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制度を動かす一票──Catalyst Fund14投票結果とAIRAが描くWeb3公共圏の未来:ニュース動向 & ステーキング状況 in エポック588

*第一章の冒頭部分の以下内容の二箇所を修正しました。(2025.10.18)
誤り)Catalyst Fund14では、4,893のウォレットから合計1.7億ADAが集まり、131の提案が採択されました 。
正解)Catalyst Fund14では、4,893のウォレットから174,737票が投じられ、合計17億5,000万ADAが集まり、131の提案が採択されました 。

制度を動かす一票──Catalyst Fund14投票結果とAIRAが描くWeb3公共圏の未来

序章|制度を動かす一票:Catalyst Fund14の夜明け

制度は、どこから生まれるのでしょうか。

国でも企業でもない、私たち一人ひとりの意思が集まって、社会のルールや仕組みを動かしていく──。

その新しい形を、カルダノの分散型資金システム「Project Catalyst(プロジェクト・カタリスト)」が、静かに、しかし確実に示しはじめています。

2025年10月、CatalystのFund14(第14期投票)の結果が正式に発表されました。

今回は4,893のウォレットから174,737票が投じられ、合計17億5,000万ADAが集まり、131の提案が採択されました。(*修正2025.10.18)

これでCatalystが支援してきたプロジェクトは累計2,200件を超え、そのうち約1,500件がすでに完了しています。

まさに、コミュニティの力で積み上げてきた「分散型イノベーションのエコシステム」と言えるでしょう。

今回のFund14では、技術開発だけでなく、公共性・地域社会・教育・行政DXといった分野の提案が目立ちました。

Catalystが「ブロックチェーンの助成金制度」から、「分散型公共財ファンド」へと進化していることを実感するラウンドでもありました。

特に注目したいのは、投票そのものの意味の変化です。

Catalystで投票するという行為は、単に“どのプロジェクトを支援するか”を選ぶことではなく、

「どんな未来の制度を自分たちの手でつくるか」を選ぶ行為になりつつあります。

つまり、Catalystの1票には、「制度を動かす力」が宿りはじめているのです。

その象徴のひとつが、今回採択されたAIRA:Hydra Loyalty & Crypto for Regional Revitalizationです。

AIRAは、日本全国30以上の自治体で運用されている地域ポイント&CRMシステムを、Cardano L1とHydra L2の上に移行するプロジェクトです 。

すでに現実社会で動いている公共システムを、そのままブロックチェーン上に載せる──。

それは、Catalystが「理想を語る場」から「制度を実装する場」へと進化したことを示す出来事でもあります。

Fund14を通して見えてきたのは、

「分散型社会の制度は、誰かがつくるものではなく、コミュニティが動かすものだ」という新しい現実です。

国会や企業の会議ではなく、世界中のADAホルダーが持つ1票が、

公共資金の流れを決め、未来の社会インフラを形づくっていく。

その第一歩が、このCatalyst Fund14の投票でした。

制度が、上から降ってくるものではなく、下から立ち上がるものになる。

いま、そんな変化がカルダノのネットワークの中で確かに始まっています。

🕊 AIRA CEO SIPOより、カルダノコミュニティの皆さまへ

このたび、AIRA:Hydra Loyalty & Crypto for Regional Revitalization
Catalyst Fund14にて正式に採択されました。

まず何よりも、日々Catalystを支え、投票し、提案を育ててくださった
世界中のカルダノコミュニティの皆さまに、心からの感謝を申し上げます。

この採択は、私たちAIRAチームだけの成果ではありません。
カルダノというネットワークが長年にわたり築いてきた「分散型公共圏」という理念、
そしてその理念を信じ、行動してきた皆さま一人ひとりの力が、この結果を生み出してくれました。

AIRAは、日本の地方から「分散型社会の実装」に挑むプロジェクトです。
30を超える自治体、300万人を超える市民が関わるこの取り組みを、
私たちはカルダノの技術と精神で支える“社会インフラ”へ進化させることを目指しています。

Fund14の採択はゴールではなく、ようやく立てた“本当のスタートライン”です。
ここから私たちは、まずはHydraの社会実装、
そしてCardanoを地域経済の現場で動かす挑戦に全力で臨んでまいります。

分散型の未来は、遠い理想ではありません。
それは、私たち一人ひとりの手で制度を動かし、
現実の社会を変えていく力だと、AIRAは信じています。

カルダノコミュニティの皆さま、どうかこれからも共に歩んでください。
AIRA一同、皆さまの期待に応えるべく、強い決意と責任をもってこのプロジェクトに取り組んでまいります。

心より感謝を込めて。

AIRA CEO SIPO


次の章では、「第1章|Project Catalyst Fund14──分散型公共財の現在地」として、Fund14の具体的な結果や新しい投票制度(Quadratic Votingなど)、そしてCatalystがどのように「公共圏」へと進化しているのかを掘り下げていきます。


第1章|Project Catalyst Fund14──分散型公共財の現在地

Project Catalystは、カルダノが掲げる「分散型社会の実験場」であり、同時に制度そのものをアップデートしていくための公共資金システムです。

そして今回のFund14は、その制度としての成熟が一気に進んだラウンドとなりました。

🗳 投票の規模と広がる参加層

Catalyst Fund14では、4,893のウォレットから174,737票が投じられ、合計17億5,000万ADAが集まり、131の提案が採択されました 。(*修正2025.10.18)

