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SIPO DRep「CARDANO BLOCKCHAIN ECOSYSTEM CONSTITUTION v2.4」解説と「Yes」投票の理由

SIPO DRep「CARDANO BLOCKCHAIN ECOSYSTEM CONSTITUTION v2.4」解説と「Yes」投票の理由

CARDANO BLOCKCHAIN ECOSYSTEM CONSTITUTION v2.4:解説

以下では、CARDANO BLOCKCHAIN ECOSYSTEM CONSTITUTION v2.4 を、

①提案内容の詳細整理

②ブロックチェーン全体における最新の位置付け

③Cardanoにもたらされる具体的な恩恵

という3つの観点から、体系的に解説します。

Submitted: 18th Dec 2025 (Epoch 601)Expires: 20th Jan 2026 (Epoch 608)

Governance Action ID:
gov_action1jxne7hynfd7frcczwumd2eggps4kvy0msjztz9t0mutpy870ksgqqp6vp3p

Legacy Governance Action ID (CIP-105):
91a79f5c934b7c91e3027736d565080c2b6611fb8484b1156fdf16121fcfb410#0

① 提案内容の詳細分析(Constitution v2.4とは何か)

1. この提案の本質

Constitution v2.4 は、一言で言えば

「憲法を“理想や期待”から“拘束力のあるルールブック”へと再定義する改訂」

です。

これまでの憲法(v1.0〜v2.3)には、

  • 守ることが期待されているが、違反しても直接的な効力を持たない条文
  • 運用や慣行レベルで処理すべき内容
  • 一時的なガバナンス設計(Budget Info Action)

が混在していました。

v2.4では、それらを大胆に整理し、

「オンチェーンで判断・拘束される内容のみを憲法に残す」

という方向性が明確に打ち出されています。

2. 削除された要素の意味

(a) Expectations / Encouragement 条項の削除

削除対象:

  • DRep・SPO・CC(憲法委員会)に対する「期待」「推奨」「望ましい姿」

重要なポイント

  • これらは“倫理規範”としては有用
  • しかし、憲法(=最上位ルール)としては非拘束・非検証

→ v2.4では

「強制できない理想は憲法に書かない」

という原則を採用。

これは、ガバナンスの法的明確性を優先する成熟した判断です。

(b) Budget Info Action の完全廃止

Budget Info Action は、

  • 予算情報を事前に提示するための補助的ガバナンス手続き

でしたが、

  • 手続きが冗長
  • Treasury Withdrawal と役割が重複
  • 実務上の混乱を生んでいた

という問題がありました。

v2.4では、

  • Budget Info Action を廃止
  • その要件を Treasury Withdrawal に完全統合

→ ガバナンスフローが一本化され、

資金を出すときに必ず説明責任を果たす」構造に進化しています。

(c) CCコード・オブ・コンダクト義務の削除

  • CCが行動規範を作ること自体は禁止されていない
  • ただし、それを憲法で義務化しない

理由は明確で、

  • 行動規範は時代・文化・状況で変わる
  • 憲法に書くと柔軟性が失われる

「統治の原則」と「運用の工夫」を明確に分離した形です。

3. 追加・強化された要素の意味

(a) 定義条項の大幅強化

追加された定義:

  • Active Voting Stake
  • DRep
  • SPO
  • Net Change Limit
  • Treasury Withdrawal Recipient など

これは単なる形式的変更ではなく、

  • 投票結果の解釈
  • 正当性の判断
  • 将来の紛争回避

に直結します。

Cardanoのガバナンスを「解釈依存」から「定義依存」へ移行

(b) 提案ドキュメントの「不可変性」義務化

ARTICLE II Section 6 に追加された要件:

「提出されたURL上の文書は immutable(変更不可)でなければならない」

これは非常に重要です。

意味すること:

  • 投票後の“こっそり修正”を完全に排除
  • DRep・SPO・ADA保有者の判断基盤を固定
  • ガバナンスの信頼の非対称性を解消

ブロックチェーン的価値観(改ざん耐性)を、ガバナンス文書そのものに適用しています。

(c) Treasury監査・説明責任の全面適用

Budget Info Action 廃止後も、

  • 監査
  • 説明責任
  • 情報開示

が弱体化しないよう、

すべての Treasury Withdrawal に同等の監査要件を適用

→ 財務ガバナンスの後退ではなく、むしろ一段階の強化です。

4. EMURGOフィードバックの反映

v2.3で導入された文言のうち、

  • ada owner 表記
  • カストディ関連
  • 独立監査の表現

について、EMURGOが懸念を示し NO を投じた点を、v1.0表現へ差し戻し。

ここから読み取れるのは、

  • 最大DRepの合意を軽視しない現実的ガバナンス
  • 合意形成を優先する Cardano らしい調整能力

です。

② ブロックチェーン全般における最新の位置付け

1. 他チェーンとの比較

多くのブロックチェーンでは、

  • 憲法が存在しない
  • あるいは「理念文書」に留まっている
  • 実際の権限はオフチェーン合意に依存

という状態が一般的です。

一方、Cardano v2.4 は:

  • 憲法=拘束力のあるオンチェーン統治ルール
  • 解釈余地を極力排除
  • 資金・提案・投票・監査が一貫して連動

DAOガバナンスの“制度設計”としては最先端クラス

2. 「DAO 2.0」から「制度化DAO」への進化

v2.4は、

  • 情熱的コミュニティ主導
  • ソーシャル合意依存

から、

制度・定義・手続きに基づくガバナンス

への明確なシフトを示しています。

これは、

  • 大規模資金(数百億円規模のTreasury)
  • 国家・企業・公共領域との接続

を前提とした次世代DAOモデルです。

③ Cardanoにもたらされる恩恵

1. DRep・SPO・ADA保有者への恩恵

  • 投票判断が明確になる
  • ルール変更の恣意性が下がる
  • 後出し修正リスクが消える

「安心して参加できるガバナンス」が実現。

2. Treasury運用の信頼性向上

  • 監査・説明責任が常に担保
  • 資金流出に対する外部批判耐性が向上

→ Cardano Treasury は

「最大級で、かつ最も説明可能なDAO財務」へ。

3. エコシステム拡大への効果

  • 企業
  • 公共機関
  • 規制当局

に対して、

「Cardanoはルールが明確で、変更も透明」

と示せることは、

採用・連携における大きなアドバンテージです。

総括

Constitution v2.4 は、

  • 単なる条文整理ではなく
  • Cardanoガバナンスの思想的成熟を示す改訂

と言えます。

理想を語るフェーズから、制度で支えるフェーズへ。

Cardanoが「長期存続する公共インフラ型ブロックチェーン」へ進化していることを、

この憲法改訂ははっきりと示しています。


SIPO Drep(賛成):Cardano憲法 v2.4 をどう見るか― ガバナンスを「理想」から「制度」へ進める重要な一歩

SIPO DRepは、今回提出された

「CARDANO BLOCKCHAIN ECOSYSTEM CONSTITUTION v2.4」

について、慎重に内容を確認し、最終的に賛成(YES)を投じました。

この記事では、

  • この憲法改訂が何を目指しているのか
  • ブロックチェーン全体の流れの中で、どんな位置付けなのか
  • そして、なぜSIPO DRepがYESを選んだのか

を、できるだけ分かりやすく整理してお伝えします。

Constitution v2.4 とは何か

今回の v2.4 は、単なる細かな文言修正ではありません。

SIPOはこの改訂を、

Cardanoのガバナンスを

「理想や期待」から「拘束力のある制度」へと進める改訂

だと捉えています。

これまでの憲法には、

  • 「こうあるべき」
  • 「こうすることが望ましい」

といった、価値観としては大切でも、

オンチェーンで強制・判断できない内容も含まれていました。

v2.4では、そうした条文を整理し、

憲法は“判断と責任を伴うルールだけを定めるもの”

