Grayscaleによる『分散型クラウドプラットフォーム』としてのカルダノの分析と評価
はじめに
カルダノは、マイルストーンとなるアロンゾハードフォークが成功しカルダノ・ネットワークにスマートコントラクトをもたらし、dApps(分散型アプリ)の開発が進めらている中、カルダノサミット2021では多くのパートナーシステムなど、多くの発表がなされました。今後は実際のカルダノエコシステムの発展など具体的な動きに注目が集まることになります。
参考記事:『一人一人にパワーを!カルダノサミット2021まとめ』
そんな中、IntoTheBlockのデータによると、2021年9月はADAの保有者数が243,000人、総額5千500億ADAを保有しており、新たなATHに達したと発表しました。また、現在の価格では、ADAを保有しているアドレスの70%以上が利益を得ていると伝えています。
また、2021年10月2日、Grayscaleは、Grayscale® Digital Large Cap Fund と Grayscale® DeFi Fund の四半期ごとにファンドのリバランスを発表し、今回のリバランスで、カルダノはポートフォリオの4.26%から5.11%となり、約1%増加となりました。
そして、10月5日にGrayscaleが発表したレポート『グレイスケール・ビルディング・ブロック|2021年9月』が発表され、現在のカルダノについてのGrayscale社の見解が詳細に述べられています。
今回はこのレポートでカルダノが現在どのように評価されているかについて詳しく迫って行きたいと思います。
Grayscaleとは?
まず、Grayscaleについて説明します。Grayscale Investmentsは2013年にDigital Currency Groupによって創業された暗号資産のアセットマネジメント企業です。
現在世界最大のデジタル通貨資産運用会社で、2021年7月1日時点で304億ドル以上の資産を運用しています。Grayscale社の投資商品を通じて、デジタル通貨を直接購入、保存、保管することなく、デジタル通貨資産クラスへのアクセスとエクスポージャーを提供しています。
親会社のDigital Currency Groupは、Barry Silbert氏によって創業された投資会社です。Digital Currency Groupは、下記の5つの事業を100%保有する親会社です。
Genesis:Genesis社は、世界中の投資家がデジタル資産ポートフォリオに必要とするサービスを提供しています。機関投資家、マーケットメーカー、その他の団体に、デジタル資産のOTC取引、機関投資家向け融資、カストディ、プライムブローカレッジサービスを提供しています。
Grayscale:Grayscale社は、世界最大のデジタル通貨資産運用会社。Grayscale Bitcoin Trust(ティッカー:GBTC)やDigital Large Cap Fundなど、14の投資商品をスポンサーしています。
CoinDesk:CoinDesk社は、ブロックチェーンに関するニュース、リサーチ、データを提供する独立系のリーディングカンパニーです。また、デジタルアセット業界の主要な年次イベントであるConsensusを主催しています。
Foundry:Foundry社は、デジタルアセットのマイニングとステーキングに特化した資金調達およびアドバイザリーを行う企業です。DCGの機関投資家としての専門知識、資本、市場情報を活用することで、Foundryは北米のビットコイン採掘業者や製造業者に、分散型ネットワークの維持・確保に必要なリソースを提供しています。
Luno:主要な市場および新興市場で運営されている主要なデジタル資産取引所およびウォレットであるLunoは、暗号通貨の購入、保管、学習を安全かつ簡単に行うことができます。
参照:公式サイトDigital Currency Group
Digital Currency Group創業者のBarry Silbert氏は2012年からビットコインに投資をした初期投資家です。Digital Currency Groupはブロックチエーン業界では、とても影響力ある企業として認知されており、最も大きな事業がGrayscale Investmentsです。
このGrayscale Investmentsが、今年(2021年7月2日)カルダノを同社の数十億の暗号ポートフォリオの一部に加えたことは、大きなニュースとなりました。
Grayscale社がこの時ツィートした内容によれば、同社の暗号ビジネスへの関与のルールでは、顧客が暗号市場のおよそ70%にさらされることになっているとし、これは、同社のポートフォリオが最高のデジタル資産を選び、増え続ける大口投資家のリストに提供している理由であるとを説明しています。
Grayscaleは他のファンドコンポーネントの一部を売却し、その収益をカルダノADAの購入に充てたことを明かしています。