採択率はおよそ10%台。つまり、全体の9割近い提案は選ばれなかったということになります。

これは競争が激しくなったというだけでなく、Catalystが“社会制度として機能しはじめている”ことの証でもあります。

投票者の顔ぶれも多様化しました。

これまで開発者やSPO(ステークプール運営者)が中心だった参加層に、今回は教育関係者、地方自治体、社会起業家などが加わり、提案の質も大きく変化しています。

単なる技術開発ではなく、「公共財(Public Goods)」や「制度的インフラ」をテーマにした提案が目立ちました。

Catalystはもはや「開発者の資金調達の場」ではありません。

それは、分散型社会の意思決定と公共政策の実験場へと進化しつつあるのです。

参考記事:The Moment We’ve All Been Waiting For: Fund14 Results Are Live!https://forum.cardano.org/t/the-moment-weve-all-been-waiting-for-fund14-results-are-live/150420

⚙️ 進化する制度設計──オンボーディングとマイルストーン制

Fund14では、投票終了後のプロセスにも大きな変化がありました。

採択後のプロジェクトはすぐに資金を受け取るわけではなく、

「オンボーディング(採択後手続き)」という審査段階を経る必要があります 。

このオンボーディングでは、

  • 提案者がマイルストーン(進捗目標)を明確に定義し、
  • Catalystチームがその内容を承認、
  • その後は各マイルストーンの完了に応じて分割で資金が支払われる、 という新しい仕組みが導入されています。

このプロセスは、Catalystが単なる助成制度ではなく、成果とエビデンスに基づく「分散型公共契約」へと進化していることを示しています。

透明性、検証可能性、そして責任の共有──これらがオンチェーン上で管理される時代が、静かに始まっているのです。

🧮 新しい投票実験──Quadratic Votingの試み

今回のFund14では、並行してQuadratic Voting(2乗投票)の実験も行われました。

これは、1票あたりの重みを単純なADA保有量ではなく、「投票者の関心の強さ」に応じて調整する仕組みです。

少額ホルダーでも影響力を持てるように設計されており、

「富の集中ではなく、意志の分散」を目指す試みとして注目されました 。

公式結果は従来のメカニズム(Fund13までの方式)で決定されましたが、

Quadratic Votingの結果は別途公開予定とされており、次期Fund15以降の制度改善に活かされる見通しです。

Catalystが「投票制度そのものを進化させるための分散型ラボ」になっていることは、

まさにカルダノの哲学──「コードとしての制度設計」を体現する動きだと言えるでしょう。

🌐 分散型公共圏の萌芽──“制度としてのCardano”

Fund14を振り返ると、Cardanoのネットワークが少しずつ「社会の制度」としての輪郭を帯びはじめていることがわかります。

たとえば今回採択された提案には、次のようなテーマが並びました。

  • 教育・リテラシーの普及(Catalyst School、Cardano Academyなど)
  • 社会的インクルージョン(開発途上国や女性主導のプロジェクト)
  • 公共性を持つインフラ構築(Hydra活用、DeFiの地域展開、行政連携)
  • ガバナンスの進化(DRep制度の実装、Intersectとの連携)

こうした潮流の中で、日本発のAIRA:Hydra Loyalty & Crypto for Regional Revitalizationが採択されたことは象徴的です。

AIRAは、地方自治体と市民をつなぐ“公共アプリ”をCardanoの上で動かす試みであり、

まさにCatalystの本質──「分散型公共財ファンド」の理念を体現した提案でした 。

これまで、公共という言葉は「中央が決めて地方に配る」という意味で使われてきました。

しかしAIRAのようなプロジェクトが示しているのは、

「公共を分散化する」=地域や市民が自ら設計し、運用する制度のかたちです。

Catalystの投票は、そうした未来を選ぶ一票でもありました。

✨ 制度の“コード化”が進む次のステージへ

Fund14の結果発表でCatalystチームは、「これは終わりではなく始まりです」と繰り返し語っていました 。

投票はスタートラインであり、そこから始まるオンボーディング、マイルストーン、監査、成果報告のすべてが、

「制度を動かす分散型プロセス」なのです。

国家の予算制度では数年単位でしか動かないような仕組みが、

ここでは毎ラウンドごとに、コードによって更新され、フィードバックされていきます。

それはまるで、民主主義をソフトウェアのようにアップデートしていく仕組みです。

Catalystは、資金を配る仕組みではなく、

「制度を開発する仕組み」へと進化している。

その中で、AIRAのようなプロジェクトが現実社会と制度のあいだを橋渡しし、

カルダノの思想が“現場で使える制度”へと形を変えようとしています。


このように、Fund14は「カルダノが社会制度として動き出した瞬間」と言っても過言ではありません。次章では、その中でも特に注目された提案──AIRAイザナミ・プロジェクトに焦点を当て、Catalystが描く「地方から始まるWeb3公共圏」の意味を掘り下げていきます。


第2章|AIRA採択──“公共×Web3×Cardano”の交差点に立つ

Project Catalyst Fund14で採択された131の提案の中でも、ひときわ注目(キャスト数によるランキングでは全体1283中6位)を集めたのが、

AIRA:Hydra Loyalty & Crypto for Regional Revitalization──通称「AIRAイザナミ・プロジェクト」です。

このプロジェクトは、「公共×Web3×Cardano」という三つの領域を結ぶ、前例のない試みとして評価されました。

Catalystの投票結果において、AIRAは₳698,000の助成を獲得し、

Cardano Use Cases: Partners & Products」カテゴリで正式採択されました。

📊 投票データが示す“確かな支持”

