る必要を説きます。
- 分散化
- セルフカストディ
- 健全なお金
- 経済的主体性
- 分散型ID
- プライバシー
■ Midnightは“原点回帰”を象徴する存在
ホスキンソン氏は、
7日後にローンチする Midnight を「原点回帰」として紹介します。
● VCなし
● ICOなし
● 事前販売なし
● ただ配布するだけ
● サトシの哲学に戻ったプロジェクト
これは、
市場の狂気ではなく、
“原理原則を重んじる暗号資産”の再構築を目指す取り組みだといいます。
■ 未来は暗いが、希望は“私たち”にある
動画の最終メッセージは、
厳しい現実を認めつつ、力強いものです。
「私たちが声と主体性を取り戻し、暗号資産を唯一の選択肢にしなければならない。」
「吸血鬼(大企業・政府)を招き入れてはならない。」
「リテールが戻れば、私たちは勝てる。そして世界は変わる。」
■ まとめ
この動画は、
単なる市場コメントではなく、
“暗号資産は何のために存在するのか”
“私たちはどこで道を誤ったのか”
“どこへ戻るべきか”
を突きつける内容です。
ホスキンソン氏は、自分の未来を賭けてでも
暗号資産の原点を取り戻すべきだと訴えています。
そして繰り返し強調します。
「リテールを取り戻せ。それが暗号資産の未来を救う唯一の道だ。」
以下はチャールズ・ホスキンソン氏動画「Hang in there」を翻訳したものです。
チャールズ・ホスキンソン氏動画「Hang in there」全翻訳
こんにちは。チャールズ・ホスキンソンです。暖かくて晴れたコロラドからライブでお届けします。いつも暖かく、いつも晴れ。そして時々コロラドです。
今朝起きたとき、あの「Jimmy Wake Up」ミームみたいな感じでした。
スマホを手にして、真っ赤な画面がバーっと飛び込んできて、
「うわ、マジか…」ってなるやつです。
「さて、今日はどれだ?今日はどんな“おしおき”を食らう日なんだ?」
そう思ったら、今回は“日本のキャリード・インタレスト(利益相反的な税制優遇)”でした。
それから、日本国債の利回りが2006年以来の高水準。
…ええと、これは結構ヤバいことになってきています。本当に。
外の世界は厳しい。きつい状況です。
そしてマーケットは容赦なくこういう動きを続ける。
みんな“救世主”を探しているんですね。
「誰かが来て、この状況をどうにかしてくれるだろう」と。
でも――
救世主なんて来ません。誰も。ゼロです。期待するだけ無駄です。
この業界は“リテール(一般ユーザー:個人投資家)”のムーブメントとして始まりました。
そして成功するのも、リテール中心で動き続けられた場合だけです。
私たちは2021年にリテールを失いました。本当に失ったのです。
なぜか?
この業界が バナナの絵を150万ドルで売るNFT を始めたからです。
ツイートを売り出したからです。(本物じゃなく、ツイートを「表すNFT」)
私自身も、皮肉を込めて「Do you know who I am?(俺が誰だか分かるか)」という私のツイートNFTを売って、ナイジェリアの団体に寄付しました。
でも――
業界として完全に道を踏み外した のです。
リテールを裏切った。
そして彼らは当然こう言いました。
「ふざけんな」
…そして離れていった。
さらに業界は“ミームコイン”でこの流れを茶化し、
「実用性ゼロのジョークトークン」に投資する遊びを始めてしまった。
そしてこう言い始めたのです。
「機関投資家が来て、俺たちを救ってくれるさ」と。
でも彼らは救いに来るために来るのではありません。
自分たちのために数兆ドル稼ぐために来るのです。
私たちが築いたものを自分たちのビジネスモデルに利用するために来るだけ。
アメリカ政府も白馬に乗って助けに来たりしません。
トランプでそれを期待したけど、うまくいかなかった。
私も興奮して「おお、ついに政府が味方してくれる」と思った。
でも、やったことはいつも通りです。
「助けに来たよ」と言って――
結局は裏切られる。
だから私たちには2つの選択肢がある。
1つ目は、店じまいして「終わった」と諦めること。
革命は終わり。
家に帰って、経済崩壊をただ待つだけ。
2つ目は──
情けない自分たちをもう一度立ち上がらせて、
2020年にやっていた“本当の進歩”へ戻ること。
リテール主導の革命に立ち返ること。
暗号資産ユーザーを10億人にすることは不可能じゃない。
でもそれを達成する方法は一つだけ。
“実在する人々”の“実際の問題”を解決する“本物の技術”を作ること。
週ごとに10倍になるようなバカげた幻想じゃない。
こういう“全面真っ赤の日”は、むしろ反省の時間でもある。
立ち止まって自問する機会だ。
「俺たちはなぜここにいるんだ?」
「何のためにやっている?」
「最終的なゴールは何だ?」
私は15年間この業界にいる。
何度も、何度も、何度も言ってきた。
私は世界の経済・政治・社会システムを変えるためにいる。
世界のすべての人にとって、仕組みをより良くするためにいる。
それを私は心の底から信じている。
科学としても、数学としても、工学としても、それが可能だと信じている。
私はスマートフォン一つで、
安全に投票できて、自分の票を検証でき、
システムの整合性をチェックできる投票システムを構築できる。
それが社会にもたらす価値を考えてみてほしい。
民主主義の信頼を取り戻すことができるのだ。
同じように、スマホ一つで
銀行になれる。
決済システムになれる。
仲介業者なんて必要ない。
それが、銀行口座を持てない何十億もの人々にとって
どれほど価値があるか考えてみてほしい。
レガシー金融が我々に提供しているものは何か?