そして、冒頭でお伝えしたように、2021年10月2日、Grayscaleは、Grayscale® Digital Large Cap Fund と Grayscale® DeFi Fund の四半期ごとにファンドのリバランスを発表し、今回のリバランスで、カルダノはポートフォリオの4.26%から5.11%となり、約1%の増加となっており、世界最大の暗号ポートフォリオの中で、ビットコイン、イーサリアムに次ぐ第3位の保有率で、カルダノの存在感はより増しています。
Grayscaleによるカルダノの分析レポート
そして、10月5日にGrayscaleが発表したレポート『グレイスケール・ビルディング・ブロック|2021年9月:『An Introduction to Cardano:カルダノの紹介』では、現在のカルダノについてのGrayscale社の見解が詳細に述べられています。
これについてすでに多くのメディアが伝えていますが、Cryptobriefing.comの記事『Cardano Undervalued Relative to Ethereum: Grayscale Report』によると”カルダノはイーサリアムに対して過小評価されている”とし、カルダノがその強化されたファンダメンタルズに基づいて、ビットコインやイーサリアムに対して相対的に割安である可能性を示唆したと伝えています。
またレポートでは、カルダノのオンチェーンの指標が過去12ヶ月間で力強さを増していることを指摘しており、市場で3番目に大きい暗号通貨は、使用率とユーザーの採用率の両方が大幅に上昇していると報告しています。
では実際に、『グレイスケール・ビルディング・ブロック|2021年9月:『An Introduction to Cardano:カルダノの紹介』の内容を詳しく見て行きましょう。
GrayscaleによるカルダノそしてADAの定義
レポートでは、最初にカルダノADAの紹介および定義として、まずカルダノは、”次世代のインターネットプラットフォーム(Web 3.0)であり、パブリックに取引されるブロックチェーンベースの暗号ネットワークとして構成されている”と説明しています。
そして”カルダノのオープンソースソフトウェアネットワークは、世界中の分散型コンピュータの集合体を、完全にユーザーが所有・運営する統一されたクラウドプラットフォームを設定するものであり、ADAトークンはそのエコシステムにおける所有権の一部を表している”と述べています。
このネットワークのネイティブトークンであるカルダノの暗号資産であるADAは、現在、(1)取引、(2)ステーキングによるシステムセキュリティの提供、(3)ネットワーク手数料の支払い、4)ユーザーの制御権の付与などに利用されているとしています。
2021年9月23日時点でのサマリーとして、下記の表では、カルダノの市場区分について『デジタル通貨決済、分散型クラウドプラットフォーム、分散型自律組織』としています。
分散型クラウドプラットフォームとしてのカルダノの可能性
カルダノは、第3世代のブロックチェーンであり、これまで世界の金融プラットフォームとして表現されることが多かったのですが、この報告書では『分散型クラウドプラットフォーム』という言葉で定義されている部分も興味深いところです。
Grayscaleは、カルダノがGoguenのスマートコントラクト実装したことにより、カルダノ・ネットワークは、分散型クラウドネットワークの上に構築されたWeb 3.0アプリケーションを可能にしたことで、”そのようなネットワークの一つであるカルダノは、インターネットネイティブなグローバルクラウドエコノミーの実現を目指すWeb 3.0の暗号ネットワークである”と述べています。
Grayscaleは、2021年現在、クラウドコンピューティング市場の規模は、年間売上高が3,300億ドル以上と見積もっており、時価総額が2兆ドル以上と推定しており、AWS、Google Cloud、Microsoft Azure、Alibaba Cloud、Tencent Cloudなど、複数のWeb 2.0クラウドプロバイダーが成功を収めている大規模かつ急速に成長しているビジネス機会であると説明しています。
クラウドビジネスが成長を続ける一方で、暗号ネットワークは、分散型クラウドネットワークの上に構築されたWeb 3.0アプリケーション(dApps;分散型アプリ)を可能にすることで、破壊的なコンピューティングプラットフォームの次の波として浮上しているとGrayscaleは捉えています。
そして”次世代の『暗号クラウド・プラットフォーム市場』は、現在のクラウドコンピューティング市場と同様の道をたどる可能性があり、カルダノが唯一の勝者とならなくても成功を収めることができるかもしれない”と述べています。
また、”もしカルダノが目標を達成できれば、その機能とネットワークの大規模なユーザーコミュニティによって、エコシステムは、急速に成長する暗号クラウド・プラットフォーム市場で重要なシェアを獲得できるかもしれない”と報告しています。
Grayscaleが見るカルダノの現在地
では、Grayscaleは、カルダノの現在地をどのように見ているでしょうか?
