「金融再起動」最新情報10月版──「通貨文明の再設計」はどこまで進んだのか？ドル体制の崩壊と分散型金融の夜明け
世界のマネー構造が転換するいま、何が起きているのか？米国・日本・中国・欧州の通貨動向を横断し、サウンドマネーへの回帰と分散型インフラへの移行を読み解く。
🪙 序章｜通貨文明の再起動──「国家 × 通貨 × 金融」が同時に揺らぐ時代
いま世界では、確実に「金融の再起動」が進んでいます。
しかしその全貌を、メディアが正しく伝えているとは言えません。
ニュースは断片的な数字や景気の話題にとどまり、
通貨や制度の根本的な変化──つまり“私たちのお金の仕組みそのもの”が
静かに書き換えられている現実を報じることはほとんどありません。
けれど、この記事で扱う内容は、
誰もが本来知っておくべき「時代の転換点」の情報です。
これは一部の投資家や専門家だけの話ではなく、
あなたの生活、資産、仕事、そして地域経済に直結する“構造の変化”*のです。
国家や銀行に任せる時代は、もう終わりを迎えています。
これからは、「自分のことは自分で守る」＝自律的な金融知識を持つことが、
個人の生存戦略になります。
つまり、“分散型金融（DeFi）”とは、単なる技術ではなく、
「自分の信頼を自分で設計する力」にほかなりません。
それを理解し、使いこなすことができるかどうかが、
これからの社会を生き抜く上での分岐点になります。
この『エポックな日々589』は、
そうした現実を正面から見据え、
静かに、しかし確実に進行している「金融再起動」の全体像を明らかにするためのものです。
どうか、最後まで読み進めてください。
今、私たちがどのような世界の中に立っているのかを、
一人ひとりが知るために。
これまで『エポックな日々』では、「金融リブート」や「金融秩序の再設計」など、
世界の通貨・制度・ガバナンスの大転換をテーマに多くの分析をお届けしてきました。
直近の特集 エポックな日々579：2024年9月2日号『『迫る金融再起動』通貨の崩壊と価値の再定義──ドルの終焉とともに訪れる分散型金融の時代へ：ニュース動向 & ステーキング状況 in エポック579』、エポックな日々571：2024年7月24日号『金融秩序の再設計が始まった──革新的「責任ある金融イノベーション法案（草案）」が示す米国の本気とカルダノへの地政学的波及：ニュース動向 & ステーキング状況 in エポック571』では、米国主導の制度的Web3転換を中心に包括的な情報をまとめました。
それからわずか数ヶ月──。
金融システムの再起動は表面的には静かに見えながらも、
実際には驚くほどの速度で進行しています。
今回の『エポックな日々589』では、
この“静かにあが確実に突き進む金融再起動”がどこまで進んだのか、
そしてそれが私たちの暮らしや制度、社会の構造にどんな変化をもたらそうとしているのかを検証します。
また、このテーマは10月31日に開催する
AIRA×SIPOワークショップ「暗号とカルダノ最前線：分散型社会の実装」でも、
さらに深く掘り下げて、詳しくお話しします。
分散型金融の現在地、そしてカルダノが担う“信頼の再設計”をリアルに知りたい方は、
記事後半のワークショップ案内もぜひご覧ください。
参加は無料ですので、どなたでもお気軽にご参加いただけます。
さて、いま私たちが立っている時代は「通貨文明の再起動」の真っ只中にあります。
アメリカ、日本、中国、ヨーロッパ──どの国でも、国家の信用・通貨の信認・金融の構造という三つの柱が同時に揺れ始めています。
それは、単なる金融不安や景気循環の話ではなく、「通貨とは何か？」「信頼とは誰が担保するのか？」という、文明の根本に関わる問いそのものです。
ニュースでは日々、米国の債務危機や日本の金利上昇、金やビットコインの価格変動が取り上げられています。
しかし、これらを個別の現象として眺めてしまうと、その背後にある「構造的な再起動」を見逃してしまいます。
いま世界で起きているのは、“国家が通貨を支え、通貨が金融を支える”という20世紀型モデルの終焉であり、
コードが信頼を担い、ネットワークが制度を作る”という21世紀型モデルへの移行なのです。
「国家 × 通貨 × 金融」が同時に揺らぐ文明的転換点 → インフレ、信用不安、そして“サウンドマネー”への回帰
黄金に囲まれた倉庫に立つ人物（通貨の象徴）
「現在の世界では、通貨が政府や中央銀行により“無限に刷られる”ことで、インフレや信用不安が加速している。こうした背景から、分散的かつ透明な『サウンドマネー』の価値が、世界中で再評価されている。」
この一文は、今回の世紀の「金融再起動」を象徴しています。
アメリカでは37.9兆ドルの債務が積み上がり、日本では30年国債の金利が3％を突破し、中国と欧州もマネーサプライを史上最高に拡大しています。
つまり、“すべての通貨が膨張を続ける世界”の中で、法定通貨の信頼が根底から問い直されているのです。
米・中・欧・日すべてが史上最高値を更新
「中央銀行がどれだけ金利を上げても、通貨供給は止まらない」 →グラフは“信用創造”という文明装置の暴走を示しています。
■ @SITIONjpからの引用分析
「世界のM2が過去最高の95兆ドルを突破──通貨が刷られ続ける時代に、希少性が最大の資産になる。」
「金がユーロを超え、世界第2の準備資産に。ドル体制の揺らぎは、サウンドマネーへの回帰のサインだ。」
「米国債務37.9兆ドル、1日25億ドル増──信用貨幣システムの臨界点。」
これらの連続投稿が、@SITIONjpが描く「金融再起動」シリーズの核を成しています。
ここで語られているのは、通貨や経済のニュースというよりも、“文明の構造変化の実況中継”です。
つまり、「ドル体制の崩壊」は単なる地政経済ニュースではなく、「信頼のあり方が書き換わる過程」なのです。
信頼の源泉が“政府”から“コード”へ
20世紀の通貨は、「国民が国家を信じる構造」でした。
しかし21世紀の通貨は、「人々がコードを信じる構造」へと移行しつつあります。
この転換点において再び脚光を浴びているのが、“サウンドマネー”という概念です。
ビットコインは、誰にも奪われず、検閲されず、数学と暗号で保証される通貨。
そしてカルダノは、その“信頼のOS”を社会全体に広げるための基盤を担っています。
つまり、金融の再起動とは単に資金の流れが変わることではなく、「信頼の形」が変わることなのです。
💡 サウンドマネーとは？