Fund14でのAIRA提案は、442票の投票を受け、

そのうち約₳1.56億ADAが賛成票(Yes:全体1283中15位)として投じられ、

約₳4,440万ADAが棄権票(Abstain)として記録されました。

この数字は、Catalystの中でも非常に高い支持を示すものです。

単に「採択ラインを超えた」というだけでなく、投票者の大多数がAIRAの実現可能性と社会的意義を認めたことを意味しています。

特に注目すべきは、AIRAが「公共ユースケース」という従来より難易度の高い分野でありながら、

金融・技術・社会インフラの三領域を横断する提案として1億ADA超の明確な支持を得た点です。

この投票結果は、Catalystコミュニティ全体が

「Cardanoを社会インフラとして使う時代が始まっている」ことを共有した象徴的な瞬間でした。

🌱 現実社会にすでに存在する“公共ユースケース”

AIRAの最大の特徴は、「ゼロから何かをつくる」プロジェクトではないという点です。

むしろその逆で、まずはすでに全国30以上の自治体で導入されているWeb2の公共基盤を、

段階的にCardano上へと移行していくことを目的としています。

この基盤を運営しているのが、株式会社サイモンズ

同社は、観光庁採択のDX事業などを通じて、奈良市・鹿児島市・指宿市・呉市・高畠町など、

各地の自治体に「地域ポイント」や「CRM(住民関係管理)」の仕組みを提供してきました。

AIRAは、これらの実績あるインフラをCardano L1とHydra L2の上で再設計し、

地域ポイントや地域通貨を「Web3公共アプリ」として運用することを目指しています。

しかし、日本の地方自治体は全国で1,700以上存在しており、AIRAとしてはこの仕組みを順次拡張していくことが大きな目標です。

さらに、Web3によって行政・観光・地域経済を横断した新たな公共社会インフラとしての事業展開も視野に入れています。

つまり、実証実験ではなく、“すでに動いている公共サービスのWeb3化”という現実的な挑戦なのです。

⚙️ Cardanoが選ばれた理由──Hydraと公共性の親和性

AIRAがCardanoを選んだ理由は、単なる技術的好みではありません。

それは、公共性に耐えるアーキテクチャがカルダノにあったからです。

  • Hydraによる即時決済と超低コスト処理
  • Plutusによる複雑なスマートコントラクトの安定実行
  • Midnightによるゼロ知識証明(ZK)とプライバシー保護
  • Catalystによる分散型公共資金メカニズム

AIRAが目指しているのは、こうした技術を組み合わせて、

行政サービス・地域通貨・市民ポイントを統合した「地方創生版スーパーアプリ」を構築することです。

たとえば、Hydraを活用することで、商店街や観光イベントでの即時ポイント交換・小額決済をリアルタイムに処理できます。

決済の最終ファイナリティはCardano L1で担保されるため、安全性と速度の両立が実現します。

これは、世界でもまだほとんど存在しない「公共ユースケースにおけるHydraの商用実装」でもあります。

CatalystにおけるHydra社会実装の最初の成功例として、国際的にも注目が集まりました。

🏛 「公共を分散化する」という新しいアプローチ

AIRAが取り組んでいるのは、単なる行政DXではありません。

むしろそれは、公共という概念そのものの再設計です。

従来の公共サービスは、中央から地方へ、上から下へと流れる仕組みでした。

補助金や予算は国が決め、自治体はそれを執行する側に過ぎなかった。

しかし、AIRAが目指すのはその逆です。

自治体や地域が自らポイント・通貨・政策を設計し、

「自分たちの経済を自分たちで動かす」というボトムアップ型の制度設計です。

ブロックチェーンを使うことで、政策KPIの可視化やデータ連携が容易になり、

住民の行動(たとえば子育て支援や環境活動)をトークン化して評価することも可能になります。

つまり、AIRAがつくろうとしているのは「地域DAO」の原型であり、

Catalystが描いてきた“分散型公共圏”の実装モデルなのです。

🤝 現場×技術×制度──三位一体の開発体制

AIRAがここまで現実味を持つ理由の一つは、その多層的なチーム構成にあります。

  • 🏛 サイモンズ:20年以上にわたって自治体ポイントを運用してきた現場ノウハウ
  • 🛠 AIRA開発チーム:Hydra・Plutus・DIDなどCardanoネイティブ技術の実装
  • 🌏 開発チーム:L1・L2連携のバックエンド開発とアプリ統合(AIRA Lab DEV
  • ⚖️ 法務・UX・ガバナンス専門家:日本の自治体法制に即した制度設計支援

このチームが、Catalystの資金によって「実際に行政現場で動くブロックチェーンアプリ」を構築していく予定です。

すでにマイルストーンも定義され、設計・開発・監査・パイロット・本番リリースの流れが明確になっています。

このように、AIRAは「技術」だけでなく、「現場」と「制度」を同時に動かす体制を持つ稀有なプロジェクトです。

💬 AIRA採択が意味するもの──“制度をコードで動かす”未来へ

AIRAの採択は、単なる一プロジェクトの成功ではありません。

それは、Catalystという制度が、現実社会の制度を動かす力を持ち始めたことを意味しています。

これまで、ブロックチェーンと公共はどこか遠い存在でした。

一方は自由と分散を掲げ、もう一方は安定と規制を重んじる。

その二つの世界が、いま初めて「協働」の形を取り始めたのです。

Catalystを通じて資金を得たAIRAは、

地方自治体・市民・事業者・開発者が一緒になって、

公共圏そのものを分散型に作り直す“実験”をスタートさせます。

国の政策を待つのではなく、自分たちの手で制度を動かす。

その始まりが、Catalyst Fund14のAIRA採択でした。


次章では、AIRAの技術的構成と、カルダノエコシステムへの貢献を掘り下げていきます。Hydraを中核に据えた“社会実装レイヤー”としてのAIRAが、どのように公共インフラをアップデートしていくのか──。👉 第3章|Hydraがつなぐ現実とブロックチェーン──AIRAの技術アーキテクチャと社会実装へ続きます。


