チャールズ・ホスキンソン動画, ニュース, ...

チャールズ・ホスキンソン氏動画「Thoughts on Growth for Cardano in 2026 (Pentad Series)」全翻訳:カルダノ 2026年の成長についての考え方(ペンタッドシリーズ)

2026年、カルダノはどう成長するのか?

――ホスキンソンが語る「ペンタッド」と新しい行政機能

チャールズ・ホスキンソンが新シリーズ「Pentad(ペンタッド)シリーズ」の第1回として公開した今回の動画は、

「カルダノが2026年に向けてどう成長していくのか」を、かなり具体的に語った内容になっています。

キーワードは大きく分けて3つです。

  • ペンタッドという「5者構造」=新しい“行政機能”
  • クリティカル・インフラと DeFi ショーケース DApp 戦略
  • KPI/ハッカソン/コミュニティ集約による「成長エンジン」の設計

この記事では、動画のポイントを整理しつつ、

カルダノのこれからを理解するための視点として紹介していきます。


Voltaire 後のカルダノに必要だった「行政機能」

これまでのロードマップでは、Voltaire フェーズの目的は明確でした。

「カルダノの行き先を決めるハンドルをコミュニティに渡す」

CIP-1694 とカルダノ憲法によって、この方向性はすでに形になりつつあります。

  • 立法機能:ガバナンスアクションや予算に関する意思決定
  • 司法機能:憲法委員会によるチェック
  • DRep:チェック&バランスを担う代議人

ただ一つ、ずっと曖昧だったのが**「行政(エグゼクティブ)機能」**です。

  • 誰が「やる側」の責任を持つのか?
  • 誰が交渉し、契約し、インテグレーションをまとめ上げるのか?

行政だけが強くなりすぎると暴走しますが、

かといってまったく存在しないと「誰が動くのか」が永遠に決まらない――

カルダノが抱えていたのはまさにこのジレンマでした。


ペンタッド構造とは何か?

5つの主体で「一つの行政チーム」をつくる

そこで今回ホスキンソンが提案しているのが、**「ペンタッド(Pentad)構造」**です。

Pentad は「5つ」を意味します。

この5者とは:

  • Cardano Foundation(CF)
  • EMURGO
  • Input Output(IOG / IOHK)
  • Midnight Foundation
  • Intersect

この5つが一つの「行政チーム」として動き、

カルダノを代表して“集団交渉”を行う枠組みがペンタッドです。

ポイントは:

  • 各組織がバラバラに動くのではなく、一つの声として交渉する
  • いわば「カルダノ版・労組の団体交渉」のように、取引先やインフラ提供者と向き合う
  • まずは「試してから買う(try before you buy)」フェーズとして、 クリティカル・インフラのインテグレーションでこの構造をテストする

ここでホスキンソンが強調しているのは、

これは“王様を選ぶ”話ではなく、

ガバナンスから委任された行政機能として動くチームだという点です。

  • 権限はガバナンス(ADA 保有者と DRep)から委任される
  • その権限はいつでも取り消せる
  • つまり「チェックされる行政」である

という設計になっています。


第一段階:クリティカル・インフラを揃えないと「成長」の議論すらできない

動画の中で最初に整理された課題は、

「成長以前に、そもそも欠けているものが多すぎる」という現実でした。

カルダノに今足りていないものとして挙げられたのは:

  • ブリッジ
  • ステーブルコイン
  • オラクル
  • アナリティクス(データ・指標基盤)
  • 他チェーンとの商業的なインテグレーション一式

これらはすべて、

**DeFi エコシステムが Solana や Ethereum と同じ土俵に立つために必要な「商業的クリティカル・インフラ」**です。

しかし、

  • 個々のプレイヤーがバラバラに交渉すると高くつく
  • 相手は有能なビジネス組織で、分断されれば「各個撃破」される というリスクがあります。

だからこそ、

「この5者が“ペンタッド”として一つの行政チームになり、

まとめて交渉し、契約し、インフラを揃えていこう」

というのが第一段階です。

ここは非常にシンプルで、「合格か不合格か」がはっきりした領域です。

  • Circle をはじめとするインテグレーションが
    • 成立したのか
    • 成立しなかったのか
  • 実際に動いているのか/動いていないのか

で評価できます。


第二段階:DeFi ショーケース DApp を「10〜15個」育てる

クリティカル・インフラが揃った先にあるのが、

「カルダノ DeFi のショーケースとなる 10〜15 個の DApp を育てる」という第二段階です。

ここでいうショーケースとは:

「カルダノで何ができるの?」と聞かれた時に

自信を持って渡せる“ベスト・オブ・カルダノ”のリスト

のことです。

しかし現状、このクラスの DApp に共通する課題として、ホスキンソンは次を挙げています。

  • 資金不足(アンダーファンデッド)
  • 人手不足(アンダースタッフ)
  • 利用者が少ない(ユーザー数/トランザクション数が足りない)
  • TVL が少ない
  • その結果としてトークンの Tier1 上場力も弱い

一方で、Midnight のローンチにより、

カルダノ・ネイティブ資産が大手取引所にアクセスするための“入口”はすでに開かれたとも述べています。

「あとは、その入口を本気で通れるだけの規模・安全性・ビジネス性を

DApp 側が持てるよう、エコシステムとして支えていく必要がある」

というのが彼の主張です。


KPI・MAU・トランザクション・TVL:成長をどう測るか?

動画の中では、「成長を測る指標」として3つの数字が仮置きされています。

  • MAU(月間アクティブユーザー)
  • 1日あたりトランザクション数
  • TVL(Total Value Locked)

これらが「完璧な指標かどうか」はともかくとして、

ホスキンソンは次のような方向性を示しています。

  • Jarom Moron たちと一緒に、より良い KPI セットの議論を進行中
  • 最終候補の KPI セットができたら、Info Action としてガバナンスに提出
  • それを**「エコシステム公式の KPI」として採択してもらう**
  • 以降の予算は、「これらの KPI の成長」に何らかの形で紐づいていなければならない

つまり、

「予算=KPI を伸ばすための手段」であり、

「KPI=カルダノの成長を測る“物差し”」

という形をはっきりさせようとしているわけです。


アグリゲーター戦略:Bitcoin・XRP・UTXO資産をどう取り込むか

成長戦略の要として語られたのが、

「資本と人のアグリゲーター戦略」です。

具体的には:

  • Bitcoin DeFi
  • XRP(XRPL)
  • ネイティブスマートコントラクトを持たない UTXO 型チェーン(利回りを求める資本)