「サウンドマネー（Sound Money）」とは、“誰にも勝手に増やせず、価値が長期的に保たれるお金”のことです。もともとは「健全なお金」「信頼できる通貨」という意味で、かつての金本位制のように、発行量が自然の制約によって決まっていた通貨を指します。
しかし、いまの法定通貨（ドルや円）は、政府や中央銀行の判断でいくらでも刷ることができます。そのため、インフレや信用不安が起きると、「通貨の価値が勝手に削られていく」──いわば“静かな税金”のような現象が生まれます。
こうした不安定な通貨環境の中で、「誰にも改ざんされず、供給量が決まっているお金」＝ビットコインや金などの“サウンドマネー”が、再び注目を集めているのです。
そしてこの「健全なマネー」の考え方を社会制度のレベルまで拡張しようとしているのが、カルダノ（Cardano）のような分散型プラットフォームです。
“通貨の信頼”を国家や銀行ではなく、“コードと数式”に移す──それが、21世紀の「金融再起動」の本質なのです。
世界中で、中央銀行が通貨を刷り、政府が債務を積み上げ、
個人と企業が「本当に信じられるお金」を探し始めています。
その動きが、金・BTC・ステーブルコイン・分散型金融へと繋がっています。
次章では、この“金融再起動”の震源地であるアメリカを取り上げます。「信用貨幣システムの崩壊」と「静かなデフォルト」が、どのように世界の秩序を変えようとしているのか──ドルの行方から見えてくる“文明の裂け目”を読み解いていきます。
🇺🇸 第1章｜アメリカ──信用貨幣の終焉と静かなデフォルト
世界の今回の「金融再起動」は、いつもアメリカから始まります。
それはドルが単なる通貨ではなく、「信頼そのものの象徴」として機能してきたからです。
しかし2025年現在、そのドル体制がいま最も大きく揺れています。
アメリカの債務はついに37兆9,000億ドルを突破し、国民一人あたりの負債は約10万ドル。
しかも、そのスピードは「1日25億ドル増」という異常なペースです 。
利払い額は年間1.2兆ドルを超え、国防費を上回る──
つまり、アメリカはいま「借金の利息を払うために国を運営している」状態なのです。
それでもFRBは利下げを急ぎ（最近戦略を変更）、財務省は国債発行を続ける。
まるで“延命装置”につながれた金融システムのように、ドルは命脈を保っています。
FRBの利下げは延命措置にすぎません。米国債の信用が揺らぐ中、ドル体制そのものが“静かなデフォルト”に入っているのです。
債務総額・GDP比・利払い額の推移
注釈：「国家の経済規模を超えた債務は、もはや返済ではなく“通貨膨張”で処理される段階へ」
信用貨幣の限界──「インフレは静かな略奪」
通貨の信頼が崩れ始めると、それは“数字”ではなく“生活”に現れます。
チャールズ・ホスキンソン氏が語ったように、インフレとは「静かな盗難（Silent Theft）」です。
毎年少しずつ、預金や給料の価値が目減りしていく。
それに慣れてしまった社会は、気づかぬうちに“通貨による略奪”を受け続けています 。
「通貨が健全（サウンド）でなければ、どれだけ努力しても貧しくなる社会ができあがる。」— 信用の崩壊と静かな略奪
アメリカの中間層が「かつてのシンプソンズの暮らし」を再現できなくなったのは、
経済ではなく通貨の構造そのものが変質したからです。
この作品の主役であるホーマー・シンプソンは、学歴も高くない中年の工場労働者ですが、
以下のような生活を送っていました。
持ち家（3LDK）
自動車2台
専業主婦の妻と3人の子ども
これは米国だけでなく、法定通貨を基盤にしたすべての国で進行している現象です。
「利下げでは救えない」──制度疲労の臨界点
いまのドルシステムの最大の問題は、「信用を創造していた仕組み」自体が壊れ始めていることです。
FRBが金利を下げても債券は買われず、むしろ売られ続けている。
つまり市場は、「金利の高低」ではなく「アメリカという国家の信用」を疑い始めているのです。
「利回り上昇の本質は、成長期待ではなく“信用リスク”の表れである。米国債の利回り上昇は、ソフトデフォルト（静かな債務不履行）の予兆だ。」
この“静かなデフォルト”とは、単に「返済できない」ことではありません。
ドルの価値を下げることで、実質的に債務を帳消しにしていく──
つまり、インフレによるソフトランディングの仮面を被った構造的デフォルトです。
FRB利下げ＝延命措置
- グラフ：米国債利払いの推移（1.2兆ドル→1.4兆ドル）
つまり、1.4兆ドルという数字は、- 1日あたり約38億ドル（$3.84 billion） の利払いになります。
日本円換算（1ドル＝150円の場合）すると
1日あたりおよそ5760億円の利払いです。
「これは景気対策ではなく、国家存続コストの削減である」
市場の変化──“債券よりビットコイン”の時代へ
この流れの中で、機関投資家や企業の行動が大きく変わっています。
債券市場から資金が抜け出し、暗号資産・金・実物資産へとシフトが進行中です。
2025年時点で、米国401K（企業年金）の一部が暗号資産投資を正式に解禁し、
10兆ドル規模のマネーがデジタル資産市場へ向かう可能性が生まれています 。
BlackRock、Fidelity、MicroStrategyといった大手も、
もはやビットコインを「リスク資産」ではなく「戦略的準備資産」として扱い始めています。
国家の信用が揺らぐとき、民間が“新しい準備銀行”になる──
それが2020年代の金融構造変化のリアルです。
また、米国の「暗号銀行」競争が新たな段階に入ったというニュース（2025年10月18日）が飛び込んできました。OCC（通貨監督庁）は、テック系富豪ピーター・ティールらが支援するオハイオ州の暗号銀行「Erebor」に対し、ナショナルバンク憲章の予備承認（conditional approval）を付与したのです。
さらにさらに、この競争に日本のソニーが正式参入したことも注目すべき動きです。ソニーは、子会社Connectia Trustを通じてOCCにトラスト憲章の申請を行い、米国でステーブルコインの発行と暗号資産カストディ業務を展開する方針を示しました。
承認されれば、ソニーは世界で初めて米国連邦規制下で暗号銀行を運営する大手テック企業の一角となる見通しでです。
現在、Paxos、Ripple、Circle、Coinbase、Stripeといった企業もOCCの認可を待っており、「暗号金融インフラ」をめぐる覇権争いが本格化しているのです。
国家がBTCを備蓄する時代
