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信念がコードになる瞬間──Leios・Hydra・Plutusが拓く止まらないカルダノの新時代:ニュース動向 & ステーキング状況 in エポック592

信念がコードになる瞬間──Leios・Hydra・Plutusが拓く止まらないカルダノの新時代

カルダノがまた一歩、確かな前進を見せています。

IOG(Input Output Global、現在はIOE:Input Output Engineering)は10月末、2025年第3四半期の進捗レポートを公開し、「カルダノの基盤をさらに強く」というメッセージを掲げました。

その内容は、単なる技術報告を超えたものです。

UTXO-HD、Leios、Hydra、Plutus、そしてBabel Fees──これらはすべて、カルダノを「次の段階」へと押し上げるための核心的ピースであり、同時にコミュニティ主導の成長を象徴する存在でもあります。

この数か月、カルダノ界隈にはさまざまな動きがありました。

Hydraはついにv1.0.0に到達し、レイヤー2の商用化フェーズに入っています。

Plutusはv1.50.0.0のリリースによって開発者体験(DX)が格段に進化し、形式検証を担当するCardano High Assurance(CHA)チームも新たな自動検証ツールを完成させました。

そしてLeios──カルダノの新しいコンセンサスメカニズムは、CIP(Cardano Improvement Proposal)として正式に公開され、次世代のスケーリング構造へと実装が始まろうとしています。

これらを総合すると、カルダノは「基盤整備」から「実装・展開」へのフェーズシフトを迎えたと言えるでしょう 。

参考記事:

第1章 カルダノ基盤強化の現在地──IOG Q3 2025レポートが示す“完成期”の兆し

IOGの2025年第3四半期報告では、カルダノの開発が「スケーラビリティ」「保証」「相互運用性」「透明性」という4本柱で着実に進化していることが明示されました。

これまでの開発が“基礎研究と整備の期間”だったとすれば、いまのカルダノは“基盤完成と展開の期”に入ったと言えます。

まず、UTXO-HD

Lightning Memory-Mapped Database(LMDB)の統合により、台帳データがディスクベースで効率的に処理され、メインネットではチェーン再生に必要なメモリがわずか4GBまで削減されました。

これは、カルダノが本格的に「大規模台帳時代」に対応できることを意味します。

次に、Eidos(Cardano Blueprint)

AIを活用した自動ドキュメント生成実験が始まり、HaskellやAgdaのコードをMarkdown化して、開発者が共通理解を持って開発できる基盤づくりが進んでいます。

IOGが目指すのは、カルダノ開発を「人のスキルに依存しない再現可能な設計体系」に変えることです。

さらに注目すべきは、Leiosの実装フェーズ入りです。

複数レイヤーによる取引の並列化により、スループットと安全性の両立を実現するLeiosは、2025年8月にCIPとして公式化され、現在TxPipeやBlinkLabsなどのパートナーとともにパフォーマンステストが進められています。

