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IOGブログ:ビットコインがついにスマートコントラクト対応へ──IOが描くBitVMXによる未来図とは?

ビットコインがついにスマートコントラクト対応へ──IOが描くBitVMXによる未来図とは?

2025年7月19日、Input Output(IO)は、ビットコイン上で表現力豊かなスマートコントラクトを実現するための新たなアーキテクチャ「BitVMX」を紹介しました。

スマートコントラクトがビットコインでも動く時代へ

これまでビットコインは、セキュリティと安定性を重視する代償として、スクリプト言語が非常に制限されてきました。そのため、イーサリアムやCardanoのような高度なスマートコントラクトをネイティブに実装するのは困難でした。

しかし、IOが開発中のBitVMXは、ビットコイン本体に手を加えることなく、PythonやTypeScriptなどの現代的な言語で書かれたスマートコントラクトを実行できる環境を構築します。

その鍵となるのが、以下のコンパイルパイプラインです:

  1. UPLC(Untyped Plutus Core):Cardano用の中間言語
  2. CEKマシン:UPLCを解釈・実行する仮想マシン
  3. RISC-V:世界中で使われるシンプルな命令セット
  4. BitVMX:RISC-Vでの計算結果をビットコイン上で検証する楽観的検証システム

BitVMXの仕組み──「異議が出るまでビットコインは沈黙」

BitVMXは、オフチェーンでのスマートコントラクト実行を可能にし、結果に異議が出たときのみオンチェーンで検証が行われるという、いわば「楽観的実行環境」です。

この仕組みでは、悪意のある実行者が誤った計算結果を提出した場合でも、チャレンジゲームによって正当性が検証され、担保金(デポジット)を失うことで不正が制裁される経済的設計になっています。


なぜRISC-VとBitVMXなのか?

  • RISC-Vはオープンでシンプルかつ強力  世界中のチップや学術研究で使われており、ツール類も豊富です。
  • BitVMXはビットコインにプログラム可能性をもたらす  計算はオフチェーンで行い、異議申し立てに対応するオンチェーン構造により、スマートで柔軟なアプリケーション構築が可能になります。
  • CEKマシンは小型で決定論的  そのため、RISC-Vへの変換が容易で、BitVMXによる検証にも最適です。

どんなことが可能になるのか?

このアーキテクチャによって、Cardanoのスマートコントラクト資産をそのままビットコイン上で活用することができるようになります。

具体的には:

  • 本格的なビットコインネイティブDeFi:DEX、ステーブルコイン、エスクローなどが構築可能
  • Cardano↔Bitcoin間のクロスチェーンブリッジ
  • 不正耐性のある安全な計算基盤:ブロックチェーンの肥大化なしに信頼性を確保

IO・BitVMX・そしてBitVMX FORCEへ

この取り組みは、IO・Fairgate Labs・Rootstock Labsが共同で立ち上げた**「BitVMX FORCE」**というコラボレーションプロジェクトの一環です。2025年の「Bitcoinカンファレンス」において、IOはUPLC→RISC-VコンパイラとBitVMX検証スタックのデモを実施し、多くの注目を集めました。

IOは、ビットコインを単なる価値の保存手段にとどめず、新たな分散型アプリケーションの“決済レイヤー”として再定義しようとしています。


参加するには?

ツールチェーンは近日公開予定ですが、今からできることも多くあります。

  • AikenでUPLCターゲットのコントラクト作成を体験
  • X(旧Twitter)で @InputOutputHK@BitVMX をフォロー
  • RISC-VやZK、ディスピュートシステムに関心があるなら、ハッカソンに参加
  • Telegramグループでコミュニティに参加

ビットコインを、もっとプログラマブルに。

スマートコントラクトと分散型アプリケーションが、ビットコインにもたらす可能性は計り知れません。Cardanoの資産と思想が、ビットコインのセキュリティと出会うことで、Web3の進化は次なる段階へと入ろうとしています。

BitVMXと共に、誰もが参加できる未来の金融基盤を、私たちの手で築いていきましょう。


以下はIOGブログ記事「Smart contracts on Bitcoin」の全日本語訳です。

IOGブログ「ビットコイン上のスマートコントラクト」翻訳

ビットコインに表現力豊かなスマートコントラクトと分散型アプリケーションをもたらす新しいツールセット

2025年7月19日 著:ライリー・キルゴア(Riley Kilgore)|読了時間:4分

ビットコイン上のスマートコントラクトとは?