- グラフ：米財務省・MicroStrategy・中国・英国などのBTC保有量比較
- 注釈：「国家と企業の境界が曖昧化する“新しい通貨主権”」
アメリカ発「静かなデフォルト」が世界の再起動ボタンを押した
アメリカは、かつて金本位制を終わらせた国であり、いま再び“信用貨幣の時代”を終わらせようとしています。
ドルが弱まるほど、ビットコインや金、そしてステーブルコインが強くなる。
その逆転現象は、まさに「信頼の源泉が政府からコードへ移る」瞬間なのです。
@SITIONjpが繰り返し伝えているように、
「ドルの延命は文明の延命。だが、延命は再起動の序章にすぎない。」
米国は、もはや“通貨帝国”ではなく、“通貨実験場”になりつつあります。
そしてこの金融リセットの波は、次に日本を直撃します。
次章では、「第2章｜日本──長期金利3.3％の衝撃と“世界最大の債権国”喪失」を取り上げます。日本が34年ぶりに債権国の地位を失い、超低金利時代が終わる──この変化は、世界の金融秩序をどのように動かすのか。“静かなアメリカのデフォルト”が引き金となった、もう一つの「金融再起動」を見ていきます。
🇯🇵 第2章｜日本──長期金利3.3％の衝撃と“世界最大の債権国”喪失
アメリカの「信用貨幣の終焉」と並行して、
日本でも静かに、しかし確実に「金融再起動」が進んでいます。
その象徴的な出来事が、2025年5月に起きた――
日本の長期金利3.3％突破 と、“世界最大の債権国”地位の喪失 です。
これは単なる経済ニュースではなく、
30年以上続いてきた「日本＝世界の貸し手」という構造が崩れたことを意味します。
つまり、日本がもはや“余剰資本を世界に貸す国”ではなくなり、
逆に“世界の金利変動に耐えられない国”になりつつあるのです。
この変化は、世界の金融地図において、極めて大きな地殻変動を示しています。
日本も例外ではない
- 「日本国債の長期金利が過去最高水準に、世界最大の債権国から転落──金融再起動は目前」
- グラフ：30年国債利回り・評価損・債務比率推移
- 注釈：「日本の金融システムは“ゼロ金利幻想”の終わりを迎えている」
金利上昇という「静かな地震」
日本の長期金利が歴史的転換点に到達──30年国債3％超えの衝撃
2025年、日本の30年国債の利回りは3.3％を突破し、史上最高水準を記録しました 。
金利の上昇は一見、小さな数字の変化に見えますが、その背後で動いているのは金融秩序そのものです。
生保4社の評価損は8兆円を超え、
「国債＝安全資産」という前提が音を立てて崩れ始めました。
日銀のYCC（長期金利抑制）政策が終わったことで、市場は“買い手不在”の状態に。
国債市場から流動性が消え、
「流動性の枯渇（Liquidity dries up）」という言葉が現実になっています 。
金利が上がるということは、借り手にとってはコスト上昇、
そして貸し手にとっては資産価値の下落を意味します。
それは同時に、銀行・年金・保険・企業・家計の全レイヤーに影響を及ぼす“構造的ショック”です。
日本国債の異常事態
- グラフ：30年債利回り推移と生保評価損
- 補足「金利上昇は単なる市場現象ではなく、“国家バランスシートの崩壊”である」
“世界最大の債権国”から転落──金融構造の歴史的転換
日本は34年間にわたり、対外純資産（＝海外への貸出超過）で世界一を維持してきました。
しかし2025年、その地位を正式に喪失 。
財務省の発表によれば、日本は2024年度の末時点で純資産残高が減少し、
初めて「世界最大の債権国」から転落しました。
このニュースは地味に見えて、実は「経済構造の転換点」を示しています。
なぜなら、これまで日本は「世界にお金を貸すことで金利を得る国」でした。
しかしいまは逆に、「金利を払う側」に回り始めています。
つまり、日本の“貯蓄経済”が“債務経済”へと移行しつつあるのです。
「日本国債3％超──金利がある国に戻ったというより、“金利なしでは生きられない国”になった。」（@SITIONjp）
「世界最大の債権国、地位を喪失。日本はもはや『安全資産の供給者』ではなく、『グローバル金利の被験者』である。」（@SITIONjp）
「日銀が利上げをためらうほど、金融秩序の再設計が待ったなしになっている。」（@SITIONjp）
これらの一連の投稿が示すのは、日本が“構造的にドルの延命システムに組み込まれていた”という視点です。
ゼロ金利・国債買い支え・円キャリー取引――。
それらはドル体制を補完するための「副回路」でした。
しかし、アメリカが自国債務を支えられなくなると、
日本の金融バランスも同時に壊れ始めたのです。
Slide世界同時進行する長期金利の急騰
- 比較：米・英・仏・日30年国債利回り
- 注釈：「金利上昇は“国家債務モデル”の終焉を告げる世界的シグナル」
「ゼロ金利時代」の終わりは、中央集権モデルの終わり
ここまで見てきたように、日本の金利上昇は一国の金融政策では説明できません。
それは、世界同時に起きている“信用貨幣の終焉”の一部です。
ゼロ金利とは、国が市場に“信頼の幻想”を配給する仕組みでした。
その信頼を維持するために、政府は借金を増やし、日銀が紙幣を刷り続ける。
しかし、金利が上がった瞬間、その幻想が現実に引き戻されました。
つまり、「国家が市場を管理する」という時代が終わり、
「市場が国家を評価する」時代が始まったのです。
そしてその市場の中には、もう国家通貨だけではなく、
ビットコインやステーブルコインといった“分散型通貨”が入り込んでいます。
変わる日本の通貨主権──「銀行がDeFiに参加する日」
この動きの中で、日本の金融庁も動き始めました。
2025年秋、銀行による暗号資産投資の解禁を検討すると報じられたのです 。
これは、これまで「銀行＝暗号とは無縁」とされてきた前提を覆すもので、
日本の金融制度がいよいよ“分散型金融”のゲートを開きつつある兆候です。
また、金融庁は2026年度の税制改正で暗号資産の分離課税化を要望し、
「暗号資産・イノベーション課」の新設も決定。
さらに金融庁は国内銀行が暗号資産を「投資目的」で取得・保有できるよう、監督指針・制度面の見直しを検討しています。現在、2020年改定の監督指針では、銀行グループによる暗号資産の取得・保有は実質的に禁じられています。報道では、同庁が株式・国債と同様の売買枠を整備すべく、近く開かれる金融審議会の作業部会で議論を開始するという。
JPYCやDCJPY、SBI×RippleのRLUSDなど、民間主導の“デジタル円圏”が次々に立ち上がっています。