第3章|Hydraがつなぐ現実とブロックチェーン──AIRAの技術アーキテクチャと社会実装

AIRAが目指すのは、「ブロックチェーンを社会インフラとして動かす」ことです。

その中核を支えるのが、カルダノのレイヤー2スケーリング技術──Hydra(ハイドラ)です。

Hydraはこれまで、研究やPoC(概念実証)の段階で語られることが多く、

現実社会での商用運用を目指すプロジェクトは世界的にもほとんどありません。

AIRAはその例外であり、“公共領域でHydraを実装する世界初の挑戦”として注目を集めています 。

⚙️ Hydraとは何か──“即時性と柔軟性”を兼ね備えた公共インフラ

まず、Hydraとはどんな技術なのかを簡単に整理してみましょう。

Hydraは、カルダノのL1(メインチェーン)に連携するレイヤー2ネットワークで、

参加者同士が「Hydra Head」と呼ばれるローカルチャネルを開き、その中で高速・低コストの取引を行える仕組みです。

特徴を一言で言えば、

「L1の安全性を保ちながら、L2のスピードで決済できる」

というものです。

通常のブロックチェーンは、取引が世界中のノードに伝搬し、ブロックが確定するまで時間がかかります。

しかしHydraでは、ローカルな参加者同士が即時に取引を確定できるため、

数秒単位で完結するミクロな決済が可能になります。

この仕組みは、まさにAIRAが目指す地方経済──

「商店街の買い物」「観光イベント」「地域ポイント」など、大量・小額・リアルタイム取引が前提の領域にぴったりです。

TOKEN2049シンガポールで、Cardanoのスケーリング技術「Hydra」が実際の“体験”として披露されました。

IOHKとDripDropzチームが共同開発した「Hydra Vending Machine」は、ただの自販機ではありません。 イベント会場に設置されたこのマシンでは、参加者が数秒でチェックインし、オンチェーン上でリワードを獲得できる仕組みが導入されていました。

つまり、Hydraが提供する“高速で安価なL2トランザクション”を、誰もが触れて理解できる形にしたのです。 世界中から集まった来場者の多くが、これを通じて初めてCardanoとHydraの実力を体験しました。

UTXOSチームはこの体験を通じて、CardanoのL2技術がイベントやローカル経済など、リアルワールドのユースケースにどのように応用できるかを実証しています。 Hydraは、ブロックチェーンを「感じる」技術へ──。 その未来の一端が、シンガポールで現実になりました。

🧩 AIRAの4層アーキテクチャ──信頼性と利便性の両立

AIRAは、Hydraを中心に据えた4層構造のアーキテクチャで設計されています 。

レイヤー主な機能役割
L1(Cardano)ポイント・通貨・NFTなどの最終決済、スマートコントラクト、ガバナンス信頼とファイナリティの層
L2(Hydra)高頻度取引処理、イベント単位のミクロ決済、NFT発行即時性と柔軟性の層
サービス層UI/UX、CRM・KYC連携、ダッシュボード、管理ツール自治体・事業者が直接操作する層
データ層オンチェーン(Tx履歴)、オフチェーン(匿名ログ、KPI分析)政策評価・透明性確保の層