もし、Python・TypeScript・Scalaといった現代的なプログラミング言語で記述されたスマートコントラクトを、ビットコインのプロトコル自体を一切変更せずに実行できたとしたら?

これは、Input Output(IO)によって開発されている新しいコンパイルパイプラインのおかげで、現実のものになりつつあります。この仕組みは、以下の3つを組み合わせることで構築されています。

  • スマートコントラクトの直列化フォーマット(Untyped Plutus Core:UPLC)
  • 巧妙なインタープリター構造(Control, Environment, Continuation:CEKマシン)
  • 広く支持されているオープンソースの命令セットアーキテクチャ(RISC-V)

この組み合わせにより、表現力豊かなCardanoのスマートコントラクトの世界と、堅牢なビットコインの基盤レイヤーとをつなぐ橋が築かれようとしています。

その中心にあるのが、BitVMX(ビット・ブイエム・エックス)です。これは、RISC-Vを活用してオフチェーンのロジックを安全に実行できるビットコイン向けの楽観的検証システムです。

ビットコインの制約とBitVMXの価値

ビットコインは、セキュアでシンプル、そして安定したネットワークである一方、そのスクリプト言語は極めて限定的です。これはバグではなく「特徴」ですが、この制限があるため、DeFiや複雑なアプリケーションをネイティブに構築することが非常に困難です。

では、ビットコインそのものを書き換えるのではなく、高度なロジックがオフチェーンで実行され、何か問題が起きた時だけビットコインが関与するような、楽観的実行環境があったらどうでしょうか?

これこそがBitVMXの本質であり、この仕組みにより本物のスマートコントラクトをビットコイン上で動作させるためのパイプラインが実現されています。

仕組みの全体像:

UPLC → CEK → RISC-V → Bitcoin

以下は、ビットコイン上でスマートコントラクトを動作させるまでの流れです:

  1. ハイレベルコード  開発者は、Cardano向けに構築または適応された現代的な言語でスマートコントラクトを記述します。
  2. UPLCへのコンパイル  そのコードは、UPLC(Untyped Plutus Core)という最小限の関数型表現へとコンパイルされます。  UPLCは「クリーンで言語非依存のバイトコード」として扱えます。
  3. 直列化(シリアライズ)  UPLCの表現は、メッセージやファイルのように扱えるよう特定のバイト形式へエンコードされます。
  4. CEKマシンによる実行  CEKマシンは、UPLCのための軽量なインタープリターです。  これは、UPLCコードを実行できる小さな仮想コンピューターのようなものです。
  5. RISC-Vへのコンパイル  ビットコイン上でUPLCを直接解釈する代わりに、CEKマシン自体をRISC-V命令セットへコンパイルします。  RISC-Vは実際に使われているシンプルなCPU命令セットであり、この形に変換されたCEKマシンは、直列化されたUPLCコードを入力として受け付けられるようになります。
  6. BitVMXによる検証  BitVMXは、このRISC-V実行トレースを「楽観的に」検証します。  もし誰かが実行結果に異議を唱えた場合、「チャレンジゲーム」が開始され、実行トレースの一部を明らかにして問題を解決します。

 また、計算トレースを投稿する前に、計算者(Prover)が担保金(デポジット)を預ける仕組みがあるため、不正が証明された場合には悪意のある投稿者の担保を没収することで経済的な抑止力が働きます。

なぜRISC-VとBitVMXなのか?