これらは、もはや実験ではなく制度の一部です。
「金融再起動」は日本をも呑み込み始めた
アメリカがドルで延命している間に、
日本は「金利」で延命しているように見えます。
しかし、金利上昇の裏では、国債・保険・年金・預金――
すべての旧来モデルが静かに焼かれ始めています。
この燃焼は破壊ではなく、“再起動”です。
信頼を政府から市場へ、そして市場からコードへ移すための過渡期。
@SITIONjpが述べたように、
「金利の上昇は終わりではなく、“分散化の始まり”である。」
次章では、その「分散化」の中心であるサウンドマネーとデジタル通貨秩序の再構築、
つまり“金と暗号の交差点”へと話を進めていきます。
🪙 第3章｜通貨秩序の崩壊とサウンドマネーの夜明け
アメリカの信用貨幣が揺らぎ、日本の金利が跳ね上がる中で、
世界の金融の「重心」もまた、大きく移動し始めています。
それは、“法定通貨”という国家の約束に代わって、
「希少性」そのものが通貨の信頼を決める時代へと移行しているということです。
2025年10月、金（ゴールド）はついにユーロを抜き、
世界第2の準備資産になりました 。
その直後、世界最大級の金鉱が中国で発見され、
「金の終焉」と「暗号資産の夜明け」を象徴する出来事として報じられました 。
さらに、Cointelegraphが報じたように、
米国財務省は押収資産を含めたBTC保有を増やし、
その量は国家として世界第2位に達しています 。
「金の復活」ではなく「通貨秩序の再編」
世界の中央銀行が金を買い増しているのは、
金が魅力的だからではなく、ドルが信頼されなくなってきたからです。
米国の債務が膨張し、インフレが続く中、
金は「どの国にも属さない価値保蔵手段」として再評価されています。
CNBCは「金はユーロを超え、世界第2の準備資産となった」と報じました。
つまり、ドル・金・暗号の三極時代が現実化しているのです。
しかし、@SITIONjp が指摘しているように、
「金は無国籍だが、有限ではない。採掘が進めば供給は増える。だからこそ、“絶対に増えないお金”＝ビットコインの時代が来る。」
この視点こそが、「サウンドマネーの夜明け」を理解する鍵です。
金急落、資金はどこへ向かう？──暗号資産市場への“静かな流れ”
2025年10月22日、金（GOLD）の市場で歴史的な急落が発生しました。 わずか一日の間に1.8兆ドル（約280兆円）もの時価総額が失われ、これはビットコイン全体の時価総額の約80％に相当する規模です。
安全資産から流動資産へ──ビットコインへの資金シフトの可能性 金が急落するとき、投資家は「次の安全資産」を探し始めます。 近年、その受け皿として存在感を強めているのがビットコイン（BTC）です。 デジタル・ゴールドとしての認識が定着しつつあり、 金ETFからBTC ETFへの資金シフトはすでに始まっています。 今回の下げも一部は「金ETF→暗号資産ETF」への流出として観測される可能性があります。
金の安全資産としての神話が揺らぎ始めた デジタル・ゴールド＝ビットコインが次の避難先として浮上 ETF市場の拡大が暗号資産を“金融システムの中核”に押し上げつつある金急落は単なる価格調整ではなく、 価値保存手段としての世代交代の予兆かもしれません。
“錬金術”が現実になった日──希少性の概念が崩れる
2025年秋、アメリカの核融合スタートアップ「マラソン・フュージョン」が、
水銀から金を生成できる技術を発表しました 。
もしこれが実用化されれば、「金＝希少な資産」という数千年の常識が覆ります。
つまり、金の価値は物理的な希少性ではなく、
「誰が信じるか」という相対的な概念に変わるということです。
そしてその“信頼の物理的基盤”を失った世界で、
ビットコインのような「数学的希少性」を持つ資産が、
新たな信頼の中心へと浮上していきます。
「無限に刷られる通貨、無限に採れる金。そのどちらも信頼を失うとき、“有限で改ざんできないコード”が最後の避難所になる。」
世界のマネーが“逃げ場”を探している
現在、世界のM2（広義通貨供給量）は95兆ドルを超え、史上最高を更新中 。
どの国も同じように通貨を刷り続けており、
それはインフレの連鎖と、通貨価値の“希薄化”を意味しています。
そんな中、投資家・企業・国家のいずれもが、
「紙幣ではなくプロトコルに信頼を置く」方向へ動き始めています。
金、BTC、そしてステーブルコインがこの逃避先の三本柱です。
- 金：実物資産としての“防御の信頼”
- ビットコイン：数学的ルールによる“攻めの信頼”
- ステーブルコイン：制度とテクノロジーをつなぐ“橋の信頼”
この三つが共存する世界こそ、ポスト・ドル時代の新しい秩序です。
希少性が信頼を置き換える時代へ
こうして、法定通貨＝信用のお金の時代は終わりつつあります。
その代わりに、“希少性こそが信頼”という時代が始まっています。
金が希少性を失い、通貨が無限に刷られる中で、
人々は「限界があること」に価値を見出すようになってきたのです。
@SITIONjp がまとめたように：
「ドルの時代は信用の時代。ビットコインの時代は、数学の時代。サウンドマネーの時代は、“信頼がコードに宿る時代”である。」
サウンドマネーが文明の再設計を導く
この流れを単なる「投資トレンド」と見るのは誤りです。
これは、文明が“信頼の形”を再設計している過程です。
国家や中央銀行に依存しない価値保存手段、
それを可能にする分散型インフラ――
その方向性を最初に示したのが、ビットコインであり、
いまその思想を制度レベルで実装しようとしているのがカルダノ（Cardano）です。
通貨秩序の崩壊は、破壊ではなく再生です。
“健全なお金”を取り戻すことは、
“健全な社会”を再び設計することと同義なのです。
次章では、通貨の「再起動」から生まれた新しい制度──分散型金融（DeFi）とトークン化経済の夜明けを取り上げます。
伝統金融がどのようにしてブロックチェーンと融合し、国家が暗号を制度に取り込もうとしているのかを解説します。
🌐 第4章｜分散型金融への移行──信用の座は政府からコードへ
世界の通貨秩序が崩れ、サウンドマネーの時代が始まった今、
もう一つの大きな変化が進んでいます。
それは、「金融そのものの再設計」です。
これまで金融の信用は政府や中央銀行が担ってきました。
しかし、その信用が失われつつある今、
次の時代では「コードと透明性」がその役割を引き継ぎつつあります。