この設計によって、L1が「信頼の中枢」として機能し、Hydraが「現場の即時性」を担保します。

自治体は、これまでと同じアプリや管理画面を使いながら、

裏側ではHydraによってオンチェーン処理が自動的に行われる──。

そんな“使いやすいWeb3”を、AIRAは目指しています。

💸 現場で動くHydra──商店街と観光でのリアルタイム決済

AIRAのHydra実装が最も輝くのは、やはり現場での利用シーンです。

たとえば、地元の商店街で買い物をすると、その場で即座に地域ポイントが付与され、

同時に、イベント特典としてNFTスタンプが発行されます。

この一連の取引が、Hydra上で数秒以内に処理されるのです。

また、観光地では、スタンプラリーや宿泊クーポン、地域通貨の支払いなどが

すべて同じウォレットアプリで管理されるようになります。

これにより、自治体は「どの施策がどの層に効果を持ったのか」を

オンチェーンのデータから直接分析できるようになります。

単なる“便利な決済”ではなく、政策のPDCA(計画・実行・検証)をデータで回すためのインフラになるのです。

まさにHydraは、地方経済の血流を支える「循環の心臓部」と言えるでしょう。

🔐 プライバシーと信頼性──Midnightとの連携構想

公共ユースケースにおいては、「透明性」と「プライバシー」のバランスが極めて重要です。

AIRAでは、この課題を解決するために、将来的にMidnight(ミッドナイト)とのZK連携を視野に入れています 。

具体的には、

  • Hydra上での高速取引データをMidnight経由で匿名化し、
  • 政策評価や利用分析には統計的データのみを開示する、 という構成が検討されています。

これにより、個人情報を保護しながらも、

「公共データの透明性」と「市民のプライバシー」を両立できる仕組みが実現します。

中央集権的な個人情報管理ではなく、

ブロックチェーンの技術によって“信頼を分散させる”という新しいアプローチです。

🪙 経済の循環をつくる──DeFiと地域通貨の接続

AIRAのもう一つの特徴は、HydraとDeFi(分散型金融)を組み合わせる設計です。

地域ポイントやクーポンの一部は、期限切れ後に地域基金へ再投資され、

地域の「自治的ファンド」として運用されます 。

この基金が将来的にUSDAやステーブルコイン、RWA(実世界資産)などと連携すれば、

自治体が“分散型金融プレイヤー”として地域経済を直接動かすことも可能になります。

つまり、AIRAは単なる「決済アプリ」ではなく、

「地方のトレジャリー運用基盤」へと進化するポテンシャルを秘めているのです。

公共と金融の境界が溶けていく未来──

そこに、Cardanoが支える分散型経済のリアリティがあります。

🌍 カルダノへの貢献──OSS公開と再利用モデルの確立

AIRAのもう一つの柱は、成果のオープンソース化です。

開発したHydra統合モジュール、スマートコントラクト、API仕様などは、

MITライセンスで公開される予定です。

これにより、他の自治体や開発チームが同じ仕組みを再利用でき、

Catalyst内外で「公共ユースケースの再現モデル」が広がります。

AIRAの成果は、単一のプロジェクトで完結するものではなく、

Cardano全体の社会実装力を高める“公共OSS”として循環していきます。

これは、Catalystの理念──

「分散型公共財を、分散型コミュニティが育てる」──を最も具体的に体現した形です。

✨ Hydraから社会へ──AIRAが示す未来のプロトタイプ

AIRAのアーキテクチャを見ていると、

「技術が制度を支える」というより、

「制度が技術によって形を変えていく」ような感覚を覚えます。

Hydraはもともとスケーリング技術として開発されましたが、

AIRAはそれを“公共インフラのためのエンジン”に転化しようとしています。

もしこれが実現すれば、

カルダノは「国家規模の決済レイヤー」ではなく、

「地域単位の社会レイヤー」として世界に広がっていくでしょう。

ブロックチェーンが現実社会をどう変えていくのか。

その問いに対する、最初の明確な答えがAIRAなのかもしれません。


次章では、AIRAとCatalystをめぐるこの流れが、なぜいま「地政学的な転換点」として意味を持つのかを掘り下げていきます。ドルの信頼が揺らぎ、制度が再設計される世界の中で、地方から始まる分散型インフラ革命はどんな未来を描くのか。👉 第4章|制度の再設計と“金融再起動”──世界の転換点に立つAIRAとCatalystへ続きます。


第4章|制度の再設計と“金融再起動”──世界の転換点に立つAIRAとCatalyst

AIRAとCatalystが交わる地点には、単なる技術革新を超えた「制度の変化」があります。

それは、ブロックチェーンが金融やガバナンスの枠を越え、社会のOS(オペレーティング・システム)そのものを再設計するという流れです。

この変化は、日本だけでなく、アメリカやヨーロッパでも同時に進行しています。

そしてその背景には、「通貨」「国家」「制度」──この三つの信頼の再構築を迫る、世界的な“金融再起動”の動きがあります 。

💵 世界が迎えた“制度のほころび”

2025年、アメリカの国家債務は37兆ドルを突破し、GDP比では123%という歴史的水準に達しました。

利払いだけで年間1兆ドルを超え、もはや国家が“利子のために働く”状態に近づいています。

インフレと財政赤字が同時に進行し、ドルの信頼が静かに、しかし確実に揺らぎはじめました。

日本もまた例外ではありません。

国債市場では長期金利が3%を超え、保険・年金・金融機関のバランスシートが限界に近づいています。

「安定」を支えてきた構造が、音を立てずに崩れていく──まさに金融システムの制度疲労が進行しているのです。

この世界的な変化を、『エポックな日々579』では「金融再起動」と呼びました。

国家と通貨の関係が揺らぐとき、信頼の基盤はどこに移るのか。

その答えのひとつとして浮上しているのが、コードによって担保される分散型の信頼モデルなのです。

参考記事:

🏛 アメリカが示した制度化された分散化──“Responsible Financial Innovation Act”

2025年夏、アメリカでは「Responsible Financial Innovation Act(責任ある金融イノベーション法)」が可決されました。

この法案は、暗号資産を「非証券」として認定し、自己管理ウォレット・ステーブルコイン・分散型ガバナンスを制度の中に正式に位置づけました 。

つまり、国家自らが「分散型の制度を受け入れる」方向へ舵を切ったのです。

これは、これまでのように中央銀行や証券当局がすべてを支配する体制から、

制度としての分散化”へと踏み出す歴史的転換でした。

政府が管理するのではなく、

プロトコルが制度を保証し、

コミュニティが公共圏を運営する。

この流れは、アメリカだけでなく、世界中の制度設計に波及しています。

欧州ではMiCA法が発効し、アジア各国でもステーブルコインやトークン化資産の制度化が進みました。

分散型インフラは、もはや“無法地帯”ではなく、新しい制度圏として認められつつあるのです。

🌍 日本の現状──制度の“空白地帯”とAIRAの使命

一方、日本ではいまだに暗号資産が「投機的な金融商品」として扱われ、

地方自治体や公共部門への導入には慎重論が根強く残っています。

DeFiは「無許可金融業者」とみなされ、

ステーブルコインも“銀行発行型”に限定され、

DAOやブロックチェーン投票は制度の外に置かれたままです。

この「制度の空白地帯」こそが、AIRAが挑むフィールドです。

AIRAは、Catalystという分散型公共資金システムを通じて、

この空白を“外側から埋めていく”アプローチを取っています。

つまり、国家が法を整備する前に、技術で制度を先取りするのです。

Catalystの資金を使って、自治体レベルで実装し、

動くプロトタイプとして成果を示すことで、

「分散型公共圏」が制度として認められる土台を築こうとしています。

この挑戦は、単なる地域DXではなく、

制度のアップデートを“現場から起こす”社会実験なのです。

🧭 Cardanoが示す第三の道──制度と分散の“橋渡しプロトコル”

ここで改めて考えてみたいのは、カルダノというプロトコルの立ち位置です。

ビットコインが「国家を超えた通貨」を目指し、

イーサリアムが「分散アプリの世界」を築いてきたように、

カルダノは、**“制度と分散の橋渡し”**というまったく新しい領域を切り開いています。

その象徴が、次のような構造です。

  • CIP(Cardano Improvement Proposal)によるオープンな制度設計
  • Catalystによる公共財の資金配分
  • DRep(Delegated Representative)によるオンチェーン民主主義
  • Hydra / Mithril / Midnight といった実装可能な中間レイヤー

