「Reimburse Ikigai Info Governance Action Deposit(生きがい提案の保証金返還)」提案概要

提案タイトル: Reimburse Ikigai Info Governance Action Deposit
提案種別: Information Governance Action
提出日: 2025年10月24日(エポック590)
有効期限: 2025年11月26日(エポック597)
請求金額: 103,000 ADA
提案者: (不明、ただし「Ikigai」提案の当初提出者と同一)
目的: 過去のガバナンス実験「Ikigai提案」で失われたデポジット(保証金)10万ADAの補償を、トレジャリー資金から正式に行う。
背景と経緯
2024年9月、カルダノは Changハードフォーク によって「オンチェーン・ガバナンス」が導入された直後、初期象徴的な情報ガバナンス提案として 「Cardanoの生きがい(Ikigai)」 が提出されました。
この提案は、技術的なものではなく、
“これまでカルダノの発展に貢献してきた全ての人々への感謝と、未来への希望をコミュニティで共有する”
という象徴的・精神的なメッセージ提案でした。
ところが、当時のノードコードに存在した バグ(登録されていないステークキーが使用可能になっていた) により、提案者がデポジットとして支払った 100,000 ADA がロックされ、返還不能となる事故が発生しました。
この問題は当時のカルダノ・コミュニティでも議論を呼び、返還を望む声が強く上がったものの、
トレジャリーから直接払い戻す機能はまだ実装されていませんでした。
その後、Plominハードフォーク によってトレジャリー資金を用いた返還が技術的に可能になりましたが、
いずれの「Entity予算提案」にもこの返還項目は含まれませんでした。
一度は「Cardano in Oceania」イニシアティブが予算提案内で補償を試みましたが、
その提案も否決され、いまだ未解決のまま残されている問題でした。
この提案の目的と構成
本提案は、上記の経緯で失われた100,000 ADAに対して、
追加で3,000 ADA(ステーキング報酬やエアドロップ機会の損失分を補填)を加えた 103,000 ADAの支払いを求めるものです。
憲法適合性チェック(Constitutionality Checklist)
提案文では、カルダノ憲法(暫定版)に基づく形式的整合性も明記されています。
| 憲法条項 | 内容 |
|---|---|
| 第III.5条 ガバナンス手続 | 標準化された形式で提出され、ハッシュ化された内容が付随している。 |
| 第IV.2条 資金管理 | 分配管理者としてDRepを指定。DRepが受領・執行を担う。 |
| 第IV.3条 ネットチェンジ制限 | 要求額は現在のネットチェンジリミットを超えない。 |
| 第IV.4条 監査性 | 資金は直接送金され、すべてオンチェーンで透明に監査可能。 |
「Ikigai」提案の象徴性
この「Ikigai」提案は、カルダノにおける最初期の“象徴的ガバナンス”の記念碑的存在です。
技術的成果ではなく、コミュニティ文化そのもの──「カルダノの生きがい」「希望」──を問う提案であり、
それゆえに、今回の返還提案は単なる資金返還以上の意味を持ちます。
💬 つまり、“初期のカルダノ・ガバナンス文化を築いた者への敬意” を制度的に示す行為 でもあります。
ブロックチェーン全般における意義
この提案は、単なる返金対応にとどまらず、ブロックチェーン・ガバナンスの成熟化を象徴する動きです。
他のチェーンでは、初期期のテストや実験における損失補填はオフチェーン(財団判断や助成金処理)で行われがちですが、
カルダノではそれを正式なオンチェーン提案として、DRep・コミュニティ・トレジャリーが共同で意思決定する点が特筆されます。
これは、
- コミュニティの意思が制度に反映されること、
- 憲法に基づく補償プロセスが運用可能であること、
- 「人間中心のガバナンス」への回帰を示すこと、 を意味します。
言い換えれば、カルダノは“冷たいコード”ではなく、“共感と正義を内包したガバナンス”を実現しつつある、という象徴的事例です。
カルダノにとっての恩恵と影響
- 初期期の開発者・提案者への信頼回復
- ガバナンス初期のバグによる損失を正しく補填することで、 「参加しても損をしない」「誠実な努力は報われる」という信頼を再構築。
- オンチェーン補償メカニズムの実証
- この返還提案が承認・執行されれば、今後も同様の不測事態への制度的対処が可能に。
- DRep(代表者)制度の信頼強化
- DRepが“資金管理者(Administrator)”として実務的に関与することは、 憲法第IV章の実運用例として、DRep制度の成熟を促進。
- 「文化的ガバナンス」の前例
- 技術提案やハードフォークとは異なり、文化的・象徴的な提案を正式に扱うことができるという “包摂的ガバナンス”のモデルケースになる。
現在の位置づけと評価
この提案は、カルダノのガバナンスが「制度期(Constitutional Era)」へ進む中で生まれた“制度的和解”の象徴です。
「Ikigai」という言葉が持つ哲学的意味──「生きる理由」──を体現するように、
カルダノが単なる技術の集合体ではなく、人間の物語と共に歩むブロックチェーンであることを示しています。
まとめ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 提案名 | Reimburse Ikigai Info Governance Action Deposit |
| 提出日 | 2025年10月24日(Epoch 590) |
| 内容 | 失われた100,000 ADAの補償+補填3,000 ADA |