- 50年ローン
- インフレ10%
- マイナス金利
- 338兆ドルの、物理的に返済不可能な世界債務
- ボロ家が150万ドル(約2億円)
- 中にシロアリ
- 屋根裏にホームレス
- でも“プライベート・エクイティ企業”から買わないといけない
アメリカにはマクドナルドより多くのプライベートエクイティ企業がある。
- プライベートエクイティ:19,000社
- マクドナルド店舗:14,000店
これが今の金融システムが提供している現実だ。
今の世界は「二つの経済」に分裂している
● 富裕層経済(上位1,000万〜2,000万人)
・景気は最高
・GDPも好調に見える
・浪費的に消費しても余裕
● それ以外の経済
・賃金は40年でわずか20%上昇
・住宅価格は8倍
・教育費は10倍
・医療費はそれ以上
・賃金に全く追いつかない
さらに彼らはこう考えている:
「GDPの1〜5%をAIに投資し、
下位2億人の労働者を解雇し、
富をトップに集中させ続けよう」
ロボットがブルーカラーを消し、
AIがホワイトカラーを消す。
だからNVIDIAは 5兆ドル企業 になっている。
カナダとオーストラリアのGDPを合わせたより大きい。
たった1社でだ。
ジェンスン(NVIDIA CEO)がラスベガスで
クロコダイル柄のジャケットを着てドヤるのはいい。
でも、カナダとオーストラリアの何千万人もの国民の価値より
1企業が上回るという狂気は、もうバブルそのものだ。
日本のバブル期に
「皇居の土地の価値がカリフォルニア全土より高かった」
あれと同じ狂気だ。
だから、もし一般ユーザー(リテール)がこの現実を見たら、こうなる。
「もういい、昔の“奴隷労働システム=古い金融”に戻ろう」
でも──
リテールは、暗号資産エコシステムが “より良い選択肢” を提示しない限り戻ってこない。
必要なのは:
- 経済的な自律性(Economic Agency)
- アイデンティティの自己所有
- セルフカストディ
- 健全なお金(Sound Money)
- 実体のある経済
- 自分が自分の銀行になる自由
- 自分のデータを自分で所有する権利
これこそが、私たちが提供しなければならない価値だ。
100倍だの、ミームだの、うまくいかなかったら“スキャム”扱いだの──そんなものではない。
それをやっていたら、レガシー金融と何も変わらない。
私たちは2021年に道を失ったのだ。業界全体が。
そして、全員がそれぞれの“罪”を抱えている。
全員が血を流した。
だからこそ選択しなければいけない。
● 次に進むにはどうする?
原点に戻るのか?
暗号資産を広めるという本来のビジネスに戻るのか?
暗号哲学そのものに戻るのか?
それとも──
米国政府に助けてくれと懇願するのか?
ブラックロックに救済を頼むのか?
突然現れる“マクガフィン(奇跡の切り札)”を待つのか?
だが彼らこそが、338兆ドルの負債を生み出した“永久債務システム”の設計者だ。
彼らこそが、今まさにベネズエラと戦争を始めようとしている勢力だ。
人々の生活より“支配の維持”しか考えていない。
そして彼らこそが、
5〜10年以内に、君たちをロボットとAIに置き換える人々だ。
彼らこそがライム病を広め──
彼らこそがCOVIDを作り──
彼らこそが数十億の人々にワクチンを強制した。
彼らは君を助けない。
一度たりとも助けたことがない。
人類に力や主体性を持たせる気など初めからない。
政治運動(MAGAなど)も救いにはならない。
“救世主がやってくる時代”は終わった。
もう誰も来ない。
● 今日が赤い日でも、必要な赤だ
赤い日は“緑の日”をつくる前段階だ。
重要なのは、どうやって緑の日をつくるか。
それはただ一つ──
リテール(一般ユーザー)を戻すこと。
そうすれば、マーケットの狂気に振り回されなくなる。
このくらいの“赤”で驚いていたらダメだ。
AIバブルが崩壊した時、暗号資産に何が起きると思う?
