2023上半期の暗号市場とカルダノ「#1:カルダノ市況とDeFiを振り返る」
2023年上半期(1月から6月)は、暗号通貨市場で大きな変動があった期間でした。特に規制の動きが活発化し大きな影響を与えました。
今回のエポックな日々では、2023年上半期間中の暗号資産市場の全体の動きを見ながら、カルダノの市況、DeFi、エコシステムの動きについて、振り返っていきます。なお今回は下記のように2回分けてお届けします。
2023上半期の暗号市場とカルダノ「#1:カルダノ市況とDeFiを振り返る」
2023上半期の暗号市場とカルダノ「#2:カルダノ・エコシステムを振り返る」
今回はまず2023上半期におけるカルダノ市況とDeFiを振り返って行きます。
2023年上半期(1月から6月)の暗号市場とカルダノ市場の動き
ビットコインは、年初に16,847.6ドルの価格でスタートしました。ビットコインは価格が着実に上昇し、6月には31,379.2ドルのピークに達しました。
一方、2023年上半期、カルダノは1月に0.2678ドルの価格でスタートしました。2月には価格が0.4189ドルまでピークを迎えましたが、その後の数ヶ月は価格が下落し、6月には0.2629ドルの安値に達しました。6月30日を終えた時点では、0.285ドルとなっていました。
この期間中のビットコインとカルダノをはじめとするアルトコインの対照的なパフォーマンスは、特に6月に起こったSECのバイナンス、コインベースに対する訴訟問題が大きく影響しています。
しかしカルダノは暗号資産の時価総額(マーケットキャップ)ランキングでは、7位の地位を依然としてキープしており、スマートコントラクトプラットフォームでは、イーサリアム、バイナンスチェーンに次ぐ3位の時価総額となっています。
SEC訴訟問題
2023年上半期は、暗号市場の主要プレーヤーが直面した重大な訴訟問題が発生しています。米国証券取引委員会(SEC)は、Genesis Global Capital、LLC、Gemini Trust Company、LLC、Binance、Coinbase、およびPayward Ventures(Krakenとしても知られる)、Tron Foundation Limited、BitTorrent Foundation Ltdを含むいくつかの企業を、さまざまな違反で告訴しました。
米国SECにより、Genesis Global Capital、LLCとGemini Trust Company、LLCは、Gemini Earnクリプトアセット貸出プログラムを通じて小売投資家に未登録の証券を提供および販売したと起訴されました。未登録の提供は、小売投資家から数十億ドル相当の暗号アセットを調達し、暗号アセット貸出プログラムが直面する規制上の課題を浮き彫りにしました。
Coinbaseは、元製品マネージャーとその他2人に対して内部取引の罪状がかけられました。これらの人物は、Coinbaseプラットフォーム上で取引可能な特定の暗号アセットに関する複数の発表の前に先んじて取引を行ったとされています。
暗号アセット起業家のジャスティン・サン(Justin Sun)氏と、彼の完全子会社であるTron Foundation Limited、BitTorrent Foundation Ltd.、およびRainberry Inc(旧BitTorrent)は、Tronix(TRX)およびBitTorrent(BTT)で取引を行ったことに対して、SECにより未登録の暗号アセット証券の提供および販売の罪状がかけられました。
Payward Ventures、Inc(Krakenとしても知られる)は、SECにより告発されました。Krakenは、未登録の暗号アセットステーキングサービスプログラムの提供および販売を中止する必要があり、SECの告発に応じて3000万ドルを支払う必要がありました。
2023年6月、SECはBinance.comとBinance.USに対して、取引所、ブローカー、ディーラー、およびクリアリング機関として運営し、米国の顧客から少なくとも116億ドルの取引手数料収入を得たとして、告発しました。
さらに、2023年6月6日に、SECはCoinbaseに対して、暗号アセット取引プラットフォームを未登録の国家証券取引所、ブローカー、およびクリアリング機関として運営したとして告発しました。 SECはまた、Coinbaseに対して、暗号アセットステーキングサービスプログラムの提供および販売の登録を怠ったことを非難しました。
これらの訴訟問題は、暗号通貨市場に大きな影響を与え、不確実性と変動性を引き起こしました。特に、SECによる世界最大の仮想通貨取引所であるBinanceとCoinbaseへの訴訟は、アルトコイン市場に大きな影響を与えました。多くのアルトコインが証券と見なされ、その価格は大幅に下落しました。トップ10市場シェアのBinance Coin(BNB)、Cardano(ADA)、Polygon(POL)、Solana(SOL)も、たった1週間で約30%下落しました。