| 技術的意義 | トレジャリー返還の初期運用例/ガバナンス成熟度の証明 |
| 社会的意義 | 初期貢献者への誠実な対応/文化的ガバナンスの確立 |
| カルダノへの恩恵 | 信頼・透明性・制度運用力の強化 |
🗳️SIPO DRep 投票ステートメント「Reimburse Ikigai Info Governance Action Deposit(Ikigai提案デポジット返還)」に対してYes(賛成)
■ はじめに:「Ikigai提案」返還への賛成──制度の誠実さを守るために
SIPOは今回の提案「Reimburse Ikigai Info Governance Action Deposit(Ikigai提案デポジット返還)」に対して、Yes(賛成)を投じました。
この提案は、単なる資金の返還ではなく、カルダノ・ガバナンスの制度的な誠実さを取り戻す大切な試みだと考えています。
■ Ikigai提案が示したカルダノの原点
もともとの「Ikigai」Info提案は、2024年にChangハードフォークが行われた直後に提出されたものでした。
それは「感謝と希望」をテーマにした、非常に象徴的なガバナンス提案でした。
技術的な変更や資金申請ではなく、
“カルダノをここまで築いてきた人々への感謝と、未来への希望を共有する”
という、コミュニティの心を表現するものでした。
しかし、当時ノードに存在していたバグ(未登録のステークキーが使用できてしまう不具合)によって、
提案者が支払った 100,000 ADA のデポジットが返還不能となってしまいました。
これはユーザーのミスではなく、システム側の問題でした。
当時、コミュニティの多くが「このデポジットは返還すべき」と賛同していましたが、
まだトレジャリーからの払い戻し機能が存在しなかったため、実行には至りませんでした。
その後、Plominハードフォークによってトレジャリー支払いの仕組みが整備され、
ようやくこの未解決の問題に取り組む機会が訪れたのです。
■ これは“巻き戻し”ではなく、“誠実な修復”です
今回の返還提案について、特に強調しておきたいのは、
これはブロックチェーンの履歴を巻き戻す行為ではないということです。
過去のトランザクションを改ざんしたり、台帳の不変性を損なうようなものではありません。
むしろ、既存のルールと憲法に基づいて、制度的に正しい方法で修復を行うという、
カルダノらしい誠実で透明な対応です。
オンチェーン・ガバナンスを通じて、
「人間的な公正さ」と「技術的な不変性」を両立させる。
この提案は、その両者が矛盾しないことを証明する大切な前例になると思います。
■ DRepとしての判断
DRepの立場から見ても、この提案は憲法的に正当で、技術的にも安全です。
- 要求額(103,000 ADA)は明確で、ネットチェンジリミットを超えない
- DRepが管理者として指定され、執行を監視できる
- 支払いは直接受取人に送られ、オンチェーン上で完全に監査可能
つまり、制度の透明性と説明責任が確保された上で、誠実な修復が可能になっています。
■ SIPOとしての考え
私はこの提案を、単なる補償措置としてではなく、
カルダノ・ガバナンスの初期を支えたパイオニアたちへの敬意の表明だと捉えています。
「Ikigai」提案が伝えたメッセージ──感謝、希望、そして共に進む意志。
この精神こそ、カルダノが持つ“人間中心のガバナンス”の原点だと思います。
その理念を守るために、私は Yes を投じました。
それは「制度としての誠実さ」を守り、
技術だけでなく“心のあるネットワーク”としてのカルダノを育てていくための一票です。
■ 終わりに
カルダノは、単なるコードの集合体ではありません。
人と人が信頼を結び、制度の中で共に未来を作るプロジェクトです。
今回の返還提案は、その信頼を制度として形にする試みであり、
カルダノのガバナンスが「人間の誠実さ」を持つことを示す、美しい事例だと感じています。
SIPOはこの理念に共感し、心からの賛成票を投じました。
🗳️As SIPO, I voted Yes on the “Reimburse Ikigai Info Governance Action Deposit” proposal.
■ Introduction
As SIPO, I voted Yes on the “Reimburse Ikigai Info Governance Action Deposit” proposal.
To me, this proposal is more than a reimbursement — it’s an act of institutional integrity and fairness that strengthens Cardano’s governance system.
■ The spirit of the Ikigai proposal
The original “Ikigai” Info Action was submitted right after the Chang hard fork in 2024.
It was not a technical or financial proposal, but a symbolic one —
expressing gratitude to everyone who helped build Cardano, and hope for its future.
It represented the heart of our community: that Cardano is not only technology, but a shared human journey built on trust and collaboration.
Unfortunately, due to a bug that allowed an unregistered stake key to be used,