この変化の象徴が、ブロックチェーンによって実現する分散型金融（DeFi）の進化と、
それを国家レベルで制度化しようとする新しい動きです。
アメリカから始まる「制度的DeFi」の時代
2025年、アメリカはついに“金融インターネット時代”に踏み出しました。
議会では、暗号資産に関する三大法案――GENIUS法が可決され法制化、続いてCLARITY法、CBDC禁止法が法制化をすusめています。＊米国政府がシャットダウン中のため、作業が止まっているが、再開次第早急に法制化へ進む見通しです。
これまで曖昧だった暗号資産の法的位置づけを明確化しようとしています。
- GENIUS法：ドル連動型ステーブルコインを制度化（法制化済み）
- CLARITY法：トークンの分類を明確にし、SECの恣意的判断を抑制（制定中）
- CBDC禁止法：国家による監視的なデジタル通貨を法的に制限（制定中）
これにより、アメリカではブロックチェーンを“金融の公共インフラ”として活用する道が正式に開かれ用としています。
関連記事：
@SITIONjp でも、次のようにまとめられています。
「アメリカはブロックチェーンを“自由の基盤”として選んだ。ドルの再起動は、分散型通貨ネットワーク上で進んでいる。」
国家がビットコインを備蓄する時代
政府が「分散型」を採用するという逆説
かつて政府は暗号資産を“脅威”とみなしていました。
しかし今や、それを戦略的資産”として取り込む側に回っています。
ホワイトハウスが2025年7月に発表した報告書「Digital Assets: Toward a U.S. Strategy」では、
ビットコインを国家準備資産として扱う可能性が初めて明記されました。
つまり、アメリカ政府自らが「分散型通貨」を国家の信頼構造に組み込み始めたのです。
同時に、スマートコントラクトを政府支出の監査や透明性強化に活用する方針も示され、
“スマートガバメント”構想が本格化しています。
ブロックチェーンが公共予算や税金の流れを自動的に記録する――
それは、もはや「DeFi」ではなく「GovFi（ガバメント・ファイナンス）」の時代です。
ETFとステーブルコインがもたらす新秩序
金融市場はトークン化され、米ドルはブロックチェーン上で再設計されつつあります。ビットコインETFが史上初めて金ETFに肩を並べようとしているのです。
この1年でビットコインETFの運用資産額（AUM）は約2倍となり、約1,500億ドルに達しました。一方で金ETFも過去最高の1,800億ドルに拡大しているが、その伸び率は同期間で約40%にとどまっています。 わずか3年前、金ETFはビットコインETFの5倍の規模を誇っていました。しかし今やその差は急速に縮まり、現行のペースが続けば2026年にはビットコインETFが金ETFを追い越す可能性があるというわけです。 SECによるスポット型ビットコインETF承認を契機に、暗号資産市場は伝統資産を凌駕する力を示しつつあります。ビットコインとゴールドの時価総額逆転は、金融市場における新たな時代の幕開けを意味することになるでしょう。
0.01ドル送金の衝撃──銀行のビジネスモデルが壊れる
アメリカの銀行では、ステーブルコインを使った送金手数料が0.01ドルまで下がっています 。
これは従来の国際送金（数千円単位）を数百分の一に圧縮する水準です。
銀行にとっては“収益の根幹”だった手数料が、わずか1セントになる。
@SITIONjp はこの変化をこう分析しました。
「ステーブルコインが国境を越える瞬間、銀行は“信頼の独占業”ではなくなる。」
つまり、銀行が独占していた“信頼の管理”という役割が、
オープンソースのコードと分散ネットワークに置き換えられつつあるのです。
世界中の銀行が「分散化」を受け入れ始めている
ステーブルコイン市場は、わずか数年で2,800億ドルを突破しました 。
そして今、銀行や証券会社までもがDeFiに接続し始めています。
- 米銀はステーブルコイン事業を合法化し、送金インフラを統合
- 日本の金融庁は銀行による暗号資産投資を検討
- 香港ではHSBCや中国工商銀行がステーブルコインライセンスを申請
- 中国は人民元建てステーブルコインの承認を準備
これらの流れは、単なる「金融のデジタル化」ではなく、
“国家がブロックチェーン上で共存を始めた”という構造変化です。
もはやブロックチェーンは「非政府的」な技術ではなく、
「多国籍インフラ」として世界の制度に組み込まれつつあります。
テクノクラシーが設計する新しい金融構造
ペイパルマフィアと分散型金融の未来
PayPalやSquareといったフィンテック勢が次々と暗号金融に参入しています。
ジャック・ドーシーのSquareは11月10日からビットコイン決済を手数料ゼロで提供、
イーロン・マスクのX（旧Twitter）は送金機能を統合し、
ピーター・ティールは「ステーブルコインこそ自由主義の兵器」と語りました 。
彼らの共通点は、「通貨は国家の専有物ではない」という思想です。
これを支えるのが、AIとスマートコントラクトの融合。
信用・担保・税・身元確認といった制度を、すべて自動化する構想です。
この動きは単なるフィンテックではなく、
「信頼のOS」を再設計する文明的プロジェクトなのです。
政府の時代から、コードの時代へ
こうして見ると、「分散型金融」とは“政府を倒す仕組み”ではなく、
“信頼を再構築する仕組み”だとわかります。
20世紀の通貨は「国家の約束」でした。
21世紀の通貨は「コードの約束」になりつつあります。
そしてこのコードを「制度」として統合しようとしているのがカルダノであり、
その社会実装を現実に進めているのがAIRAのようなプロジェクトです。
@SITIONjp が言うように：
「金融再起動とは、国家からネットワークへの“信頼の移行”である。」
AIRA関連記事：
信頼の中心が移り始めた世界で
私たちは今、通貨と金融の歴史の“リレー”を目撃しています。
ローマが法を、イギリスが信用を、アメリカがドルを支配したように、
次の覇権は「コードを制したネットワーク」が握ることになるでしょう。
その新しい秩序の中心に立つのが、分散型金融（DeFi）であり、
次章では、その中で最も重要なテーマ――
「ステーブルコインとサウンドマネーが共存する新しい金融秩序へと進みます。
💵 第5章｜世界の再編──ステーブルコインとトークン化金融の時代
“金融再起動”が進む中で、