今は暗号資産は“富裕層の贅沢投資”扱いだ。
一般人は、宝くじのように10倍を狙って投機する存在としか見られていない。
「新しい経済」だとは見てもらえていない。
● だから私は、破産覚悟で暗号資産に賭けている
私は暗号資産に全力で投資している。
破産するかもしれないが、それでもやる。
なぜなら、
暗号資産こそが世界の経済・政治・社会システムを再構築する唯一のチャンスだと信じているから。
しかしそれはリテールが戻ってきた時にしか実現しない。
だから私たちが連れ戻さなければならない。
これは“教授できるタイミング”なのだ。
学びの瞬間。
私たちの“最高の未来”はこれから先にある。
でも戻るべきは原点だ。
- 分散化
- セルフカストディ
- 分散型ID
- 暗号哲学
これらこそが暗号資産を偉大にした原点だ。
ただし──
私たちにはまだ 欠けている能力がある。
それは プライバシー だ。
そして 7日後に Midnight がローンチする。
Midnight では、これまでとは真逆のことをやった。
- VC(ベンチャーキャピタル)参加なし
- ICOなし
- 事前販売なし
- 誰かの利益取りゲームなし
- ただ配布しただけ
- 「サトシに立ち返れ」という哲学に戻っただけ
これこそ“原点回帰”だ。
成功するかどうかは分からない。
でも私は、自分の言葉に責任を持ち、
自分の金を実際に賭けて「やってみよう」と言った。
「リテールの軍隊を再びつくろう。
そして“自分のアイデンティティを所有する”だけでなく、
“プライバシーの主体性”を手に入れられる未来に興奮してもらおう。」
その未来こそが自由だ。
- 結社の自由
- 商取引の自由
- 表現の自由 これらを守るためにプライバシーは必要なのだ。
● 私が他のすべてのエコシステムに求めること
同じことをやれ。
この方向に行くための道を見つけろ。
次の5億人を連れてくるための仕組みを考えろ。
このムーブメントを再起動させろ。
私たちは道を失った。
だから取り戻さなければならない。
どんな形でもいい、とにかく取り戻す。
明日ラクになるとは言わない。
むしろ悪化してから良くなる。
でも長期的な理由に基づいて行動し、
原理原則に立ち返るなら──
君たちは勝つし、世界も変わる。
それはとてもシンプルだ。
● 私たちは“ドラマ”に依存しすぎた
- 楽な道を求めすぎた
- 誰かが助けてくれると期待しすぎた
- 救世主待ちをやりすぎた
- そして方向感覚を失った
暗号資産エコシステムの私たちは、
出発点へ戻る必要がある。
どれだけ良い世界がつくれるか、
本当は知っていたはずだ。
みんなをまとめる力があることも
テクノロジーが揃っていることも
知識があることも
能力があることも
本当は分かっている。
そして正直、
私たちはもう、このテーブルに座る“正当な資格”を得ている。
十分な価値を生み出してきたからだ。
● 逆に、このまま間違った方向に行けば何が起きる?
ウォール街にすべてを差し出すだけだ。
大政府・大企業にも差し出す。
そして彼らはこうやってきた:
- 世界に返済不可能な“永久債務”を押し付け、
- そのせいで国同士を戦わせ、
- 経済を繰り返し壊し、
- 人々の主体性を奪ってきた
そして今、
ロボットとAIでほとんどの人間を置き換えようとしている。
その“冷酷な計算”の中で、
余った人間はどうなると思う?
おそらく──
その未来には“彼ら(余剰人口)”は存在しないだろう。
私はそんな世界にいたくない。
だからこそ──
私たちが自分たちの声を取り戻さなければならない。
経済的な主体性も取り戻さなければならない。
そして、
“暗号資産を選ぶこと”を唯一の選択肢にしなければならない。
人々に教えるべきだ。
- 健全なお金(Sound Money)とは何か
- セルフカストディとは何か
- なぜ長期的に暗号資産が必要なのか
- なぜ資産を暗号資産に移すべきなのか
- なぜこれが“来る嵐”に備える唯一の手段なのか
だが──
吸血鬼(既存の権力)は招き入れてはならない。
暗号資産という選択肢は、
この先の世界を生き抜くための“防御”であり“自由”であり、
そして“未来の基盤”だ。
それを守り、育て、
本当に価値あるものへと戻していくのは、
政府でも、巨大企業でも、ウォール街でもなく、
私たち自身(リテール) である。
未来を取り戻すのは私たちだ。
主体性を取り戻すのも私たちだ。
自由を取り戻すのも私たちだ。
もう一度、原点に戻ってやり直そう。
暗号資産革命は、リテールが戻ってきたときにこそ完成する。
ありがとう。
