参考記事
ビットコインETFの申請
2023年上半期後半の6月には、SEC訴訟問題の直後からビットコイン上場投資信託(ETF)の申請が急増し、暗号通貨業界が主流的な認知に向けて重要な進展を遂げました。特に、伝統的金融大手のBlackRock、Valkyrie、およびFidelityがビットコインETFを立ち上げることを目指していたことが注目されました。
特にSECがBinanceとCoinbaseに対する訴訟を起こした中、暗号通貨市場は大きな影響を受けましたが、その後伝統的金融大手たちのビットコインのETF申請により、ビットコインをはじめとする暗号市場はV字型の回復を経験し、2023年6月23日にはビットコインは31,440ドルをつけ最高値を記録しました。暗号市場のセンチメントが伝統的な金融機関のETF申請に向かう変化が見られました。
これらの申請は、ビットコインに対する機関投資家の関心の高まりと、暗号通貨に直接投資できる規制された製品を投資家に提供するという願望を示しています。しかし、これらの申請に対する米国証券取引委員会の反応は方向性もなくまちまちであり、いくつかの申請が不十分と判断され、ビットコイン市場に一定の不安定さをもたらし、依然として克服しなければならない規制上の障壁があることを示しています。
ビットコインETFの申請の急増と米国証券取引委員会の訴訟問題は密接に関連しています。規制当局の審査は、企業が規制上の環境を航行し、投資家にビットコインへの規制された露出を提供しようとすることを引き起こしました。これらの金融機関の持続的なビットコインETFの追求は、暗号通貨の規制上の明確さと主流的な認知をさらに押し進めることを示しています。
参考記事
これらの課題にもかかわらず、カルダノは自らの使命にコミットし、開発計画に注力し続けました。これらの市場イベントがカルダノに与えた影響は、市場の不確実性を乗り越えるための堅牢な戦略の重要性を強調しています。影響を受けたにもかかわらず、カルダノのDeFiは成長を続けています。これについての詳細は後述します。
今後、ビットコインETFの承認が可能になると、ビットコインの流動性とアクセシビリティがさらに向上することがあり、その結果、ビットコイン価格のさらなる上昇につながる可能性があります。ただし、これにより暗号通貨市場に対する監視や規制が強化される可能性があり、これはカルダノを含む他の暗号通貨のパフォーマンスに影響を及ぼす可能性があります。
コインテレグラフの記事によれば、現物ビットコインETFは、アメリカの退職基金がビットコインのアップサイドに露出する簡単な方法である一方で、分散型金融を促進し、銀行口座を持たない人々に力を与え、グローバルなお金のやりとりを変革するというビットコインの目的を進めるには、あまり役立他ないと指摘しています。
また、ETFや伝統的な金融機関が暗号空間に参入することが、ビットコインの根本的な目的にリスクをもたらす可能性があるため、これらのリスクに注意を払うことは、単なる投機資産ではなく、世界の金融システムを変革するためのツールとしてのビットコインの元の倫理に忠実であり続けることを意味すると伝えています。
SEC訴訟問題で大きく下落を経験した暗号市場後:カルダノADAの1日の上昇率は最大級に
SEC訴訟問題で大きく下落を経験した暗号市場は、その後BlackRockなどのビットコインETF申請によるビットコイン上昇に牽引される形で、相場が反転したかのような動きを見せました。
コインデスクジャパンは記事で、ビットコイン主導でカルダノとイーサリアムが急上昇し、ショートトレーダーは1億2500万ドルを失なったと報じています。
記事によればビットコイン(BTC)の上昇に合わせて、カルダノ(ADA)やイーサリアム(ETH)などの主要暗号資産は7%も急騰し、1日の上昇率は今月最大級とのこと。
その中で一時0.22ドルまで下落したカルダノADAは、大きな買い注文力によって地盤を固め、0.305ドルまで回復し、投資家の関心が再び高まりを見せています。6月22日時点カルダノADAの時価総額ランキングは7位で、24hで7.03%の上昇、一週間で:9.40%以上の上昇を記録しました。
また、6月20日のカルダノADAの24時間取引量は、ビットコイン、イーサリアムを抑えてNo.1になっています。これもカルダノの成長を裏付ける重要な指標といえます。
さらに暗号通貨の分野での事業の破綻や規制当局による訴訟などの落ち込みにもかかわらず、カルダノ(ADA)は6月の採用拡大において着実な成長を遂げています。
2023年6月1日以降、カルダノは平均で1日あたり2,446個の新しい暗号通貨ウォレットを追加し、6月21日にCardano Blockchain InsightsからFinboldが取得したデータによると、カルダノ保有アドレスの合計数は4,161,225個になりました。
6月には48,924個の新しいアドレスが追加され、年の初めから追加された318,578個の暗号通貨ウォレットの合計数に加算されました。
参考記事
