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Cardano 2.0への布石『研究から実装へ、進化の最前線レポート──Leios、ZK、リステーキング、ライトクライアント』:ニュース動向 & ステーキング状況 in エポック582

Cardano 2.0への布石研究から実装へ、進化の最前線レポート──Leios、ZK、リステーキング、ライトクライアント

イントロダクション

カルダノは今、大きな転換点に差しかかっています。

これまでの堅実な基盤づくりを経て、いよいよ「Cardano 2.0」とも呼べる次の進化段階に向けて動き始めているのです。

その進展は、IOG(Input Output Global)の公式ブログでの技術解説や、チャールズ・ホスキンソン氏が語るAMA(Ask Me Anything)、そして毎月開催されているR&Dセッションの議論など、複数の場で断片的に発表されています。

それぞれ単体でも興味深い内容ですが、点として聞いているだけではなかなか「カルダノ全体がどこへ向かっているのか」が見えにくい部分があります。そこで今回の記事では、これらを横断的にまとめ、Leiosによるスケーラビリティ革命、ZK(ゼロ知識証明)技術の導入、リステーキングによる新しいセキュリティモデル、さらにはCavefishに代表されるライトクライアント基盤の開発など、Cardano 2.0の姿を形づくる最新の動向を整理してお届けします。

コミュニティの皆さんにとっても、「これから数年のカルダノがどんな未来を描こうとしているのか」をイメージするきっかけになれば幸いです。


第1部:IOGの研究開発ビジョン

カルダノの進化を語る上で外せないのが、IOGが掲げる研究開発のビジョンです。

IOGは創設以来「エビデンスに基づいたエンジニアリング(evidence-based engineering)」を軸に、数学的な証明や形式手法を活用して、セキュリティと信頼性を第一に設計を進めてきました。これは単なる学術的なアプローチではなく、「社会インフラとして長く動き続けるブロックチェーンをつくる」ための実践的な姿勢といえます。

アイデアから実装へ──NASA発のフレームワークを応用

面白いのは、IOGのR&D部門が研究成果を現実に落とし込むために「SRL(Software Readiness Levels)」というフレームワークを採用している点です。これはもともとNASAが宇宙開発で使っていた「TRL(Technology Readiness Levels)」をソフトウェア向けに応用したもので、理論段階からプロトタイプ、そして実用システムへと成熟度を段階的に引き上げていくプロセスを明確に管理します。

この仕組みによって、「論文としては素晴らしいけれど実装は難しい」というギャップを減らし、研究成果をプロダクトに繋げやすくしているのです。例えばLeiosの開発でも、オープンリポジトリや毎月の進捗公開といった「Build in Public」の姿勢が強調されており、コミュニティがプロセスを追えるようになっています。

9つの重点領域と34の研究ストリーム

さらにIOGは2030年に向けた5年間の研究ビジョンを定め、9つの重点分野と34の研究ストリームを設定しています。Ouroborosやスマートコントラクトはもちろん、トークノミクス、分散型ID、ゼロ知識証明、ポスト量子暗号まで、幅広い領域がカバーされています。こうした広がりがあるからこそ、カルダノは「金融アプリケーション」だけにとどまらず、社会全体を支えるインフラへ進化できるのです。

コミュニティとともに進む研究

そして見逃せないのが、コミュニティとの協働です。IOGはIntersectと連携して、毎月第1火曜日に「Cardano R&Dセッション」を開催しています。ここでは最新の研究成果やプロトタイプが共有され、コミュニティからのフィードバックも反映される仕組みになっています。研究が「閉じられた世界」で進むのではなく、オープンな対話と検証を通じて進化している点がカルダノらしさといえるでしょう。


第2部:最新R&Dセッション(2025年8月)のハイライト

2025年8月に行われた「Cardano R&Dセッション」では、IOGのイノベーションチームが進行中の技術検証プロジェクトを一挙に紹介しました。普段は論文やCIP提案の断片としてしか見えない研究が、ここでは「どの課題にどう挑んでいるのか」という形でまとまって示され、カルダノがどこへ向かうのかを理解する大きなヒントになっています。

