2026年、プライバシーが暗号資産の“本命インフラ”になる理由────Midnightが狙うRational Privacyとは

序章:2025年、市場はすでに“プライバシー”を選び始め
2026年に向けて、暗号資産市場の競争軸が大きく変わりつつあります。
その兆しは、すでに2025年の市場データにはっきりと表れていました。
オンチェーン分析プラットフォームのArtemisが示したセクター別パフォーマンスを見ると、2025年に相対的な強さを見せたのは、「高性能L1」でも「話題性の高い新チェーン」でもなく、プライバシー関連領域と取引所関連トークンでした。
これは単なる短期資金のローテーションではありません。
むしろ市場が、「次に何が“必要になるか”」を先回りして織り込み始めた結果だと捉える方が自然です。
なぜ2025年に“プライバシー”だったのか
2025年は、暗号資産がいよいよ制度と正面から向き合い始めた年でした。
- ETFの定着と機関投資家の本格参入
- 各国で進む税務報告(CARF)やAML/トラベルルールの具体化
- 銀行・証券・決済インフラと暗号資産の接続が現実フェーズへ移行
これらが同時に進む中で、ひとつの矛盾が浮き彫りになりました。
それが、「透明すぎるブロックチェーンは、金融インフラとして使いづらい」という問題です。
すべての取引、残高、取引先、契約条件が常時公開される設計は、
個人にとってはプライバシーリスクになり、
企業にとっては営業秘密・競争戦略の漏洩リスクになります。
つまり、機関化が進めば進むほど、“プライバシー不足”が構造的な欠陥として露呈するのです。
市場は「性能」より先に“欠けているもの”を見ていた
ここで重要なのは、市場の選択です。
2025年時点で、L1の性能競争はすでに一定の成熟段階に入っていました。
処理速度、手数料、スケーラビリティといった要素は、もはや決定的な差別化要因ではなくなりつつあります。
一方で、プライバシーだけは依然として“足りていない”。
しかもそれは、規制・制度・実需が拡大するほど深刻になります。
だからこそ市場は、
「次の成長を制約するボトルネックは何か?」
という問いに対して、プライバシーという答えを選び始めました。
2025年は、プライバシーが“思想”や“理想”ではなく、
実務・制度・金融の文脈で必要不可欠な要素に変わった年だったのです。
2026年は「選ばれたプライバシー」だけが残る
ただし、ここで言うプライバシーは、
いわゆる「完全匿名」や「規制を拒否する思想」とは異なります。
2026年に問われるのは、
- 規制や監査と両立できるか
- 企業・金融機関が安心して使えるか
- 必要なときに“説明できる”設計になっているか
という、現実的で合理的なプライバシーです。
この文脈の中で、「プライバシーは最強の堀になり得る」と同時に、
設計を誤ったプライバシーは市場から淘汰される段階に入ります。
そして、まさにこの転換点に登場するのが、Midnightです。
次章では、
なぜ機関投資家時代=「インフラとしてのプライバシー」が不可避なのか、
そしてその要請にどう応えようとしているのかを、より構造的に見ていきます。
第1章:機関投資家時代の到来があぶり出した「プライバシー不足」という欠陥
──Grayscale「Dawn of the Institutional Era」が示す本質
2026年に向けた暗号資産市場を読み解くうえで、ひとつの重要な視点があります。
それは、「機関投資家の参入は、必ずしも暗号資産にとって“追い風”だけではない」という事実です。
資産運用会社のGrayscaleが公表した
「2026 Digital Asset Outlook: Dawn of the Institutional Era」は、その点を非常に率直に示しています。
このレポートが描いているのは、
「暗号資産が主流金融に統合される未来」そのものですが、
同時に、今のブロックチェーン設計が抱える限界も浮き彫りにしています。
機関化とは「資金が入る」ことではない
一般に「機関投資家の参入」と聞くと、
多くの人は価格上昇や流動性拡大を思い浮かべがちです。
しかしGrayscaleの視点は、そこにとどまりません。
機関化とは、単に資金が入ることではなく、
- 規制遵守(コンプライアンス)が前提になる
- 内部統制・監査・説明責任が求められる
- 他の金融商品・インフラと“同じ土俵”で扱われる
という、金融インフラとしての適格性が問われるプロセスです。
そしてこのとき、最初に問題になるのが
「すべてが公開されている台帳」というブロックチェーンの基本設計でした。