AIRAがこのカルダノの構造を、

「地方自治体 × 地域経済 × 公共サービス」という現実世界に持ち込もうとしていることは、

まさにこの“制度と分散の統合”を象徴しています。

カルダノが描いてきた「分散型公共圏(Decentralized Public Sphere)」という概念を、

AIRAが現実社会に“制度として具現化する”段階に入ったと言えるでしょう。

⚖️ “制度を動かす投票”という新しい民主主義

Catalystの投票は、単なるプロジェクト選択ではありません。

それは、分散型社会の中で制度を動かす民主主義の形です。

Fund14でAIRAに投票した人々は、ある意味で「制度設計者」として行動したことになります。

それは国会の採決でも、企業の株主決議でもなく、

世界中のADAホルダーが自らの意志で「公共財の使い道」を決めた結果です。

この分散型投票の一票が、

日本の自治体を動かし、

地方経済をアップデートし、

やがて国家レベルの制度を動かすことになる。

そう考えると、Catalystの一票は、もはや“投票”ではなく、

制度を動かすトランザクション”と言えるかもしれません。

🔮 AIRAとCatalystが示す未来──制度をコードで書き換える

世界が制度の転換点にある今、

AIRAとCatalystは、別々の場所から同じ方向へ向かっています。

Catalystは「資金の流れを分散化」し、

AIRAは「公共サービスの仕組みを分散化」する。

両者が交わるところに、新しい制度設計のプロトタイプが生まれます。

それは、中央政府の指令ではなく、

市民・開発者・コミュニティが協働で“制度をコードで書き換える”という試みです。

AIRAが日本から示す「地方DAOモデル」は、

もしかすると世界の制度改革の最前線になるかもしれません。

国家を待つのではなく、ネットワークが制度をつくる時代。

そこに、CatalystとCardanoの真の意義があります。


次章では、Catalyst投票の根幹にある「一票の意味」──つまり「投票することが制度をつくること」になるという思想を掘り下げていきます。AIRAとともに始まったこの新しい制度設計の流れを、私たち一人ひとりがどう支え、どう参加していくのかを見ていきましょう。👉 第5章|投票するということ──分散型公共圏を設計する選択へ続きます。