現在カルダノエコシステムでは、開発者がカルダノネットワーク上でdApps(分散型アプリ)を構築中であるとし、この技術がすぐにどのように機能するかについては疑問が残っているとしながらも、dAppの機能により、カルダノは最終的に、分散型金融(DeFi)、Non-Fungible Tokens(NFT)、その他のWeb 3.0のユースケースを含む、より広範な最新の暗号クラウド市場セグメントで競争できるようになるはずだと述べています。
また、カルダノが開発を進めているロードマップ(*)のフェーズの一つであるBashoプロジェクトによるスケーリング・ソリューションである『Hydraレイヤー2ソリューション』がスケーリングと、相互運用性、ストレージ機能を拡張し、カルダノの『クラウドビジネス』を将来的により実現可能にするという意味も含まれるでしょう。
参考記事『ビットコインとイーサリアムの比較で見るHydraレイヤー2ソリューション』
(*)カルダノの開発プロセスは下記の五つのフェーズ(ロードマップ)に分けられており、Grayscaleは次のようにその進行状況を報告しています。
BYRON:基礎的なもの(完了)。フェーズ1では、カルダノのネットワークを構築し、ユーザーがADAの暗号通貨を売買できるようにすることに注力した。
SHELLEY :非中央集権化(完了)。フェーズ2では、Ouroboros PoSの実装、ステークデリゲーションシステムとADAステークプールの構築、コンセンサスに参加したユーザーに報酬を与えるなど、Cardanoプロトコルの分散化に注力した。
Goguen:スマートコントラクト(進行中)。フェーズ3では、Cardano上でトークン化された資産を発行する機能を提供し、基本的なスマートコントラクト機能を実装していますが、様々なdAppsを実現するために改良を重ねています。
Basho:スケーリング(開発中)。フェーズ4では、サイドチェーン、シャーディング、パラレルアカウンティングスタイル(UTXOとアカウントベース)の導入により、Cardanoのスケーラビリティと相互運用性の向上に注力しています。
Voltaire:ガバナンス(開発中)。フェーズ5では、ユーザーのADAステークに基づいた投票や財務管理システムを実装することで、カルダノを完全にコミュニティが統治する分散型自律組織(DAO)にすることに注力しています。
カルダノのトレードオフ
また、報告書では、カルダノは「最初から正しく」というアプローチを強調することで、他のブロックチェーンとの差別化を目指しており、カルダノは、学術研究、ピアレビュー、正式に検証されたセキュリティに大きく依存した開発モデルを利用することで達成できると説明。これはチャールズホスキンソン氏の開発における信念でもあり、カルダノの開発セオリーであり、アイデンティティとも言うべきものでもあります。
カルダノの創設者であるチャールズ・ホスキンソン氏は以前自身の動画で、カルダノを開発するにあたり、徹底的にビットコインとイーサリアムを研究し、その特質と限界について多くの研究を行ってからカルダノを開発したと述べているとおり、カルダノは100本以上の査読された論文、プロトコルの基盤からデザインして開発したことで、実際にビットコインとイーサリアムの良いところを引き継ぎつつ、限界と問題を解決したプロジェクトです。
参考記事『カルダノをブロックチェーンのマイルストーンへ導くIOGの哲学と研究開発力』
そしてカルダノのアプローチのトレードオフは、カルダノの最大の弱点にもなっているとし、報告書ではその弱点について次のように述べています。
スマートコントラクト機能の歴史的な欠如、dAppsの機能がどの程度のものか実証されていないこと、サードパーティの開発者のエコシステムがまだ成熟していないこと、メインネットのdAppsが普及していないこと、取引手数料が低いことなどです。