この「Leios 24/7」体制は、カルダノのコンセンサスを根本から強化する試みであり、次の10年の中核となる技術です。

その一方で、Hydra v1.0.0の正式リリースも見逃せません。

Midnightとの統合テスト「Glacier Drop」を成功させ、Hydra Headネットワークが商用運用へ移行。

低コスト・高速な決済層としての位置づけが、いよいよ現実になりつつあります。

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そして最後に、Plutus v1.50.0.0

ツール群やAI連携の導入により、開発者にとって「扱いやすく・安全なスマートコントラクト環境」が整い始めています。

これらの流れはすべて、IOGが掲げる「技術的透明性と説明責任」の理念のもとで動いており、すべてのコード、設計、検証が公開・監査可能な状態に置かれています。

カルダノは今、土台の“整備期”を終え、“完成期”へと歩み出している。

それは、単なるアップデートではなく、

「信念がコードになっていく過程」そのものです。


次章では、このLeiosがどのように動作し、どんな未来を描こうとしているのか──

10月の開発レビューとデモから、カルダノが目指す“並列処理型ブロックチェーン”の姿を追っていきます。


第2章 Leiosが描く“並列カルダノ”の構造──次世代コンセンサスが始動する

カルダノにとって、Leios(レイオス)は単なるアップデートではありません。

それは、Ouroboros(ウロボロス)以来の根本的な「コンセンサス再設計」です。

取引処理を複数のレイヤーで並列化し、台帳と検証を分離することで、スループットと安全性の両立を図る──それがLeiosの核心にあります。

IOGがQ3レポートで述べたように、Leiosは「カルダノの次の基盤」として、今後数年を見据えた最大のマイルストーンとなる技術です。

10月の月例レビューでは、開発チームがいくつかの重要な成果を披露しました。

まず、暗号レイヤーでの「1kTPS実証」デモ。

Persistent Seats(永続投票者)とNon-Persistent Seats(入れ替わり投票者)を分ける仕組みによって、投票サイズを劇的に削減し、より軽量で迅速な合意形成を可能にしました。

さらに、すべての投票署名をBLS署名方式で集約(Aggregation)することで、通常12KBあったデータをわずか5KBまで圧縮。

この改良により、ブロック1つ分の容量で完全な投票証明をチェーン上に格納できるようになったのです。

もうひとつのトピックは、ネットワーク層での“干渉測定実験”です。

Nick Frisby氏のデモでは、Leiosによる追加トラフィックが既存のProwse(主鎖)通信に与える影響を検証。

初期実装では遅延(約3秒)が発生したものの、ボトルネックが明確化され、今後の最適化計画が示されました。

この結果は「理論から現実へ」移行するプロセスの一部であり、Haskell版・Rust版の双方で調整が進んでいます。

特筆すべきは、Leiosが「並列構造」を採ることで、Prowse(主鎖)を圧迫せずに複数のエポック処理を同時進行できる点です。

つまり、これまで「1本の線」で流れていたブロック生成を「複数の細流」に分けるような仕組みです。

各エポック内で投票・検証・証明を部分的に独立させることで、最終的な確定(Finality)を高速化しつつ、セキュリティモデルはOuroborosの枠組みをそのまま保持します。

この構造は、いわば“多層カルダノ”の始まりです。

台帳(UTXO-HD)がディスクベースに拡張され、HydraがL2処理を担うなかで、Leiosはその中間に位置し、主鎖と副鎖のトラフィックを調停します。

IOGはこのアーキテクチャを“Linear Leios”と呼び、今後CIPレビューを経て2026年のメインネット統合を目指しています。

コミュニティとの連携も着実に進んでいます。

TxPipeやBlinkLabs、Serokellなど複数の開発チームがLeios実装に協力し、ノード・クライアント間の通信設計やAPI仕様策定を同時並行で進行中です。