「透明性」は、金融では必ずしも美徳ではない
パブリックブロックチェーンの透明性は、
これまで「検証可能性」「不正耐性」という文脈で評価されてきました。
しかし、金融の現場では事情が異なります。
- 機関投資家のポジションが即座に可視化される
- 取引戦略や資金移動が競合に丸見えになる
- 企業間取引の条件や関係性が外部に露出する
これは透明性というより、情報漏洩に近い状態です。
Grayscaleのレポートが指摘するのは、
暗号資産が主流金融に近づくほど、
「透明すぎることがリスクになる」という逆説です。
つまり、機関化は
ブロックチェーンに“より高い透明性”を求めるのではなく、
適切に隠す能力=プライバシー機能を要求するのです。
規制が進むほど、プライバシーは「必須インフラ」になる
ここで重要なのは、
プライバシーが「規制への対抗概念」ではない、という点です。
Grayscaleはむしろ、
規制が進むからこそ、プライバシーが必要になると整理しています。
税務・AML・監査の世界では、
- 「違法でないこと」を証明できる
- 「正当な取引である」ことを示せる
- しかし、それ以上の情報は開示しない
という設計が理想です。
これを可能にするのが、
ゼロ知識証明(ZK)を中心としたSelective Disclosure(選択的開示)のアプローチです。
すべてを公開するのでも、
すべてを隠すのでもない。
「必要な事実だけを証明する」
この能力が、2026年以降の暗号資産インフラに必須条件として浮上しています。
機関投資家時代が求めるのは「思想」ではなく「設計」
ここでひとつ、はっきりしておきたいことがあります。
2026年の市場が評価するのは、
「プライバシーを守りたい」という思想ではありません。
評価されるのは、
- 実務で使えるか
- 規制当局と衝突しないか
- 金融商品として成立するか
という、極めて現実的な設計能力です。
この条件を満たさないプライバシーは、
どれだけ理念的に正しくても、
機関投資家時代の主役にはなれません。
そして、まさにこの条件設定のもとで浮かび上がってくるのが、
「Rational Privacy(合理的プライバシー)」という考え方です。
次章では、
なぜ「完全匿名」でも「全面公開」でもなく、
合理的プライバシーこそが2026年の本命になるのか、
その構造をもう一段深く掘り下げていきます。
第2章:「完全匿名」でも「全面公開」でもない
──2026年の本命となる Rational Privacy という考え方
プライバシーが重要だ、という点については、
もはや暗号資産業界で異論はほとんどありません。
ただし、2026年に向けて本当に問われているのは、
「どのレベルの、どの形のプライバシーなのか」という点です。
結論から言えば、市場が求めているのは
完全匿名でも、全面公開でもない、
その中間にある Rational Privacy(合理的プライバシー) です。
「完全匿名」が抱える構造的な限界
まず、完全匿名モデルについて整理しておきましょう。
完全匿名型の暗号資産やプロトコルは、
国家や企業、監視システムに対抗する思想として、
これまで重要な役割を果たしてきました。
しかし、2026年の文脈では、いくつかの限界がはっきりしています。
- 規制当局や金融機関との接続が極めて難しい
- 企業ユースケース(会計・監査・内部統制)と噛み合わない
- 大規模な資本が入りにくい
結果として、完全匿名は
「思想的には正しくても、金融インフラにはなりにくい」
という評価を受けやすくなっています。
市場が求めているのは、
“誰にも説明できない自由”ではなく、
“必要な相手には説明できる自由”です。
「全面公開」は金融にとっては過剰な透明性
一方で、現在主流のパブリックブロックチェーンは、
取引履歴や残高が原則すべて公開される設計になっています。
これは検証性という点では非常に優れていますが、
金融・商取引の視点では、次のような問題が出てきます。
- 企業の資金繰りや取引関係が外部に可視化される
- 投資戦略やポジションが即座に追跡される
- プライバシー侵害が構造的に発生する
つまり、透明性が“過剰供給”の状態にあるのです。
2026年に暗号資産が本格的に金融インフラへ統合されるなら、
この設計は必ず見直しを迫られます。
Rational Privacyとは何か
ここで登場するのが、Rational Privacy(合理的プライバシー)
という考え方です。
これは非常にシンプルで、次の原則に基づいています。
- 隠すべき情報は、デフォルトで隠す
- しかし、合法性・正当性・遵守性は証明できる