などから、

トークンとユーザーをカルダノの DApp に流入させる“導線”を開くことが狙いです。

  • ベースネットは Leios によって高速化
  • 各 DApp は Hydra によって個別に “Solana 級” の性能を獲得
  • そこに他チェーンの資本と人が流れ込む

という構図を描いています。


ハイブリッド DApp と Midnight の「プライバシー・アングル」

Midnight と組み合わせたハイブリッド DAppも、重要な差別化要素として挙げられています。

  • 既存の DeFi はプライバシー面で弱く
  • Midnight を活用することで、各 DApp が「プライバシー軸」を持てる
  • これは Ethereum などの競合チェーンにはまだない USP になる

Midnight は、

  • カルダノ上で最大級の資本力を持つプロジェクトであり
  • 自身が「カルダノ資産として上場・開発を経験した当事者」でもあるため

「カルダノ DeFi 全体の“声”を代表する立場」としてペンタッドに参加していると説明されています。


成長エンジンを回す具体策:隔週ハッカソンとコミュニティ集約

ホスキンソンは、成長エンジンを回すための具体策として、次の3つを挙げています。

1. 隔週(2週間ごと)のハッカソン

  • Midnight ですでに成果を上げたモデルをカルダノにも導入
  • End Maker がベルリンで開催したような大規模ハッカソンの頻度を上げる
  • DevX(開発体験)を高速に改善する仕組みとして機能させる

2. コミュニティの集約チャネル

  • 現状、X(Twitter)中心だが、ノイズ・ボット・毒性が多く、コミュニティ運営には不向き
  • Midnight では Discord に集約しており、カルダノでも同様の場を検討
  • 将来的には Pub/Sub を用いた分散型チャネルも選択肢

3. 機関投資家・アナリティクス企業向けセミナー/パンフレット

  • 多くの機関投資家は Messari などのアグリゲーターだけを見ており、 「カルダノにこんなものがあるとは知らなかった」という状態
  • セミナー+資料配布で、 「実際の数字」と「カルダノの USP」を直接伝える
  • ナラティブを取り戻すための情報戦略として位置づけ

IOG 内部の再編と AI 活用による開発速度のブースト

IOG 自身も、ペンタッドと足並みを揃えるために内部構造を再編しようとしています。

  • 「Cardano Business Unit」を新設し、
    • エコシステム支援
    • エンジニアリング
    • ガバナンス を一体運用する窓口にする
  • リーダー層には「成長志向のマインドセット」を持たせる

また技術面では、

AI コーディング(Vibe Engineering など)をフル活用し、

開発サイクルを 5〜10年から 1〜2年に圧縮する構想も語られました。

  • Google はすでにコードの 30% を AI で生成
  • これは「真空管 vs トランジスタ」のような構造的変化で、長期的に AI が主流になる
  • Lace → Acropolis でテストを行い、成功したものをスタック全体へ展開していく

形式手法や査読は維持したまま、

「研究からプロダクションまでの距離」を一気に縮める狙いです。


RealFi と Hydra:2026年に向けた切り札たち

動画の後半では、具体的なプロダクトの話も紹介されました。

RealFi:ベアマーケット専用の DApp

  • ケニア・ウガンダで100万件以上のローンを提供してきた実績をベースにした DApp
  • 利回りはオフチェーン由来で、トークン価格とは無関係
  • 市場が暴落し DeFi の利回りが崩壊しても、安定した利回りを提供する設計
  • 2026年という「厳しい相場」に合わせてローンチされる予定

Hydra:DApp 単位で 100万 TPS も可能なレイヤー

  • 各 DApp が「Solana 並み」のスピードを個別に持てる
  • オンチェーンの負荷はわずかなトランザクションにとどまる
  • Delta DeFi が、次世代 Hydra アプリケーションの先駆けとして先行

ここでも、

  • ベースレイヤーのスケール(Leios)
  • DApp 単位のスケール(Hydra)
  • その上での他チェーン資本流入(Bitcoin・XRP など)

という構図が強調されています。


DRep へのメッセージ:

「完璧を待つのか、それとも動きながら学ぶのか?」

最後に、ホスキンソンは DRep に向けて強いメッセージを投げかけています。

「あなたは“完璧”を待つのか?

それとも“不完全なまま動きながら学ぶ”ことを選ぶのか?」

  • DAO ハック後のイーサリアム
  • FTX 崩壊後の Solana
  • SEC 訴訟を受けた XRP
  • IBM に振り回された初期の Microsoft
  • 失敗から立て直した Apple

どの偉大なエコシステムも、100%の答えが揃ってから動いたわけではないと彼は指摘します。

ペンタッド提案に対して「情報が完璧ではないから NO」と投票することは、

ある意味で、

「完璧でない限り、何もやらない」

と宣言するのと同じだ、と。

一方で、ペンタッドモデルは

  • 王を選ぶ話ではなく
  • ガバナンスから委任され、いつでも撤回可能な行政チームであり
  • KPI とダッシュボードで常に評価される仕組み

として設計されています。


まとめ:2026年、カルダノを「最も成長する DeFi エコシステム」にできるか

今回の動画でホスキンソンが示したのは、

「単なる技術論」ではなく、「成長のための行政設計とエコシステム戦略」そのものでした。

  • ペンタッドによる行政機能の立ち上げ
  • クリティカル・インフラの一括交渉とインテグレーション
  • DeFi ショーケース DApp 10〜15個の育成
  • KPI に紐づいた予算と、隔週ハッカソン/コミュニティ集約/インスティ向けセミナー
  • RealFi・Hydra・Midnight を軸にした差別化戦略
  • AI の活用による開発サイクルの短縮

そして、そのすべては最終的に

「ADA 保有者と DRep によるガバナンス」の上に乗っているというメッセージでもあります。

2026年、カルダノを

「最も成長する DeFi エコシステム」にできるかどうかは、

行政機能とコミュニティガバナンスが“どう動くか”にかかっている ――

今回の動画は、そのスタートラインに立つための「考え方」を示した内容だと言えそうです。

以下はチャールズ・ホスキンソン氏動画「Thoughts on Growth for Cardano in 2026 (Pentad Series)」を翻訳したものです。

チャールズ・ホスキンソン氏動画「Thoughts on Growth for Cardano in 2026 (Pentad Series)」全翻訳:カルダノ 2026年の成長についての考え方(ペンタッドシリーズ)