また、RustクライアントであるPalaceがLeiosプロトコルを組み込み、ネットワークテストを再現する環境が整備されつつあります。

これは「単一クライアント」ではなく「多実装による分散テスト」を採るカルダノの哲学を体現しています。

Leiosとは、カルダノが“速度”を追うのではなく、“構造的持続性”を選んだ証。

複雑さの中に秩序を作り、分散の中に調和を築く──

その思想こそ、カルダノらしさの真骨頂です。

Leiosが稼働する未来では、1秒あたりのトランザクション数だけでなく、

「どれだけ多様な経済活動を並列で支えられるか」が新しい指標になります。

それは単なる性能の話ではなく、社会のスケーラビリティそのものを問う挑戦なのです。


次章では、チャールズ・ホスキンソン氏が10月末に語った「X Questions」と「The Best Days Are Ahead of Us」から、

Leiosの思想的背景──“なぜカルダノは止まらないのか”を紐解いていきます。


第3章 ホスキンソンが語る「信念の構造」──カルダノはなぜ止まらないのか

Leiosの登場が「カルダノの進化の証」だとすれば、その根底を支えているのはチャールズ・ホスキンソン氏の“信念”です。

10月末、彼は立て続けに二つのスピーチを公開しました。

ひとつは「X Questions」、もうひとつは「The Best Days Are Ahead of Us」。

どちらも、ただのAMAや近況報告ではなく、「なぜカルダノが存在するのか」「これからどこへ向かうのか」を真正面から語ったものでした 。

ホスキンソン氏は、よく言われる「カルダノは遅い」という批判に対して、こう答えています。

「カルダノは遅いのではなく、慎重で体系的なんだ」と。

つまり、スピードよりも“持続可能な構造”を選ぶという姿勢です。

それはLeiosやHydra、Plutus V4など、すべての開発哲学に通じています。

「最も速いブロックチェーン」ではなく、「最も長く続くブロックチェーン」をつくる。

これが彼の口ぐせであり、IOGの開発方針そのものでもあります。

その背景には、カルダノが“金融プロジェクト”ではなく“人間の自由を守るプロジェクト”だという考えがあります。

ホスキンソン氏はこう言い切ります。

「カルダノはお金の話ではなく、人間の尊厳を取り戻すための革命だ」。

AIによる支配、情報の検閲、意味の喪失が進む現代社会の中で、ブロックチェーンは「真実を保証する最後の仕組み」になる。

だからこそ、LeiosやHydraのように“信念をコード化する構造”が必要なのだと彼は語ります。

一方で、カルダノ財団やコミュニティ内部に対しても、彼の言葉は容赦がありません。

「誰の責任でもないことは、誰も解決しない問題になる」。

これは、開発だけでなくガバナンスにも向けられたメッセージです。

カルダノの強みは「分散化」ですが、同時にそれは“誰もが責任を分かち合う”ということでもあります。

「自分ごととして動ける人が増えなければ、分散は形骸化してしまう」──

その危機感が、彼の言葉の根底にあります。

そして最後に、ホスキンソン氏はこのように語りかけました。

「私たちは官僚制やAI、そして“意味の喪失”と戦っている。

 もし自由を望むなら、戦わなければならない」。

彼の言う“戦い”とは、暴力ではなく、構造を作ることそのもの。

Leiosが象徴するように、「公平で検証可能な仕組みを築くこと」こそ、カルダノらしい抵抗のかたちなのです。

カルダノは、信念を証明するためのプロトコルです。

「The Best Days Are Ahead of Us(最良の日々はこれから訪れる)」という言葉は、

希望のフレーズではなく、すでに始まっている現実への宣言なのです。

Leiosの実装が進むいま、カルダノは「理念がコードへ変わる瞬間」を迎えています。

それはブロックチェーンの進化というより、むしろ文化の成熟です。

信念を仕組みにし、哲学を実装する──

そうしたカルダノの歩みは、これからもきっと止まることはないでしょう。


次章では、11月に話題となった「Crypto Media誤報騒動」と、ホスキンソン氏の“反応ではなく構造で答える”姿勢を通じて、

カルダノがどのように「成熟した議論文化」を育てつつあるのかを見ていきます。


第4章 誤報と真実──“反応ではなく構造で答える”カルダノの成熟

11月初旬、暗号メディア界隈でちょっとした騒ぎがありました。

発端は、いくつかの海外ニュースサイトが「ホスキンソンがADAユーザーを非難した」と報じたことです。

彼がポッドキャストで語った内容を歪め、「カルダノのDeFiが伸びないのはユーザーのせいだ」と書き立てたのです。

しかし実際の発言はまったく違いました。

ホスキンソン氏は動画「The Crypto Media」の中で、明確にこう言っています。

「私は誰一人として非難していない。言いたかったのは、ステーカーとDeFiユーザーの間に“ミスマッチ”があるということだ」と 。

彼の主張はシンプルです。

カルダノには130万人以上のステーキング参加者がいますが、その多くがDeFiを利用していません。

もしその層が自然にDeFiへ移行できる仕組みを作れれば、TVL(預かり資産)は現在の数倍──50億から100億ドル規模に成長できる。