  • RISC-Vはオープンでシンプル、かつ強力である  RISC-Vは、世界中のコンピュータチップや学術プロジェクトで使用されている命令セットアーキテクチャ(Instruction Set Architecture:ISA)です。  すでに確立されたシミュレーターやツール類、LLVMバックエンドも備えており、開発・検証に非常に適しています。
  • BitVMXはビットコインをプログラマブルにする  BitVMXは計算をオフチェーンで実行しつつも、ビットコインユーザーが疑わしいトランザクションに対して“異議申し立て”できる手段を提供します。  これにより、従来の制限を超えてビットコインにスマートな振る舞いをもたらすことが可能になります。
  • CEKマシンは小型かつ決定論的である  CEKマシンは極めてコンパクトかつ決定論的(実行結果が常に同じ)であるため、RISC-Vへのコンパイルにも適しており、BitVMXを使った検証においても信頼性が確保されます。

なぜこの仕組みが重要なのか?

このアーキテクチャにより、開発者はCardanoで構築されたスマートコントラクトのインフラをそのままビットコイン上でも再利用することができます。つまり、ビットコイン用に一から新しいスマートコントラクトフレームワークを作る必要がなくなります。

この仕組みにより可能になるのは:

  • 本物のビットコインネイティブDeFi  Cardano向けに構築された言語でコントラクトを記述し、それを使ってDEX(分散型取引所)・ステーブルコイン・エスクローなどをビットコイン上で構築できるようになります。 しかも、それらはビットコインのセキュリティによって保護されます。
  • クロスチェーンブリッジ  資産がCardanoとBitcoin間を信頼なしに移動(trustless transfer)できるようになります。
  • 安全かつ異議に強い計算環境  BitVMXによる不正検証(fraud proof)を通じて、ブロックチェーンの肥大化を避けつつも、計算結果の正当性を保証できます。 もし不正な計算が実行された場合でも、チャレンジ応答型のプロトコルにより、その誤りを証明し、悪意ある者に罰則を与えることが可能です。

IO、BitVMX、そして未来

この取り組みは、IO・Fairgate Labs・Rootstock Labsが共同で立ち上げたBitVMX FORCEと呼ばれる広範なコラボレーションプロジェクトの一部です。

2025年のBitcoinカンファレンス(Bitcoin 2025)において、IOはUPLCからRISC-Vへのコンパイラを公開デモしました。

このデモでは、BitVMX検証スタックを活用することで、ビットコイン上においても安全・スケーラブル・表現力豊かなスマートコントラクトを実現できることが示されました。

IOは、ビットコインが新たな分散型アプリケーションの決済レイヤー(Settlement Layer)として機能できると信じています。

BitVMXのような安全で監査可能なシステムの上に、計算と相互運用性のレイヤーを築くことで、機能を拡張するだけでなく、複数のエコシステムやコミュニティの橋渡しを目指しています。

参加方法

このツールチェーンはまもなく一般公開される予定です。それまでの間に、以下の方法でBitVMX FORCEやInput Outputの最新情報をチェックしてみてください。

  • Aiken(エイケン)をチェックして、UPLC向けのコントラクト記述に挑戦してみましょう  Aikenは、UPLCをターゲットとするスマートコントラクトを書くための言語です。Cardano開発者だけでなく、ビットコイン向けにも応用可能な重要なスキルになります。
  • @InputOutputHK および @BitVMX をフォローして技術的なアップデートを受け取りましょう  開発進捗やイベント情報、コードベースのリリースなどが随時発信されています。
  • 今後開催されるハッカソンやカンファレンスに参加しましょう  特にRISC-V、ディスピュートシステム(異議申し立ての仕組み)、ゼロ知識暗号(ZK)に興味がある方にとって、重要な機会となります。
  • Telegramグループに参加してコミュニティとつながりましょう

一緒に、ビットコインをプログラマブルにしよう。

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