やあ、チャールズ・ホスキンソンです。

いつものように暖かくて晴れているコロラドからお届けします。

いつも暖かく、いつも晴れ、たまにコロラドです。

今回から新しい動画シリーズを始めます。名前は「ペンタッド(Pentad)シリーズ」です。

基本的にはホワイトボード動画、ブラックボード動画、あるいはデジタル・ブラックボード動画みたいなもので、呼び方はお任せしますが、趣旨としては、2025年にカルダノ・エコシステムでどう成長を達成していくかについて話していくシリーズです。

まず最初に、これまでのロードマップを振り返ると、僕たちがやろうとしていたのは「ボルテール(Voltaire)」のフェーズに到達することでした。

ボルテールの目的は、カルダノの行き先を決めるハンドルをコミュニティ側に渡す、つまりカルダノ・コミュニティが主導権を持つ状態をつくることでした。

つまり、あなた方コミュニティが、

「何を優先すべきか」「カルダノをどう考えるか」「どこに向かいたいか」

を決められるようにする、という発想です。

僕たちはずっと「ガバナンスには三権が必要だ」と考えてきました。

つまり、司法・立法・行政の三つです。

ただ、このうち「行政機能」については、ずっとぼんやりしていました。

なぜかというと、立法と司法が十分に強くないまま行政を強くしすぎると、行政を抑える存在がいなくなってしまい、あらゆるものを握って暴走してしまうからです。

だから、そこをきちんと抑える構造が必要になります。


CIP-1694 とカルダノ憲法、そして三権の整備

CIP-1694 とカルダノ憲法のもとで、約1年が経ちました。

今では、かなり強力な立法機能があり、

そしてかなり強力な司法機能も整いました。

司法委員会が存在し、さらに DRep たちがチェック&バランスの役割を果たしています。

フォーク騒動のあと、僕たちはこう考えました。

「ペンタッド構造をつくってみようじゃないか」と。

ペンタッド(Pentad)というのは“五つ”という意味です。

ここで言う五つとは:

  • カルダノ財団(CF)
  • EMURGO
  • Input Output(IOG / Input Output Group)
  • Midnight Foundation
  • Intersect

この5つです。

そして、互いに、そしてコミュニティに対して「試してから買う(try before you buy)」の関係性をつくろうと考えました。


「クリティカル・インフラ」としての「試してから買う」

この「try before you buy」は、「Cardano クリティカル・インフラ」構想のことです。

今、僕たちには長い「やらなきゃいけないことリスト」があります。

たとえば:

  • ブリッジが必要
  • ステーブルコインが必要
  • オラクルが必要
  • アナリティクス(分析基盤)が必要

…などなど、カルダノの DeFi が、Solana や Ethereum と肩を並べてちゃんと動くために必須な“クリティカル・インフラ”の一覧があるわけです。

これらは全部まとめるとものすごく高コストです。

しかも、相手はみんな有能なビジネスパーソンたちが運営していて、こちらがバラバラだと「分断して各個撃破」されてしまい、めちゃくちゃ高くついて、ひどい状態になりかねません。

だからこそ、

「ペンタッド」を組んで、5者が一つの声として話し、集団交渉(コレクティブ・バーゲニング)のようにまとめて交渉しよう

となったのです。

そして、相手と話し合い、実際に紙にインクを乗せて、契約書にサインし、案件をちゃんと成立させていく。

ここで重要なのは、単に資金を出すだけでは不十分だということです。

  • 開発チームがいるか
  • 監査チームがいるか
  • それらを実際に使う DApp と組み合わせられるか

こういったところまで含めてちゃんと設計し、「使われるところまでセット」で進める必要があります。

9〜12ヶ月かけて、みんなでこれだけのことをやりきって、

「はい終わり、お疲れさまでした。じゃあ解散」

なんてことになったら、それこそ正気の沙汰ではありません。

この取り組みを本当に機能させるには、

5つの主体のあいだにガバナンス構造とカルチャーをつくり、1つのチームとして動けるようにする必要があるからです。

カルダノ・エコシステムのために、

  • 全員が一つのチームとして
  • 協調し、連携し、調整しながら

この目的に向かって動けるようになる必要があります。


ペンタッド=「行政機能」のテストベッド

この取り組みの良いところは、かなり「合格か不合格か」がはっきりしているところです。

  • 必要な統合(インテグレーション)ができたか
  • できていないのか
  • 動いているのか
  • 動いていないのか

たとえば「Circle は?これは?あれは?」といったものが、

起きたのか、起きなかったのかで判断できます。

だから、これは新たに立ち上がる「行政機能」のテストベッドとして非常に優れているわけです。

そして、この行政機能がちゃんと機能していると分かったとき、

次に行けるステップがあります。

それは、少し主観的で難易度が高いテーマ――つまり「成長」の議論です。

この動画の目的は、ここから先の話、

「カルダノにとって“成長”とはどういう姿か?」

について話すことです。


成長を測る3つの指標:MAU・トランザクション数・TVL

この動画のために、仮に次の3つの指標を考えましょう。

  1. MAU(Monthly Active Users:月間アクティブユーザー数)
  2. 1日あたりトランザクション数
  3. TVL(Total Value Locked:ロックされた資産総額)

これらが「本物の指標かどうか」「妥当かどうか」については、

いくらでも議論できます。

実際、ジャロ・モローンと一緒にプログラムを立ち上げていて、

もっと良い KPI のセットを議論するために多くの人に参加してもらっているところです。

僕がペンタッドの一員として提案しようと思っているのは、

この最終候補となる KPI セットがまとまったら、インフォ・アクション(Info Action)として提出し、

それを「エコシステム公式の KPI」として採択してもらうということです。

つまり:

  • 候補となる KPI をまとめて
  • 「これがエコシステムの KPI です」と提示し
  • 立法側(ガバナンス)に「承認」のチェックを入れてもらう

そして、今後の予算はすべて、何らかの形でこれらの KPI の成長に紐づくことを条件にする。

そうすることで、エコシステム側の話はうまく整理できます。

これは素晴らしいことです。

ただし、この動画の目的のためには、ひとまず上の3つから話を始めましょう。


問題①:商業的にクリティカルなインフラの欠如

今抱えている問題は二つあります。

1つ目は、商業的にクリティカルなインフラ、つまり統合(インテグレーション)が欠けていることです。

これが揃っていないと、そもそも成長の議論を始めることすらできません。

現状のカルダノは、ほぼ「孤島」のような状態です。

これを修正しなければいけない。

今まさに、Midnight についても、カルダノについても、エコシステムとしてここを修正しようと動いているところです。


問題②:ショーケースとなる 10〜15 個の DApp の現状

その上で、カルダノ DeFi の「ショーケース」になる 10〜15 個の DAppのリストがあります。

ここでいう「ショーケース」とは、「特定の DApp を名指しする」という意味ではなく、もし誰かに『カルダノで何ができるの?』と聞かれたときに、手渡せる“ベスト・オブ・カルダノ”の一覧のことです。

  • これがカルダノでできる代表的なことです
  • これがカルダノの強みを示す DApp 群です

と、胸を張って見せられるようなものです。

こうした DApp について分かっていることは何か?