- 証明は「事実」だけに限定し、余計な情報は開示しない
つまり、
「信頼に必要な情報だけを、数学的に示す」
という設計思想です。
このアプローチの中核にあるのが、
ゼロ知識証明(Zero-Knowledge Proof)を用いた
Selective Disclosure(選択的開示)です。
規制とプライバシーは、もはや対立しない
ここが非常に重要なポイントです。
Rational Privacyは、
「規制から逃げるためのプライバシー」ではありません。
むしろ、
- 税務やAMLの要件に必要十分な証明を提供し
- それ以上の個人情報や取引内容は守る
という意味で、
規制と共存するためのプライバシーだと言えます。
これにより、
- 規制当局は「ルールが守られている」ことを確認でき
- ユーザーや企業は「過剰な監視」を避けられる
という、これまで両立が難しかったバランスが成立します。
2026年以降、
金融・国家・企業が暗号資産と本格的に向き合う中で、
この設計思想は避けて通れないものになります。
プライバシーは「思想」から「設計要件」へ
ここまで来ると、プライバシーの位置づけは明確です。
それは、
自由や抵抗の象徴ではなく、
金融インフラとして成立するための設計要件です。
- 使えるか
- 説明できるか
- 長期的に制度と共存できるか
この問いに「はい」と答えられるプライバシーだけが、
2026年以降の暗号資産市場で生き残ります。
そして、この Rational Privacy を
最初から中核思想として設計に組み込んでいるブロックチェーンが、
次章で取り上げる Midnight です。
次章では、
Midnightがどのようにして
「規制対応 × プライバシー」という難題に正面から取り組み、
なぜそれがCardanoエコシステムとも深く結びつくのかを、
具体的に見ていきます。
第3章:Midnightとは何か
──「規制対応 × プライバシー」を最初から両立させるという設計思想
ここまでで見てきたように、2026年の暗号資産市場が求めているのは、
「隠すか、見せるか」という二択ではありません。
隠すべきものは守りながら、
必要なときには“正しいこと”を証明できる。
この Rational Privacy を、
思想や後付け機能ではなく、最初から設計の中核に据えているのが
Midnightというブロックチェーンです。
Midnightは「プライバシー特化チェーン」ではない
まず誤解されやすい点から整理しておきます。
Midnightは、いわゆる
「匿名性を最大化するためのプライバシーチェーン」ではありません。
目指しているのは、
- プライバシーをデフォルトで守る
- しかし、合法性・遵守性・正当性は証明できる
- それをアプリケーションレベルで柔軟に設計できる
という、実務と制度を前提にしたプライバシー基盤です。
つまり、Midnightは
「隠れるためのチェーン」ではなく、
“安心して使えるためのチェーン”として設計されています。
Midnightが解こうとしている「三重の矛盾」
Midnightの立ち位置を理解するうえで重要なのが、
従来のブロックチェーンが抱えてきた、次の“三重の矛盾”です。
- プライバシーを強くすると、規制対応が難しくなる
- 規制対応を重視すると、プライバシーが失われる
- どちらかを選ぶと、実用的なアプリが作りにくい
多くのプロジェクトは、
このどれかを犠牲にして成り立ってきました。
Midnightは、このトレードオフを前提にせず、
ZK(ゼロ知識証明)を使って構造そのものを作り替える
というアプローチを取っています。
Selective Disclosureを「前提条件」にした設計
Midnightでは、
Selective Disclosure(選択的開示)が
「後から使えるオプション」ではなく、基本動作です。
具体的には、
- 取引や契約の詳細は非公開
- ただし
- 不正でないこと
- 条件を満たしていること
- 規制要件をクリアしていること
といった事実だけを、数学的に証明できます。
これにより、
- 規制当局や監査人は「ルールが守られている」ことを確認でき
- ユーザーや企業は「余計な情報を晒さずに済む」
という、これまで両立が難しかった関係が成立します。
ここが、Midnightが掲げる Rational Privacy の核心です。
トークン設計にも表れている「現実志向」
Midnightの思想は、トークン設計にも反映されています。
Midnightでは、
- NIGHT:ネットワークを支える基盤トークン
- DUST:実際のトランザクション実行に使われるリソース
という二層構造が採られています。
