大量採用に向けWeb3プラットフォームを目指す『Lace』の戦略
LaceのPreProd(テスト)バージョンがリリース
2022年12月10日エイダ・ラブレスの誕生日を記念して、LaceのPreProd(テスト)バージョンがリリースされました。カルダノコミュニティが最も期待するものの一つであるWeb3時代のプラットフォームである『Lace』の開発は、着々と進んでおり、今回のLaceのPreProdバージョンは、最初のコミュニティ向けのリリースとなるものです。
Laceは、カルダノ開発者のIOGによって開発が進められている、軽量のマルチチェーン暗号ウォレットです。最終的にはウォレットに止まらないWeb3のプラットフォームを目指しています。
今回は、動画「IOG’s light wallet platform, Lace」とLaceのPreProdバージョン情報を交えつつ、明らかになった『Lace』の現状と今後の取り組みと、大量採用に向けたWeb3プラットフォーム戦略について最新情報をお届けします。
Laceについての詳細は『Web3に向かう世界の動きとLaceが切り開く可能性』にまとめていますので、詳細はこちらをご覧ください。
PreProductionネットワークは、テストトークンを使ってプロトタイプを試したり、機能やコードを操作してメインネットのローンチ前にフィードバックを提供したりできるサンドボックス型のテスト環境です。
Lace PreProdは、PreProduction Testing Environmentで一般に公開されているLaceの最新バージョンです。Lace PreProdは、次期メインネットインタフェースを反映し、同一の機能を有しています。
Lace PreProdでは、ユーザーはテストトークン(tADA)、新機能、コードを試し、インターフェイスと機能を理解し、メインネットのローンチに先立ってフィードバックを提供することができます。
Lace PreProd(テストネット)バージョン・マニュアルを作成しましたので、プロトタイプをインストールしてテストトークンを試したい方は、下記の記事をご活用ください。
『Lace』の現状と今後の取り組みが明らかに
カルダノ・ブロックチェーンの研究・開発元であるInput Output Global, Inc.(IOG)は、同社主催のイベント『IO ScotFest』でプレゼンテーションされた動画「IOG’s light wallet platform, Lace」を公開しました。動画では、IOGのウォレット&サービス責任者であるAlex Apeldoorn氏が、Web3の豊富な機能を集約した軽量ウォレットプラットフォームであるLaceについて、最新情報をプレゼンテーションしています。
今後のLaceのリリースでは、投票センター、IDソリューション、マルチデレゲーション、マルチチェーンソリューションなど、採用を加速させるための機能を提供する予定と伝えています。
シンプルで安全でシームレスな方法で、Web3をすべての人に提供する
Laceは開発手法として、まず多くのユーザーの要望に耳を傾けることから始めており、ユーザーが何を重要視しているか積極的に話をし、そのための指針として、『シンプルで安全でシームレスな方法で、Web3をすべての人に提供する』という原則を掲げています。Alex Apeldoorn氏はプレゼンテーションで、本当にシンプルで使いやすいものであること、直感的に操作できるものを目指し、この1年でユーザーと検証を積み重ねて来たこと伝えました。
現在のバージョンは、外部の監査法人による監査を受け、セキュリティ監査に合格しており、そして現在、数百人のスタッフがLaceをテストしているとのこと。これから数週間かけて、さらにこのベータテストに参加する人たちを増やしていく予定です。
現時点でのLaceのコア・コンセプト:ウォレット・フェーズは他のユーザーとうまく機能すること
現時点でのLaceのコアとなるコンセプトとは、発売できる最小限の製品とのことで、開発チームはこれをコアと呼んでいます。またはIOG社内では『ウォレット・フェーズ』と呼んでおり、これが意味するところは、『他のユーザーとうまく機能すること』です。
Laceのコアコンセプトは下記の通りです。
- 直感的で高速、かつ研究開発されたUX/UI