  • 資金不足である(アンダーファンデッド)
  • 人手不足である(アンダースタッフ)
  • トランザクションボリュームが少ない
  • ユーザー数が少ない
  • TVL が少ない

…という現状です。

これら3つの指標(MAU・Tx・TVL)は、それぞれの DApp の収益性に直結する数字です。

そして収益性は、トークンを Tier1 取引所に上場させる力にも直結します。

Midnight がやったことは、言ってみれば「チャイナショップの中の暴れ牛」みたいなものでした。

そのおかげで、近々よく分かると思いますが、

カルダノ・ネイティブ資産と大手プレイヤーたちのためのドアを開けたのです。

これは非常に大変で、多くの労力がかかりましたが、もう終わりました。

つまり今は、

もしこれらの DApp が十分な規模とスコープを達成できれば、

上場して次の進化のステージへ行く“入り口”が開かれている状態だということです。


ペンタッド第1段階:インテグレーションをやり切れるか

ここで、さっきのペンタッド構造に戻ります。

最初の「try before you buy」は、

「本当に5者でうまく協働して、集団交渉で必要なインテグレーションをすべて片付けられるか?」というテストです。

それが終わったら、次にやらなければならないのは、

2026年に向けて DeFi の成長を必要なレベルまで引き上げることです。

ここを何としても解かなければいけません。

やるべきことは、まず良い KPI セットを持つこと

そのうえで、統一された戦略を持って腰を据えて取り組むことです。


DApp 側で解くべき課題:資金・人員・収益性・UI/UX・USP

その戦略は、ほぼ確実に次のような要素を含みます。

  • 既にあるものを、もっと良くする
  • 資金不足(アンダーファンデッド)の解消
  • 人手不足(アンダースタッフ)の解消
  • 収益性の確保
  • UI/UX の改善(DApp 側とウォレット側の両方)
  • 各 DApp のUSP(Unique Selling Proposition:固有の強み)を一緒に磨き込む

さらに、資本と人を“集約(アグリゲート)するプレイヤー”と協力する必要があります。


「資本と人のアグリゲーター」と他チェーンからの流入

つまり、こういう状況を作る必要があります:

  • スイッチを入れた瞬間、他チェーンからトークン(資本)が DApp に流れ込める
  • その DApp に来た人たちが、カルダノ・エコシステムに“定着(sticky)”する

どんな良い戦略にも、アグリゲーター戦略が必要です。

たとえば、Bitcoin DeFiは、資本と人の流入チャンネルを開く典型例です。

同じことを、XRP エコシステム(XRPL)にも、

あるいはネイティブ・スマートコントラクト機能を持たない UTXO 型暗号通貨全般に対しても行えます。

彼らは「利回り(yield)」を求めていますから、そこにチャンスがあります。

こうしたものはすべてアグリゲーターの機会です。

同時に、UI/UX を改善し、

USP を強化し、

Midnight と組み合わせたハイブリッド DAppを増やすことで、

すべてのカルダノ DApp が「プライバシーの軸」を持てるようになります。

これは、現行の DeFi が苦手としている部分に対する強烈な差別化要素です。


ペンタッド第2段階:DeFi 成長戦略と 10〜15 個の「ショーケース DApp」

ペンタッド戦略の第2フェーズでは、

もし5者がうまく協働できる構造を見つけ、コミュニティにも支持されるなら、

DeFi 成長戦略の議論に移り、上位 10〜15 個の DApp を特定していくことになります。

そして、

  • 資金不足・人手不足を解消し
  • 収益性を高め
  • 必要なところまでスケールさせて
  • Tier1 取引所上場など次のステージに行けるようにする

という流れです。

この一部として、XRP や Bitcoin をカルダノ台帳に乗せるための「資本ベース」を増やすことも含まれます。

これが「今あるものを強化する」という側面です。


さらに「成長させる」ために必要なこと:隔週ハッカソン

しかし、それだけでは「成長」には足りません。

新しいものも増やしていく必要があります。

そこで必要になるのが、隔週(2週間に1回)のハッカソンです。

これは Midnight で実際にやってみて、ものすごい成長が起きたやり方です。

カルダノでも同じことができます。

すでに素晴らしい事例が出ていて、

たとえば End Maker のパトリックは、ベルリンで最大級のハッカソンの一つを開催しました。

他にもやっている人はいますが、

これを「隔週」で回すことで、「カルダノも他チェーンと互角以上に戦える」ことを示せるようになります。

同時に、隔週ハッカソンは、DevX(開発体験)を超高速に改善する手段にもなります。


人のアグリゲーションとコミュニケーションチャネル

隔週ハッカソンに加えて、人を集約するアグリゲーターと、より良いコミュニケーションの仕組みも必要です。

人のアグリゲーターとは:

  • カルダノに興味を持つ人たちを
  • きちんとキュレーションされたチャネルに集約すること

Midnight ではこれを Discord 上でやっています。

カルダノ版 Discord を作ることもできますし、

もしかしたら別のプラットフォームの方が良いかもしれません。

今のところ、人が集まるのはほぼ X(旧Twitter)ですが、

コミュニティが集約される場としては最悪に近い選択肢です。

  • ボットだらけ
  • ノイズが多く
  • 毒性も高く
  • コミュニティとしての会話をきちんとキュレーションする術がない

だからこそ、

もっとタイトに人が集まれる場所と、隔週ハッカソンのような“チェックポイント”が必要なのです。


インスティ向けのアウトリーチと「セミナー&パンフレット」戦略

さらに、機関投資家・アナリティクス企業向けのアウトリーチも必要です。

今、僕たちは次のようなことをやろうとしています。

  • 主要なアナリティクス企業
  • 主要な機関投資家
  • ベンチャーキャピタル(VC)