ここでは特に注目すべき6つのワークストリームを見ていきましょう。

1. Anti-Grinding対策

まず紹介されたのが、Ouroboros Praosにおける「Anti-Grinding攻撃」への対策です。

攻撃者がナンス生成を操作して有利な乱数を選び取るリスクを減らすため、計算コストを10倍以上引き上げる仕組みを導入。結果としてセキュリティが強化されるだけでなく、ブロック確定時間を20〜30%短縮できる見込みが示されました。すでにプロトタイプとCIPが公開されており、実装段階に進んでいます。

2. Joltion Liveness

次に取り上げられたのは、パートナーチェーン向けコンセンサス「Joltion」のLiveness(生存性)証明です。

すでに安全性の機械化証明は完了しており、現在は「どんな状況でも最終的に合意に到達できるか」を形式的に証明する研究が進行中です。これにより、極端なネットワーク条件下でもチェーンの崩壊を防げるようになります。

3. Snarks / Halo2検証

Halo2を活用したゼロ知識証明のオンチェーン検証は、今回のセッションでも大きな注目を集めました。

PlutusでHalo2証明を検証できるPoCが完成し、実際にメインネットでATMS署名の検証デモまで実施済みです。さらに、オンチェーン処理で最も重い「MSM演算」をネイティブ命令として組み込むCIPが承認され、Plutusへの実装が進んでいます。これにより、ZKブリッジやプライバシー保護型DAppの実現に一気に近づいてきました。

4. Proof of Restake / Minotaur

新しいコンセンサス「Minotaur」も大きな話題です。

これは、新規PoSチェーンが立ち上げ時に直面する「コールドスタート問題」を解決する仕組みで、既存チェーン(CardanoやEthereum)の資産を“バーチャルステーク”として活用し、セキュリティを借りることができます。これにより、初期段階から安全にチェーンを稼働できると同時に、リステーキングによる追加報酬の仕組みも導入可能です。現在は理論研究の進展待ちで一時停止中ですが、方向性としては極めて革新的です。

5. Cavefish(ライトクライアント基盤)

「Cavefish」と呼ばれる新プロトコルは、ライトクライアントの新しい形を提示しています。

ユーザーがフル同期をしなくてもトランザクションを構築できる仕組みで、モバイルやIoTなどリソースの限られた環境でも効率的に利用できるのが特徴です。ゼロ知識証明と新しい署名方式を組み合わせ、通信効率とプライバシーを両立するアプローチは、軽量ノードの概念を大きく前進させる可能性を秘めています。

6. Committee Proofs(新規提案)

最後に紹介されたのが、パートナーチェーンとのクロスチェーンブリッジを信頼最小化で実現する「Committee Proofs」です。

委員会の交代を「信頼の鎖」で証明し、さらにSnarksを使って署名を集約することで、大規模な委員会でも効率的に検証できる仕組みを目指しています。これはカルダノの相互運用性を飛躍的に高める布石になるでしょう。


このように、今回のR&Dセッションは「安全性・スケーラビリティ・相互運用性」を一気に底上げするプロジェクトが目白押しでした。特にSnarksとMinotaur、Cavefishは、次世代カルダノの実用性を左右する重要なピースといえます。


第3部:IOGブログに見る技術進展

R&Dセッションと並んで、公式ブログもカルダノの未来を知る大切な情報源です。2025年8月に公開された記事「From idea to implementation」では、最新の研究成果がいかに実装段階へと進んでいるのかが紹介されました 。ここでは特に注目すべきトピックをいくつか取り上げます。

Ouroboros Peras & Leios──即時ファイナリティとスケーラビリティ革命

まずはカルダノの根幹を担うコンセンサスアルゴリズムから。

Ouroboros Peras は、ナカモト型コンセンサスにBFT投票を組み合わせ、即時に近いファイナリティを実現する設計です。従来よりも高速で安全にトランザクションを確定でき、最大50%の敵対的ステークにも耐性を持つ点が大きな強みです。