重要なのは、
NIGHT自体は“完全匿名トークン”として設計されていない点です。
これにより、
- ネットワーク参加やガバナンスは公開性を保ちつつ
- 実際の取引・契約・データ処理はプライバシー下で行う
という役割分担が可能になります。
ここにも、「すべてを隠さない」という
Midnightの現実的な姿勢がはっきりと表れています。
なぜCardanoと組み合わさるのか
Midnightは、単独で完結する世界を作ろうとしていません。
むしろ、
- 透明性と検証性を強みとするCardano
- 合理的プライバシーを提供するMidnight
という形で、
役割を分けたエコシステム拡張を前提にしています。
透明性が求められる領域はCardanoで、
秘匿性と選択的開示が必要な領域はMidnightで。
この分業によって、
「全部公開」か「全部非公開」か、という極端な選択をせずに、
現実の金融・公共・企業ユースケースに対応できるようになります。
Midnightは「次の逃げ場」ではなく「次の基盤」
ここまで見てきたように、
Midnightは規制から逃げるための場所でも、
既存金融に反発するためのチェーンでもありません。
むしろ、
- 機関投資家
- 企業
- 公共セクター
が暗号資産を安心して使うために必要になる基盤として、
非常に意図的に設計されています。
次章では、
こうした設計が実際にどのような需要を生み出し得るのか、
そしてMidnight稼働後に注目すべきユースケース
(予測市場、ステーブルコイン、DEXなど)を軸に、
「本当に使われるのか?」という視点から掘り下げていきます。
第4章:Midnight稼働後に見えてくる「本当の需要」
──なぜプライバシー付き予測市場・ステーブルコイン・DEXなのか
Midnightの設計思想がどれだけ優れていても、
最終的に問われるのはとてもシンプルです。
「それは、本当に使われるのか?」
この章では、
Midnightが“思想先行”で終わらず、
実需に直結しやすい理由を、
具体的なユースケースから見ていきます。
プライバシー付き予測市場:
「賢い人ほど参加しやすい」構造
最初に注目したいのが、予測市場です。
予測市場は本来、
- 政策
- 選挙
- 金融イベント
- マクロ経済
といったテーマについて、
最も情報を持つ人たちの判断を集約できる
非常に強力な仕組みです。
しかし現実には、
「予測が当たっても、参加していたこと自体がリスクになる」
という問題を抱えてきました。
- 規制リスク
- 社会的立場への影響
- 職業上の制約
こうした理由から、
一番正確な判断を持つ層ほど参加しにくいのです。
Midnightのように、
- 賭けの内容や金額は秘匿しつつ
- 不正や違法性がないことだけを証明できる
仕組みがあれば、
予測市場は一気に「実用インフラ」に近づきます。
ここでは、プライバシーは贅沢品ではなく、
市場の精度を高めるための必須条件になります。
ステーブルコイン:
「透明すぎるお金」が抱える矛盾
次に、ステーブルコインです。
ステーブルコインは、
暗号資産が実体経済に接続するうえで
最も重要なユースケースのひとつですが、
同時に深刻な問題も抱えています。
それが、利用履歴がすべて可視化されてしまう点です。
- 給与の支払い
- 企業間決済
- サプライチェーンの支払い
これらが常時公開されると、
プライバシーだけでなく、
取引関係や価格戦略そのものが露出してしまいます。
MidnightのRational Privacyがあれば、
- 支払いの正当性
- 規制遵守
- 担保の健全性
といった点は証明しつつ、
誰が・誰に・いくら払ったかは守る、
という設計が可能になります。
これは、
「匿名マネー」ではなく、
“使えるデジタルキャッシュ”への進化だと言えます。
DEX:
「透明性がアルファを破壊する」世界
DEX(分散型取引所)も、
プライバシー需要が非常に強い領域です。
現在のDEXでは、
- 大口注文が事前に読まれる
- MEVによって不利な約定が起きる
- トレーディング戦略が模倣される
といった問題が常態化しています。
これは不正というより、
設計上“見えすぎている”ことが原因です。
Midnightのように、
- 注文内容や戦略は秘匿
- ただし清算・決済は正しく行われたことを証明
できる仕組みがあれば、
DEXはようやく
プロフェッショナルが使える市場になります。
共通点:「使われるユースケース」ほどプライバシーが要る
ここまで挙げた3つのユースケースには、
明確な共通点があります。
それは、
- 実際のお金が動く
- 利害関係が発生する