とはいえ、報告書では、カルダノは時価総額で第3位の暗号ネットワークになることができ、大規模なdAppのロールアウトには時間がかかるかもしれないが、スマートコントラクトは現在、カルダノのメインネット上でテストされており、いくつかのアプリケーションのユースケースでプロジェクトの初期のエコシステムが生まれていると述べており、下記のように様々な数字をあげてカルダノの過小評価されているかもしれない点について詳しい分析をしています。
それでは実際に見て行きましょう。
過去12ヶ月間におけるカルダノネットワークの決済額(LTM)
『同ネットワークは、カルダノのコアPoSプロトコルのメインネット版が稼働して以来、前年に1.6兆ドルを超えるオンチェーン取引総額の決済に成功している。』
Grayscaleは報告書で、カルダノネットワークは、過去12ヶ月間(LTM)で、1.6兆ドル以上のオンチェーン取引額の決済に成功したと伝えています。この決済額はメインネット版のOuroboros PoSメインネトが2020年7月のShelleyのアップグレードで稼働した後に発生したものです。この指標はネットワークの安全性を示す重要な指標であると考える人は多いとGrayscaleは述べています。
そして、カルダノのLTM決済額(1.6兆円)は、イーサリアム(2.8兆円)よりも40%、ビットコイン(3.1兆円)よりも50%低いが、カルダノの時価総額もはるかに低いものとなっているとし、カルダノの時価総額(750億ドル)は、イーサリアム(4000億ドル)よりも80%、ビットコイン(8800億ドル)よりも90%低いという報告しています。
さらに、これはカルダノが時価総額の単位あたりにより多くのLTM支払額を決済しているか、またはその時価総額がLTM支払額に対して最も安いことを意味していると述べています。
これは、カルダノのオンチェーンの指標が過去12ヶ月間で力強さを増しており、使用率とユーザーの採用率の両方が大幅に上昇していることを意味しています。
ネットワーク上でステークプールに支払われる手数料収入
『ネットワークのコンピューティングインフラのセキュリティを支えるADAホルダーに支払われる手数料収入は急増を続けており、昨年1年間で約65倍、月次換算で約5600万ドル(2021/9/11)時点では170万ドル)に達しています。』
次に報告書は、ユーザーが保有するADA建ての利息や利回りを得ることができるステーキングは、ADAトークンのもう一つの重要なバリュードライバーとして機能していることを説明しています。
トークンをステークすることでネットワークユーザーから手数料収入を得ることができるADAは、生産性の高い資本資産であり、デジタルトークンの基本的な価値モデルを支える1つの特徴となっていると述べています。
また、ネットワークの利用と導入が進むにつれ、ネットワーク上でステークプールに支払われる手数料収入は急速に増加し続けており、過去1年間で約65倍となり、2021年9月の月次換算額は約5600万ドル(9/11/21時点では170万ドル)に達していると報告しています。
デジタルアセットの取引
『ネットワークでは現在、1日あたり115,000件以上の取引が処理されており、2021年の初めから13倍に増加している』
Grayscaleによると、ネットワークでは現在、1日あたり115,000件以上の取引が処理されており、2021年の開始時から13倍に増加していると報告しています。
トランザクションの増加の一部は、ユーザーがカルダノネットワーク上でデジタル資産を発行して取引できる機能が最近追加されたことに関連しています。これらの資産は、トークン化された実世界の資産、Non-Fungible Tokens(NFT)のようなデジタルアート、またはその他のデジタルトークンを表すことができると説明しています。
また、カルダノのアプローチの特徴は、他のプロトコルでは一度に1つのデジタル資産しか送れないのに対し、ユーザーは同じトランザクション内で複数のネイティブ資産タイプを送れることだと述べ、これは、取引手数料の節約につながるため、追加のユーザーがネットワークに参加する動機付けとなる可能性があるとしています。