これは「批判」ではなく、「構造的な課題提起」だったのです。

にもかかわらず、一部のメディアは“クリックを稼ぐための刺激的な見出し”に置き換えてしまいました。

これに対してホスキンソン氏は、「扇情的で不誠実な報道が業界の信頼を損なっている」と強く警鐘を鳴らしました。

興味深いのは、彼が怒りで反応するのではなく、“構造で答えた”ことです。

動画の中で彼は、冷静に問題の本質を整理しました。

「カルダノにはユーザーも資本もある。問題は、それがDeFiに還流していないという構造的な断絶だ。

 その理由を手数料、UX、安全性、教育など、あらゆる角度から議論しよう。」

つまり、個人を責めるのではなく、仕組みを直す。

このスタンスこそ、カルダノの開発思想そのものです。

この考え方は、Leiosの開発姿勢とも通じています。

たとえばネットワーク遅延やパフォーマンス低下が見つかっても、

誰かを責めるのではなく「どの層の設計が原因なのか」を明示し、再構築する。

IOGの開発チームが徹底して“再現性”と“説明責任”を重視するのも、同じ文化から来ています。

それは「感情」よりも「構造」で語るカルダノらしさです。

また、この出来事はコミュニティの意識にも影響を与えました。

SNSでは多くのメンバーがホスキンソン氏を擁護する一方で、

「私たち自身も“伝え方の透明性”をもっと意識すべきだ」という意見が目立ちました。

誤報の連鎖を防ぐには、発信する側にも責任がある。

そうした議論が自然と起こること自体、カルダノコミュニティが成熟している証拠だと思います。

批判に対して怒りではなく構造で返す。

それがカルダノのスタイルであり、成長の証です。

カルダノは、単に「分散化したネットワーク」ではなく、

「分散化した思考」を持つコミュニティに進化しつつあります。

ホスキンソン氏の冷静な姿勢は、

“コードのように議論する”というカルダノの文化を、改めて示した出来事だったと言えるでしょう。

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第5章 信念がコードへ──カルダノが示す「進化のモデル」

ここまで見てきたように、カルダノはいま、確かな変化の時期を迎えています。

IOGが発表した第3四半期レポートは、台帳、スマートコントラクト、L2、コンセンサス──

あらゆる層で“基盤の完成”に向けた明確な道筋を示しました。

そして、そのすべてが「透明性」「検証可能性」「説明責任」というカルダノの根幹に貫かれています。

IOGの開発陣は「技術の進歩=哲学の実装」であることを、あらためて証明したといえるでしょう 。

Leiosは、その象徴的存在です。

投票圧縮や並列処理といった工学的な成果はもちろんですが、

「速度ではなく構造を選ぶ」というカルダノの哲学が最も色濃く反映されています。

Hydraが“即時性”を担い、Plutusが“安全性”を担い、そしてLeiosが“持続性”を担う。

この3つが噛み合うことで、カルダノはようやく「分散型文明OS」としての形を取り始めています。

その一方で、ホスキンソン氏のスピーチが示したのは、

このプロジェクトが「技術の集合体」ではなく、「思想の結晶」であるということでした。

「カルダノはお金のためではなく、自由と尊厳を取り戻すための道具だ」と彼は語ります。

つまり、技術的な進歩と人間的な理想が同じ方向を向いている。

この一致こそが、カルダノの最大の強みです。

そして今回の「Crypto Media」騒動もまた、その成熟を浮き彫りにしました。

カルダノはもはや“批判に揺れるプロジェクト”ではなく、

“議論によって進化するエコシステム”になっています。

ホスキンソン氏のように、誤解や偏見を「構造」で返す姿勢が、

コミュニティ全体に根付きつつあるのです。

それは技術的分散と同じくらい大切な、思考の分散化とも言えるでしょう。

カルダノは「信念のプロトコル」です。

コードが正しさを語り、理念が実装に宿る──

その歩みの中で、カルダノは世界に“信頼を再設計する方法”を示しています。

これからカルダノは、Leiosの統合とMidnightの商用化という二つの大きな節目を迎えます。

Hydraネットワークの実用化、Babel Feesの設計完了、UTXO-HDの完全移行。

それぞれが別のチームや開発者に支えられながら、

ひとつのビジョン──「分散化された公共インフラ」──に向かって進んでいます。

この“並列する多層開発”こそ、カルダノの新しい呼吸法です。

未来のカルダノでは、TPS(トランザクション数)やTVL(ロック総額)といった数値よりも、

「どれだけ多くの人が、自由に参加できるか」が評価軸になるでしょう。

そしてそれを支えるのは、Leiosのような“構造の信念”と、ホスキンソンが語る“人間の信念”です。

カルダノは、もう誰かが動かすプロジェクトではありません。

世界中の開発者、ステークプール、ユーザーがそれぞれの手で前に進めている。

その姿はまさに、「信念がコードになる瞬間」そのものです。

カルダノは止まらない。

なぜなら、それは単なる技術ではなく、

「信じる」という人間の行為そのものだからです。


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