という立場を明確にしています。

なぜ「期待」や「推奨」を削除したのか

今回削除された条文の多くは、

  • DRepやSPO、CCに対する期待
  • 行動規範の推奨
  • 理想的な振る舞いの提示

といった内容でした。

SIPOは、これらが不要だとは考えていません。

ただし、

  • 守られているかどうかを判断できない
  • 守られなかった場合の責任が曖昧

という内容を憲法に書き続けることには、限界があるとも考えています。

憲法は、

「オンチェーンでYes / Noを判断するための最終ルール」

です。

その役割をはっきりさせるために、

理想論はコミュニティの議論や慣行に委ね、

憲法は制度に集中する。

SIPOは、この方向性を前向きに評価しています。

Budget Info Action 廃止とTreasuryガバナンス

v2.4では、Budget Info Action が廃止されました。

これはガバナンスの後退ではなく、

重複していた仕組みを整理し、一本化するための変更です。

重要なのは、

  • Treasury Withdrawal の際には
  • これまでと同等、もしくはそれ以上の 説明責任・監査要件が引き続き求められる

という点です。

SIPOとしては、

  • 手続きはシンプルに
  • 透明性と責任はしっかり確保

というバランスを取った、妥当な設計だと考えています。

提案ドキュメントの「不可変性」が持つ意味

今回の改訂で特に重要なのが、

提出された提案文書は immutable(変更不可)でなければならない

というルールです。

これはガバナンスの信頼性にとって、とても大きな意味を持ちます。

  • 投票後に内容が変わらない
  • 判断時点の情報が固定される
  • DRepが後から責任を押し付けられない

SIPO DRepとしても、

安心して判断できる前提条件が制度として整った

と評価しています。

EMURGOのフィードバックを反映した点について

v2.4では、v2.3で変更された一部の表現が、

EMURGOの意見を受けて v1.0 の表現に戻されています。

SIPOは、これを「後退」ではなく、

実際に機能する憲法を維持するための現実的な調整

だと受け止めています。

憲法は、

形式的に成立することよりも、

合意のもとで使われ続けることが重要です。

その意味で、この対応はCardanoらしい成熟した判断だと感じています。

SIPO DRepとしてのスタンス

以上を踏まえ、SIPO DRepは、

  • 憲法の役割を明確にした点
  • DRepの説明責任を支える構造になっている点
  • Treasuryを含む長期的な信頼性を高めている点

を評価し、この提案に 賛成(YES) を投じました。

Cardanoは今、

「コミュニティの熱量」だけで進むフェーズから、

制度として長く持続するフェーズに入っていると感じています。

SIPO DRepとしても、

その流れを支える判断を、今後も丁寧に行っていきます。


SIPO Drep(Yes):How SIPO Views Cardano Constitution v2.4

A Step from Ideals to Institutional Governance

SIPO DRep has carefully reviewed the proposal

“CARDANO BLOCKCHAIN ECOSYSTEM CONSTITUTION v2.4”

and has decided to vote YES.

In this article, we explain:

  • What this constitutional update aims to achieve
  • How it fits into the broader blockchain governance landscape
  • Why SIPO DRep supports this proposal

in a clear and community-friendly way.

What Is Constitution v2.4?

Constitution v2.4 is not just a minor wording update.

SIPO views this revision as a step that moves Cardano governance

from aspirational ideals toward enforceable institutional rules.

Previous versions of the Constitution included statements about:

  • Expectations
  • Encouragements
  • Ideal behaviors

While meaningful in spirit, these were not enforceable on-chain.

Version 2.4 clarifies that the Constitution should focus on rules that can actually be used for decision-making and accountability.

Why Remove “Expectations” and “Encouragements”?

SIPO does not believe these values are unimportant.

However, a constitution should define:

  • What can be decided
  • What can be enforced
  • What responsibility follows from decisions

By removing non-binding clauses, v2.4 strengthens the Constitution’s role as a clear and reliable governance framework, while leaving community norms to evolve organically.

Treasury Governance and the Removal of Budget Info Action

The removal of the Budget Info Action is not a rollback.

Instead, it simplifies governance by consolidating overlapping mechanisms and ensuring that all Treasury Withdrawals are subject to consistent accountability and audit requirements.

SIPO supports this balance:

  • Simpler procedures
  • Strong transparency and oversight
The Importance of Proposal Immutability

One of the most important changes in v2.4 is the requirement that proposal documents must be immutable once submitted.

This ensures:

  • No post-vote changes
  • Stable information for voters
  • Fair accountability for DReps

For SIPO DRep, this significantly improves trust and integrity in the governance process.

Incorporating EMURGO Feedback

Some wording changes introduced in v2.3 were reverted in v2.4 following feedback from EMURGO.

SIPO views this not as a step backward, but as a pragmatic adjustment to ensure the Constitution remains broadly accepted and functional.

A constitution must work in practice, not just in theory.

SIPO DRep’s Final Position

Based on these considerations, SIPO DRep supports Constitution v2.4 because it:

  • Clarifies the role of the Constitution
  • Strengthens accountability for DReps
  • Improves long-term trust in treasury governance

For these reasons, SIPO DRep votes YES.

We believe Cardano is entering a new phase — one where governance must be institutional, durable, and trusted over the long term.

SIPO will continue to engage responsibly and transparently as a DRep in this evolving governance landscape.

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