参考記事:
『カルダノのBabel手数料の仕組みで、ユーザーが取引手数料をネイティブトークンで支払えるようになる』
『カルダノは「バベルフィー」設立後、ステーブルコインレースをリード』
『Maryハードフォークでやって来る”ネイティブマルチアセット”のインパクト』
スマートコントラクトとdApps
Grayscaleは、カルダノは最近、スマートコントラクト機能を導入し、ネットワークを開発者が分散型アプリケーション(dApps)を作成するための汎用的な暗号クラウド・プラットフォームになったと述べています。
そして、メインネット上でのdAppsの展開はまだ初期段階にあり、技術的な機能性はまだ進化していますが、カルダノはDeFiとWeb 3.0のdAppプロジェクトの初期のエコシステムを確立しており、様々なユースケースでdAppsをテストしているとしています。
DeFiのユースケースには、次のようなものがあるとしています。
自動マーケットメーカー
貸し借り
合成資産
保険
支払い
初期の分散型取引所提供プラットフォーム
など
また、Web 3.0のユースケースには、オフチェーン・データ・オラクル、ブロックチェーン・データのインデックス作成と検索、NFTなどがあると説明しています。
大規模なアクティブユーザーベース
『ネットワークの月間アクティブユーザー数は280万人に達し、2021年の開始時点から7.3倍に増加』
報告書では、カルダノは、大規模かつ急速に成長しているユーザーコミュニティを構築することができたとし、アクティブアドレスを代理で測定すると、カルダノは現在、約280万人の月間アクティブユーザー(MAU)を抱えていると報告しています。
また、現在イーサリアムのMAUは約700万人で、カルダノの2.5倍ですすが、7月以降、カルダノのアクティブアドレスは増加しており、イーサリアムのアクティブアドレスは減少している報告。最近のカルダノの価格変動とイーサリアムの高いガス料金がこの傾向を部分的に説明していると伝えています。
さらに報告書では、月間アクティブユーザーあたりの評価額(時価総額/月間アクティブアドレス)は、カルダノが約30,000ドル、イーサリアムが約55,000ドルであり、相対的なユーザー価値のファンダメンタルズに基づくと、カルダノの方が最大の同業者よりも安価であることを示唆している可能性があるとし、次のように伝えています。
相対的に見ると、カルダノのユーザー数はイーサリアムよりも少ないものの、2つのネットワークの月間アクティブユーザー1人あたりの平均価値(アクティブアドレスあたりの時価総額)は、これまで一緒に推移していたが、最近は乖離しています。
『グレイスケール・ビルディング・ブロック|2021年9月
イーサリアムのユーザー1人当たりの価値は~5万5,000ドルであるのに対し、カルダノは~3万ドルです。これは、この特定の指標に基づいて、カルダノが最大の比較対象となる暗号ネットワークであるイーサリアムに対して相対的に評価が低いことを意味しているのかもしれません(ただし、市場は他の指標も重要だと考えているかもしれない)。
『An Introduction to Cardano:カルダノの紹介』
コミュニティガバナンスとDAOの資金調達
『カルダノのトレジャリー資金は現在、約5億8500万ADA(現在の価格で16億ドル相当)を保有』
報告書では、カルダノは、将来のプロトコル開発に資金を提供するためのトレジャリーシステムを持っていると伝えています。そして、このトレジャリー(国庫)は現在、約5億8500万ADA(現在の価格で16億ドル相当)を保有しており、カルダノの成長を加速させるために割り当てることができる充実した資金となっていると報告しています。現在、トレジャリーはカルダノ財団によって管理されているが、プロジェクトのロードマップでは、Voltaireネットワークのアップグレード後、トレジャリーの決定権をコミュニティに渡し、カルダノを完全に自己管理可能な分散型自律組織(DAO)にすることが計画されていると伝えています。