一方、Ouroboros Leios はスケーラビリティにフォーカスしています。Input/Endorsement/Rankingという3層並行ブロック構造を導入し、スループットを大幅に改善する見込みです。すでにCIP提案が準備されており、今後のCardano 2.0に直結する重要な技術といえます。

Cardinalプロトコル──BTCとADAをつなぐブリッジ

次に注目なのが Cardinal。これはビットコインとカルダノを信頼最小化の仕組みで接続するブリッジです。

OrdinalsのようなBTC UTXOをCardano上で安全にラップし、バーンすれば1:1で元に戻せる設計になっています。BitVMXやMuSig2といった技術を組み合わせ、将来的には完全な信頼レス・ブリッジを目指しています。BTCとADAの接続は、カルダノにとって大きな流動性と新しいユースケースをもたらす布石です。

CIP-0118──ネストトランザクションとBabel Fees

開発者体験を改善する提案として話題なのが CIP-0118 です。

部分的に未完成のサブトランザクションを含んだ取引を送信し、後から他者が完成させる仕組みによって、ADAを保有していなくても送金が可能になります。これはBabel Fees(他トークンでの手数料支払い)やインテントベースのアプリケーションを支える基盤となり、UXの大幅な向上につながります。

Ouroboros Phalanx──グラインディング攻撃への解答

もうひとつの注目提案が Ouroboros Phalanx

これはVDF(検証可能遅延関数)を導入し、リーダー選出のランダム性を強固に守る仕組みです。敵対者によるバイアスを困難にし、公平性とセキュリティをさらに高めることを狙っています。

「ファランクス(Phalanx)」はギリシャ語に由来する用語で、盾を組み合わせて戦う戦術を指す言葉であり、「グラインディング攻撃に対抗する堅固な防御」という意味合いで使われています。

Jolteon──形式検証されたBFTプロトコル

Jolteon はパートナーチェーン向けのBFTコンセンサスで、形式手法を用いた厳密な検証が進められています。ライブネス証明や分割意味論の整合性確認など、学術的にもしっかり裏打ちされたプロトコルであり、信頼性が高い運用を支えることが期待されています。

Plutus-Halo2──ゼロ知識証明をオンチェーンへ

そして忘れてはならないのが Plutus-Halo2 です。

Rustで記述されたHalo2回路をPlutusスクリプトに変換する仕組みを通じて、オンチェーンでのZK証明検証が可能になりました。これはDeFiやDAppにおけるプライバシーとスケーラビリティを大きく押し上げる技術で、実際にプロトタイプがプレプロダクションネットワークで動作確認済みです。

リステーキング・フレームワーク──パートナーチェーンとのセキュリティ共有

最後に触れておきたいのが、リステーキング・フレームワーク です。

既存のADAステークとSPOインフラを活用し、MidnightのようなパートナーチェーンがCardanoのセキュリティを共有できる仕組みが提案されています。追加の担保や流動性プールを必要とせず、スラッシングやクロスチェーン統合も視野に入れた柔軟なモデルです。これは、Cardanoを中心とするマルチチェーン・エコシステムの基盤になる可能性を秘めています。


このようにIOGブログの内容を整理すると、カルダノが進めている研究が「点」ではなく「線」として繋がり、Cardano 2.0の全体像が見えてきます。即時ファイナリティ、スケーラビリティ、ZKプライバシー、クロスチェーン、そしてリステーキング──どれもが次の時代のインフラを形作る要素になっています。


第4部:ホスキンソン氏AMAから見るビジョン

R&Dセッションやブログが「技術的な断面」を示すとすれば、チャールズ・ホスキンソン氏のAMAは「カルダノというプロジェクト全体の未来像」を示す場といえます。2025年8月のAMAでは、技術、ガバナンス、そして社会的な応用まで幅広く語られ、まさに「次なるカルダノ2.0のビジョン」を垣間見る内容でした 。