第5章|投票するということ──分散型公共圏を設計する選択

Catalystで「投票する」とは、どういうことなのでしょうか。

それは、どのプロジェクトを応援するかを決める行為であると同時に、

「どんな社会のかたちを望むか」を示す行為でもあります。

この一票には、「制度を動かす力」が宿っています。

しかもそれは、誰かに委ねられた権限ではなく、

ADAを保有する一人ひとりの意思によって生まれる力です。

🗳 ADAを持つことは「発言権を持つ」ということ

カルダノにおいて、ADAは単なる通貨ではありません。

それは、ネットワークの一員として制度設計に参加するためのトークンです。

Catalystの投票権は、ADA保有量に基づいて与えられます。

つまり、ADAを持つということは、

「分散型社会の財務(トレジャリー)に対して、資金の使い道を決める権利を持つ」という意味でもあります。

この仕組みは、国家における予算投票に似ています。

ただし違うのは、その「議会」が世界中に広がり、

国籍も職業も立場も超えて、誰でも参加できることです。

Catalystでは、「あなたのADA=あなたの声」なのです。

そしてその声が、公共インフラや地域経済を動かしているのが、まさにAIRAのようなプロジェクトです。

🌐 分散型公共圏の誕生──制度が“上から”ではなく“中から”動く

AIRAがCatalystで採択された瞬間、私たちは一つの新しい現実を目撃しました。

それは、制度が「上から降ってくるもの」ではなく、

「ネットワークの中から生まれるもの」へと変わる瞬間でした。

自治体と市民、開発者と投資者、地方とグローバル──

このすべてが同じネットワーク上で接続され、合意形成を行う。

そこに生まれるのは、国家でも企業でもない、新しい形の公共圏です。

Catalystで投票するということは、

単にプロジェクトに資金を渡すことではなく、

この「分散型公共圏」を共に設計する行為なのです。

🤝 投票が「共創」になる時──AIRAのケース

AIRAはCatalystによって採択された後、

オンボーディング、マイルストーン設定、そして透明な進捗報告を通じて、

投票者とコミュニティの信頼の上に進んでいきます。

つまり、投票は「終わり」ではなく「始まり」なのです。

AIRAがどんな技術を実装するのか、

どの自治体でどんなユースケースが生まれるのか、

そのすべてがCatalystコミュニティの共有財産になります。

コミュニティは、提案者を監視する存在ではなく、

共に制度を磨くパートナーとして存在します。

この「共創の構造」こそ、Catalystが従来の助成制度と決定的に異なる点です。

投票者もまた、制度の共作者なのです。

🧭 投票するとは、“自分の未来を設計する”こと

Catalystの一票は、どこか遠いブロックチェーンの実験や、匿名の開発者を支援するためのものではありません。

それは、自分たちが暮らす社会の仕組みをどう変えたいか、という問いへの答えです。

AIRAのようなプロジェクトが採択されたことによって、

日本の地方自治体や市民が、ブロックチェーンを日常の中で使う未来が近づいています。

その未来を動かしているのは、IOGでも財団でもなく、

投票したあなたの一票です。

投票するということは、未来の制度を選ぶこと。

そしてそれは、あなたが「どんな世界で生きたいか」を宣言することでもあります。

🌱 制度を“信頼のネットワーク”に変える

Catalystの面白さは、投票や資金の流れがすべてオンチェーンで可視化されることです。

どの提案にいくら投票され、どのマイルストーンが達成されたか、

その全てが公開され、誰でも検証できます。

この「透明性の制度化」は、政治や行政の世界ではなかなか実現できなかったことです。

Catalystは、信頼を人ではなくコードとコミュニティに委ねています。

AIRAもまた、この考え方を社会の現場に持ち込みます。

ブロックチェーンを通じて、地域の予算や公共活動の透明性を高め、

市民がデータに基づいて政策を議論できる基盤をつくる。

それは、信頼を「共有財」として再設計するということです。

🔮 一票から始まる制度の物語

投票は、小さな行為に見えます。

でも、その一票がAIRAを動かし、自治体を動かし、

最終的には社会の制度を動かすことになります。

Catalystは、国家でも企業でもない「分散型の立法府」として、

この新しい制度の物語を少しずつ紡ぎはじめています。

そしてAIRAは、その物語の現場を担う存在です。

「制度を動かす一票」は、

あなたのウォレットの中から、世界を少しずつ書き換えていく。

それが、Catalystという“制度としてのカルダノ”が生み出した、新しい民主主義のかたちなのです。


次章では、CatalystとAIRAのこの流れがどのように未来へつながっていくのか──つまり、Cardanoが「公共インフラとしての社会実装フェーズ」へ進む可能性について探っていきます。👉 第6章|未来への展望──Cardanoが公共インフラになる日へ続きます。


第6章|未来への展望──Cardanoが公共インフラになる日

CatalystとAIRAの交差点に立つと、ひとつの未来が見えてきます。

それは、カルダノが単なるブロックチェーンや投資対象ではなく、

社会の制度や公共サービスを支える「共通の土台」になる未来です。

ブロックチェーンが「公共インフラ」になる──。

この言葉は少し抽象的に聞こえるかもしれません。

けれど、AIRAのようなプロジェクトが現場で動きはじめた今、それはもはや夢ではなくなりました。

🌐 技術が制度になる時──Cardanoの“社会実装フェーズ”

これまでのカルダノは、技術の開発と理論の確立に力を注いできました。

Ouroborosによるコンセンサス、Plutusによるスマートコントラクト、

そしてHydraやMithril、Midnightといったミドルレイヤーの進化。

これらはすべて、「社会に適用できる制度としてのブロックチェーン」を目指して積み上げられてきたものです。

CatalystとAIRAは、その積み重ねを社会の現場で動かすフェーズを象徴しています。

Catalystが「分散型資金配分の制度」をオンチェーンで動かし、

AIRAが「地方経済の運営」をオンチェーンで支える。

つまり、制度(governance)と社会(society)がつながる段階に、カルダノは入りつつあるのです。

🏛 分散型社会の“公共圏”を支える3つの柱

AIRAやCatalystが示した未来を俯瞰すると、

カルダノが「公共インフラ」として機能するための3つの柱が見えてきます。

  1. 信頼の可視化(Transparency)  Catalystの投票や資金の流れ、AIRAの自治体データなど、  あらゆるプロセスがオンチェーンで検証可能になる。  「透明性」が制度を支える新しい信頼の形になる。
  2. 市民参加の制度化(Participation)  DRepやCatalyst投票を通じて、  すべてのADAホルダーが制度設計に参加できる。  AIRAでは、地域住民が政策づくりに関わり、  ボランティアや子育て支援の活動がトークンで可視化される。
  3. 分散的運営モデル(Decentralized Governance)  国家や企業に依存しないガバナンス。  ネットワーク上での合意形成を通じて、  「制度」をソフトウェアのように更新していく。

この3つが揃ったとき、カルダノは単なる技術基盤ではなく、

社会を動かす制度インフラとしての姿を現します。

🤝 “地方から世界へ”──AIRAが描くボトムアップの公共モデル

AIRAが示しているのは、「地方から制度をつくる」という全く新しいアプローチです。

国や中央政府が制度を設計し、地方がそれを実行する──

そんな構造がこれまでの当たり前でした。

けれどAIRAは、逆の方向を歩んでいます。

地域が自ら制度を設計し、

ブロックチェーンによってそれを透明に運用し、

他の地域へと“コードを共有する”。

これは、国家モデルではなく、ネットワークモデルの公共圏です。

Catalystというグローバルな制度が、AIRAのようなローカル実装を支援し、

その成果がまたCatalystに還元される。

この循環こそが、分散型社会の持続的な成長の原動力になります。

🔄 オープンソースとしての公共財──Cardanoの“循環する制度”