カルダノの進化に与える影響
報告書は、将来は不確かであるが、スマートコントラクトとdAppの機能の展開に続くカルダノの進化に影響を与えるいくつかの要因とそれによる進化の可能性について、次のことが各時間軸で考えられるとしています。
- 短期的なもの:新しいdApp、NFT、その他のトークンがカルダノネットワーク上でローンチされた場合、ADAホルダーは自分のアロケーションの一部をこれらの新しいアセットにシフトする可能性がある
- 短期から中期:dAppsやその他の新しいユースケースが新規ユーザーを惹きつけ、ネットワークの使用量を増加させ、カルダノの指標を向上させた場合、これらの要因は、既存および外部の投資家によるADAへのファンダメンタル・バリュー・ローテーションをサポートする可能性があります。
- 中・長期的:カルダノは、市場サイクルの中で、ネットワーク固有のファンダメンタルな開発とは無関係に、ビットコインや他のリスクオン資産に対する高ベータのプレイとして機能する可能性があります。
- 長期的: カルダノが長期的に成功するかどうかは、コミュニティがユーザーにとって魅力的なクラウドスーパーアプリプラットフォームとdAppエコシステムを構築できるかどうかにかかっている。
利点
次にカルダノを選ぶ利点ついて、次のカルダノが持つ独自性に注目しています。ように述べています。
カルダノは、コンセンサス・メカニズムをはじめとする独自の技術を持っているが、これまでに発表されたプロジェクトの多くは、他のネットワークに見られる機能を集めたものであるとし、製品以外の要因が成功への差別化の鍵となることも多いので、カルダノの場合は、以下のような競争力があると報告書は伝えています。
- 創業者:チャールズ・ホスキンソン(Charles Hoskinson)氏は、カルダノの将来について説得力のあるビジョンを提示し、それを支持するユーザーが増えたことで、忠実なコミュニティにとって象徴的な創設者となりました。
- コミュニティ:これは、企業が多くの顧客を持つことや、国が多くの生産人口を持つことに似ており、オープンソースプロジェクトの成功には欠かせません。
- 非中央集権:カルダノのソフトウェアプロトコルのコードベースは完全にオープンソースであり、コアネットワークのコンセンサス機能はShellyのアップグレードで数千人の参加者に分散され、ADAトークンは世界中で数百万人のホルダーに所有されている。
- アクセス性:Cardanoはほとんどの主要な暗号化取引所に上場しており、ADAは広くアクセス可能で、他のコインに比べて流動性が高く、支払いに適した手段となっています。
- 資金調達:カルダノは現在、開発に使える16億ドルの資金を保有しており、これはエコシステムを成長させる上で強力な強みとなります。
潜在的リスク
そして、カルダノの潜在的リスクについては、ネットワーク特有のリスク、暗号業界の競合他社のリスク、外部要因のリスクなど、様々な潜在的リスクに直面しているとし、次のように報告しています。
- 競合ネットワーク:カルダノは、以下のようなスマートコンタクト機能を持つ他のレイヤー1ベースのブロックチェーンとの強い競争に直面しています。Ehereum、Solana、Internet Computer Protocol、Avalanche、その他
- メインネットアプリケーションの欠如:基本的なスマートコントラクト機能は追加されているものの、dAppsがどのように機能するか、開発者の関心やユーザーの採用がどのように展開するかは、まだ見えていません。