いま世界の通貨システムは「ドル体制の延命」から「デジタル体制の再設計」へと大きく舵を切り始めています。
その中核にあるのが、ステーブルコイン（Stablecoin）と呼ばれる“デジタル版のドル”です。
ブロックチェーン上で即時に送金でき、価格は1ドル＝1コインに安定。
誰でも、どこでも、ほぼゼロコストで国境を越えて使える。
かつては暗号資産の補助的な存在と見られていたこの通貨が、
いまや世界の金融インフラの再構築を主導する中心的存在になりつつあります。
ETFとステーブルコインがもたらす新秩序
1. ステーブルコインが“新しいドル”になる
2025年、米国ではステーブルコイン市場が2,800億ドルを突破しました 。
かつてビットコインが“逃避先”だった時代から、
いまはステーブルコインが“使うためのドル”として機能しています。
PayPal、Circle、Coinbase、Stripeといった企業が次々に独自のコインを発行し、
政府もそれを制度の中に組み込む方向へと動いています。
ステーブルコインはもはや「仮想通貨」ではなく、
“オンチェーン化されたドル経済”を支える実体になっています。
@SITIONjpのコメントでも、この変化は明快です。
「ステーブルコインは“ドルの再起動装置”。紙のドルが動かす世界を、コードのドルが引き継いでいる。」
2. 「銀行 vs コード」の静かな競争
従来、銀行は「信頼の仲介業」を独占してきました。
しかし今、USDCやUSDTなどのステーブルコインが、
その役割を“コード”で置き換えつつあります。
送金にかかるコストは、わずか0.01ドル。
決済は数秒で完了し、手数料収入を失った銀行は新しいビジネスモデルを模索しています。
アメリカの大手銀行は、法改正（GENIUS法）によってステーブルコインの発行や運用が合法化されたことで、
逆に自らその波に乗り始めました。
もはや、ブロックチェーンに抵抗するのではなく、取り込む側に回っているのです。
金利付きステーブルコインが国家通貨を侵食する未来
3. 世界が“ステーブル・ウォーズ”に突入
アメリカがドルをオンチェーン化したように、
各国も自国通貨の「デジタル双子」を急ピッチで開発しています。
- 🇭🇰 香港：ステーブルコイン法を施行、HSBC・ICBCがライセンス申請
- 🇨🇳 中国：人民元建てステーブルコインを承認へ
- 🇯🇵 日本：JPYC・DCJPY・RLUSDの3モデルが始動
- 🇪🇺 欧州：ECBがデジタルユーロを開始、政治的監視を懸念する声も
これらはすべて、“通貨主権”をめぐるデジタル戦争の前哨戦です。
どの国も、自国のマネーシステムをブロックチェーン上で再構築しようとしています。
そして注目すべきは、どの国も最終的には「ステーブルコイン＝国家通貨の延長線」として扱い始めている点です。
もはや暗号資産ではなく、制度そのものになりつつあるのです。
4. 日本の挑戦──“民間主導のデジタル円圏”
日本もまた、この“金融再起動”の波に乗り始めています。
- JPYC：関東財務局登録を取得し、「1号電子決済手段」を発行
- DCJPY（ゆうちょ銀行）：1円＝1トークンの“トークン化預金”を計画
- RLUSD（SBI × Ripple）：ドル建てステーブルを日本で流通へ
これらはいずれも、中央銀行を通さずに民間が通貨を発行するモデルです。
つまり、ブロックチェーン上で「円」や「ドル」と同等の価値が動く世界が始まっています。
@SITIONjpではこう表現しています。
「JPYCは“実験”ではなく“制度”。銀行が暗号を扱い、企業が通貨を発行する時代が、もう始まっている。」
3メガバンク連携モデル
- 三菱UFJ・三井住友・みずほによる共同発行構想
5. トークン化金融──資産がすべてオンチェーンになる
次の波は、通貨だけではありません。
株式、債券、不動産、ファンドといったあらゆる資産が“トークン化（Tokenization）”されつつあります。
SBIホールディングスは、シンガポールのスターテイルグループと提携し、
株式をブロックチェーン上で取引できる基盤を開発中 。
RippleのRLUSDも、ステーブルコインと証券トークンをつなぐ実験を始めています。
これは単に「デジタル証券」ではなく、
「資本市場そのものがブロックチェーン上に再構築される」ということです。
アメリカでは既に、Coinbaseが株式＋暗号インデックス先物（Mag7 + Crypto Index）を上場し、
トークン化資産が伝統市場と同列に扱われるようになっています。
金融が“制度の上”から“ネットワークの下”へ移る
こうして世界の金融は、国家の制度の上からではなく、
ブロックチェーンという“共通レイヤー”の上で動き始めています。
- 通貨はトークン化され、
- 株式はブロックチェーン上で流通し、
- 銀行とDAO（自律分散組織）が共存する。
それは、「誰が信頼を発行するか？」という問いの終わりであり、
「信頼そのものが分散する社会」の始まりです。
@SITIONjpは、この転換をこう締めくくっています。
「金融の再起動とは、国家の終焉ではなく、“ネットワーク国家”の始まりである。」
トークン化社会がもたらす“制度の再設計”
ステーブルコインが通貨を、
トークン化資産（RWA）が市場を、
そして分散型金融が制度そのものを再設計していく。
それは、過去数百年にわたって続いてきた「国家の制度の時代」から、
“プロトコルが制度をつくる時代”への静かなシフトです。
🌐 7章｜制度を創るのは、カルダノである──ビットコインの継承とイーサリアムの超克
世界の金融が「再起動」を迎えたこの時代、
その次に問われるのは、「誰が新しい制度を創るのか？」という根源的な問いです。
ビットコインが“価値の革命”を起こし、
イーサリアムが“契約の革命”を進めてきたように、
カルダノ（Cardano）は今、“制度の革命”のステージに立っています。
この最終章では、カルダノがどのようにビットコインの堅牢な設計思想を継承し、
イーサリアムが築いたプログラム可能性を超えて、
分散型の制度──すなわち「公共のOS」──を実装しつつあるのかを見ていきます。
三層統合モデル：価値 → 契約 → 制度
- 1層：Bitcoin＝価値の保全（Sound Money）
- 2層：Ethereum＝契約の自由（Programmable Money）
- 3層：Cardano＝制度の秩序（Governable Money）
- 注釈：「カルダノは、価値と契約の層を統合し、制度をコード化する。」