向けに、「Midnight で何が起きているか」を伝えるためのコミュニケーションチャネルをつくっています。

同じことをカルダノについても行えます。

つまり、インスティ向けに

「カルダノではこんな面白いことが起きているんですよ」と伝えるためのセミナーとパンフレット戦略です。

  • セミナー+パンフレットで、 「カルダノ・エコシステムの中で、本当に面白いものはこれです」 「あなたがまだ知らないだけです」 と伝えるわけです。

僕が何度も何度も、これでもかというほど聞く言葉があります。

「カルダノに X・Y・Z があるなんて知らなかった」

「そんなものがカルダノに存在しているとは思わなかった」

「カルダノはゴーストチェーンか、死んだコインだと思っていた」

なぜそうなるかというと、

彼らの多くはMisari や Electric Capital などの「情報アグリゲーター」のレポートだけを見ているからです。

  • そこにカルダノが載っていない
  • 数字が不正確
  • 実情を反映していない

そうなると、**カルダノは“死んでいるように見える”**わけです。

情報源が全部そうなっていれば、

そういう認識になるのも無理はありません。

だからこそ、ナラティブ(物語)を変えるには、

彼らに直接コミュニケーションを取り、実際の数字を見せ、

「ここには価値がある」「USP がある」と分かってもらう必要があるのです。


コミュニティ集約・ハッカソン・単一の「真実のソース」

まとめると、必要なのは:

  • コミュニティを集約すること
  • ハッカソンを継続的に回すこと
  • その上で、単一の「ソース・オブ・トゥルース(真実の源泉)」をつくり、ナラティブをちゃんとコントロールすること

以前話したように、

  • トークン2049 のような「ビッグ4」イベントに毎年出ていく
  • カルダノ・サミットも含めて、イベント戦略を組む

こうしたこともペンタッドが担える領域です。

  • DApp のアップグレード
  • ハッカソン・コミュニティ集約
  • イベント・インスティ戦略

これらはすべて、5者がうまく協働できれば実行可能なことです。


ペンタッドは「5人の王」ではなく、協議による行政機能

ただし重要なのは、

これはあくまで僕個人(5人のうち1人)の意見だということです。

良いガバナンス構造というのは、

  • きちんと議論が行われ
  • コンセンサスが形成されていくプロセスがある

ということです。

この戦略の良いところは、

それぞれのメンバーが“持ち味”をきちんと持ち寄れる構成になっている点です。

  • EMURGO はアジア、特にシンガポールとの強いコネクションがある
  • Intersect は会員制組織で、コミュニティ全体を包摂できる
  • Pragma 代表も加わってほしい
  • Midnight は、交渉・ディールメイクに非常に長けた、超アクティブな商業アームで、ボリュームを欲している
    • ハイブリッド DApp は彼らにとって理にかなっている
    • カルダノ+Midnight が彼らのベースマーケットになる

そして当然、Input Output はエリートなエンジニアリング企業であり、こうしたものを組み立てる方法を熟知している

正しいガバナンス文化さえあれば、

この5者には「これをやりきるために必要なものが一通り揃っている」のです。


IOG 内部の再編と「Cardano Business Unit」

僕たちの側(Input Output)としては、

今、社内のカルダノ関連ユニットを再構成しようとしています。

具体的には、「Cardano Business Unit(カルダノ・ビジネスユニット)」の設置を検討しています。

これはペンタッドに対する

IOG 側の窓口・インターフェースとなる部署であり、

  • エコシステム側の取り組み
  • エンジニアリング
  • ガバナンス関連の仕事

これらを1つの構造にまとめて、

IOG 全体を代表できる組織にするイメージです。

そのリーダーたちは、

成長志向のマインドセットを持つように特別にトレーニングし調整するつもりです。

ちょっとした再編をすることで、

よりアジャイルに動ける組織になるわけです。


「横方向の技術」に対する投資と AI 活用

もう1つ大きな動きとして、

「横断的(horizontal)な能力と技術」への投資を強化しています。

これは、

  • 使用している言語
  • アーキテクチャ上の決定 など、スタック全体のあらゆるレイヤーを再評価し、

「どうすれば開発速度(velocity)を高め、

保守コストを下げつつ、

AI 革命の恩恵を最大限に活用できるか?」

という問いに答えようとしている動きです。

たとえば Google は、Vibe Engineering のような仕組みを使って

コードの30%を AI で書かせていると言われています。

この割合は今後さらに増えていくでしょう。

  • たとえ今はエンジニアの手書きコードより少し劣るとしても
  • 真空管とトランジスタの関係と同じで
  • 物理法則がこの方向に進んでいる以上、長期的には AI コーディングが勝つ

5〜10年のスパンで見れば、

こうした「Vibe Engineering」は主流になると僕は見ています。

つまり、このビジネスユニットの生産性を 2倍・4倍・5倍とブーストし、

研究成果をもっと早く市場に届けるチャンスがあるということです。

もちろん、

  • 形式手法(Formal Methods)は続けるし
  • 査読(Peer Review)も続けます

ただ、5〜10年かかるようなサイクルを、1〜2年のサイクルに圧縮できるという話です。

このためのテストは、

まず重要度の低いインフラである Lace で行い、

今は Acropolis で実施しています。

そのあと、Acropolis で得た知見を、ビジネスユニット全体に逆輸入(バックポート)していく予定です。


ステージ2:今あるものを整えたうえで「エンジンの成長」を考える

ここまでが第二ステージの話です。

  • まず「今あるものの面倒をしっかり見る」
  • そのうえで「エンジンをどうシステマティックかつ意図的に成長させるか」を慎重に考える

そして、

エコシステムの“パイ”を大きくし、人々に「なぜカルダノが特別なのか」をしっかり伝えるための、

さまざまなタッチポイントを設計していきます。

  • インスティ側
  • デベロッパー側
  • コミュニティ側

すべてに対して、より良く連携しやすくなるはずです。


2026年に向けた「新アンバサダー・プログラム」の必要性

さらに正直に言うと、2026年に向けた新しいアンバサダー・プログラムも必要です。

現行のアンバサダーも素晴らしい人たちばかりですが、

もっと増やす必要があり、再投資していく必要もあります。

インフルエンサー層についても同じことが言えます。

Midnight から得た学びを活かし、より良いインフルエンサー層を設計することが求められます。


この戦略の「成功」をどう測るか?

では、この戦略の「成功」をどう測るのか?

さっき言ったように、

インフォ・アクションで KPI を定義し、そこに基づいて測ることになります。

一つのたたき台として:

  • 月間アクティブユーザー(MAU)
  • 1日あたりトランザクション数
  • TVL
  • 消費サイクル(どのくらいプロトコルが使われているか)

などを考えることができます。

そして、「10〜15個の DApp」をどこまで持っていけたら成功と言えるか?