- 現実社会と直接つながる
という点です。
そして、
こうした領域ほど、全面公開は不適切です。
Midnightが狙っているのは、
DeFiの中でも最も“現実に近い部分”です。
だからこそ、
プライバシーは付加価値ではなく、
前提条件になります。
「KPIで測れるプライバシー」という発想
もうひとつ重要なのは、
Midnightではプライバシーが
定量的に評価できるという点です。
例えば、
- プライバシー付きトランザクション数
- 実需アプリの継続利用率
- ステーブルコインの回転率
- DEXの平均スリッページ
こうした指標を通じて、
「プライバシーが価値を生んでいるか」を
測ることができます。
これは、
思想や物語ではなく、
実需としてのプライバシーが問われる段階に入った、
ということでもあります。
Midnightは「使われた結果、評価される」チェーン
Midnightの面白さは、
派手な物語を語らなくても、
- 使われれば評価が上がり
- 使われなければ淘汰される
という、非常に健全な位置にある点です。
Rational Privacyが本当に必要なら、
予測市場も、ステーブルコインも、DEXも、
自然とMidnightを選ぶはずです。
次章では、
こうした需要がCardanoエコシステム全体にどのような影響を与えるのか、
SPO、開発者、公共ユースケースの観点から整理していきます。
第5章:MidnightはCardanoエコシステムに何をもたらすのか──「透明性のL1」と「合理的プライバシー」の分業が生む拡張性
Midnightを理解するうえで欠かせないのが、
「Cardanoとどういう関係にあるのか」という点です。
結論から言うと、
MidnightはCardanoの代替でも競合でもありません。
むしろ、Cardanoが長年抱えてきた“未解決領域”を、役割分担で補完する存在です。
Cardanoが強い領域、弱かった領域
Cardanoはこれまで、
- 高い検証性と透明性
- フォーマルメソッドに基づく堅牢性
- 公共・制度との親和性
といった点で、
他のL1とは異なるポジションを築いてきました。
一方で、はっきりしていた制約もあります。
それが、
「すべてが公開される前提のL1では扱いにくいユースケースがある」
という点です。
- 企業間取引
- 個人情報を含む契約
- 金融商品の内部ロジック
- 公共分野(ID・医療・給付など)
これらは、
Cardanoの思想と相性が悪いのではなく、
透明性が高すぎるがゆえに実装しにくかった領域です。
Midnightは「Cardanoの欠点」を消すためのチェーンではない
重要なのは、
MidnightがCardanoの透明性を否定していない点です。
むしろ設計思想は明確で、
- 透明性が価値になる部分はCardanoで
- 秘匿性が必要な部分はMidnightで
という、機能別の分業です。
これにより、
- すべてをプライベートにする
- すべてをパブリックにする
という極端な選択をせずに、
現実世界に適したブロックチェーン構成が可能になります。
SPOにとっての意味:新しい役割と持続性
Cardanoエコシステムの中核であるSPO(ステークプールオペレーター)にとっても、
Midnightは重要な意味を持ちます。
Midnightでは、
- 既存の運用ノウハウ
- 分散運用の実績
- 長期安定運営へのインセンティブ設計
が活かされる前提になっています。
これは、
- SPOが単に「ADAをステークする存在」から
- 複数レイヤーを支えるインフラ運営者へ進化する
可能性を示しています。
2026年以降、
SPOは“過去の報酬モデル”に依存する存在ではなく、
エコシステム全体の信頼性を担保する役割へ
再定義されていくことになります。
開発者にとっての変化:
「作れなかったものが、作れるようになる」
開発者視点でも、
Midnightの登場は大きな転換点です。
これまでCardano上では、
- 検証性は高いが
- プライバシー要件のあるアプリは設計が難しい
という制約がありました。
Midnightが加わることで、
- パブリックなロジックはCardano
- 秘匿すべきロジックやデータはMidnight
という形で、
実世界に近いアプリ設計が可能になります。
これは、
- 金融
- ID
- CRM
- 公共サービス
といった分野において、
Cardanoエコシステムの射程を大きく広げます。
Catalyst・公共ユースケースとの相性
Cardanoが重視してきた
「公共性」「長期持続性」という文脈でも、
Midnightは非常に相性が良い存在です。