- あなたのカルダノへのニーズを満たすワンストップショップ
- スケーラブルで継続的な改善
- シンプル、迅速、隠れた手数料なし
- カルダノDAppsに簡単にウォレット接続
- 誰でも、どこでも、利用できる
- 教育的で有益なコンテンツ
- 品質管理および業界標準の改善
最新のLaceのPreProd(テスト)バージョンでは、ゲートの外でハードウェアウォレットを使用して、ウェブ環境で鍵を保護することができるようになっています。
また、Laceは、DAppsコネクタを搭載し、他のDAppsとの連携も簡単できるようになるとしています。
さらに、『Lace』はウォレットのゴールドスタンダードとして、コミュニティで構築されたCIP標準を採用しており、今後はCIP標準に準拠しているウォレットこそが、カルダノの公式ウォレットということにになるようです。
カルダノの優位性が簡単に体験できる:一回のトランザクションで複数の人に複数の資産を送る
Laceではカルダノの優位性をより簡単に体験出来るようになるようです。特にカルダノ・トークンのバンドルを作成することができることと、UTXOベースのチェーンの持つ決定論的な機能特性により、非常にリッチでインタラクティブなトランザクションを作成することが可能になります。
Apeldoorn氏、これは一人に一つの取引を送って終わりというということではなく、一回のトランザクションで複数の人に複数の資産を送ることができるようになり、これで1秒に何回送れるかという議論は無意味になったと主張しています。
また、他に優れている点についても言及し、カルダノのステーキングをする能力は資金をロックすることもなく、資金を切り崩すこともなく、常にユーザーの手元にあり続けることだと述べています。
カルダノのステーキングについての優位性については下記の記事をご覧ください。
そして、Laceでは、すべてのステークプールについてのバックグラウンドの見識と情報を提供するとし、ユーザーが十分な情報を得た上でステーキングするかを判断できるよう保護され、報酬を得ることができるようになるとのことです。
Laceのアジャイルによる次への進化:コラボレーションとパートナーシップ
Laceは、アジャイル(チーム主導で設計・実装・デプロイを短期間に繰り返してユーザーが得た価値を学習し適応する、すなわちトライアルアンドエラーで開発が行われる。)の原則に基づいて構築されています。つまり、今ある機能はユーザーからのフィードバックやユーザーとのやりとりに基づいて行われます。
そして、Laceの次のフェーズは、本質的にコラボレーションとパートナーシップに関するものにフォーカスするようです。
マルチデリゲーション(複数委任)
Laceはガバナンスチームとのコラボレーションにより、ステークプール内のマルチデレゲーション(複数委任)機能の追加を進めています。つまり委任者は一つのウォレットから、複数のステーク・プール・オペレーターに委任することができるというものです。
これはカルダノ・コミュニティが最も多い要望の一つであり、これによりカルダノの分散化が進み、カルダノ・ネットワークがより強固になると考えられます。
進化する投票機能:Voltaire時代の分散型流動性ガバナンス
Voltaire時代の分散型流動性ガバナンスの進化もLace上で表現されるようになります。カルダノユーザーが投票権を登録し、投票権を行使するというもので、Catalystアプリとフレームワークの中で投票権を行使するか、あるいはカルダノコミュニティの代表者(dRep)に投票権を委ねることが出来るようになります。Apeldoorn氏は、代表者(dRep)は知識が豊富で、過去の投票行動に関する情報を提供してくれますので、自分の利害に最も一致する代表者を選ぶことができると説明しています。
また、カルダノの分散型ガバナンスの枠組みの中でこれはまだ第一段階に過ぎす、この後、プロトコル投票、ハードフォーク投票、評議会選挙、その他もろもろ特別な投票ラウンドに対応する予定です。
Apeldoorn氏は、Voltaireの時代とはガバナンス(統治)の原則を繰り返し改善することであるとし、このような経験はかつてなく、私たちはどのようにすればよいかを模索していると説明しています。そしてLaceは、これをサポートし、前進させるために、シンプルで安全かつシームレスな方法で手助けをすると述べています。