たとえば、

「Night トークンや ADA を自分自身で預けたいと思えるレベルの安全性とスケールに達したか?」

という問いで測ることもできます。


RealFi:ベアマーケット専用の DApp

カルダノにはRealFi という“専用のローンチ枠”があります。

これは僕が大いにワクワクしている部分です。

人からはよくこう言われます:

「アフリカはどうなった?」

「アフリカを見捨てたんじゃないの?」

「口だけだったんじゃないの?」

こういう言説に対して、僕はこう言います。

「ふざけるな。僕たちは一度もアフリカを離れていない。」

僕たちは、

  • ケニア
  • ウガンダ

の人々に対して100万件以上のローンを提供してきました。

これは、RealFi モデルをつくるための実証です。

そして今、それがカルダノ上に独占的にローンチされる DAppとして立ち上がろうとしています。

この DApp はベアマーケット向けに設計された DAppです。

  • ブルマーケットなら「そこそこ」うまくいく
  • でもベアマーケットでは「おそらく史上最高クラスに人気の DApp」になる可能性がある

なぜか?

  • 利回りがオフチェーン由来で
  • クリプト市場の価格と無関係だからです

たとえトークン価格が 90% 下落しても、

オフチェーンで生まれる利回りは変わりません。

もし市場全体が崩れ、

DeFi のオンチェーン利回りが崩壊したら、

人々は「ベア専用」に設計された場所へ流れ込みます。

これが、僕たちが作っているものの一例です。

僕たち自身がその 10〜15 個の DApp のうちの1つになるつもりであり、

それはカルダノ・エコシステムの哲学的コア・ミッション(銀行口座を持たない人に金融を届ける)とも直結しています。

Midnight を先にやらなければならなかったので順番として後になりましたが、

今、その次の番が RealFi に回ってきています。

ジョン・オコナーもそのためにスケールアップ中です。


Hydra:DApp単位で100万TPSも可能な技術

もう一つの例が Hydra です。

これはカルダノが持つ最強クラスの技術の一つです。

  • DApp単位で100万トランザクション/秒が可能
  • しかもオンチェーン上のフットプリントはほんの数トランザクション

Delta DeFi の人たちは、

次世代の Hydra アプリケーションの“最初の一歩”として、カルダノ上で素晴らしい仕事をしています。

そこで、10〜15 個のショーケース DApp に対して、

すべて Hydra 対応アプリにアップグレードする道筋を作れないか?

という問いを立てています。

もしそれができれば:

  • 個々の DApp が Solana レベルの速度で動き
  • ネットワークの負担は最小
  • ユーザーには超高速の体験が提供される

という状態になります。

理想形はこうです:

  • ベースレイヤーは Leios(レイオス) によって劇的に速くなり
  • 各 DApp は Hydra によってさらに劇的に速くなる

そして、隔週ハッカソンを回し続けることで、

DevX(開発体験)の改善サイクルもタイトにすることができます。

  • 年に1回の大きな Plutus アップデート、ではなく
  • 小さな改善をたくさん積み重ねるスタイルへ

実際、StarStream などの取り組みでその敏捷性がすでに見えてきています。


「誰の仕事なのか?」から「みんなの仕事」に

ずっと欠けていたのは「行政機能」でした。

その結果、

「これは誰の仕事なんだ?」

という問いが繰り返されてきました。

今回の選挙(ガバナンス提案)を通じて、

僕はこうしたいと思っています。

「これは“みんなの仕事”にしよう」

何も「世界のすべてを任せろ」と言っているわけではありません。

まずは、本当に必要なことをやれるかどうかを試してみたいのです。

  • Midnight Foundation とはうまくやっていけることを知っています
  • Intersect とも良い関係を築けています
  • EMURGO とは歴史的にうまく協働してきました
  • カルダノ財団とも、透明性と外向きの目標という点で完全に一致できる道があると考えています

まずは「合格 or 不合格」がはっきりしているテーマ――

つまり、

  • DeFi にとって必要不可欠だけど十分条件ではない「クリティカル・インフラ」の整備

から始めます。

そのうえで、

  • 双方の側面(インフラと DApp)をどう成長させるか
  • イベント戦略
  • インスティ戦略
  • コミュニティ集約戦略
  • DevX 改善+ハッカソン戦略

などを、「戦略として社会化」できるかどうかを試します。

そして来年、10〜15 の DApp をアップグレードし、

  • Hydra 対応
  • Bitcoin DeFi へのアクセス
  • XRP へのアクセス
  • そのほかのアグリゲーターへのアクセス

などを実現し、

ウォレットとも一緒に UI/UX を磨き、

それぞれの DApp にしっかりとした USP を持たせていく。


Midnight の「プライバシー・スパイス」

Midnight の役割は、ここに「プライバシーというスパイスを振りかける」ことです。

競合である Ethereum 側には、今のところこの軸がありません。

だからこそ、

「ただの一般的な DeFi エコシステム」ではない、

ユニークで違いのある存在になれます。

これが僕の考える「かなり良い戦略」です。

ただし、繰り返しますが、あくまで僕はペンタッドの5人のうちの1人に過ぎません。


「決定は密室ではなく、透明な議論で」

この構造を作っていく中で、

僕たちは決定を密室で下すことはしません。

  • アイボリータワーの中で
  • 「じゃあ X Y Z をやろうか」と密かに決める

そういうやり方はしません。

僕はただ、自分の頭の中で考えていることを、そのままみんなに共有したいだけです。


他チェーンも最初は小さかった

Ethereum も、

Solana も、

XRP も、

Binance も、

最初はみんな小さな存在でした。

今大きいからといって、それが「無敵」という意味にはなりません。

カルダノだって、全体で見ればかなり大きな存在です。

僕たちと入れ替わりたい暗号通貨はたくさんあるでしょう。

このエコシステムが指数関数的な成長を遂げられない理由は、一つもありません。

鍵になるのは:

  • 原則が正しいか?
  • 哲学が正しいか?
  • 戦略が正しいか?
  • 協調・ガバナンス・コーディネーションがうまく働いているか?
  • そして、起業家的な人材が揃っているか?