Leios実装への全力投球

ホスキンソン氏が特に強調したのは、Leiosプロトコルの実装です。

スループットを30〜65倍に拡大できる革新的な設計であり、カルダノの将来に不可欠な中核アップデートと位置づけられています。IOGは「Follow-the-Sunモデル」と呼ばれる24時間体制の開発を導入し、複数の大陸のチームが昼夜問わず作業を進めています 。

レイテンシは従来の20秒から40〜60秒程度に増加するものの、HydraやParis(高速ファイナリティ)と組み合わせれば緩和可能とのこと。さらに、失敗時に旧プロトコル(Prowse)へ自動フォールバックできる設計も導入されており、堅牢性を維持しつつ大胆なスケーリングを実現する姿勢が見えます。

Midnightとパートナーチェーンの戦略的役割

Midnightのエアドロップ「Glacier Drop」は、既に数十万件規模の請求が行われ、他チェーン(BTC・ETH・XRP)から新規ユーザーを呼び込むきっかけになっています。ホスキンソン氏は「Midnightを支援する唯一の方法はCardanoを支援することだ」と強調し、Midnightとカルダノが不可分の関係にあることを明言しました 。

また、パートナーチェーン構想は単なる実験ではなく、新しい経済モデルの実証と位置づけられています。SPOに複数の収益源を与え、持続可能なステーキングを可能にする点は、エコシステムの健全性を大きく引き上げる要素といえるでしょう 。

ガバナンスとIntersectの正統性

AMAではCardano Foundation(CF)への厳しい批判も展開されました。

600M ADAもの資金を持ちながら主要統合に貢献していない現状や、理事が選挙で選ばれない非民主的構造を指摘し、「Intersectこそ本来あるべきコミュニティ主導のモデルだ」と語りました 。

Intersectでは今年末までに理事の過半数がコミュニティ選出となる予定で、オンチェーン・ガバナンスの実装も着実に進行中です。これは「Cardano 2.0」が単なる技術進化ではなく、ガバナンスの進化でもあることを示しています。

クライアント多様性とCardano 2.0構想

もう一つの焦点は「クライアント多様性」です。

ホスキンソン氏は、Haskellノード一強ではなくRustやGoなど複数の実装が存在することが分散化の土台だと強調しました。ただし、Leiosのような大型アップデートに代替ノードが追いつけないリスクも指摘し、「追加資金で支援するか、導入を遅らせるか」という現実的な選択肢に直面していると説明しました 。

これは「Cardano 2.0」を全体として前進させる上で避けて通れないテーマであり、今後のエコシステム内での合意形成が重要になります。

科学・医療・哲学まで広がる未来像

興味深いのは、ホスキンソン氏がカルダノを単なる金融インフラではなく、「人類の再設計基盤」として語っている点です。

幹細胞治療DAOや患者主導型データ主権、ゼロ知識証明による医療プライバシーの保護など、科学と自由を融合させた新しい社会モデルを構想しています。さらに「意識は宇宙そのものに宿る可能性がある」といった哲学的な視点まで語られ、カルダノを次の文明インフラとして位置づけるビジョンが提示されました 。


こうして整理すると、AMAで示された方向性は「Cardano 2.0」を技術・ガバナンス・社会応用の三位一体で前進させるというものです。単なるプロトコルのアップデートに留まらず、「文明を支えるOS」を目指していることが、ホスキンソン氏の発言から強く伝わってきます。


第5部:開発週報にみる現実の進展

ここまでブログやAMA、R&Dセッションから「ビジョン」と「研究の最前線」を見てきましたが、実際の開発現場ではどんな進展があるのでしょうか。

2025年9月12日付の開発週報を見ると、Cardano 2.0に向けた動きが着実に積み重なっていることが分かります。

エコシステム全体の数字
  • プロジェクト総数は 2,009件 と高水準を維持
  • 委任ウォレット数は 134万 に到達
  • トランザクション総数は 1億1,368万件 を突破
  • Plutusスクリプト数:14万2,485
  • Aikenスクリプト数:1万772