the proposer permanently lost the 100,000 ADA deposit.
This was not a user error, but a software issue during the earliest days of on-chain governance.
At the time, the community agreed that the deposit should be reimbursed,
but the treasury reimbursement mechanism didn’t yet exist.
Now, thanks to the Plomin hard fork, we finally have the ability to resolve this unfinished issue properly.
■ This is not a rollback — it’s a legitimate repair
I want to emphasize that this reimbursement proposal does not roll back the blockchain or alter its history.
No transactions are being reversed; no immutability is being compromised.
Instead, it uses the constitutional and procedural tools available —
a legitimate treasury withdrawal — to fix a past mistake transparently and responsibly.
It’s a uniquely Cardano approach: to uphold justice without breaking immutability.
This is not about rewriting history.
It’s about demonstrating that fairness and code can coexist — that governance can be both human and principled.
■ From a DRep perspective
From my perspective as a DRep, this proposal is constitutionally valid and technically safe.
- The requested amount (103,000 ADA) is clearly defined and within the Net Change Limit.
- DReps are designated as administrators, ensuring oversight of the execution.
- Funds are distributed directly to the recipient, ensuring full on-chain auditability.
This means the process is transparent, fair, and fully in line with Cardano’s governance framework.
■ Why I voted Yes
I see this proposal as more than a correction — it’s a gesture of respect for the early pioneers of Cardano governance.
The “Ikigai” proposal carried a message of gratitude, hope, and togetherness —
values that continue to define Cardano’s identity today.
By approving this reimbursement, we honor that message.
We affirm that Cardano is not only about perfect code, but also about the integrity and kindness of the people who build it.
That is why I, SIPO, voted Yes.
To protect fairness, to uphold integrity, and to keep the human spirit alive within our governance system.
■ Closing thoughts
Cardano is more than a blockchain — it’s a living community that builds trust through transparent, principled action.
This proposal demonstrates that our governance can correct errors without compromising its immutability.
I’m proud to support this step, and I believe it reflects what makes Cardano truly unique:
a system where technology and humanity move forward together.
