だと思います。


カルダノの DApp 開発者たちへの信頼

正直に言って、僕はカルダノの DApp セットを他のどことも交換したいとは思いません。

  • Sandae
  • Phil と Midgard
  • Minswap チーム
  • Strike チーム
  • その他たくさんのチーム

こうした人たちはみんな:

  • ハングリーで
  • 情熱的で
  • 有能で
  • 深い技術力を持っている

ただ、彼らにはいくつか「足りないピース」があるだけです。

それは資本だったり、戦略だったり、マーケットアクセスだったりします。

エコシステムとして団結できれば、

たとえ今のように ADA 価格が抑えられていても、

必要なリソースは十分すぎるほどあるのです。

思い出してください。

  • 僕たちは ビットコインが 250ドルの時代にカルダノをつくりました。
  • ヴィタリックも ビットコインが 250ドルの時代にイーサリアムをつくりました。
  • Solana は、FTX 崩壊という業界史上最悪級のショックの瓦礫の中で、今のエコシステムを築きました。

だから、今あるリソースで星を目指せない理由はどこにもないのです。

残る差分(デルタ)はただ一つ。

「僕たちが協調し、一緒に働けるかどうか?」

この動画は、

「今、行政機能が形になりつつあり、うまく協働できる可能性がある」というメッセージを伝えるためのものです。


すでに1件の統合契約を締結済み

今日、僕たちはすでに1つのインテグレーションに関する契約にサインしました。

詳細は今月中に発表します。

これは、これから続いていく流れの“前菜(アペタイザー)”のようなものです。

僕としては、Tier1 のインテグレーションをすべて素早く揃えられない理由は何もないと思っています。

もちろん、

  • 小さなところが先
  • 大きなところが後、という順番は必要

ですが、どれも次のステージに進むためには必要不可欠なものです。

そして、そこから:

  • カルダノ DeFi エコシステムを育て
  • 必要な場所へと連れていく

というフェーズに移ることができます。


KPI・ハッカソン数・Discord参加者数などの「測定可能な目標」

こうした取り組みは、

横方向・縦方向の両方にきちんと社会化(ソーシャライズ)されなければなりません。

今は「インテグレーションができたかどうか」というパス/フェイル状況なので、

提案は少し緩く見えるかもしれません。

でも、次のフェーズ(DeFi 成長戦略など)に入れば、

もっと深い KPI を設定できます。

たとえば:

  • 年間 26 回のハッカソン(隔週開催)
  • Discord に何人集めるか(例:ある日までに100万人)
  • そのエンゲージメントはどれくらいか?

インスティ向けセミナーに関しても:

  • マスタリストを作る
  • 何社にクロスチェーンの説明をしたか
  • 年間4つの主要イベントを開催できたか

カルダノ・サミットについても考え直す必要があります。

特に今後はシンガポールで、Token2049 と同じ時期に行われるので、

トークン2049でやったことを毎年再現するチャンスでもあります。

また、180日ローリング平均で DApp のパフォーマンスを測り、

上位の DApp をアクセラレータプログラムに入れる、というやり方も可能です。

  • 資本アグリゲーターを構築し、全部機能させる
  • Hydra などの固有技術と統合する
  • そうすることで、彼らがエコシステムに留まり、成長していく動機を生み出す

RealFi のローンチと「ベアマーケット専用 DApp」

僕自身も、これからさらに DApp をローンチしていきます。

  • RealFi をローンチする
  • Glacier Drop のような形で配布方法を考える
  • これはカルダノ上の DApp であり、ベアマーケット向けに設計された DApp

2026年、まだ市場が厳しい状況のなかでこれを出せるのは、むしろ好都合です。


これで「すべて完了」するわけではないが…

これですべてが完了するわけではありません。

ただし、行政機能が一度回り始めれば、

毎年「次は何を探求するか?」という議論ができるようになります。

  • 最初は5人構成のペンタッド
  • いずれ7人、11人になるかもしれない

メンバーが大きくなっていくのは自然なことです。

なぜ Midnight がメンバーに入っているかというと:

  • Midnight はカルダノ上で
    • 最大級
    • 最も目立ち
    • もっとも潤沢な資本を持つプロジェクト

だからです。

  • カルダノ資産としての経験
  • 上場の経験
  • スマートコントラクトレベルでの開発の経験

これらを持っています。

  • 他のメンバーは主に「インフラレイヤー」にいる
  • Midnight は「カルダノ資産レイヤー」にいる

つまり、多くの意味でMidnight は Snack や Hosky、カルダノ DeFi 全体の“声”を代表しているとも言えます。

Midnight は、カルダノ DeFi エコシステムが壊れていたら機能しません。

だからこそ、そこに座っているのです。

さらに、彼らは

  • 急成長中
  • 商業的にもっともアグレッシブ
  • こうしたディール交渉に非常に長けている

だから、5者が1つの声として話せば、彼らがそれをまとめてくれるのです。

こうして、

それぞれのメンバーにはそこにいる“必然性”があるわけです。

ペンタッドも、行政機能の成長に合わせて大きくなっていくことができる構造です。


DRep への問いかけ:「完璧」を求めるか、「前進」を求めるか

ここで、DRep のみなさんに投げかけたい問いがあります。

「あなたは完璧を求めているのか?

それとも、物事を前に進めることを求めているのか?」

コミュニティは、

  • 団結(Unity)
  • 成長(Growth)
  • リーダーシップ(Leadership)
  • そして、 「なぜカルダノを Ethereum や Solana より選ぶべきなのか?」という明確な理由

を求めてきました。

この提案は、まさにそれらの問いに答え始めるための“最初のステップ”です。

もし「100% 完璧な答えが揃っていないから」といって NO に投票するなら、

それは実質的にこう言っているのと同じです。

「完璧でない限り、何もできない。」

そうであれば、

この全部の仕組み自体が意味を失います。

その場合、「店じまいして帰りましょう」という話になってしまうでしょう。


偉大なエコシステムは「答えが揃ってから」動いていない

思い出してほしいのは、

どの偉大なエコシステムも、最初から100%の答えを持っていたわけではないということです。

  • DAO ハックのとき、ヴィタリックは完全な答えを持っていませんでした。 それでも前に進んで、トライしながら道を探しました。
  • FTX 崩壊のとき、アナトリーも完全な答えを持っていませんでした。 それでも前に進み、何とか切り抜けました。
  • SEC に訴えられたとき、ブラッド・ガーリングハウスも完全な答えを持っていませんでした。 それでも前に進みました。
  • IBM から怒りの電話がかかってきたとき、ビル・ゲイツも全てを把握していたわけではありませんでした。 それでも DOS を買うなど、スクランブルしながら解決しました。
  • Lisa が失敗したあと、スティーブ・ジョブズも完璧な答えを持っていたわけではありません。 それでも Macintosh へとつながる道を切り開きました。

起業家精神というのは、

完璧な答えを事前に持つことではなく、

正しいガバナンス構造・正しいマインドセット・正しい俊敏さを持って前に進むことです。


「誰がやるのか?」の答え:エコシステム最大の主体たち

今回のプランを冷静に見てください。

  • 僕たちは「これらのインフラが必要だ」と分かっている
  • 問いは「それをやりきれるか?やりきれないか?」だけ

他に誰がこれをやれるでしょうか?