数値だけを見ても、カルダノが「静かに確実に」利用を伸ばしていることが伝わります。

注目ニュース
  • Yoroi Extension v5.13.0 リリース(Midnight請求UI、日本語改善)
  • Sundial Protocol がUSDMと提携し、BTC L2統合を模索
  • MuesliSwap が開発者向けOSSウォレット「DevX Cardano」を公開
  • Midnight がWebisoftと提携し、機関投資家向けダークプールを構築へ
  • Fluid Tokens v3 の監査レポート公開

研究やビジョンで語られていた要素が、こうした形で現実のサービスやプロダクトへと反映され始めているのが印象的です。

コア技術の進展
  • Dijkstra時代のガード機能(CIP-112)の実装が進行中
  • ステークプール表現やテストスイートの再構築
  • cardano-node v10.6 リリース準備完了

ノードの進化が地道に続いており、Leiosや次世代技術の統合に向けた土台が整えられている段階といえます。

スケーリング領域
  • MithrilチームがDMQプロトコルのCIP更新
  • SNARK証明回路のプロトタイプ設計を継続
  • DockerでのMithril/Cardanoバンドル化進行
  • Cardanoデータベース復元検証の強化

スケーラビリティ強化のためのMithrilやSNARK研究が「研究フェーズ」から「実装準備」へと着実に移行しています。

ガバナンス(Voltaire)
  • 初の「完全コミュニティ選出」の憲法委員会が発足!
  • Intersect理事選挙が開始、7人中4人がコミュニティ選出へ

オンチェーン・ガバナンスの本格始動という意味で、これは歴史的なマイルストーンです。技術だけでなく政治的プロセスも「Cardano 2.0」へ進んでいます。

Catalyst(資金調達)
  • Fund14レビュー工程が進行中(1,033件のレビューに172名のモデレーターが対応)
  • Digifarmの衛星画像×AI×NFTによる農業支援プロジェクトが紹介

Catalystも依然として活発で、実社会との接点を持つユースケースが増えている点が特徴的です。


こうした「週報に載る現実的な進展」を見ると、ビジョンや研究が決して机上の空論ではなく、日々の開発成果として確実に形になりつつあることが分かります。Cardano 2.0は単なる将来像ではなく、もう始まっているプロセスなのです。


第6部:カルダノ2.0の輪郭

ここまで、研究成果、AMAでのビジョン、週報の現実的な進展を見てきました。これらを総合すると、浮かび上がってくるのが「カルダノ2.0」と呼ぶにふさわしい次世代の全体像です。

Leios──スケーラビリティの中核

Leiosは、カルダノのスループットを30〜65倍に高めると期待されるプロトコルです。

単なるスピードアップではなく、HydraやParis(高速ファイナリティ)、Kronos(時刻同期)などと組み合わせて「柔軟かつ将来耐性のある基盤」として設計されています。これにより、利用が増えても安心して使える、長期的に持続可能なネットワークが形づくられていきます 。

ZK──プライバシーと相互運用の鍵

ゼロ知識証明(ZK)の導入は、Midnight zkブリッジやConfidential DeFi、プライベート投票など幅広い応用を可能にします。

Plutus-Halo2によるオンチェーン検証の実証や、MSM最適化のCIP採用によって、ZKはすでに「研究段階」から「実用化の準備段階」へと進んでいます 。プライバシーと透明性を両立するこの技術は、カルダノの競争力を大きく高める要素になるでしょう。

Minotaur(リステーキング)──セキュリティと経済モデルの革新

新しいチェーンが立ち上がるときの「コールドスタート問題」を解決するのがMinotaurです。

既存のCardanoやEthereumの資産を「バーチャルステーク」として活用できるため、初期から強固なセキュリティを実現できます。加えて、リステーキングによる追加報酬が導入されることで、SPOに複数の収益源が生まれ、エコシステム全体の持続可能性が向上します 。

Cavefish──ユーザー体験を変えるライトクライアント

モバイルやIoTのようなリソース制約環境でも、フル同期なしでトランザクションを構築できるのがCavefishです。

ゼロ知識証明や新しい署名方式を組み合わせ、通信効率とプライバシーを両立させています。ユーザーにとっては「もっと軽く、もっと簡単に」カルダノを使えるようになる大きな一歩といえるでしょう 。