公共領域では、
- 透明性が求められる部分
- 個人情報を守る必要がある部分
が常に混在します。
MidnightのRational Privacyは、
この二律背反を技術的に処理できるため、
- 行政
- 教育
- 医療
- 社会保障
といった領域で、
“机上の構想ではない”Web3活用を可能にします。
Cardanoは「閉じたL1」ではなく「拡張可能な基盤」へ
ここまで見てくると、
Midnightの本質的な役割は明確です。
それは、
Cardanoを「完成されたL1」にすることではなく、
「現実に適応し続けられる基盤」に進化させることです。
- 透明性だけでは足りない
- しかし秘匿だけでも成立しない
この現実的な条件を満たすための“外延”として、
Midnightは設計されています。
次章では、
こうした分業モデルが示す
2026年以降の暗号資産の勝者条件を整理し、
なぜプライバシーが“本命インフラ”になるのかを
あらためて総括していきます。
終章:2026年以降の勝者条件

──なぜプライバシーは“思想”ではなく“本命インフラ”になるのか
ここまで見てきたように、
2026年を境に、暗号資産・ブロックチェーンの評価軸は
はっきりと変わろうとしています。
もはや問われているのは、
- どれだけ速いか
- どれだけ安いか
- どれだけ派手か
ではありません。
それは、現実社会の中で“長く使われ続けるか”どうかです。
2026年の暗号資産は「選別フェーズ」に入る
2025年までの暗号資産市場は、
ある意味で「可能性の展示会」でした。
性能、実験、思想、スピード。
さまざまなアプローチが同時に試され、
市場はそれを許容してきました。
しかし2026年以降は違います。
- 規制が動き
- 機関資本が入り
- 実体経済との接続が進む
この環境では、
使えないものは静かに使われなくなるだけです。
この“静かな選別”の中で、
最も厳しく評価されるのが、
プライバシー設計です。
プライバシーは「隠れるため」ではなく「続けるため」
重要なのは、
ここで言うプライバシーが
反体制的な思想や匿名性至上主義ではない、という点です。
2026年に求められるプライバシーとは、
- 規制と共存できる
- 説明責任を果たせる
- それでいて、過剰な可視化を防げる
という、持続可能性のための技術要件です。
言い換えれば、
プライバシーは「自由の象徴」から、
金融・公共インフラの“安全装置”へと役割を変えています。
なぜ Rational Privacyが本命になるのか
完全匿名は、制度と衝突します。
全面公開は、実務と衝突します。
この二項対立を超えるために生まれたのが、
Rational Privacy(合理的プライバシー) という考え方でした。
- 隠すべきものは、最初から隠す
- しかし「正しいこと」は証明できる
- それを数学と設計で実現する
このアプローチは、
思想ではなく、インフラ設計そのものです。
そして、この考え方を
後付けではなく、最初から中核に据えているのが
Midnightです。
Midnightは「避難先」ではなく「統合先」
Midnightは、
規制から逃げるための場所でも、
既存金融を否定するためのチェーンでもありません。
むしろ、
- 機関投資家
- 企業
- 公共セクター
が、安心してWeb3を使うための統合点として設計されています。
そしてそれは、
Cardano
という透明性と公共性を重視してきたエコシステムと
分業・補完関係を築くことで、
はじめて成立します。
2026年、「プライバシーがあるか」ではなく「どんなプライバシーか」が問われる
これからの市場で問われるのは、
プライバシーの有無ではありません。
- それは誰のためのプライバシーか
- どこまで説明できるのか
- 長期運用に耐える設計か
という、質の問題です。
2026年は、
プライバシーが「語られる年」ではなく、
「選別される年」になります。
その中で、
Rational Privacyを中核に据えたMidnightは、
単なる新チェーンではなく、
次の時代の暗号資産インフラ像そのものを提示していると言えるでしょう。
次の問いへ
では、このインフラが成熟した先に、
どんなユースケースが本格的に立ち上がるのか。
そして、どの領域から“臨界点”を迎えるのか。
それは、2026年から始まる
次の実証フェーズで明らかになっていきます。
プライバシーは、もはやオプションではありません。
暗号資産が現実世界に定着するための、最後のピースなのです。
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