  • エコシステム最大の主体たち
  • ソフトウェアの多くを握っているプレイヤーたち

彼ら以外に、この規模でまとめて交渉し、

ロードマップにコミットメントを与えられる存在はいません。

個々の DApp も頑張れますが、

相手にいいように扱われるリスクが高く、

ロードマップへの保証を与えることも難しいでしょう。

一方で、ペンタッドには:

  • エンジニアリング
  • 影響力
  • 資本

が集中しています。

だからこそ、これをやりきる“ベストチャンス”を持っているのです。


KPI とダッシュボードで「結果」を見える化する

もしここで成功し、

適切なガバナンス構造を築ければ、

もっと洗練された戦略を組み立てることができます。

そのときには:

  • KPI を明確にし
  • Info Action で承認し
  • ダッシュボードで毎月しっかり追いかける

ことができます。

  • MAU
  • TVL
  • トランザクション数

に加えて、

  • ハッカソンから何人の新規アクティブ開発者が生まれたか
    • 毎月
    • 四半期ごと
    • 半期ごと
    • 年ごと

といった指標も測ることができます。


集約チャネルを自前で持つ理由

なぜ「自分たちでコントロールできるチャネルにコミュニティを集約する」のか?

それは、そのチャネルを持っていれば、そこから全員に一斉に情報を届けられるからです。

将来的には Pub/Sub を使った分散型のチャネルをつくるかもしれません。

誰かがそこをリードしたいなら、委任権限を渡しても良いでしょう。

大事なのは、一度そこに人が集まれば、

単一のソース・オブ・トゥルース(真実の源泉)ができ、

良い文化を育てやすくなるということです。


「王の選出」ではなく、「委任可能な行政機能」

この戦略の重要なポイントは、

「王を選ぶこと」を前提としていないことです。

  • ガバナンスから委任された権限で動く
  • その権限はいつでも取り消すことができる
  • エコシステム全体との協議のもとで設計される

つまりこれは、

スティーブ・ジョブズやジェフ・ベゾス、ビル・ゲイツのような“単独の天才”に賭けるモデルではないということです。

  • Ethereum や Solana では、こうした議論はまだ少数の頭脳に依存しています
  • Bitcoin にはそもそもガバナンス構造がなく、時間に凍結されたような状態です

カルダノでは、

ペンタッドは選挙で選ばれ、

その上に DRep と ADA 保有者からなるガバナンス構造があり、

最終的な権限は常に ADA 保有者が握るという形になっています。

これはカルダノ憲法の中でも非常に明確に定義されています。


「技術の優位性」と「商業インテグレーション」

最後にもう一つ強調しておきたいのは、

これは技術の問題ではないということです。

今のヴィタリックは

  • Solidity を Haskell のような言語に近づけたいと思っていて
  • ずっと非カストディアルな流動ステーキングを求めてきました

もし今回のようなチェーン分岐が Ethereum 上で起こっていたら、

  • ボンドされた Ether に何十億ドルという損害が出ていたでしょう

一方、カルダノでは、

  • Pledge による損失はゼロ
  • 大規模なインシデントからも、あたかも何事もなかったかのように回復できる

これは、我々の PoS プロトコル設計ゆえの USPです。

だからこそ、

「商業的にクリティカルなインテグレーション」をきちんと揃えることが、今の最優先課題なのです。

そして、

カルダノのためにキャリアや生活を賭けてくれた人たちの面倒を、エコシステムとしてもっとしっかり見る必要がある。

  • 彼らこそが、将来的に最も多くの雇用を生み
  • イベントでカルダノを発信し
  • 最終的にはプロトコルを長期的に支える主役になる

もし 15 個の優れた DApp があれば、

「何らかの形でコア技術のメンテにフルタイムのエンジニアを 1〜2人ずつ割り当てる」という条件を課すこともできます。

15 が 50 になれば、

コミュニティから 100 人のフルタイムエンジニアがプロトコルを支えることができます。

「Snack がローンを受けて返したように、

DApp にも“返してもらう”形を取ることができる。」

というわけです。


結び:これは「大人になる」ための一歩

僕は、これをみんなと一緒に形にしたいと思っています。

  • 自分たちの特異性(なにが特別か)
  • 自分たちの源泉となる力はどこから来るのか
  • 他チェーンとは何が違うのか

これをしっかりと定義し、

原則に基づいて前に進むこと

それが「大人になる」ということです。

Ethereum や Solana では、

こうした話はたいてい

  • クローズドな場所
  • 分かりづらい会議 で行われ、 たとえ公開されていても、ここまで率直には話されません。

僕はそういうやり方をしたくない。

誰でも聞ける形で、今頭の中で考えていることを、そのまま伝える。

この動画を見て、

  • 賛成する人もいるでしょう
  • 反対する人もいるでしょう
  • 批判的な人もいれば、そうでない人もいる

それで構いません。

それが健全なエコシステムです。

すでにペンタッド構造に NO を投じた人たちもいます。

それは彼らの権利であり、選択です。

そこに報復などありません。

DRep たちは、

「自分たちはどんな原則を支持するのか?」

を決めればよいのです。


これからの予定

僕は前進を止めません。

  • いまも複数のインテグレーション契約を交渉中
  • いくつかは今月アナウンスできると思います
  • アブダビの Finance Week にも行きます
    • そこで何か発表できるかもしれません

そして、その先もずっと、

必要なインテグレーションが揃うまで止まりません。

それはエコシステムにとって必要不可欠であり、

実施があまりにも遅れているからです。

ただし、それだけでは足りません。

  • インテグレーションは「必要条件」
  • しかし「十分条件」ではない

エコシステムを本当にあるべき場所に連れていくためには、

もっと多くのことをしなければならない。

この動画は、その「次のステップ」として、

2026年にカルダノをもっとも成長する DeFi エコシステムにするための考え方を、

みんなと共有するためのものです。

どうか咀嚼して、考えてみてください。

カルダノエコシステムとSITION

お問い合わせ

Contact Us
SIPOのステーキングサービス、Cardano ADA、ADAの購入方法から保管方法についてご興味、ご質問がある方はこちらのフォームからお問い合わせください。24時間以内にメールにてご返信いたします。

最新投稿