DAppsストア:DAppsコミュニティとのパートナーシップとコラボレーションを創造
Laceはさらに、より広いカルダノコミュニティ、エコシステムにおいて、特にDAppsコミュニティとのパートナーシップとコラボレーションを創造することを目指し、DAppsストアがLaceに組み込まれることになります。
Apeldoorn氏は、次のように述べています。
これまで、非中央集権的なWeb3の世界におけるアイデンティティ、トラスト・シームレス・インタラクションのようなコンセプトは存在しませんでした。現在、ユーザーがDAppsと対話しようとすると、通常、その人が作ったものなのか、良い評判なのか、詐欺ではないか、などなど何時間もかけて誰が作ったのかを調べなくてはなりません。Web2の世界で同様なタイプの概念を持っていたら、何兆円ものお金が、突然に失われることになります。当事者間の信頼なくして、商売は成り立たないからです。
最新のDAppsストアのコンセプトは、可能なすべての情報を提供することで、ユーザー評価だけでなく、DAppsのアイデンティティ、信頼性、評判、認証を提供します。現在、認証チームは規格とフレームワークの構築に取り組んでおり、エンドユーザーが実際に使いたいDAppsの認定を簡単に知ることができるようになるというものです。
IOGはフレームワークの最新版では、レイヤー2の監査をするときと同じことをすることで、カルダノコミュニティーの標準になるとしています。
DAppsコネクターの振る舞い:認定をシンプルに
DAppsの認証の方法について具体的には次のような方法です。DAppsコネクターを通じて、アプリストアで見つけたアプリに接続したときに、このDAppsが実際に対話するDAppsであることを確認するために、フレームワークを使用します。検証可能なクレデンシャル(資格情報)は、この接続の時点(相互作用の時点)で知ることができるというもので、とてもシンプルなものになるようです。
例えば、現在接続しているDAppsが、実際にSundaeSwapやjpeguストアまたは他のパートナーであるかを知ることが出来るというもので、これは詐欺防止であると同時に、DAppsの開発者の評判を守ることにもなるようです。これによりDAppsの開発者は自分たちが何者であるかを安全に主張することができ、奪われることのない評判を築くことができるようになります。
Laceの大量採用戦略:マルチチェーン・ウォレットになることでLaceの標準をWeb3の世界にもたらす
そしてApeldoorn氏は、ここからが面白いところだと述べ、次のように続けています。
というのも、資産とアイデンティティがあれば、一箇所で管理することができますし、コマースで自由にやり取りができます。さらに、カルダノだけでなくマルチチェーン(他のブロックチェーンの資産)でスワップを行うことが出来、これは非常に強力になるでしょう。
LaceはカルダノADAだけのウォレットだけではなく、業界標準に基づいて構築されたマルチチェーン・ウォレット・ソフトウェアになることで、ビットコインやイーサリアムをはじめとする他のチェーンの資産を一つのウォレット上で管理できるようになります。
つまり、これによりより多くの人が高い確率でLaceを使用することを意味し、その結果Laceの標準を他のチェーンコミュニティに持ち込み、安全で確実なインタラクションを実現するための基準をWeb3の世界にもたらすことになります。
Apeldoorn氏は、Laceの開発チームはこのコンセプトで、暗号業界をより安全でより良い場所にすることができると述べています。そして現在チームはLaceの大量採用について議論しており、Web3を誰もが、どこでも使えるようにすることが今のLaceのゴールであると述べています。
いかがだったでしょうか?LaceのPreProd(テスト)バージョンがリリースされたことで、カルダノのWeb3へのコミットメントはより深くワイドに拡大する道筋が見えて来ました。
Laceは単なるウォレットではなく、常にユーザーからのフィードバックを得ながら進化することで、最終的にWeb3プラットフォームとして、キラーアプリになることが期待されています。
今後もその進化を見届けるべく注目していきたいと思います。
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