技術・ガバナンス・社会応用の三位一体

カルダノ2.0の特徴は、単に技術面での進化にとどまらないことです。

  • 技術:Leios、ZK、リステーキング、ライトクライアント
  • ガバナンス:Intersectの民主的体制、オンチェーン投票、憲法委員会
  • 社会応用:分散型医療、DAO治験、アイデンティティ管理

これらが有機的に結びつき、カルダノは「金融L1」を超えて「文明のOS」としての姿を帯びつつあります 。


第7部:唯一無二のカルダノの未来へ

2025年9月14日、Cardanoの創設者チャールズ・ホスキンソン氏が、自身のYouTube配信でコミュニティの外部から寄せられるネガティブな評価に対して想いを語りました。きっかけは、Redditに投稿された一つの嘆きの声でした。

Redditの孤独な声から始まった対話は、むしろカルダノの強さを改めて浮き彫りにしました。

多くのチェーンが流行を追い、VCや中央集権的な仕組みに飲み込まれていく中で、カルダノだけは一貫して「分散化と強靭性」という原則を守り抜いてきたからです。

拡張UTXOモデル、ノンカストディアルなステーキング、ハードフォーク・コンビネーター、オンチェーン憲法や財務──どれもが「最初から正しいやり方」にこだわり続けた証です。そして今、LeiosやHydra第2世代、ZK技術、パートナーチェーンの拡大を通じて、「事実上の無限スケール」と「真の自律進化」を同時に手にしようとしています。

この道は簡単ではありません。むしろ孤独で、時に誤解され、嘲笑されることもあります。ですが、その孤独こそが「未来を切り拓く者の宿命」です。カルダノは10年をかけて、その正しさを一度も裏切ることなく証明し続けてきました。そしてこれからも、その歩みを止めることはありません。

これから私たちが向き合うのは、すでに閉じた心を変えることではなく、まだ暗号資産に触れていない95%の人々にカルダノを届けることです。

Hydraを使った自販機やATM、Midnightによる合理的なプライバシー、パートナーチェーンによる多様なユースケース──日常に溶け込み、誰にとっても「最初の暗号資産」となれる道がすでに見えています。

Cardanoは決して一過性のブームに終わることはありません。

それは 理念に根ざした唯一無二の存在 だからです。

次の数年で何万という起業家と何億もの人々がこのエコシステムに加わり、世界の経済・政治・社会の現実を変えていくでしょう。

そして私たちは胸を張ってこう言えるはずです。

「Cardanoは原則を貫いたからこそ、ここまで来られた」と。

カルダノの最良の日々は、確かにこれからです。

なぜなら、このエコシステムには「最高の人々」がいるからです。

まとめ──次なるエポックへ

ここまで見てきたように、カルダノは今まさに「Cardano 2.0」への布石を次々と打ち込んでいます。

Leiosによるスケーラビリティ革命、ZKによるプライバシーと相互運用の強化、Minotaurによる新しいセキュリティモデル、そしてCavefishによるライトクライアント基盤──どれもが単体で大きな進歩であり、重なり合うことで次世代のカルダノ像を形作っています。

加えて、Intersectを通じたコミュニティ主導のガバナンス体制の確立や、Catalystによる資金調達の進化も進んでおり、「技術」と「制度」が揃って次のフェーズに突入しようとしているのが今のカルダノです。

チャールズ・ホスキンソン氏がAMAで語ったように、カルダノは単なる金融プラットフォームに留まらず、「新しい文明のOS」を目指しています 。これは大げさに聞こえるかもしれませんが、幹細胞DAOや分散型医療、アイデンティティと自由の融合といった取り組みは、その一端を確かに示しています。

「次なる高み」へ進むための準備は整いました。

技術、ガバナンス、そしてコミュニティの力が合わさることで、カルダノはこれからもエポック(時代)を重ね、より大きな存在へと成長していくはずです。

次のエポックで私たちが目にするのは、これまでの延長線上ではなく、新しい地平に立つカルダノの姿かもしれません。


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