AIRAは、Hydra統合モジュールやAPI、スマートコントラクトをMITライセンスで公開し、

他の自治体や開発者が再利用できるようにする計画です。

これは、公共財のオープンソース化とも言えます。

特定の企業や組織が独占するのではなく、

誰もが使え、改良し、共有できる制度。

それを可能にするのが、Catalystの分散型資金モデルです。

CatalystがAIRAを支援し、

AIRAが成果をオープンソースとして返す。

その成果をもとに、次の自治体が新しい提案を出す。

こうして制度がコミュニティの中で循環していく。

これが、カルダノが目指す「公共としての経済モデル」の核心です。

💡 制度は“コード”から“文化”へ

技術が制度になり、制度が文化をつくる──。

いま、カルダノはその境目にいます。

Catalystに投票すること、

AIRAのような社会実装を支援すること、

それは単なる技術参加ではなく、

分散型社会の文化を一緒につくる行為です。

「透明性」「共創」「自律性」。

こうしたカルダノの原則が、少しずつ社会の中に根を下ろし、

現場の文化として広がり始めています。

技術が人を変えるのではなく、

人が技術を通して社会を変えていく──。

その循環が始まっているのです。

🌍 終章──制度を動かす一票から、未来を動かす共創へ

Catalyst Fund14は、単なる投票イベントではありませんでした。

それは、制度が分散型の力で動きはじめた証明でした。

AIRAがその中心に立ち、地方から社会インフラの新しい形を示してくれたことは、

カルダノにとっても、そしてコミュニティにとっても、

ひとつの歴史的な出来事だと言えるでしょう。

制度は、上から与えられるものではなく、下から生まれるものへ。

公共は、中央集権ではなく、分散と共創のネットワークへ。

そして未来は、投票や開発、参加という小さな行為の積み重ねから動いていく。

Catalystの一票がAIRAを動かし、

AIRAが自治体を動かし、

やがて社会の制度そのものを動かす。

その連鎖の中で、カルダノは「制度としての文明OS」へと進化していくのかもしれません。


制度を動かす一票──Catalyst Fund14とAIRAが描くWeb3公共圏の未来。

それはまだ始まったばかりの物語です。

けれど、その物語の第一章に、確かに私たちの一票が刻まれています。


付記セクション|AIRA × SIPO ワークショップ開催のお知らせ

世界が変わる今、地方から始まるWeb3の夜明け

📅 開催日: 10月31日(金)18:30〜21:00
🏢 会場: 株式会社サイモンズ(日本橋本町オフィス)
東京都中央区日本橋本町4-3-10 日本橋銀三ビル6F
(東京メトロ銀座線・三越前駅 徒歩3分)
🎫 参加費: 無料(要事前申込)
👉 ワンクリックで参加登録:https://luma.com/8e6a9m36

🌍 イベント概要

伝統的な金融・行政・経済システムが大きな転換点を迎える今、

日本の地方から「分散型社会の実装」を目指すAIRAと、

その技術基盤となるカルダノ(Cardano)の最新動向を、

世界情勢とともに解説します。

このワークショップは、

「ブロックチェーンのニュースを理解する側から、使いこなす側へ」

一歩踏み出すための最初の実践講座です。

🎯 このワークショップで得られること
  1. 世界の金融“再起動”が進行中であることが分かる  👉 ニュースでは見えない“お金の構造変化”を読み解く力が身につきます。
  2. 暗号資産が「逃避先」から「新しい制度」へ変わりつつあることを理解できる  👉 これからの「銀行」「通貨」「貯金」のあり方がどう変わるかを学べます。
  3. カルダノ(Cardano)という“分散型文明OS”の全体像を理解できる  👉 なぜ世界中で「カルダノ=文明のOS」と呼ばれているのかが分かります。
  4. 日本発の実装例──AIRAが示す「地方×Web3」の現場を知る  👉 “地方から世界を変える”リアルなWeb3社会実装の最前線を体感できます。
  5. 自分自身が「分散型社会をつくる一員」であることを実感できる  👉 CatalystやAIRAに関わることが、制度を動かす行為になると実感できます。
💡 テーマと習得できるスキル
テーマ得られること
💰 金融世界のマネー構造の変化を読み解く力
🧠 暗号仮想通貨と制度変化の本質を理解する力
🧩 カルダノ分散型社会の技術構造を体系的に理解する力
🏛 地方×Web3日本発・地方創生型Web3プロジェクトを知る
🤝 AIRA×Catalyst自分のADAと投票が社会を動かす体験
🧩 内容構成

前半|SIPOセッション

講師:SIPO(SITION代表/AIRA CEO)

  • 世界の金融再起動と「サウンドマネー」の時代
  • 分散型金融とカルダノの最新動向
  • AIRA構想:地方から始まるWeb3公共圏の実例

後半|AIRAセッション

講師:安蒜 修 氏(株式会社サイモンズ 副社長/AIRA副社長)

  • 30自治体・300万人が使う地域ポイントのWeb3化
  • Hydraを用いた即時決済・行政DXの社会実装
  • AIRAが描く「地方創生OS」とカルダノの可能性
👥 登壇者
  • SIPO(SITION代表/AIRA CEO)  Catalyst DRepとしてカルダノの分散型ガバナンスを推進。  AIRAを通じて「地方から始まる分散型社会インフラ」を設計中。
  • 安蒜 修 氏(株式会社サイモンズ 副社長/AIRA副社長)  全国の自治体に地域ポイント・CRMシステムを提供。  行政・観光・地域経済を支える“現場発DX”の第一人者。
🗣 メッセージ

「世界が大きく動く今、制度を“上から”ではなく“地方から”変える力が問われています。

ブロックチェーンを“理解する”段階から、“使いこなす”段階へ。

ぜひこの夜、一緒に“Web3公共圏”の始まりを体感してください。」

📍 会場アクセス

株式会社サイモンズ(日本橋本町オフィス)
東京都中央区日本橋本町4-3-10 日本橋銀三ビル6F
(東京メトロ銀座線・三越前駅 徒歩3分)

📨 お申し込み方法

メールまたはLumaページから事前登録をお願いします。

👉 参加登録はこちら(Lumaイベントページ)

このワークショップは、

Catalyst Fund14で採択されたAIRAが、

どのように「地方から制度を動かす」プロジェクトとして進んでいるのかを、

参加者自身が“体験”として理解できる機会になります。

未来の制度を一緒に考え、

「分散型社会をつくる一員」としての第一歩を踏み出しましょう。


『エポックな日々588』──完


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シリーズ連載:進化するカルダノ・ベーシック
エポックな日々
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SIPOのDRepとしての目標と活動方針・投票方法

SIPOのDRepとしての目標と活動方針・投票方法:ニュース動向 & ステーキング状況 in エポック507

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