- ネットワークの経済性と評価:カルダノのネットワーク手数料収入は、Ethereum 2.0のような他のPoSブロックチェーンに比べて、まだ相対的に低い。ネットワークが新しいアプリケーションや利用者の増加によって手数料を増やすことができない限り、ADAの評価はキャッシュフローの効用を示すだけでは支持されない可能性があります。
- 法的・規制的な不確実性:カルダノは、様々な規制当局からの監視を受ける可能性があります。規制当局はこれまで、ビットコインとイーサリアムを有価証券に分類されない資産としてしか認識していないことが多いです。
- ネットワークセキュリティ:カルダノは、PoSコンセンサスやその他のプロトコル機能に関連して、バグやその他の技術的問題、不適切に設計された経済的インセンティブに直面する可能性があり、その結果、正式に検証されているにもかかわらず、ネットワークが安全でなくなる可能性があります。
報告書のまとめ
今回のGrayscaleの報告書では、暗号ネットワークは、ウェブの次の時代とクラウドの次の波のためのプラットフォームであることを強調した上で、カルダノは、暗号クラウド・プラットフォーム市場をターゲットにしていると結論づけています。
その上で、カルダノは、その技術実装のいくつかに独自のアプローチをとっているが、ネットワークの完全な設計ビジョンの側面もまだ本番ではないと述べてます。スマートコントラクトは、カルダノが探求している主要な技術的特徴であり、これが成功すれば、ネットワークはより広範なdAppユースケースで競争できるようになるはずと述べています。
そして、カルダノは、大規模なユーザーアクティブ分散型基盤を獲得することができ、それがネットワークの急速な成長につながっているとし、カルダノがその技術ビジョンを実現できれば、ネットワークの実用性、採用、利用、成長が高まる可能性があると報告書は締め括っています。
今回の『グレイスケール・ビルディング・ブロック|2021年9月『An Introduction to Cardano:カルダノの紹介』は、A4で22ページにも及ぶもので、現時点でのカルダノについて、ここまで公平で冷静な分析を示していることに新鮮な驚きがあり、流石大企業だけあるなと言うのが正直な感想です。
また、Grayscaleの創設者が、ビットコインの初期投資家であり、ビットコイン長者であることは、これまでのカルダノに対する誤解や偏見、FUDなどの流れを吹き飛ばすような、長期的な影響があると思われます。
そして、今後のブロックチェーン業界におけるカルダノの評価と地位はさらに大きなものになっていくと思われ、この報告書の影響はカルダノにとって大きなプラスになったと思われます。
現在カルダノエコシステムの水面下では多くの開発プロジェクトが動いており、具体的なDAppsのdemoも動き出しているようです。まさにカルダノの躍進はこれからが本番といったところでしょう。
最後に現在進行中のプロジェクトを含んだカルダノエコシステムの図をご紹介しておきます。
もしこの記事が気に入っていただけましたら、SIPO、SIPO2、SIPO3への委任をどうぞよろしくお願いいたします!10ADA以上の少量からでもステーキングが可能です。
ステーキングについて知りたい方は、下記の記事をご参考ください。
ステーキング(委任)とは?
カルダノ分散型台帳システムによるステーキングの魅力とその方法:2021版
Q&A:カルダノ、ステーキングに関する基本的な説明集
ダイダロスマニュアル
ヨロイウォレット Chromeブラウザ機能拡張版マニュアル
ソース
『Grayscale® Digital Large Cap Fund and Grayscale® DeFi Fund Announce Quarterly Rebalancing of Funds』
Grayscale Building Blocks | September 2021『An Introduction to Cardano』
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