2023上半期を終え他のブロックチェーンを押さえて躍進するカルダノDeFi
2023年上半期は、カルダノの分散型金融(DeFi)エコシステムの大きな成長と発展の期間でした。ネイティブトークンであるADAの採用率が上昇し、いくつかのDeFiプロジェクトの成功的な立ち上げにより、カルダノはブロックチェーンのスペースで成長を続け、イーサリアムやバイナンススマートチェーンなどの既存のチェーンに挑戦しています。
トータルバリューロック(TVL)で前例のない成長
2023年上半期のカルダノの最も注目すべき成果の1つは、DeFiトータルバリューロック(TVL)の前例のない増加です。TVLは、DeFiプロトコルにロックされた資産の総価値を測定するもので、DeFiエコシステムの健全性と成長を示す重要な指標です。
ADAの価格が回復しなかったとしても、USDベースのTVLは減速の兆候を示さず、ADAベースのTVLは、史上最高値を更新し続けており、非常に強い耐性を示しました。イーサリアムや他のスマートコントラクトプラットフォームと比較しても、カルダノのDeFiは強い上昇トレンドを示しています。
カルダノDeFiのUSDベースのTVL
米国SECがカルダノを証券認定したことで、およそ一週間で30%の下落に見舞われましたが、その間カルダノDeFiのUSDベースのTVLは大きな減速を見せず、ADAの価格が戻り切らない状態でも底力を見せました。
カルダノDeFiのADAベースのTVL
また、カルダノDeFiのADAベースのTVL(Total value locked:DeFiロックされた資産の合計)は、執筆時点7月8日に最高値582.08M ADAを記録しました。今年1月1日時点の200M ADAから2.91倍とおよそ3倍に迫る勢いで、1191.04%の上昇を達成しています。
@CardanoFeedのツィートによれば、カルダノのDeFiのADAベースでのTVLは新たな高みに到達するだけでなく、Ethereum、Binance Chain、Solana、Polygonなどの既存のチェーンをも上回っていました。この急増は、従来の金融機関が暗号通貨業界に向けた注目の増加によって駆動されたADAの取引高の印象的な増加に大きく貢献しています。
さらに、イーサリアムのUSDベースのTVLと比較するとカルダノの底堅い上昇傾向が見て取れます。
今後のカルダノDeFiおよびエコシステムの成長によるADA価格急騰の可能性
2023年下半期はカルダノDeFiの成長に伴い、今後数週間でADA価格も急騰する可能性があります。この価格急騰の可能性と、ADAの採用率の増加に加えて、カルダノのDeFiエコシステムの成長をさらに促進することができます。
さらにより多くの人々がADAを採用し、カルダノのDeFiプロジェクトに投資するにつれて、カルダノのDeFi TVLの成長がさらに期待されます。これにより、カルダノがブロックチェーンスペースで主要なDeFiプラットフォームの1つになる可能性があります。
とはいえまだまだカルダノのDeFi成長は始まったばかりで、現時点ではプロジェクト数が18であるのに対して、イーサリアムは738のプロジェクトが稼働しています。今後新規プロジェクトの参入とプロジェクトの更なる成長によりこの勢いを継続し、更なる飛躍が期待されます。
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みなさん、いかがだったでしょうか?2023年上半期はカルダノは米国SECなどの大きな影響にも関わらず、DeFiおよびエコシステムは、右肩上がりの非常に強い成長を達成し維持しています。
次のエポックな日々では、「#2:2023年上半期間中のカルダノ・エコシステムを振り返る」をお届けしますのでどうぞお楽しみに!
もしこの記事が気に入っていただけましたら、SIPO、SIPO2、SIPO3への委任をどうぞよろしくお願いいたします!10ADA以上の少量からでもステーキングが可能です。ステーキングについて知りたい方は、下記の記事をご参考ください。
ステーキング(委任)とは?
カルダノ分散型台帳システムによるステーキングの魅力とその方法:2021版
Q&A:カルダノ、ステーキングに関する基本的な説明集
ダイダロスマニュアル
ヨロイウォレット Chromeブラウザ機能拡張版マニュアル
Web3のプラットフォームを目指すLaceマニュアル
ニュース動向 in エポック422
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このTVLの驚異的な成長は、エコシステムへの投資家の揺るぎない支持と信頼の明確な証拠であり、Solanaなどの他のプロトコルを上回っています。Cardanoの継続的な開発者活動と分散型アイデンティティと拡張性への焦点は、Web 3.0の世界で最も機能的なスマートコントラクトプラットフォームの1つとして注目されています。
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