1. ビットコインに根差した“耐久的セキュリティ”
カルダノの設計思想は、ビットコインの哲学の正統な継承から始まっています。
それは、分散・耐検閲・数学的安全性という三原則に基づく「信頼の自律化」です。
カルダノのUTXOモデル（Unspent Transaction Output）は、
ビットコインが採用したシンプルで安全な取引設計をベースにしています。
しかし、カルダノはこれをEUTXO（Extended UTXO）へと進化させ、
各トランザクションにスマートコントラクトのロジックを直接埋め込むことを可能にしました。
この設計により、カルダノはビットコイン並みの堅牢なセキュリティを維持しながら、
イーサリアムのような柔軟な「条件付き取引（スマートコントラクト）」を実現しています。
「カルダノは、ビットコインの骨格を持ち、イーサリアムの自由を内包している。」
これが、カルダノが他のどのブロックチェーンよりも「長期的に安全」と評される理由です。
2. EUTXOが生む「制度的スマートコントラクト」
イーサリアムのスマートコントラクトは柔軟ですが、
実行環境がアカウントベースのため、複数の取引を同時に処理する際に競合（コンフリクト）が起こりやすい構造です。
一方カルダノのEUTXOモデルでは、各トランザクションが独立して検証・消費されるため、
並列処理が可能であり、ガス戦争（手数料競争）やブロック順序依存のリスクを回避できます。
この構造は単なる技術的優位ではなく、
「契約が秩序の中で共存できる」という制度的な設計思想に根ざしています。
カルダノのスマートコントラクト（Plutus）は、
ハスケル（NASAが使用する高級プログラミング言語であるHaskellをベースに構築され、その上に他に多くのスクリプト言語のライブラリがサポートされている。）という数学的に検証可能な関数型言語で書かれており、
コードの正しさを形式的に証明できる――つまり「法的に信頼できる」コードです。
「カルダノの契約は、“法律”と同じ精度で動作する。」
これこそ、“法治主義的ブロックチェーン”というカルダノの本質です。
スマートコントラクト比較表
| 要素 | Ethereum | Cardano (EUTXO) |
|---|---|---|
| モデル | アカウント型 | 拡張UTXO型 |
| 言語 | Solidity | Plutus（Haskell）その他多くの言語サポート |
| 並列実行 | 困難 | 容易（独立消費） |
| セキュリティ | 実行時依存 | 数学的検証可能 |
| 概念 | 契約の自由 | 契約の秩序 |
3. “分散型ガバナンス”という制度の実装
カルダノの革新性は、単に取引や契約を動かすだけでなく、
ネットワークそのものを社会制度のように運営できる点にあります。
Voltaire期（ヴォルテール期）と呼ばれるフェーズでは、
憲法（Constitution）、代表者（DRep）、プールオペレーター（SPO）、財政（Treasury）がすべてオンチェーンで管理され、
ネットワーク自身が自らをアップデートし続ける“自己統治システム”を構築しています。
- 憲法：ブロックチェーンの基本原理を定義
- DRep（Delegated Representative）：投票の代行・政策決定を担う代表層
- Treasury：全ネットワークからの手数料収入を財政として管理し、提案者に資金を分配
つまりカルダノは、「国家をプロトコルとして再現」しているのです。
このモデルは、民主主義をアルゴリズムで実装するという意味で、
ビットコインが切り開いた「金融の脱中央化」の次に位置する、
「ガバナンスの脱中央化」を成し遂げています。
「カルダノは、合意を通じて自らを進化させる、世界初の自律分散型の制度的ネットワークである。」
オンチェーン・ガバナンス構造図
- 憲法 → DRep・委員会（Committee）→ 財政 → ネットワーク実行
- コメント：「Cardanoは“制度の内部構造”をコード化している」
4. “制度”としてのカルダノが導く社会的帰結
このように、カルダノは「通貨」「契約」「制度」を単一の技術体系で統合しています。
その社会的帰結は、単なる分散型金融（DeFi）の進化ではなく、
分散型文明（Decentralized Civilization）への進化です。
そこでは、
- 政府の代わりにネットワークが法と財政を管理し、
- 企業の代わりにDAOが協働を組み、
- 市民の代わりにノードが公共圏を支える。
カルダノは「信頼を預ける場所」ではなく、「信頼を設計する場所」になるのです。
このモデルは、ポスト国家・ポスト資本主義の時代において、
“公共の新しい形”を提示しています。
「国家を超えるのではなく、国家を再設計する。カルダノとは、“制度をプログラムする社会”である。」
価値のコード化から、制度のコード化へ
ビットコインが示したのは「価値をコードで守る」こと。
イーサリアムが拡張したのは「契約をコードで実行する」こと。
そしてカルダノが実現しているのは、「制度をコードで運営する」こと。
これは、金融再起動の最終段階――
「信頼の自動化」＝制度の自律化の始まりです。
人類はついに、国家でも企業でもなく、
ネットワークそのものが“制度”となる社会の入り口に立っています。
制度を創るのは、カルダノである。
カルダノのUTXOは、ビットコインの精神を受け継ぎながら進化し、
Plutusは、イーサリアムのスマートコントラクトを超えて安全と秩序を両立させ、
Voltaire期のガバナンスは、社会の制度そのものを分散的に設計している。
この三つが交わるとき、
ブロックチェーンはもはや「金融システム」ではなく、「社会システム」になります。
「最初に“お金”を創ったのはビットコイン。
“スマートコントラクト”を創ったのはイーサリアム。
そして“制度”を創るのは、カルダノである。」
それは、金融の終焉ではなく、
信頼がコードとして生きる文明のはじまりです。
✨ エピローグ：信頼の文明へ──ポスト国家時代のカルダノ的社会像
私たちはいま、「金融の終わり」ではなく、
“信頼の文明”の始まりを迎えています。
それは、通貨や株価の動きでは測れない、もっと根源的な変化です。
“誰が価値を保証するのか”という問いから、
“信頼とは何か”という問いへと、文明の焦点そのものが移りつつあります。
20世紀の社会は、「国家」が信頼の中心にありました。
国が通貨を発行し、銀行が信用を創り、法律が秩序を保つ。
けれど、その構造は限界に達しています。
通貨はインフレによって信頼を失い、
金融は中央集権によって硬直化し、
制度は人々の実感から乖離してしまった。
それでも、私たちは諦める必要はありません。
なぜなら、信頼は制度の外側で再び生まれ始めているからです。
その新しい信頼の形が「カルダノ的社会」です。
カルダノは、単なるブロックチェーンではありません。
それは、「制度を設計するための文明的基盤」です。
そこでは、通貨は政府ではなく数学が支え、
契約は企業ではなくコードが管理し、
ガバナンスは官僚ではなくコミュニティによって運営されます。
そして、そのすべてが透明で、誰でも検証でき、
“信頼を共有できる世界”として機能します。
この社会では、
「国家」はひとつのノードにすぎず、
「市民」はネットワークの参加者となります。
そこに国境はなく、
共通の“プロトコル”を共有する人々が、
それぞれの地域・文化・思想の上に、
分散型の公共圏（decentralized commons）を築いていくのです。
それは、中央権力を否定する社会ではなく、
信頼を再分配し、制度を協働で運営する社会です。
そしてそのプロトタイプが、カルダノにすでに存在しています。
カルダノ的文明において、
「権力」は所有ではなく、検証によって成立します。
「富」は蓄積ではなく、貢献によって評価されます。
「制度」は命令ではなく、合意によって進化していきます。
それは、かつての国家や企業のようなピラミッド型社会とはまったく異なる、
“信頼の分散構造”に基づく新しい社会秩序です。
コードが制度を動かし、
制度が信頼を生み、
信頼が社会を支える。
この循環こそが、21世紀の「文明OS」としてのカルダノの本質です。
やがて、
金融は公共インフラとなり、
通貨は社会的文脈を持ち、
制度は“共有された信頼”として機能するようになるでしょう。
それは、国家でも市場でもなく、
ネットワークがつくる新しい共同体のかたちです。
カルダノが創ろうとしているのは、
“次の通貨”ではなく、“次の文明”です。
「最初にお金を創ったのはビットコイン。
契約を創ったのはイーサリアム。
そして制度を創るのは、カルダノである。」
それは、中央集権の終焉ではなく、
信頼の再生であり、
コードによって人類が再び“公共”を取り戻すための旅の始まりです。
少し古い記事ですが、以前SIPOが日本とカルダノが来るべき分散型金融社会の中心になるのか？、
『デジタル時代の分散型サークル社会を実現するOuroborosの精神性と古代日本との繋がり』について書いた記事があります。お時間のある方は是非こちらの記事もご覧ください。
関連記事：
🌅 終章のことば
この「金融再起動」の先にあるのは、
通貨の革命ではなく、文明の更新です。
そしてその新しい文明の名は、
“カルダノ”というネットワークの上で、
すでに静かに動き始めています。
🧭 次の一歩へ：「金融再起動」とカルダノの現在地を体感しよう
この記事で描いた「金融再起動」と「信頼の文明の始まり」は、
決して遠い未来の話ではありません。
それは、すでに世界中の金融システム・通貨構造・社会制度の中で動き始めています。
そして今、カルダノという分散型ネットワークが、
“制度をコードで創る”という新しい文明のかたちを示しています。
私たちが語った「通貨の再設計」「ガバナンスの分散化」「信頼の共有化」は、
まさにこの瞬間、世界で実装が始まっている現実です。
この流れを、もっと深く理解し、分散型金融時代のワークショップを体験してみませんか？
🏛 AIRA × SIPO ワークショップ
「暗号とカルダノ最前線：分散型社会の実装」
📅 日時：10月31日（金）18:30〜21:00
📍 会場：株式会社サイモンズ（東京都中央区日本橋本町4-3-10 日本橋銀三ビル6F）
🚇 東京メトロ銀座線・三越前駅 徒歩3分
💰 参加費：無料（要事前申込）
🔗 参加登録：ワンクリック登録はこちら
🎯 このワークショップで得られること
- 世界で進行中の「金融再起動」の本質を理解する
- 暗号資産が「逃避先」から「制度の中核」へ変わりつつある背景を知る
- カルダノ（Cardano）の最新動向と、“文明OS”としての設計思想を学ぶ
- 分散型社会の構造を、制度・技術・経済の観点から体感する
🗣 登壇者
- SIPO（SITION代表／AIRA CEO） 前半セッション：「世界の金融再起動」と「サウンドマネーの時代」 ──通貨文明の再起動と分散型金融の潮流を総括。
- 安蒜 修 氏（株式会社サイモンズ 副社長／AIRA副社長） 後半セッション：「Web3公共圏としてのカルダノ」 ──日本の地方から進む分散型インフラ実装の最前線。
✨ メッセージ
「ブロックチェーンを“理解する側”から、“使いこなす側”へ」世界のお金と制度が再起動し、信頼のあり方が変わる今。あなた自身が“分散型社会をつくる一員”になる最初の一歩を、東京・日本橋から始めてみませんか。
『金融再起動』関連記事リンク
もしこの記事が気に入っていただけましたら、SIPO、SIPO2、SIPO3への委任をどうぞよろしくお願いいたします！10ADA以上の少量からでもステーキングが可能です。
シリーズ連載：進化するカルダノ・ベーシック
エポックな日々
ダイダロスマニュアル
ヨロイウォレット Chromeブラウザ機能拡張版マニュアル
Laceマニュアル
SIPOはDRepへの登録と活動もしております。もしSIPOの活動に興味がある方、DRepへの委任方法について知りたい方は以下の記事をご覧ください。また委任もぜひお願いいたします。
SIPOのDRepとしての目標と活動方針・投票方法
SIPOのDRep投票履歴：https://sipo.tokyo/?cat=307
ダイダロスの方は最新バージョン7.0.2で委任が可能になりました。
SIPOのDRep活動にご興味がある方は委任をご検討いただければ幸いです。
DRep ID:
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ダイダロス用👇
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二つのIDはダイダロス以外のウォレットではどちらも有効です。ADAホルダーがSIPOにガバナンス権を委任する際に使用できます。
引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
